内田英治のレビュー一覧
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内田英治『ナイトフラワー』講談社文庫。
今年の11月に北川景子主演で公開される映画原作のヒューマンサスペンス小説。
最近の日本映画らしいウエットなストーリーと爽快感の余り無い結末。現代の日本を象徴するような貧困と貧困から這い上がるために犯罪に手を染めるという負のループ。まるで海外の貧困国のようだが、それが現実なのだろう。こうした状況が当たり前のように映画に描かれるというのは非常に恐ろしいことだ。
夫が借金で失踪し、シングルマザーとして昼夜問わずに様々な仕事を必死にこなしながら2人の子どもを育てる永島夏希。働けど働けど暮らしは楽にならず、夫の借金を返済しながら、時にはガスを止められること -
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ネタバレマッチングサービスで出会い結婚した男女を鎖で縛り、どちらを殺せば良いか問うて、真実の愛を確かめる。
大体は決めかねたりして、真実の愛はない。ならば顔にバツを付けて切り刻み、手首を切って失血死させる…という連続殺人が流行っている。
ウエディングプランナーの女は父子家庭で母親は昔居なくなった。マッチングサービスの会社と提携し、開発者の男と仲良くなり、マッチングサービスでストーカーと知り合う。
父子家庭の父親は昔不倫しており、その相手の子供が開発者で、開発者は復讐のために父親や女の同僚などを殺す。
ストーカーが守ったりする。でもストーカーも連続殺人鬼という、殺しだらけの世界だった。 -
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ネタバレ映画を経てノベライズに手を出しました。
とはいえ、原作ではなくあくまでノベライズなので、ほぼまんま映画です。
もちろんコンテンポラリーな彼女と、深淵の瞳でお馴染みの彼と、ドラムだって叩けちゃうんですの彼で脳内ストーリーは再生されるんですが……
ポラリーは2割増しで悲壮感が漂うし、深淵は5割増しでヒーロー感が駆け抜けているし、ドラマーは3割増しで目を見開いているんですよね。目頭裂けちゃうよ。
しかし映像作品が文字に起こされるだけで、いろんな3次元の粗を消し飛ばして、都合よく脳内再生されるもんだなーと己の妄想力が映像を凌駕していることに戦慄を禁じ得ない。
団地でスタンガン片手に陽の光を浴び -
Posted by ブクログ
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トランスジェンダー、歪んだ家族関係、
経済的貧困、偏見と差別に苦悩し、
受け入れられることはないと諦めながらも、
それでもあるがままの自分で生きたいと願い、
抗って生きる人たち。
結末に胸が締め付けられて、同時に希望を
持ちたいと願わずにはいられない。
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理解を示さない親と距離をとり、田舎から
離れて新宿で自認する性別になるために
ひとりで生きるトランスジェンダーの凪沙。
育児放棄を受けて育ち、全てに心を閉ざして
無表情になった一果。
通報を受けて保護された一果は、親戚の
話し合いで凪沙に預けられる。
最初、凪沙は面倒ごとに巻き込まれたと
不満に感じて一果と関わりを持と -
Posted by ブクログ
「マッチングアプリで出会う人は、真実の愛ではない」という考え方に、時代の遅れを少し感じた。出会い方よりも、であった人がどのような人なのかという事の方が大事ではないのか?と。
しかし、読み進めていくうちに、「アプリってこわいのか…?」と考えてしまうようになった。写真の背景が、ターゲットになったり、プロフィール欄には個人情報がだだもれだったり…真実はわからないが、マッチングアプリについて自分の価値観を揺るがす小説であった。
あらすじを考えると、登場人物の悲しきモンスター感を思わず感じてしまうが、小説を読むと全然そんなことなかった。むしろ「こいつヤバい・・・おかしい・・・」と率直に感じてしまう。