高妍のレビュー一覧
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ネタバレ「隙間」(Gao Yan・著、KADOKAWA、全4巻)は、一気に読む進めることができなかった漫画だった。
物語は、台湾人の主人公の女子学生・ヤンが、沖縄の芸術大学に短期留学にやってくるところから始まる。唯一の家族だった祖母が亡くなったこと、好意を抱いていた男性に思いを告げる前に付き合っている本命の彼女がいることを知ったこと、高校の同級生たちとの人間関係がうまくいかなかったことなどなど、ヤンが沖縄留学に来た理由が「前向き」なものでないことが明かされる。
ヤンは、自分の胸の中に沸いた気持ちを「適当に」流したり、忘れたりすることができない。不器用な性格に見える。
そんなヤンが、沖縄で出会った -
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4巻完結で、台湾と沖縄の歴史や社会運動という巨大なテーマが、留学先の友人関係や叶わない恋愛という小さくありふれた日常の中で描かれている。高妍さんの作品は初めて読んだが、登場人物の表情の描き方が巧く、言外の感情が伝わってくる。
台湾は中国との関係が悪化し、いつ戦争が起こってもおかしくないような緊迫した状況にあることは知っていた。しかしなぜ中国はそのようなことをしようとしているのか、その根本にある考え方はなにかは知らなかった。台湾の民主主義を確立するまでの奮闘を見たら、この人たちのために何かしたいと心が動かされる。
沖縄は高校の修学旅行で平和学習をしただけで、琉球王国のことや、台湾や中国との関係 -
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私がこの本で得られたこと、あとがきにあるように、歴史が過去のものではなく、それらが自分の中にあるのだと言うことを感じられたことです。
父と共に猫を捨てにいったのに、その猫が先回りして家にいた。そんな父と僕との何気ない人生の共通の思い出が、2人の中にあり、その共通のものが、2人を作っていくという感じ。その象徴的な絵のように感じました。
小さな日々の積み重ねが、やはり自分をつくりあげ、その一つが違えば、また違う道がある。こうしたいくつもの重なりや偶然の上になりたっていることを、村上春樹さんとそのお父さんの一つの歴史の中で感じさせてもらえる本だったと個人的には想います。
高妍のイラストもこのお -
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台湾の作家によるマンガ作品「緑の歌」の上巻。
本作は、下記のように紹介されている。
【引用】
はっぴいえんど『風をあつめて』、村上春樹『ノルウェイの森』『海辺のカフカ』・・・。台湾・台北で暮す少女・緑(リュ)は、日本の文化を通じて新しい世界と出逢う。見たことにない景色、初めての感情、そして不思議な少年と夢に。
【引用終わり】
主人公の少女・緑は、台北近郊の街から、大学入学のために台北にやってくる。そして、多くの新しい経験をする。バンドをやっている少年に出会ったり、少年の影響で日本に旅行に出かけたり、はっぴいえんどに続き、細野晴臣に出会ったり、村上春樹の小説を読み始めたり。とても瑞々しく緑は -
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誰にとっても、親との永遠の別れが与える衝撃は計り知れない。元気でいることが、当たり前だと思っていても、ある日突然、命のカウントダウンが始まる。失われた時間を取り戻すかのように、親に会う時間を捻出し、なんでもない会話を重ねていくにつれ、親のことを何にも知らなかった、関心を持とうとしていなかったことに気付く。
親との関係性が、夫婦、親子、仲間との人間関係と密接に関係している、と思う。
本音で、親と話せるようになった時、あらゆる悩みがするすると解決していく経験をした。
亡くなった父との思い出を言語化してみたい。
そう思った本だった。
#命のバトン #出逢いは奇跡 -
Posted by ブクログ
村上春樹の家族関係、とりわけ父親(村上千秋)についていくか語る。父親は浄土宗の寺の次男として生まれた。1917年生まれで、戦時中は日中戦争に参戦した(のちに調べたところ、1年違いで南京戦に参戦しなかったが判明した)。中国人の捕虜が軍刀で斬首されたと父親は言っていたという。無抵抗状態の捕虜を処刑するのは、国際法に反する行為であったが、当時の日本軍はお構いなく実行した。本書で紹介された本によると、当時日本軍が捕虜を処刑する際、その多くは銃剣であったらしい。このように、父親は実際に戦地に行った人であったが、戦争映画を見ることにとくに抵抗はなく、村上は父親とよく一緒に映画館へ行き、アメリカの戦争映画
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