高妍のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ【歴史は現在に生きていると気づくこと】
村上春樹さんの本では、たくさんの史実的描写が出てきて、細かい描写に感心する。過去への好奇心と想像力は、どこから来るのかなと思ったりする。
この本では、村上春樹さんの父親の経てきた過去について、一緒に猫を捨てに行った、自身の記憶にある出来事から始まり、90歳になった父親、そして母親などに聞いた、自身がまだ生きていなかった、主に戦時経験についてつづられている。
「僕がこの文章で書きたかったことのひとつは、戦争というものが一人の人間ーごく当たり前の名もなき市民だーの生き方や精神をどれほど大きく深く変えてしまえるかということだ。そしてその結果、僕がこうしてこ -
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「このマンガがすごい!オトコ編」第9位。
日本・台湾同時発売(コミックビーム21-22年連載)、台湾を舞台に描かれた台北の繊細な女性のお話。元は32ページの自主無料出版のマンガが、500頁超の本格単行本になった。それだけを聞くと、なんか特別センセーショナルな内容のマンガに聞こえて仕舞うが、読むと、極めて真っ当な不器用なほどの、細野晴臣が大好きな少女と、同じ音楽が大好きな男性の、「若いからこそ見えている・見えていない世界」のお話だった。
音楽があるから、私たちの間に、言葉はいらない
1枚の真っ白な紙に
どうすればぎっしりと文字が書けるだろう?
言葉にすれば難しい感情をー
もし簡単に、この思いを -
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Posted by ブクログ
自分の父親について語る、というのはどうしてこうも気恥ずかしく、抵抗感があるのだろう、と村上春樹自身もそんなようなことを言っている。
これまで語ったことのない亡くなった父親についての物語、ということで、センチメンタルで情緒的な文章かと思いきや、いつもの通りのドライな村上春樹調。感傷的に流れず、あくまで自身の文体は崩さない。
僕は別に作家でもなんでもないが、父親との関係というものには、たしかに一筋縄ではいかないものを感じる。映画監督のスピルバーグだって、父性的な要素を自分の映画にあまり取り入れないことで有名だ。
印象に残った文章を一つ。
「おそらく僕らはみんな、それぞれの世代の空気を吸い込み -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
文化への渇望、そして“バンドをやってる友達”・南峻の後押しを受けて、初めての海外、日本・東京を訪れた少女・緑(リュ)。レコードショップで手に入れた、はっぴいえんど『風街ろまん』と細野晴臣『HOSONO HOUSE』を握り締めて、台湾に帰国した緑(リュ)は、音楽と物語への想いを、そして心に芽生えた南峻(ナンジュン)への恋心を、一層募らせていく。そんななか、敬愛する細野晴臣の台湾・台北でのコンサートツアーが決定して……。
細野晴臣デビュー50周年記念ドキュメンタリー映画『NO SMOKING』台湾版で、イラスト&デザインを担当した台湾在住の漫画家が贈る、初連載作品、完結巻。大切な音と -
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Posted by ブクログ
ネタバレ村上春樹の父親のことをまとめた自叙伝ならぬ父叙伝?で、戦争の時代を生きた父親のことを、その息子である村上春樹が、あやふやな記憶とたくさんの文献から整理したもの、、という(どちらかというと)村上春樹にしては味気ない印象を受けた。
個人的には、村上春樹の本に対して自分は、彼の考えたこととか感性に触れる、ということを求めているのだな、と再確認できた。
ちょっと毛色の違うものを、、と思って手に取ってみたが、いささかばかり事実の整理という側面が強く、途中からは流し読みになってしまった。
(そのために書いた、と著者自身が言っている本なのだから、それを承知で読み始めた自分が悪いのだけれど)
いちばん印象 -
Posted by ブクログ
村上春樹さんが、お父様が亡くなったことをきっかけに、自分の父親について、そして村上さんとの関係性について、時代背景である戦争について、実際に書きはじめてみることで考えを深めていったエッセイです。台湾出身の高妍さんが担当された表紙と挿絵は、なんだかぼんやりとした思索を静かに呼ぶような絵でした。
村上千秋さんという人が春樹さんのお父様で、京都のお寺・安養寺の次男として誕生します。安養寺の住職が村上さんの祖父ですが、もともとは農家の子だったのが、修行僧として各寺で修業を積み、秀でたところがあったらしく住職として安養寺を引き受けることになったようです。
僕は読む作家を血筋で選ぶことはないので(多く -
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