自炊料理家・山口祐加さんの著。
「自分のために料理をつくる」に注目して、様々な人とのレッスン内容、その後のインタビューを纏めた一冊です。
『自炊からはじまる「ケア」の話』という副題がついているので、読む前は「何かしらケアを必要としている人が、自分自身をケアするために料理を作るという内容なのかな?」と思っていましたが、それほど深いものではなく、むしろカジュアルに、「人が自分をご機嫌にするために料理をするにはどうしたらいいか?」について語る本でした。
全て読んでまず思ったのは、「この人(著者)、本当に料理が好きなんだな」ということ。
そして「この人(著者)は料理に矜持を持っている、だからこそ、時々何かしら私にはヒリヒリするものがあるな」とも感じました。
参考までに言うと、私は料理をほぼしません。女性が料理を担当するということに負い目を感じて生きてきて、トラウマの影響もあり、食べることそのものに興味があんまりありません(ときどき、そのせいで食事が苦痛になることも)。外食する場面では好みの食べ物を選ぶことはあれど、「あれが食べたい」と思うことが日常の中ではほぼありません(本書内で誰かの夫が似たようなことを言っていましたね)。
そういう私から見て、著者は本当に料理の楽しさを知っている人だなと感じましたし、と同時に「私料理できるからさ」と唐突に言い放たれたような気持ちになりました。
これは決して著者が傲慢だとか言いたいのではなくて(あとがきで触れられている通り、著者は「誰かを傷つけてしまっていないかといつも考えるようになりました」と述べておられます)、料理というものはいつも、出来て当たり前の位置づけになって、それに輪をかけて「こうあらねばならない」という呪縛によって下支えされている存在なのだと、改めて感じたということです。
本書では料理のプロセスを味わうことを推奨されていますが、このことについても「(時間や予算などに)追われている状態」では考えられないですし、「自分で気づけなければ~」というようなことを言われていますが、気付ける余裕のある人が一体どれだけいるだろう? と思うと、やっぱり料理というものについて語れば、意図とは無関係に傷つく人は出てきてしまうのかもしれないと思いました。
楽しめない人もいる、生きる為だけにしか食べられない人もいる。でも、著者のスタンスとしてはできれば少しずつ、料理に親しんでもらいたい。そういうことなのかなと考えました。
学びの多かった一冊でした。
ありがとうございました。