あらすじ
電子版のみオールカラー
【世界には、今晩の献立を考えない人たちがいる】
自炊料理家の著者の元に寄せられる
「献立作りが苦痛」
「いつも同じ料理ばかりでマンネリに」
「スーパーで途方にくれる」
という自炊に悩める人々の声。
これって日本だけ?
「世界の自炊」はどうなっているんだろう?と思った著者は飛行機に飛び乗っていた──。
2024年の間に全世界12か国、38家庭を取材。それぞれ各国から2家庭を厳選し、合計24組の自炊事情を12種の自炊レシピと共に紹介する。
同時代を生きる人々、それぞれの「自炊する意味」とは。
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◆ 推薦 ◆
「12か国の食卓を巡る旅の果てに、いちばん意外だったのは日本人の自炊だった」
──奥野克巳(文化人類学者)
「和食はもちろん、中華イタリアン、フレンチ、エスニックと自国以外の料理も何品も作り、栄養衛生にも配慮する。しかも担うのは主に女性……などなど、日本の家庭料理にまつわる「常識」は世界からはどう見える??自炊料理研究家が世界各地の自炊人を訪ねて作り味わう自炊紀行。現地レストランでも味わえない自炊レシピ満載」
──内澤旬子(文筆家、イラストレーター)
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【著者より】
本書は一気読みすると手のひらの上で世界一周をした気分に浸れるだろうし、寝る前に一家族ずつ読んでちょっとずつ楽しんでもらうのも良いと思う。この本を読んでくださる方が私の旅を追体験し、自炊という身近な行為を客観的に見て(世界各地と比べて!)、ご自身の生活に何かしらプラスになるヒントが手渡せたら、心からこの本を書いて良かったと思える。
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【目次】
はじめに
1 台湾編:外食文化が根付いた国で自炊をするということ
2 韓国編:自炊よりも外食した方が、たくさん野菜が食べられる国
3 ポルトガル編:魚介類と米の国の日常食とは
4 スペイン編:一日五回の食事を摂る国へ!?
5 フランス編:「おいしい」の国の自炊事情とは
6 トルコ編:「本当のトルコ料理」を探して
7 イタリア編:地域性のある食文化が根付く「イタリアの自炊事情」
8 メキシコ編:スペインの侵略がもたらした食文化の変革
9 ペルー編:注目度急上昇、ペルー料理がおいしい理由とは
10 タイ編:毎日・毎食、外食で困らない国でなぜ自炊するのだろうか?
11 ベトナム編:本当の「家庭料理」に会いたくて
12 ラオス編:何も知らない国の自炊に出会うこと
おわりに
■本書に登場した滞在先の中で一般に開かれている宿泊先リスト
■旅の参考にしたWebサイト
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山口祐加(やまぐち ゆか)
自炊料理家。1992年生まれ。東京都出身。出版社、食のPR会社を経て独立。7歳から料理に親しみ、料理の楽しさを広げるために料理初心者に向けた料理教室「自炊レッスン」や小学生向けの「オンライン子ども自炊レッスン」、レシピ・エッセイの執筆、ポッドキャスト番組「聞くだけでごはんができるラジオ」などは多岐にわたって活動中。著書に『自分のために料理を作る──自炊からはじまる「ケア」の話』(星野概念との共著、晶文社/紀伊國屋じんぶん大賞2024入賞)、『自炊の壁 料理の「めんどい」を乗り越える100の方法 』(佐々木典士との共著、ダイヤモンド社)など多数。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
12か国24の家庭の自炊事情が紹介される
はじめに、で著者の自炊観は生まれ変わったというくらいに変化した、とある
これはすごい本だ、という予感がする
12か国の自炊それぞれのエピソードが面白く美味しそうだ
それを見て著者は何を感じるのか
最後の1文で世界観の変わるミステリのようにおわりに、を読んだ
以下はミステリのようにネタバレ
日本ならでは、として毎日違う献立、定食スタイル、栄養バランスのプレッシャーがある
なぜか
著者は給食を挙げる
なるほど
伏線はないが納得
6か国の小学校を比較した本を読んだが小学校のスタイルは国民性に強い影響を与えている
あるいは国民性が小学校のスタイルを作っているのか
日本人は、他の国の料理も作ってしまうことも挙げる
最近給食に聞いたことのない外国の料理が出されることがある
日本人は「おいしいもの」に対して興味がありすぎるのかもしれない
世界では料理の味よりも誰かと一緒に話しながら過ごす「時間」の方に重きが置かれているように感じた
この著者の指摘は重い
料理はコミュニケーションツールなのだ
著者が帰国後、実家の母親に「おおらかになって一緒に暮らしやすい」と言われたエピソードも重い
自炊や料理に限る話ではないが日本の国を考える上で重要なような気がする
早いうちに子供を海外に連れて行ってやりたい
個人的に驚きだったのは3食外食の環境が整っている台湾やタイ
屋台文化があることと繋がりがあるのだろう
寒いと客がそもそと外に出ない、屋外の座席を設けられて営業コストが小さい、などがあるのだろう
温暖化やコロナにより日本もそうなっていくと良いように思う
またところどころ建築への言及がある
住宅で行うべき寝食の半分、自炊を扱うのだからそうなるだろう
著者もキッチンの間取りを描いている
屋台文化のある台湾は家にキッチンがないこともある
匂いのきついものを調理するときは屋外のキッチン
炭火で調理するから屋外
本書は基本的に近代化された社会をベースに自炊事情が描かれているが、高野秀行さんが訪れ体験するような文化圏ならさらに違う世界や建築的影響が見える気がする
新しい知見が得られるし、さらに考えさせられる本
著者の言うように数十年後に本書を読んだとき、どう感じるか
とても楽しみだ
Posted by ブクログ
ぬるくていいい、やってみたいかも。おいしくなくてもいい、はちょっと慣れにくいか。色々枠の外に出ると寛容になれるというのはいいなあ。枠の外から戻ってきて枠が大事だと頑張るひとに読んでもらいたいが読んでくれるかなあ。
Posted by ブクログ
食べる事は大好きだけど料理は苦手な私に優しい世界の常識。激しく同意する場面が何度も。励まされた。
でも家族に毎日ご飯を準備してもらってる人こそ読んで欲しい。
Posted by ブクログ
この本を読むと、日本の食卓がいかに特色を持っているのかがわかって面白い。世界の家庭では、毎食、違う献立を作るのが「ふつう」ではないとか。私も今度タイへ行って、暮らす様に旅してみようと思うので、自炊をして市場とか行って、あっちの国の人の食べてるものと、日本から味噌とか持って行って日本料理とちゃんぽんで作って過ごしてみる。
Posted by ブクログ
タイトルから気になって探して読んだ一冊です
よかったです!!よかったです。見た瞬間「うわっ、分厚い!!」でした。世界の自炊レシピ本かな?なんて思っていたので想像を超える分厚さに驚きと同時に嬉しくなってしまいました。12か国、各2世帯の自炊について書かれているのですが、どんな料理を作っているかはもちろん、その方の料理についての考え方や自炊をする理由とかが書かれてあって本当に素敵な本でした。
各家庭の名もなき料理を作っている現場を読ませていただくと自分もその台所にいる気持ちになれました。あぁ、この料理、絶対に美味しいに決まってる!と何度思ったことか。
お国柄がとっても出ているのが良くて、それがきれいごとだけではないお国柄なんです。日本ではまずありえない販売の仕方とか、調理の仕方とか。レストランじゃ絶対味わえない空気が漂っていて、これはまさしく家庭の味だなぁと。
国によっては外食や出前が発達している国もあるのですが、そこらへんのバランスをどう考えているのかなども知れてよかったです。
私が日本人なので、どうしてもお米に関する料理に注目してしまったのですが、一汁三菜じゃなくたっていいじゃん!と改めて思いました。ご飯に色々かけたり、乗っけたりそれでもいいよね。そう思いました。
この本を読んだ翌日、私はきのこと鶏肉の汁物(本来は鍋料理)を作ったのですが味見をしたら「これ、絶対ご飯にかけたら美味しい…。別に盛らなくてもいいよね。かけちゃっていいよね」とこの本に出てくる人たちを思って、結審すると軽く水溶き片栗粉でとじてご飯にかけてたべました。もんのすごく美味しかったです!!
あと、放っておけるオーブンに憧れました。前菜食べている間にメインをオーブンで焼いているのとか。
がつがつ読み進めると言うより、静かな川が流れるように読んでいたら気が付いたら終わっていた。そんな読後感のある一冊でした。
Posted by ブクログ
2025年出版。世界12ヶ国にステイして、各国の日常の自炊ゴハン事情を見て・食べて・環境を感じて・お話して...な、554ページの本。
正直、淡々と読み続けると飽きる。超分厚い本書に写真は多々有れども、カラーにするとただでさえ分厚い本書は更なる高価格へ。それを避ける為だろう、巻頭以外は全てモノクロ。食事内容、台所風景、街の様子、etc.。料理の場合、何が写ってるんだか分からないモノも多々。調理手順を文章で書き綴られても頭が追い付かない、イメージ出来ない。
とは言え、とても参考になった点も。特に最後の「おわりに」が一番しっくりくる。
二カ国分くらいをしっかり読んで、後は「おわりに」だけ読んでも十分?かも知れない。
日本人は自炊、と言うか、自らの調理作業を重く考え過ぎ! 苦行は続かない、楽にやればいい! 毎日違う食事でなくて良いでしょ! 料理の熱さ・温かさに固執しなくて良い(モノによる)!
元々、たまたま実践していた点も有ったり、考え方的に合理的でとても納得出来たり。ああそうか、「スープ」って捉え方に広げればもっと楽でバリエーション増やせるんだな、とか。
トータルでは個人的にとても有難い知見でした。
大学とかで文化人類学的な方面からも有用な資料なのでは?とか思ったり。
各国の20代以上の「概ね普通の人たち」のお話も何気に面白く、ちょっとした小説の短編集のようでもありました。
Posted by ブクログ
料理嫌いなので読んで自炊に対する気持ちが軽くなればいいなと思って読む。分厚いがするりと読めた。
著者が訪れた12ヶ国の気取らない普段の家庭料理や作った人の自炊事情を知れて、国によって違う欠かせない調味料や食材も面白い。
世界を知るから日本の自炊事情が見えてきて、こうしなきゃという思い込みが多すぎることに気付かされた。もっと緩くていいんだなと。
Posted by ブクログ
自炊料理家の著者が1年かけて12か国・38家庭の「いつもお家ご飯」を取材した本
いつものご飯、って結構ナゾに満ちている。外国の方はもちろん、同じ日本人どうしだって実は話すと面白い発見があるんじゃないか、と思った。
・少ない材料
・手軽であること
毎日続けるものだからこそ頑張りすぎるとどこかでパンクしちゃう。
一汁三菜は一般家庭で毎日行う「べき」ものじゃない。(もちろんしたい人はどんどんしたらいいと思う)
私自身は自炊は結構好きな家事なので、副菜作ったり作り置きとかもしますがそれは夕飯限定。
朝昼は毎日同じものを食べてます。
この本は他の人の自炊する様子やその工程が楽しそうで美味しそうなのはもちろんですが、「自分の中の「べき」」を少し軽くしてくれる本でもあると思います。
「べき」の多い人生は周りも自分もしんどい。
品数が多くたって、料亭のような味の料理だって、それを作る人が疲弊していたら本末転倒というか。
日本人の自炊に求めるレベルが異常に高いのでは、と世界の自炊事情を見せてもらうことで気づくことができました。
世界は結構「本当は気にしなくてもいいこと」に満ちていて、緩く回っているものなんじゃないかな、と心が軽くなりました。