高橋哲哉(哲学者)のレビュー一覧

  • 靖国問題

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    「靖国問題」について、自分なりの意見を持てるようになった一冊。 前に読んだ「戦争を知らない人のための靖国問題」のように「帝国に洗脳された作者による主観的な意見」をゴリ押しするでもなく、客観的にいかに国がこの神社を利用してきたかをわかりやすく述べている。

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    2016年03月30日
  • 沖縄の米軍基地 「県外移設」を考える

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    沖縄の米軍基地問題を考えるときには、必ず読まなければいけない本かもしれない。
    いまの沖縄の状況は、本当に植民地だ。
    「本土」の人間は、この本にあるような視点をもって、基地問題を考えなければいけない。

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    2015年07月27日
  • 靖国問題

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    <目次>
    はじめに
    第1章  感情の問題-追悼と顕彰のあいだ
    第2章  歴史認識の問題-戦争責任論の向うへ
    第3章  宗教の問題-神社非宗教の陥穽
    第4章  文化の問題-死者と生者のポリティクス
    第5章  国立追悼施設の問題-問われるべきは何か
    おわりに

    <内容>
    靖国問題(その存在と政治的問題など)をとてもわかりやすく解説したもの。多くの文献や発言を元に、章ごとに掲げた問題点を快刀乱麻で解いていく。そして問題点をクローズアップさせる。抜粋する文献の引用が長いのでやや読みにくい部分もあるが、著者の論点は明快だ。
    では、解決策はあるのかというと、その点ではやや不満の残るのだが、われわれに出来る

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    2014年10月05日
  • 歴史/修正主義

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    戦後の歴史認識や太平洋戦争の戦争責任問題について、整然と解説されている。その理論は学者ならではのもので、首肯させられる点も大変多い。特に「戦後責任を果たすことは『ポジティブな行為』」の節で説かれている、国家の戦争責任を直視することで、自己と過去の国家との連続性を絶つことに繋がり、他者の理解の涵養を待つ、といった所説は感じ入るところも多い。彼の認識の基層をなしていると感じた。

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    2013年09月20日
  • 靖国問題

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    ネタバレ

    靖国「問題」を宗教、外交、政治、文化などの観点からそれがなぜ問題なのか?を論じているのですが、15年戦争以前の台湾征伐、朝鮮の暴徒制圧の際に犠牲になった人が合祀されていることが問題だとする指摘は初めて認識し、なるほどと思います。そういう背景もありながら、中国韓国がA級戦犯のみを合祀から外すことを要求しているのは、著者が指摘しているように、両国がこれだけで収めようとする政治的メッセージだとも思います。靖国の存在そのものが、両国、台湾などにとって「日本帝国主義の象徴」だということを改めて痛感しました。そして新たな追悼施設の建設により解決するという案についてもそれが「平和のために死んだ」という顕彰施

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    2013年08月22日
  • 犠牲のシステム 福島・沖縄

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    『国家と犠牲』では靖国神社にみられる犠牲のシステムを分析しておられましたが、まったく同じシステムが福島・沖縄についても作動しているという指摘には、この国にいきるものとして、うすら寒いものをかんじざるを得ません。

    「犠牲のシステムでは、或る者(たち)の利益が、他のもの(たち)の生活(生命、健康、日常、財産、尊厳、希望等々)を犠牲にして生み出され、維持される。犠牲にする者の利益は、犠牲にされるものの犠牲なしには生み出されないし、維持されない。この犠牲は、通常、隠されているか、共同体(国家、国民、社会、企業等々)にとっての『尊い犠牲』として美化され、正当化されている」

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    2013年06月22日
  • 犠牲のシステム 福島・沖縄

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    ネタバレ

    第3章以降が著者の言いたいことの中心だった。その前は事実関係の整理で、原発事故以来、一定の時間経過があったいまとなっては、わかっていることが多い。
    震災後の「天罰」思考、また原爆投下後の「天恵論」が本質的に犠牲のシステムであることにおいて同じであるという。そして、基地問題における沖縄の犠牲と、原発事故における福島の犠牲がある部分では同質のものだとも。
    そもそもこの本を手に取ったのは、片山杜秀著「国の死に方」で、国家の存亡に関わる圧倒的な脅威の前で人間(国民)が犠牲にされるその有り様が、時代とともに変化していることが明らかにされていたからである。国家権力による犠牲のシステムの構築(最終的に戦没者

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    2013年05月13日
  • 犠牲のシステム 福島・沖縄

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    基地の沖縄、原発の福島、そこに見える犠牲のシステム、植民地主義、そして民主主義の落とし穴を喝破した好著。
    この構図は核燃まで抱える青森県も同じなのは、書中に三村知事の名が出てくるのでも明らかですが、それに絡め取られてしまっている現実を何とかしないといけません。

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    2012年05月18日
  • 靖国問題

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    古本屋で安かったので衝動買い。

    政治も歴史も戦争も、ほとんど知識が無いまま読み始めたけど、問題の概要ぐらいは掴めたと思う。

    ただ、政治家などの発言の言葉尻を捉えているだけの論旨が度々あったように感じた。
    無論、政治家たるや発言には責任を持つべきだが、少々行き過ぎなように思えた。

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    2011年09月20日
  • 靖国問題

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    靖国神社。様々な感情論を引き起こし、常にイデオロギーの争いの対象になる。

    僕はどちらかというと、この神社に対しては肯定的な意見を持っていた。

    しかし、この本を読んで政治の操作がこの神社に及んでいることを知った。
    だからといって否定的に捉えるのは違うと思った。

    どういう操作が及んでいようと、先祖を敬うのは非常に重要なこと。過去から目をそむけてはいけないし、そこに右翼も左翼もない。大事なのは、事実を捉えた上でいかに建設的にこの先を考えるかだ!

    今まで知れなかったことを知れてよかったという点と、途中気になる点があった点を含めて★4つです。

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    2011年09月19日
  • 靖国問題

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    学生の私にはまだまだ難しい本でした。
    でも、とても読みがいがあり食い違いなども書かれていて、少し時間を置いて再読したいです。

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    2010年03月29日
  • 靖国問題

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    ま、もともとこの問題に関して知識がなかったけど
    なかなか深い考察をしてるな〜と思いました。
    とりあえず、いい本だと思います。

    靖国神社は
    「戦死者を祭神として昇華し、戦争に赴く気を保つ装置である」
    というような定義をしてると思います。

    第一章が非常に印象的で、
    息子の死を悲しみながらも、
    靖国に祀られ天皇の顔を見れた事を光栄に思う人の談話がのってました。

    そして、靖国問題=A級戦犯分祀問題と捉えることで
    戦争責任をA級戦犯のみに押し付け、
    それを指揮したとされる昭和天皇やBC級戦犯の責任、
    ひいては満州事変以前の
    日本の歴史認識の曖昧さを覆い隠す、と。
    それでいて無宗教の国立追悼施

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    2009年10月04日
  • 靖国問題

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    友人からもらった著書。

    小泉元主相の靖国参拝に端を発した靖国問題について書かれている。おぼろげながら靖国の問題はわかっていたが、理解を深める上で取っ掛かり易い著書だと思う。靖国問題について議論の必要があるときは、もう一度熟読しようと思った。日本は敗戦国であるが、アジアの国々を植民地支配したという事実をきちんと伝えている点は、大切だと感じる。主観的な偏りも無く事実を冷静に見つめている哲学書だと言ってよい。

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    2009年10月07日
  • 靖国問題

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    靖国問題と言うと、右だ左だとそういう観点で見ることが多くなるが、この本は比較的バランスが取れていて良い本だと思った。
    歴史的には戦死者およびその家族の精神安定装置として意義あることだった。これからも戦争が起こった場合に靖国神社はその機能を発揮できるか大きな疑問がわいた。
    そもそも日本人は戦争に巻き込まれた場合、戦えるのか??
    間違っても日本から戦争を吹っかけていくことはして欲しくないが巻き込まれる事はありうる話だ。その時日本人は何を糧に命を投げ打つ覚悟をするのか?
    戦前、戦中にその覚悟を与える一つの装置が靖国神社であったと解説されている。
    日本人は日本を守れるのか?そんな疑問が頭をよぎりました

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    2009年10月04日
  • 歴史/修正主義

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    タイトルだけ見ると一見ラディカルだが、むしろその実は80年代以降現れてきた「歴史修正主義」批判である。高橋の著作は相変わらず論点のまとめ方が上手く、何を言いたいのか非常に分かりやすいが、実はそれほど目新しいことは言われていない。『靖国問題』と『国家と犠牲』をより深く理解したい人は

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    2009年10月04日
  • 靖国問題

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    戦争を経験していない今の若者からすると、靖国神社の問題はあまり関心がない。その状態で読んだせいもあって、本書を読みきるのに相当な時間がかかった。個人としては読みにくかったように思う。

    ただ、靖国神社というものの成り立ちを知り、批判する立場の意見をきちんと理解するために非常に良いと思った。しかし、この程度の理解ならネットで漁れば十分であろう。

    うまく内容をつかめなかった自分に反省している。

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    2024年12月09日
  • 歴史/修正主義

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    歴史修正主義への批判を通じて、日本の戦争責任についての問いなおしをおこなった本です。

    本書では、加藤典洋の『敗戦後論』をきっかけとする著者との論争がとりあげられています。ただし著者は、あらためて加藤の議論への反論をおこなうのではなく、両者の論争に対するテッサ・モーリス=スズキの発言に対してみずからの立場を明らかにしています。

    さらに、哲学者の野家啓一の「歴史の物語り論」への反論がなされています。著者は、野家の「物語り論」の立場も、ある種の政治性をになうことを指摘し、さらに「物語りえぬこと」をかかえ込んだ他者との連帯は可能かという問題提起をおこなっています。最後に、いわゆる従軍慰安婦問題をめ

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    2020年08月07日
  • 靖国問題

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    加藤典洋の『敗戦後論』(ちくま学芸文庫)に対して厳しい批判をおこなったことで知られる著者が、靖国神社をめぐる諸問題について考察している本です。

    著者は、靖国神社に合祀されたひとたちの遺族が示す激しい感情を参照することから議論を説き起こし、「祖国のために命をささげた英霊を顕彰する」という回路のうちに遺族の感情を回収する装置として、靖国神社が機能していることを指摘します。さらに、「歴史認識の問題』「宗教の問題」「文化の問題」「国立追悼施設の問題」というテーマにわたって、著者自身の考えが展開されていきます。

    靖国神社をめぐってどのような問題が提起されているのかということを知るのみならず、哲学者で

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    2019年11月06日
  • 靖国問題

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    靖国神社について、素朴な疑問を抱いていた。

    (1)靖国神社とは何か?
    (2)「A級戦犯」とはいえ、既に死刑が執行されている。なぜ中国等は問題視するのか?
    (3)公式参拝に違憲判決が出ているのに、なぜ小泉氏に何らのペナルティーもないのか?
    (4)内外の圧力に対して、小泉氏はなぜああも頑ななのか?
    (5)つまるところ、靖国神社は是なのか非なのか?

    そこで、この本を手に取ってみた。

    「感情の問題」「歴史認識の問題」「宗教の問題」「文化の問題」「国立追悼施設の問題」と章を区切り、それぞれの切り口から問題の所在を明らかにしていく。

    著者は哲学者なんだそうだが、それだけに筆致は論理的であり、公平に

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    2019年06月13日
  • 思考をひらく 分断される世界のなかで

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    「思考のフロンティア」シリーズの別巻で、姜尚中、齋藤純一、杉田敦、高橋哲哉の四人の短い論考と座談会が収録されています。

    著者たちは、本シリーズの刊行中に起こった、アメリカの同時多発テロとそれにつづくアフガン空爆という現実を見据えながら、思想にいったいなにができるのかという問いに向きあってそれぞれの立場からこたえを模索しています。

    とくに個人的に興味を惹かれたのは、福沢諭吉とアジア主義が現代にどのような問いを投げかけているのかという問題提起でした。丸山眞男が福沢に高い評価をあたえていたことにも触れながら、近代および民主主義の臨界点を指し示しているように思います。

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    2019年03月04日