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90年代後半に登場した日本版歴史修正主義。「悔悛のグローバリゼーション」といわれるほど広がった歴史の負債を「清算」する動きに対し、修正主義の台頭もまたグローバルな現象である。冷戦終結後に突出した「民族」とナショナリズム-その激化する《記憶の戦争》に分け入って、歴史の中でどう判断すべきかを考える。
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Posted by ブクログ
戦後の歴史認識や太平洋戦争の戦争責任問題について、整然と解説されている。その理論は学者ならではのもので、首肯させられる点も大変多い。特に「戦後責任を果たすことは『ポジティブな行為』」の節で説かれている、国家の戦争責任を直視することで、自己と過去の国家との連続性を絶つことに繋がり、他者の理解の涵養を待...続きを読むつ、といった所説は感じ入るところも多い。彼の認識の基層をなしていると感じた。
タイトルだけ見ると一見ラディカルだが、むしろその実は80年代以降現れてきた「歴史修正主義」批判である。高橋の著作は相変わらず論点のまとめ方が上手く、何を言いたいのか非常に分かりやすいが、実はそれほど目新しいことは言われていない。『靖国問題』と『国家と犠牲』をより深く理解したい人は
歴史修正主義への批判を通じて、日本の戦争責任についての問いなおしをおこなった本です。 本書では、加藤典洋の『敗戦後論』をきっかけとする著者との論争がとりあげられています。ただし著者は、あらためて加藤の議論への反論をおこなうのではなく、両者の論争に対するテッサ・モーリス=スズキの発言に対してみずから...続きを読むの立場を明らかにしています。 さらに、哲学者の野家啓一の「歴史の物語り論」への反論がなされています。著者は、野家の「物語り論」の立場も、ある種の政治性をになうことを指摘し、さらに「物語りえぬこと」をかかえ込んだ他者との連帯は可能かという問題提起をおこなっています。最後に、いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる議論に対する著者自身の立場が提示されます。 著者が野家に対して批判をおこなっているように、あらゆる言説はなんらかの政治性をもたざるをえません。本書は、著者自身の掲げる「正しさ」を、いわゆる「歴史的事実」によって隠蔽することなく、むしろ自己言及的に「正しさ」を提示するという身振りをくり返しています。2020年現在の、従軍慰安婦問題をめぐるさまざまな言説の政治的布置をながめながら本書の議論を読んでいると、それぞれの政治的立場があまりにも露骨に衝突している状況に対して、べつのアプローチが必要なのではないかという気がしてしまいます。
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歴史/修正主義
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