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21世紀に入ってもなお「問題」であり続ける〈靖国〉。「A級戦犯合祀」「政教分離」「首相参拝」などの諸点については今も多くの意見が対立し、その議論は数々の激しい「思い」を引き起こす。だがそうした「思い」に共感するだけでは、あるいは「政治的決着」を図ろうとするだけでは、問題の本質的解決にはつながらない。本書では靖国を具体的な歴史の場に置き直しながら、それが「国家」の装置としてどのような機能と役割を担ってきたのかを明らかにし、怜悧な論理と哲学的思考によって解決の地平を示す。決定的論考。
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Posted by ブクログ
靖国神社に関して、基本的なことも分かっていなかったことを痛感する。 靖国神社は明治時代に出来た神社。戦争が出来る帝国主義を継続させるために出来た。死を嘆かず、むしろ死に赴きたくなる装置だ。 中国や韓国などのアジアからの批判以前に、首相の参拝は国内問題として取り上げられていた歴史を有する。 中曽...続きを読む根はA級戦犯の合祀取りやめに積極的だった。合祀のために厚労省から名簿が靖国神社に流れていた事実も知らなかった。 同じ様な施設が歴史や洋の東西を問わず存在していること。 国立追悼施設を作るだけでは、かえって第2の靖国が出現しかねないこと。すでに千鳥ヶ淵や沖縄の平和の礎でも、その傾向が見られていること。 今読んでも力作である。ただ最後の憲法9条を活かそうと言う主張のみが現在では少し白々しく感じる。中国・ロシアの侵略的傾向、アメリカの世界戦略の縮小によって、バランスオブパワーを越える平和戦略が見いだせないからだ。 蛇足:本書では当たり前に「合祀」という言葉が使われている。合祀はてっきり遺骨などが納められているのかと思っていたら、よくよく調べると、名簿に名前が書かれているだけという。ぽかーんである。それをめぐって裁判しているのか。。。
"靖国神社への参拝は、なぜ問題となるのかを整理する目的で本書を手にする。この本は、歴史家ではなく哲学者が論理的に伝えることに重きをおいたもの。 1.感情の問題 当時、戦死による悲哀を幸福に転化していく装置が靖国神社だった。 戦死者の追悼ではなく、顕彰こそが本質的な役割。 (追悼とは、...続きを読む死者を偲び悼み悲しむこと。 顕彰とは、功績などを世間に知らせ表彰すること) 2.歴史認識の問題 A級戦犯の分祀が実現したとしても、政治決着にしかならない。靖国神社への歴史認識は戦争責任を超えて植民地主義の問題として捉えるべき 3.宗教の問題 4.文化の問題 5.国立追悼施設の問題 歴史を再び学びたくなった。山田風太郎の戦中日記など後に読むきっかけになった。"
靖国問題について、靖国神社に批判的な立場から論じた本。「感情」「歴史認識」「宗教」「文化」といった切り口でその問題点を指摘する。 息子が戦死して靖国神社に祀られ喜ぶ母たちの対談を掲載した当時の雑誌『主婦の友』など、著者の主張を裏付ける多くの史料が提示されている。
靖国問題を理解するための本です。歴史的事実を踏まえ、各論の論理的是非を明快にし、現在の問題の本質を鋭くえぐっています。国事として英霊祭祀を行う限り問題解決はできないというクリアな見解にはただ頷くばかり。
現首相が参拝を積極的に肯定したせいもあり、最近も近隣諸国からの批判で盛り上がっている靖国問題。では、靖国問題の本質とはいったい何なのであるかを鋭く抉った良書です。靖国問題の解明や問題解決のための糸口を探っており、祀ることと軍国化との関連性や分祀が根本的に何も解決しないこと、そして新たな追悼施設が第二...続きを読むの靖国となる恐れがあるという主張は明快です。著者の主張に意見が分かれるかもしれませんが、そもそも靖国神社とは何であるかなど基礎知識を確認するための入門書としてもよく纏まっていると思います。
靖国神社にはA級戦犯まで祀られているぐらいしか知らなかった自分にとって靖国問題の複雑さを初めて知った。
今度の戦争で死んだ人々を悼むことは当然の感情だが、それを英霊化したり、なぜ死ぬことになったのかという原因を考えない追悼は危険だ。公の悼み方には違いがあってもいいのではないか。それに靖国は明治以来政府に反抗して死んだ人たちはまつっていないし、まつってほしくないと思っている人たちも勝手にまつっている。ま...続きを読むた戦争を起こした人たちも、赤紙で行かされ死んだ人たちもいっしょにまつられている。これでは今度の戦争の責任はいっそう曖昧になるばかりだ。日本人の伝統は死んだらみんないっしょというのも怪しくなる。靖国問題を感情、歴史認識、文化等の観点から総合的に論じた好著。
靖国神社をめぐる問題を、 感情、歴史認識、宗教、文化、国立追悼施設の5つの側面から論じる。 2005年刊。 20年以上前に書かれた本だけど、ここに列挙されている問題は今も全く解決していない。むしろ軍事化が進み、日本にとって戦争がまた我が身のことになってきているので、戦死者を顕彰する宗教的施設が、戦争...続きを読むが美化され責任がぼやかされるために再び政治利用されるかもしれないと心配になる。 今読めて良かった。
高橋哲哉(1956年~)氏は、東大教養学部卒、東大大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学、南山大学文学部専任講師、東大教養学部助教授、東大大学院総合文化研究科教授等を経て、東大名誉教授。専門は現象学、言語哲学、倫理学、政治哲学。 本書は、毎年太平洋戦争終戦の時季になると話題に上がる(特に、首相...続きを読むが参拝をした年は)、いわゆる「靖国問題」について、様々な視点から考察したものである。 内容は概ね以下である。 ◆感情の問題・・・靖国神社とは、国家的儀式を伴う「感情の錬金術」によって戦死の「悲しみ・不幸」を「喜び・幸福」に転化するシステムにほかならない。その本質的役割は戦死者の「追悼」ではなく「顕彰」である。このシステムから逃れるためには、戦死を「喜ぶ」のではなく「悲しむ」だけで充分である。 ◆歴史認識の問題・・・靖国問題の歴史認識は、「A級戦犯合祀」の問題としてのみならず、太平洋戦争の戦争責任を超えた、日本近代を貫く植民地主義全体の問題として問われるべきものである。よって、仮に「A級戦犯分祀」が実現したとしても、それは中韓との政治決着にしかならない。 ◆宗教の問題・・・これまで首相や天皇による(宗教法人である)靖国神社の公式参拝を合憲とした確定判決はなく、それは日本国憲法の政教分離規定に抵触していることを示している。政教分離規定は、神道が「国家神道」となって事実上の国教になることを、歴史的反省を踏まえて防ぐためのものであり、その改定はあり得ない。他方、靖国神社の宗教性を否定して特殊法人化することは、靖国神社が戦死者の「顕彰」の活動(=宗教活動)を止めるわけにはいかない以上不可能であるし、それは、かつて国家神道を「超宗教」と位置付けた「神社非宗教」の復活にもつながる、危険な道である。 ◆文化の問題・・・日本の文化の根源には「死者との共生感」があり、それを首相や天皇の靖国参拝の根拠とする考え方があるが、靖国神社には「天皇の軍隊」の敵側の死者が祀られた例はなく(戊辰戦争等を含め)、それは国家の政治的意志を反映していることにほかならず、文化論的アプローチには限界がある。 ◆国立追悼施設の問題・・・「無宗教の国立戦没者追悼施設」の新設は、追悼や哀悼が個人を超えて集団的になっていくことにより、「政治性」を帯びてくるというリスクを孕む。そうした移設が意味を持つ大前提は、日本国家としての、過去の戦争責任の認識と、非戦・平和主義の確立の二つ。即ち、「政治」が施設をどう使うのかが全てなのである。 靖国問題は、極めて複雑な問題である一方、感情的になりやすい性格の問題である。そうした中で、自分の考えを持ち、様々な議論に参加していくために、複雑な論点を整理・理解することは欠かせない第一歩である。 そういう意味で、著者が最終的に導き出す結論めいた見解への賛否はともかくとして、論点が列挙されている本書は一読するに値する一冊と思う。 (2023年1月了)
「靖国問題」について、自分なりの意見を持てるようになった一冊。 前に読んだ「戦争を知らない人のための靖国問題」のように「帝国に洗脳された作者による主観的な意見」をゴリ押しするでもなく、客観的にいかに国がこの神社を利用してきたかをわかりやすく述べている。
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靖国問題
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高橋哲哉(哲学者)
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