増山実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大阪の待兼山駅前で65年続く喫茶店「喫茶マチカネ」。
半年後に閉店が決まったこの店で、月に一度開催されることになった「待兼山奇談倶楽部」では、毎回ゲストがこの街、この喫茶店にまつわる不思議な体験談を語ります。
古き良き街並みを残す待兼山駅前の風景と、ゲストが昔を振り返って語る思い出話の効果で、読みながら脳内に浮かぶ景色はなんとなくセピア調で、全体にノスタルジックな雰囲気が漂う作品でした。
待兼山駅は架空の駅名のようですが、阪急石橋阪大前駅周辺の地理に明るい人であれば、きっと作中に知っている風景がたくさん出てきて、読んでいてもっと楽しいだろうなぁ。
また、喫茶店×ファンタジー作品でいえば川 -
Posted by ブクログ
装丁とタイトルで手に取ったが、想像していたより、ずっしりと読み応えがあった。
尼崎に祖父が建てた映画館「波の上のキネマ」の経営を父の次に受け継いできた3代目 安室俊介。
街の小さな映画館の経営はどんどん困難になり悩みの尽きない俊介。
そんな時、俊介は祖父と「波の上のキネマ」のルーツを辿ることになる。
メインストーリーの舞台は祖父 俊英が厳しい年月を過ごした西表島の炭坑。
小説だと思って読んでいたけれど、炭坑での厳しく強いられる生活、描写があまりにもリアルだったので調べてみると、1930年代に実際に炭坑があり、労働者は島に閉じ込められ働かされ続けたという事実に衝撃を受けた。
西表島の要塞の