あらすじ
14歳のおれたちは自転車を走らせた。
サッカーの“神”に会うという夢を乗せて。
恋愛、友情、夢、大人への憧れと逃避……。
傑作青春小説。
しっかり者だがどこか流されがちなぺぺ、気弱なオカルト好きのツヨシ、運動神経抜群で人気者のサトル、ムードメーカーのエロ番長・ゴロー。北九州に住む中学生4人組は、いつでも一緒のサッカー仲間だ。そんな彼らのもとに歓喜と絶望のニュースがやって来た。大ファンで、雑誌で見かけてはサッカーの「神」と崇めてきたヨハン・クライフ。彼がオランダ代表で出場するW杯が日本初の生中継されるが、九州は放送地域外だという。馬鹿馬鹿しくも時に切ない日々を過ごしながら、4人は“クライフ同盟”の名の下に秘密の計画を進めていく。大型台風が接近する中、放送を見届けることはできるのか?
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Posted by ブクログ
情報取得が簡単でないこの時代ならではの面白さ。
周囲の大人たちが最高だった。
子供たち自身で考え行動することを尊重し、見えないところで最大限に守る、理想的な教育。
Posted by ブクログ
昭和の男子の大冒険。スタンドバイミー的ハラハラとワクワクが面白かった。
私は年代も性別も違うしサッカーも知らないからほとんど共感はできないけど、他人の人生を覗かせてもらった気分。会社で難しい顔してるおじさん達にもこんな青春があったのかもなー、とか。
スマホもネットも無い時代、今よりずっと不便だったからこそ、お目当ての雑誌求めて遠出したり、急ぎの要件を速達で伝えたり、そういう回り道もまた思い出として活きている。大冒険のお供の地図がそれかい!って言うのは笑ったけど、いかにも中学生らしくて妙にリアル。
あと、男子中学生の母親としても、思春期男子の不可思議な脳内を覗き見るような面白さもあった。
つい先日息子が不意打ちで友達を家に連れてきて、手洗いさせた後で「あ、お風呂場に下着干してたの見えたかな。ま、誰もBBAのブラなんて興味ないわな」って思ったところだったけど、今後はもうちょっと気をつけよう苦笑
Posted by ブクログ
ほんと中学生の時のあの感覚が戻ってきました。いやぁ男のロマンですね笑
大人に内緒でしてるつもりが大人はみんなお見通し。今の私も大人目線でふむふむと唸りました。
自身はこの本に出てくる中学生とはひと回りくらい若いのですが、この本を読んで改めて決勝の映像見て感動しました。クライフターンもめっちゃ真似しましたよ笑
あの時代は今より不便だったけど、よかったなぁ
と改めて感じる一冊でした。
男性には響くけど、女性に響くのか聞いてみたいですね
Posted by ブクログ
後半はハラハラドキドキで、
私も一緒にペダルを漕いでいる気分。
ネットやスマホがない時代の子どものほうが、
想像力・行動力に長けていましたね。
その陰で大人たちの配慮にも涙。
Posted by ブクログ
ヨハン・クライフを愛する中学生たちの、なんて愛おしい、なんて素晴らしい青春の1コマを、読者として
見せられた一冊でした。自分が中学生であった頃に見たもの、経験した事、心ときめかした事、辛かった事など、まさに蘇ってきた感じで、読み終わりたくないという気持ちにさせる感動の一冊でもありました。目的地に辿り着くまでの17時間に及ぶ冒険の数々、そしてその後の顛末までのくだりは、一気に読み進み、涙で活字が滲むほどでした。
Posted by ブクログ
素晴らしい!
著者の増山氏は私と同年代(私が1年後輩)で、その世代の中学生を描いている。そして私もサッカー小僧だった。さらに多分同じ号のサッカーマガジンを買っている。私はベッケンバウワーが好きだったが、ライバルのクライフを崇めるサッカー少年たち。ワールドカップ決勝(1974年)の決勝が放送されている地域まで、自転車で500マイルを旅をするが、様々な偶然と善意に助けられる。
作中にクライフの引用が。「サッカーは、きわめてシンプルだ。しかしシンプルにプレイすることが、一番難しい」
Posted by ブクログ
アホで、無謀で、それでいて純粋。男子中学生というかけがえのない時間の、かけがえのない冒険譚。
海外サッカーの情報へのアクセスの困難さ。今ならネットでリアルタイムで試合経過が速報され、動画もいくらでも視ることができる。が、この時代には、月刊のサッカー雑誌の発売を心待ちにし、ワールドカップの試合結果ですら2日遅れで新聞に載る数行の記事で知るのみ。
インターネットが一般に普及する以前、1990年代まではこんな感じだったなあ。
はじめ80ページくらいまで登場人物の紹介で、なかなか話が進まないな、と思いながら読んでいたが、本当になかなか出発しない(笑)。でも、このゆったりしたペースがだんだん心地よくなっていく。
大人びた同級生女子との一夜の思い出が甘酸っぱかってよい。
塾の先生が雑談で教えてくれる、オランダやハイチの蘊蓄も趣きがある。
周防灘を取り囲む、国東半島、北九州、山口県の沿岸部には全く土地勘が無かったので、こんな位置関係なんだと新鮮だった。主人公たちが暮らす街だけが何故か地名が示されないけど、苅田町だよね。自転車でひたすら走る160km。下関、小野田、宇部、防府、徳山、光、そして柳井。少年たちと一緒に旅をしている感覚になってくる。
Posted by ブクログ
クライフの勇姿、本屋でのドキドキ、裏山の秘密基地、デヴィ夫人の官能、雑誌への投書、他中との因縁、公認オカズ、スマホ無しチャリ旅、母の故郷、50年後の回顧。昭和真夏の大冒険!
Posted by ブクログ
サッカーの歴史を語る上で絶対に外せない最重要人物の一人である名選手にして名監督のヨハン・クライフ。そんなクライフに憧れる4人の中学生男子のロードムービー的青春小説。是枝裕和監督の映画『奇跡』に近いものがある。W杯の1974年大会の決勝を生中継で観戦するために東京12チャンネルのネット局のある山口県を北九州市の隣町から自転車で目指すというストーリーの骨子にはもう1ミリも文句なしw最高!月刊サッカーマガジンをはじめとする当時の日本におけるサッカーの扱われ方の描写は涙なしでは読めないノスタルジー。
Posted by ブクログ
面白かった。
ブグログで本の装丁が出てこないのが残念なのだが、本作の子供たちの姿が生々としていて大変好感の持てる小説だった。
サッカーワールドカップに合わせ、自分たちの地域では放送されない憧れのオランダ人選手クライフの衛星放送を見に行く。
この思いに駆られた4人の少年の冒険自転車旅行を、いつのまにか読者も熱い気持ちで応援していた。
主人公たちの年齢に近いせいもあり、作中の中学生が興奮した写真週刊誌や映画や憧れの対象への感情を共有できるだけに、本作の彼らに親近感を強く感じてしまう。
著者が静かに昔の「あの夏」を思い返す文章は、優しく懐かしく暖かい気持ちにさせてくれた。
Posted by ブクログ
もう読み終わり感動のしっぱなしでした。まずは私の青春時代と同じ設定で本当に楽しませてもらいました。著者の増山さんが同い年と言う事もあるかも知れません。私は、桜田淳子、中二時代派です。雑誌GARO、平凡パンチ、洋書プレイボーイ懐かしさオンパレードでした。そしてクライフ同盟の自転車ロード旅は映画「スタンドバイミー」を彷彿させる感動ものでした。1974年のワールドカップの緻密さクライフについて、初めて知ることばかりでした。あなたも読んで感動して下さい楽しんで下さい。
Posted by ブクログ
ほろっとした。誰にでもあった純朴な時代ー子供を脱して、いよいよ大人への階段を上り始める中学生の頃を思い出した。好きなことをひたすら頑張って、ちょっと気になる子が居て、頭の中は妄想の嵐。。世の中の中学生を全員応援したくなる!
Posted by ブクログ
なかなかクラアフ同盟の活動が始まらないから、
読み進めるのに苦労したが、
途中からはするすると読めた。
日本版スタンドバイミーだな。
今みたいに簡単に情報が手に入らないから、
本当に知りたいことを知るためには
体張るしかないんだよ。