増山実のレビュー一覧
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大阪で暮らす星場恵介は、2024年元日、能登半島の地震を入院中である両親に伝える。
両親は、戦後若くして大阪に出てきてクリーニング店を営んでいた。
母が脳梗塞で倒れて言語に障害が残ってからは、同じ病院で入院していた父が、恵介に能登での話をするようになった。
父が語った話は、星場の名前の由来から波乱万丈の生涯を送った一族のことだった。
懸命に生きようと見上げた空には、いつも「星」があった…それは船から放り出されて和歌山を目指した親戚のことかもしれないし、北海道で山菜を売り歩いていた親戚のことかもしれないし、それは能登で両親が見上げた空かもしれない。
〈誰ひとりとして、楽な人生なんか、なかった -
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昭和レトロを感じさせる「喫茶マチカネ」が舞台
店主の今ちゃん
常連客の「ほんまのパン」の店主仁ちゃん
のイマジンコンビ
喫茶店でアルバイトをしている繭子
そしてもう一人の常連客である沖口さん
1階は「らんぷ堂書店」という本屋さんで
今ちゃんのお兄さんが経営している本屋だ
古くから待兼山に
存在するこの喫茶マチカネから
待兼山奇談倶楽部は発足する
1人の強い意志と
待兼山を愛してやまない街の人々の思いによって
読み始めた時は喫茶店の日常の話なのかと思っていましたが
不思議な話がどんどん出てきて
その魅力に惹き付けられ
あっという間に読み終えました。
とても面白かったです。
喫茶店に足を運びた -
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高齢の親に今までの人生の話を聞くことは、是非やっておくべきことだと思いました。恵介の父親が、自分の生きざまや一族の生きざまを話すのはとても楽しそうでした。いつのまにか能登の星場家の家系図をたどっていくような感じになりました。そうしたい気持ちがとてもよくわかり、読者の私自身も主人公の恵介と一緒に話を聞いているような気持ちになりました
一人一人に人生の物語があり、それを子どもに話すことは、ある年齢になったらやってみたいことになるような気がします。この小説で話をする父親は、興味をもって聞いてくれる息子に話すのが、とても楽しそうでした。私も同じように父から祖父母や親戚の話をたくさん聞かされ、それがと -
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感動した。感動した。もっとも親近感を感じる増山実さんの新作を読めたことに感謝しています。そして傑作中の傑作間違いなしの大傑作感動ストーリーを読んでしまいました。能登地震が起こったきっかけでかつて能登で暮らしていた星場家の感動ストーリーの始まりです。大河ドラマにも匹敵するような波瀾万丈、手に汗握る物語に読む手が止まりませんでした。星にまつわる名曲や星座のお話に興味津々でした。もうジーンとしたシーンは星場恵介の母と父が同じ病院で会える時の場面が鳥肌ものでした。あと星場洋一さんの北海道に渡って成功するまでのお話は感動ものでした。あなたもぜひ感動間違いなしの大傑作を読んで涙して下さい。
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昭和の男子の大冒険。スタンドバイミー的ハラハラとワクワクが面白かった。
私は年代も性別も違うしサッカーも知らないからほとんど共感はできないけど、他人の人生を覗かせてもらった気分。会社で難しい顔してるおじさん達にもこんな青春があったのかもなー、とか。
スマホもネットも無い時代、今よりずっと不便だったからこそ、お目当ての雑誌求めて遠出したり、急ぎの要件を速達で伝えたり、そういう回り道もまた思い出として活きている。大冒険のお供の地図がそれかい!って言うのは笑ったけど、いかにも中学生らしくて妙にリアル。
あと、男子中学生の母親としても、思春期男子の不可思議な脳内を覗き見るような面白さもあった。
つ -
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名曲喫茶、レトロ喫茶巡りが好きな私には表紙だけでもうこの世界に入り込めた。
まず、第二話の「ロッキー・ラクレーン」からつかまれた。ビートルズ尽くしのこの短編。ホワイトアルバムの中にポールの曲があった!何度も聴いたアルバムなのにスポッと抜けていた。改めて聴くとストーリーと重なり、感慨深い。
「銭湯のピアニスト」も人生の悲哀、いや生きがいが沁みてくる。ここでは、ビリージョエルの「ピアノマン」。
何よりよかったのは第六話の「風をあつめて」
朝鮮戦争に抵抗を示した吹田事件。全然知らなかった。岡林信康さんの「私たちの望むものは」をしみじみ聴く。
あ、そうか。石橋駅がリアルだったのか。
「私たちの人生って -
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アホで、無謀で、それでいて純粋。男子中学生というかけがえのない時間の、かけがえのない冒険譚。
海外サッカーの情報へのアクセスの困難さ。今ならネットでリアルタイムで試合経過が速報され、動画もいくらでも視ることができる。が、この時代には、月刊のサッカー雑誌の発売を心待ちにし、ワールドカップの試合結果ですら2日遅れで新聞に載る数行の記事で知るのみ。
インターネットが一般に普及する以前、1990年代まではこんな感じだったなあ。
はじめ80ページくらいまで登場人物の紹介で、なかなか話が進まないな、と思いながら読んでいたが、本当になかなか出発しない(笑)。でも、このゆったりしたペースがだんだん心地よく