木原善彦のレビュー一覧

  • ジェイムズ

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    本屋さんで表紙や帯の書評に惹かれてハードカバーの本を買うのは、自分にとって贅沢なことなので、時々、本によってはがっかりすることがあります。

    そういう意味では、この本は全く安すぎると感じました。

    少し前に、「ある奴隷少女に起こった出来事」を読んで奴隷制度への自分の無知さに恥ずかしくなりましたが、今回はそれ以上。

    日本語への翻訳がまた、すばらしいです。

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    2026年08月23日
  • ジェイムズ

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    ネタバレ

    黒人奴隷制は映画や物語の中で見たことはあったが、黒人奴隷の目線で書かれたこの本の内容は衝撃的だった。信じられないほど残酷な白人の奴隷への扱いが、昔実際に行われていたとは、信じたくないが事実なんだろう。暴力だけでなく、黒人奴隷を人間として扱わない行動や思考。なぜそんなことができるのか。人が人を所有するということは絶対にあってはいけない。
    その境遇を主人公ジェイムズや他の黒人の奴隷たちは冷静に見ていて、自分たちが生き延びるためにどうすることがベストなのか見極めて行動している。ただ生き延びるために奴隷らしい行動をし、そして白人を見極めている。俯瞰した白人への評価が痛快なところもあるが、境遇が過酷すぎ

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    2026年08月22日
  • ジェイムズ

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    倫理学の論文で「ハックルベリー・フィン」問題を知り、ついでにこの本を知り、読書会で提案して課題本にしてもらった。

    『ハックルベリー・フィン』を読んでから読んだ方がいいとのアドバイスをもらったので、オリジナルを読むが、全く面白くなくて辛い。流し読みし終わった後、この本を手に取ったら、めちゃくちゃ面白くて1日で読めてしまった。

    これ読むと、「ハックルベリー・フィン」問題がめちゃしょうもなく思える。

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    2026年07月26日
  • ジェイムズ

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    噂に違わぬ抜群の面白さでした。ハック・フィンの冒険が黒人奴隷ジムの視点から描かれ始め、視点の違いで物語が驚くほど変容し、アメリカ奴隷制の闇が浮き彫りに。さらに中盤からもまた雰囲気が大きく変わっていき興奮度が増していきます。
    序盤のハックの冒険に対するストーリーの忠実な踏襲はやや展開に無理な感じを抱かせますが、それがハックの冒険に対する痛烈なアイロニーのためと思うと凄い。

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    2026年06月28日
  • ジェイムズ

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    ちょっと難しい本かなと思ったけど、しばらく読み始めると全く難しくなく面白くてあっという間に読み終えてしまった。ミシシッピ川流域を舞台にした心踊る冒険劇、続きが気になりどんどんページが進んでいく一方で、黒人奴隷への酷い仕打ちはあまりに酷くて目を背けたくなる。しっかり向き合って読んだ。黒人が訛りのない普通の言葉で白人へ話しかけると「どうしてそんなしゃべり方で話してるんだ」って話の筋とは関係なく話し方ばかりが気になってしまう白人たち。いやぁ本当に面白かった。

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    2026年05月25日
  • プレイグラウンド

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    コーマックマッカーシーもオースターも亡くなりジョンアーヴィングの次作をいつ読めるのかわからない今わたしは何を読めばいいのかと悲嘆したい気分になりがちだけど大丈夫まだパワーズがいる60代だしまだまだ行ける
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    日本未訳なだけでアーヴィングは新作だしてたのか!まだまだ円安なので翻訳どうかお願いします

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    2026年04月21日
  • ジェイムズ

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    やっと読み終えた!
    「トム・ソーヤー」「ハックルベリイ・フィン」に現れるジム=「ジェイムズ」視点の物語。

    個人的には、マーク・トゥエイン原作の2作品を読んでおいて良かったとは思ったが、それは途中まで。基本的には「ハックルベリイ・フィン」の流れを踏襲はしているものの、第一部の終盤から大いに逸脱し始め、エヴェレット独自のジムの物語へと。
    物語冒頭にあったエメットの手記、その歌の意味がその辺りからやっと確かな意味を持ち始める。
    ジムとハックの再会後の流れは、時代背景が「ハックルベリイ・フィン」とはまた異なり、二〜三十年後と想定されていて、よりオリジナリティなストーリーに。

    最大のポイントは、ノー

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    2026年04月17日
  • ジェイムズ

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    ハックルベリーの冒険、トムソーヤの冒険を改めて読んでみようと思った。視点を変えると全く違う物語になる。

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    2026年03月20日
  • ジェイムズ

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    「今日のアメリカ文学はすべて『ハックルベリー・フィンの冒険』という一冊の本から生まれている」とアーネスト・ヘミングウェイが言ったそうだ。
    この『ジェイムズ』はその『ハックルベリー・フィンの冒険』に登場するジムという黒人奴隷の視点からリメイクされた作品で、2024年に全米図書賞とピュリツァー賞を受賞している。
    物語の中心はジムの逃亡劇だ。奴隷は逃亡するだけで重罪であり、その上、誘拐の罪まで負わされ賞金つきで指名手配をされてしまう。追われながらも知恵を働かせ、売られてしまった妻と娘を救出に行くジム。最後に「私はジェイムズ」と名乗るところが最高にカッコいい。「モノ」としての奴隷から、尊厳ある「ヒト」

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    2026年02月21日
  • ジェイムズ

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    予想を裏切らない面白さ。
    ハックベリーフィンを読んでからの「ジェイムズ」は正解だったと思う。(ハックを読むのは、大人になってしまった今の自分にはかなり苦痛ではあったけど)
    最初のページでもう心掴まれる。
    白人向けの言葉である奴隷言葉を操るジェイムズたちの、人間としての存在感がすごく魅力的。
    ジム、ジェイムズの視点から読み直すハックベリーフィンの物語はもちろん面白いのだけど、特に、ハックの物語を逸脱してからの後半が、ものすごくいい!
    マークトウェインからの呪縛から解き放たれた後の疾走する物語が素晴らしい。
    そうきたか!と、驚きも楽しい。

    映画にならないかな。きっとなるでしょう!

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    2026年02月18日
  • ジェイムズ

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    奴隷はどこまでいっても奴隷であるという絶望感をずっと突きつけられながら
    そんな中で身に付けたジムの知性と生き延びるために取る数々の行動には畏怖の念を抱かずにはいられない

    悲しいことに今でも誰かの尊厳を奪うことが平然と行われている世の中においてこの読書体験は本当に特別なものになった、、

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    2026年02月12日
  • ジェイムズ

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     子どものころに見ていた『トム・ソーヤ』では、ジムは少し怖い黒人男性という印象だった。でも『ジェイムズ』を読んで、その姿は生きるための「演技」だったのだと知った。人としての尊厳を奪われながら、そう振る舞うしかなかった人たちがいたことを、今になって少し分かった気がする。自分は、物語の片側しか見ていなかったのかもしれない。

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    2026年02月09日
  • ジェイムズ

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    どんどん引き込まれます。余計なことは言わないのでいくらでも読めます。実際は2週間ほどかけましたが。
    ハックルベリー・フィンの冒険の合わせ鏡と言える小説です。
    ハック・フィンは後半評判が良くないそうですが、本作は後になるほど面白く、結末も素晴らしいし、それを文章で飾らないのがまたいい。
    同じ著者原作による映画『消去』が見たくなります。

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    2026年02月08日
  • アイロニーはなぜ伝わるのか?

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    フィクション・ノンフィクションでの実例を参考にアイロニーがなぜ成立しているかを解説していた。

    前半4割でアイロニーの定義と構造について解説していたが、その後の6割でその使用例と解説で締めくくっていた。
    内容自体は面白く得心したが、欲を言えばもう少しアイロニーの構造に踏み入った話が欲しかった。

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    2026年02月01日
  • ジェイムズ

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    映画「アメリカン・フィクション」で描かれたダブルコンシャスの問題や、中村隆之著「ブラック・カルチャー」で触れられていた特有の言語の成り立ちなどと接続しながら読んだ。ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」が頭の中で流れ胸が締め付けられる。この物語の時代から随分な時を経て、なお世界中で差別が横行し人権が軽くなっている今、読むべき一冊と感じた。

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    2026年01月29日
  • ジェイムズ

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    『ハックルベリー・フィンの冒険』を読んだのはウン十年も前なので、正直、詳しいことは覚えていません。ただ『トム・ソーヤーの冒険』と共に風刺の効いた児童文学という認識でした。
    本書は『ハックルベリー・フィンの冒険』を黒人奴隷のジェイムズの目から見た物語。
    風刺は効いていたとはいえ、児童文学として読んだトムやハックの物語。
    ジェイムズ視点で進む本書は、あまりに残酷で息苦しい。黒人奴隷がどんな扱いを受けていたか、生々しい描写が続く。 
    しかし、何より驚くのは奴隷達が白人達の前で愚かなフリをしていること。終盤で奴隷に襲われる白人が出てくるのですが、白人は襲われていることよりも、奴隷が愚かでない姿に衝撃

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    2026年01月17日
  • プレイグラウンド

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    「小説史に残る仕掛けがある」と触れ込みがありましたが、まさに。2025年(原著は2024年?)という、AIがまさに世界を席巻しようとしつつある、期待と恐れが入り混じった年にこの小説が発表されたことも、この小説が伝説的になることを後押しする。

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    2025年11月11日
  • プレイグラウンド

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    潜る潜る、海に潜る、人工知能の世界に潜る、物語の中に潜る…。

    リチャードパワーズ渾身、「オーバストーリー」「惑う星」を経ての、人間から海、そしてAIから人間へのラブレター。

    Geminiについ感想を聞いてしまったら…
    読み取れていなかったがそういうことか。。
    未来はきっとプラスチックまみれの暗い海じゃないのかもしれない。

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    2025年11月06日
  • オーバーストーリー

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    『子供、女性、奴隷、先住民、病人、狂人、障碍者。驚いたことにそのすべてが、この数世紀の間に、法律上の人格を持つ存在に変わった。それならば、樹木や鷲、山や川が、自分たちに果てしない危害を加えて窃盗を働いた人間相手に訴訟を起こしてなならない理由があるだろうか?ー 話すことができないので当事者適格性が認められないというのは理由になっていない。法人も国家も口をきくことができない。弁護士がその代弁をするのである』

    昨秋に、隣地の裏山に自生したオニグルミを幹の半分まで切ってもらった。我が家の雨樋が落ち葉で詰まるから。
    僕が家を建てる前から生きてきた木の生存権を侵害し、無用な苦しみを与えていると告発された

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    2023年08月26日
  • オーバーストーリー

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    リチャード・パワーズが紡ぐ物語の力に泣いた。
    特に終章が本当に素晴らしく、本を読んで世界が変わると言う言葉は本当だったんだと思った。
    人と人の道が交わり、また新しい道ができる。
    そこで交差する人達の想いは読み手にも作用する。
    地球のために、森林のために、私にできることは何か考えながら生きていきたい。
    この本は未来へ繋ぐ架け橋。

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    2023年02月06日