木原善彦のレビュー一覧
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「今日のアメリカ文学はすべて『ハックルベリー・フィンの冒険』という一冊の本から生まれている」とアーネスト・ヘミングウェイが言ったそうだ。
この『ジェイムズ』はその『ハックルベリー・フィンの冒険』に登場するジムという黒人奴隷の視点からリメイクされた作品で、2024年に全米図書賞とピュリツァー賞を受賞している。
物語の中心はジムの逃亡劇だ。奴隷は逃亡するだけで重罪であり、その上、誘拐の罪まで負わされ賞金つきで指名手配をされてしまう。追われながらも知恵を働かせ、売られてしまった妻と娘を救出に行くジム。最後に「私はジェイムズ」と名乗るところが最高にカッコいい。「モノ」としての奴隷から、尊厳ある「ヒト」 -
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予想を裏切らない面白さ。
ハックベリーフィンを読んでからの「ジェイムズ」は正解だったと思う。(ハックを読むのは、大人になってしまった今の自分にはかなり苦痛ではあったけど)
最初のページでもう心掴まれる。
白人向けの言葉である奴隷言葉を操るジェイムズたちの、人間としての存在感がすごく魅力的。
ジム、ジェイムズの視点から読み直すハックベリーフィンの物語はもちろん面白いのだけど、特に、ハックの物語を逸脱してからの後半が、ものすごくいい!
マークトウェインからの呪縛から解き放たれた後の疾走する物語が素晴らしい。
そうきたか!と、驚きも楽しい。
映画にならないかな。きっとなるでしょう! -
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『ハックルベリー・フィンの冒険』を読んだのはウン十年も前なので、正直、詳しいことは覚えていません。ただ『トム・ソーヤーの冒険』と共に風刺の効いた児童文学という認識でした。
本書は『ハックルベリー・フィンの冒険』を黒人奴隷のジェイムズの目から見た物語。
風刺は効いていたとはいえ、児童文学として読んだトムやハックの物語。
ジェイムズ視点で進む本書は、あまりに残酷で息苦しい。黒人奴隷がどんな扱いを受けていたか、生々しい描写が続く。
しかし、何より驚くのは奴隷達が白人達の前で愚かなフリをしていること。終盤で奴隷に襲われる白人が出てくるのですが、白人は襲われていることよりも、奴隷が愚かでない姿に衝撃 -
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プロローグ
かつて、ビリー・ホリデイは危険な時代に『ストレンジ・フルーツ』を歌った
トニ・モリスンは、『青い眼が欲しい』や『タール・ベイビー』を書いた
アレックス・ヘイリーは、『ルーツ』や『マルコムX自伝』を書いた
奇妙な果実って何を現しているのか!?
タールベイビーであることとその表現!
青い眼=白い肌!
いずれも、黒人人種差別を描いたものだ
そして、ここにパーシヴァル・エヴェレットが
『ジェイムズ』を書き上げた
何人も目を逸らしてはいけない
決して、、、
そしてこれからも、、、
本章
『ジェイムズ』正にソウルフルな★5
ひま師匠の本棚から
ノーベル文学賞作家トニ・モリ -
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ハックルベリーの冒険を知らずにこの本を読んだ。奴隷の立場で語られる話だがこんなにも過酷な状況を強いられていたことを知った。白人は黒人に対し鞭打ちなどの酷い拷問で支配することで心の底にあるその恐怖心を隠していたのではないかと思った。
アメリカだけでなく最近の民族主義的な風潮はそういった感情を現代の人も持っている表れではないかと考えさせられた。
現在でも世界中でデモや暴動が起きているニュースを見て、なぜ死者がでるほど激しくなるのだろうと思っていた。その発端は人としての尊厳を保つ限界を越えるほどの抑圧があったからこその行動だからであろうと気付かされた。
奴隷の視点での話なのでハックルベリーの冒険と読 -
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とってもおもしろい! マーク・トウェインさんの文学的な「山」から転がりだした石・『ジェイムズ』がどんどん加速!、『ハックルベリー・フィンの冒険』(以下『ハック・フィン』)を置いてっちゃってます!
先に読んだマーク・トウェイン著『ハック・フィン』は13歳の男の子「ハックルベリー・フィン」(以下 ハック)が主人公で語り手の「少年冒険物語」です。
一方、この『ジェイムズ』は、『ハック・フィン』のサブキャラで、ハックといっしょに行動する逃亡黒人奴隷ジム(ジェイムズ)が主人公で、かつ、語り手となって物語が展開します。
つまり、「少年冒険物語」が逃亡する「黒人奴隷目線」にチェンジです。それから -
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★5 歴史を学べ!『ハックルベリー・フィンの冒険』を黒人奴隷のジム視点から描いた物語 #ジェイムズ
■背景となる作品『ハックルベリー・フィンの冒険』の導入
トム・ソーヤと共に盗賊が隠した宝を見つけ、大金を手に入れたハックルベリー・フィン。その後、ダグラス未亡人のもとに身を寄せて暮らしていた。さらに未亡人の妹、ミス・ワトソンからは礼儀作法を仕込まれる。
酒浸りで乱暴者のハックの父親は、彼が大金を手に入れたと聞きつけ、強引にワトソン家からハックを連れ去ってしまった。しかし父親から逃げ出したハックは、ワトソン家の使用人である黒人のジムと再会する…
■本書のあらすじ
ワトソン家の使用人である黒人 -
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ほんとうに世の中は嘘に溢れている
マーク・トゥエインの名作『ハックルベリー・フィンの冒険』を黒人奴隷ジムの目線から語り直した物語だそう
ぜんぜん違うやないか!( ゚д゚ )クワッ!!
はい、読み始め3ページで「★5じゃ足りない」が確定した『ジェイムス』です
もうね、違うのよ
そんな簡単な話じゃないのよ
まず作中でもちらっと出てくるが、アイロニーがエグい
こんなことするのか、あーた
この発想持ち込んじゃったら大変なことなるで!って思ったよ
そしたらやっぱ大変なことなったよ
ガルルってやっちゃうと「差別ダメやで」になっちゃうのかもしれん
でもそれだけじゃ足りない色んなものが込められて大 -
Posted by ブクログ
私がアメリカ文学に疎く、「トム•ソーヤの冒険」は知っていても、「ハルックベリー•フィンの冒険」は知らなかった。
その状態で本書を読んだので、ハルックベリー作品のスピンオフや後日談を楽しむ目線ではなく、本作品の世界を楽しむように読めた。
本作は黒人奴隷のジムの目線で展開されている。奴隷の扱いについて、上部だけでなくいかに酷く扱われていたことが生々しく描かれていた。時折、目を背けたくなるような表現もあったが、却って黒人奴隷の非人道さが明確に形取られていて、人権や人間の尊厳を改めて振り返られる。
物語もテンポ良く進み、ジムがいく先々で色々な出来事が起こりそれが想像もつかない事で、早く展開を追いかけた