あらすじ
南太平洋に浮かぶ人口百名足らずの小島は、IT業界の寵児が訪れるとの噂で沸いていた。なんでもここに新国家を作るという。だが島には彼のかつての親友が家庭を築いていて――テクノロジーと人間の相克、そして果たされなかった友情の行方。迫りくるシンギュラリティを前に文学の可能性を映し出す、謎と驚異に満ちた物語。
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Posted by ブクログ
「小説史に残る仕掛けがある」と触れ込みがありましたが、まさに。2025年(原著は2024年?)という、AIがまさに世界を席巻しようとしつつある、期待と恐れが入り混じった年にこの小説が発表されたことも、この小説が伝説的になることを後押しする。
Posted by ブクログ
潜る潜る、海に潜る、人工知能の世界に潜る、物語の中に潜る…。
リチャードパワーズ渾身、「オーバストーリー」「惑う星」を経ての、人間から海、そしてAIから人間へのラブレター。
Geminiについ感想を聞いてしまったら…
読み取れていなかったがそういうことか。。
未来はきっとプラスチックまみれの暗い海じゃないのかもしれない。
Posted by ブクログ
伊与原新さんの推薦文を読んで購入。
少年時に海に魅せられた主人公(と表現して良いのか分からないが)の、学生時代の友人との交流と別れ、そしてIT業界での成功とレビー小体型認知症。
終盤で、本書の仕掛けが明らかになる。最後まで読んで、訳者解説を読んだ上で再読すると、より分かるのだろうなあ。…ただ、本の厚さと、訳書であるがゆえの訳文の取っ付きにくさや人名の分かりにくさがあり、再読する気力が沸かないというのが正直なところ。
主人公が人生の集大成的なものとして世に出そうとしていたのは、シンギュラリティを起こしたAIということなのだろう。そんなAIであっても、(生命と同じように、)遊ぶということが主題のひとつ?その遊びの一環として、主人公にとっての極めて私的な物語を書いた。
ただ、個人のSNSなどの投稿を学習させた上で書かせているから、一定程度の真実がある物語なのだろう。どこまでが本当で、どこまでがAIの創作なのかを見極めるのは難しい。少なくとも一部の登場人物は既に亡くなっている。亡くなった人を復活させることがこのAIの目的だとすれば、死者が登場することは矛盾や欠陥ではない。
実際のところ、SNSやその他のネット上の活動を取り込まれたとして、それで個人の振る舞いや内面がどれだけ再現できるだろう。それだけで、デジタルツインと言えるくらいの「私」が生まれるだろうか。今はまだそこまではネット上に個人の履歴を開け渡してない気がするが、認識が甘い