滝川さりのレビュー一覧
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主人公の佑二は、結婚の挨拶のために婚約者・乙瑠の故郷の村を訪れ、そこで異様な儀式を目撃する。その村は、生まれ変わりの伝承があり、独自の神を信仰している閉鎖的な場所だった。
以降村からは距離を置いていた2人だったが、乙瑠の出産の為やむを得ず村を再訪。だが、生まれた子供は村の神、「タイタイ様」として囚われてしまう……。
生まれ変わりの伝承と独自の神を信じる閉鎖的な小村を舞台に、その伝承にとらわれた妻と妻子を守りたい夫の悲哀と惨劇を描くホラー小説。
民俗学×信仰×ホラーと個人的に好きな要素が詰め込まれており、楽しんで読めました。
作中の村では、生まれ変わりを信じているが故、死というものがかなり軽く -
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第39回 横溝正史ミステリー&ホラー大賞・読者賞受賞
帯に、ジェットコースター・ホラーと書いてあるとおりに、
読み始めたら止まらなくて一気読みでした。
橘佑二は、結婚の挨拶のために婚約者・乙瑠の故郷の村を訪れて、
そこで行われていた異様な儀式に言いしれぬ恐怖を覚える。
村には生まれ変わりの伝承があり、
村人が崇拝する神もまた、誰かの身体を器として生まれ変わるというのだ。
その後、出産は、この村でしなければならないという決まりに従って、
男の子を出産したが、そのまま母子とも囚われてしまう。
果たして、佑二は家族を取り戻せるのか?!
横溝正史の「八 -
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ネタバレホラーだけど怖くない。面白いには面白い。
禁足地の森がある。村が廃村となり、そこの樹木が建築材として使用されてしまう。
森は江戸時代の岡場所の娼婦が捨てられた場所で、そこで怨霊(呪い)と化した娼婦が森から出るために呪いを拡散していく。
幼少期にその森の入っていった美女の外見を持つミヤという青年が呪われている。キスをすると呪いが感染する。
恋人のアキラも霊能力者。この二人の関係が普通の男女と思ったら、BL的なものだった。アキラが女だという仕掛けがあるのかな?と思ったらそうではなかった。
そうすればいいのに。
ただ、このキャラがよく立っていたと思う。
物語は、禁足地の森から伐採した木材で作った家を -
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ネタバレ彼女の実家へ結婚の挨拶に赴いた祐二。嫌がる乙瑠を不審に思いながらも、これからの未来に希望を抱いていた。挨拶も無事に済み、宴会で酷く酔った祐二は、ふと深夜に目を覚ます。そして、親族に誘われるがままに、異様な儀式に参加させられてしまった。
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「おどろしの森」の作者の前作「お孵り」卵を抱いた虚ろな目の女性の表紙に惹かれて購入。あらすじは読まずに買ったが、閉鎖的な村、そこで脈々と受け継がれる信仰、そして過去に起こった悲惨な事件など大好物のオンパレードで読んで大興奮。さらに、その信仰に伴う狂気的な儀式やそれに支配されている村人など兎にも角にも素晴らしい。生まれ変わり信仰という超常現象部分もあっ -
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横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞受賞作。因縁深い閉ざされた村、謎めいた儀式、そして起こる惨劇。こういう要素が大好きなら一気に取り込まれてしまうこと間違いなしのホラーです。
冒頭からいきなり「津山三十人殺し」のような過去の事件が語られ、これだけでもうわくわく。そして期待にたがわず進む不穏すぎる物語。うわー、もうこういうの大好きとしか言いようがありません。ハイスピードでぐいぐい読まされました。「生まれ変わり」の伝説があることによる死生観の違いは、当事者にしてみれば穏やかにも思えるのかもしれませんが。部外者からしてみればとんでもなく不気味な部分もあって。主人公と村人たちとの温度差が実に切実に怖さを