矢島暁子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ物語の終盤で「感情を取り戻すかもしれない」示唆が出てくる構成は、少しきれいすぎるし、
物語として“回収”されすぎているようにも感じる。
でも、それを予感として提示するだけで、
完全に説明しきらないところは、この作品の良心だとも思った。
語り口が一貫して淡々としているのも良かった。
泣かせようとしないし、
感情移入を強要しない。
この本を読む前私は
「共感って意味あるのかな」という疑問を持っていた。
人はそれぞれ違う世界を生きていて、
不幸に見える人が不幸とは限らないし、
無口な人にも、豊かな内面世界がある。
それを知ってしまうと、
手を取り合って生きること、分かり合うこと、
共感し合う -
Posted by ブクログ
2020年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位作品
当時話題になっていた作品でしたが、読まず嫌いで放置していました。もっと早く読んでおけばよかったと、今更後悔してます。
これは一気読みでした。とても良かった。
読んでいる間の自分の顔、どうなってたんだろう?
感情の置き場がむずかしくて、素直に読めばいいだけなのに、どうしても気持ちが入ってしまう。そんな作品です。
こんなにも愛おしい物語って、そう多くないと思う。
人は誰かしらから愛されていて、誰かに触れられることで、ようやく“自分”が輪郭を持つ。
登場人物それぞれの存在が、それを静かに、深く教えてくれる。
読んでいて何度も胸が締め付けられる。気づけば突 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語が面白く、一日で読み切ってしまうほどぐいぐい読めた。
主人公・ユンジュは感情がない。感情に大切な脳の偏桃体(アーモンド)が小さいから、らしい。
そのため淡泊な描写で主人公の幼少期から学生までの成長の過程を描いていく。
ゴニが蝶を苛めるシーンは読んでいてつらかった。主人公となかよくしたいだけなのに、うまくいかない。
ゴニは愛をもらったことがないから、そういったコミュニケーションしかできないのだ。
最後はやや駆け足であり、ある種のご都合主義感が否めなかったが、そういうラストであってもいいか、と思えるほどには彼らの幸せを祈って読めていた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ脳の扁桃体が小さく感情が分からない少年ユンジェと、怒りと暴力の塊のようなゴニ。
二人が出会い、対話を重ね成長していく話。
文章が読みやすく、ユンジェの行く末も気になってあっという間に読み終えてしまった。
ユンジェの淡々と現実を受け止める姿は全くおかしくはなく、むしろ素直で微笑ましいし、シム博士とのやり取りでは知性も感じられてすごく好感が持てる。
その真っ直ぐさがあるからこそ、ゴニのことも偏見なく受け入れることができた。
一方、その無表情や無反応ゆえ人からは「怪物」と言われるユンジェ。
彼を何とかしようとする母の気持ちも痛い程わかる。
「平凡」「普通」であることがある意味めちゃくちゃ尊いってい -
Posted by ブクログ
ネタバレ韓国作家さんの作品を初めて読んだ。
泣いてしまいました。ゴニは良い子です。に。あと最後のゴニの手紙に。
ゴニに泣かされてるな私。
感情に振り回される事が多々ある中で、感情が無くなれば人生楽なのにと思った事があるけれど、他者と共感が出来なくなるという事は孤独な事。
でも感情が無ければ孤独という事も哀しくはないわけで。
ただこの作品を読んで、恐怖心が無くなるのは生きてはいけないのだなと。
ゴニが蝶々の羽を掴んで、それじゃダメだその痛みを自分のことのように感じないとみたいなことを言った時に、あー最近簡単に人に危害を加える犯罪者達はこの感覚がないんだろうなと。
最後本人生きてて母も目覚めてちょっとうま -
Posted by ブクログ
ネタバレ私自身、「自分の存在感はないのではないか」と日々、悩みながら生きている。
そんな時に、書店で見つけました。
表紙に、「自分は存在感がない」と感じたことのあるすべての人へと書いてあった言葉に惹かれ、読んだ作品です。
この話を読みながら誰もが、ビスケットになる可能性があると感じた。
無視や仲間はずれにされたら、自信をなくし、存在感がなくなってしまう。
(=これが、この本でいうところの"ビスケット"の状態)
現代の「生きづらい社会」に生きている私たちは、共感できる部分も多くあるように思う。
「存在感のない人なんていない。
誰もがこの世界にとって大切な人だ。」
ということを