矢島暁子のレビュー一覧
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「感情を表現する言葉の欠如」を意味するアレキシサイミア
(失感情症)で、恐怖、愛、悲しみ、怒り、嫌悪といった本質的な感情を認識する脳の機能が欠如しているスン・ユンジェの物語。感情を過剰に表現する不良少年ゴニと、何も感じない静かなユンジェという相反しながらも、共に社会不適合者で普通にも平凡にもなれない二人が、互いの個性を補完し合い共感出来る存在になって行く姿に惹かれながら読む。
「僕の理解する限りでは、愛というのは究極の概念だ。規定できない何かを、かろうじて単語の中に閉じ込めたもの。でもその単語は、あまりにも気軽に使われていた。 ただ単に気分がいいとか、ありがとうという意味で、平気で愛を口にする -
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貧しいなら子どもを生むな。
平気でそんなことを言う人がいるけれど、
それは簡単に言ってはいけない言葉だった。(P74)
『殺したい子』イ・コンニム
あぁ……胸が痛い。しんどい。
韓国小説って、ときどき容赦なく「格差」を突きつけてくる。
そして周りの大人も同級生も、見て見ぬふり。
立場が変わった瞬間に出てくる「そう思ってた」。
(なんでその時に言わんの!?って毎回つっこみたくなる。笑)
人間って、ほんと聖人じゃない。
虫唾が走る時もあるけど、
それでもこの世界で生きていくしかないんだよね。
✧
高校一年生のジュヨンが、親友のソウンを殺した。
―そう報じられた。
波紋のように広が -
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ネタバレ物語の終盤で「感情を取り戻すかもしれない」示唆が出てくる構成は、少しきれいすぎるし、
物語として“回収”されすぎているようにも感じる。
でも、それを予感として提示するだけで、
完全に説明しきらないところは、この作品の良心だとも思った。
語り口が一貫して淡々としているのも良かった。
泣かせようとしないし、
感情移入を強要しない。
この本を読む前私は
「共感って意味あるのかな」という疑問を持っていた。
人はそれぞれ違う世界を生きていて、
不幸に見える人が不幸とは限らないし、
無口な人にも、豊かな内面世界がある。
それを知ってしまうと、
手を取り合って生きること、分かり合うこと、
共感し合う -
Posted by ブクログ
2020年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位作品
当時話題になっていた作品でしたが、読まず嫌いで放置していました。もっと早く読んでおけばよかったと、今更後悔してます。
これは一気読みでした。とても良かった。
読んでいる間の自分の顔、どうなってたんだろう?
感情の置き場がむずかしくて、素直に読めばいいだけなのに、どうしても気持ちが入ってしまう。そんな作品です。
こんなにも愛おしい物語って、そう多くないと思う。
人は誰かしらから愛されていて、誰かに触れられることで、ようやく“自分”が輪郭を持つ。
登場人物それぞれの存在が、それを静かに、深く教えてくれる。
読んでいて何度も胸が締め付けられる。気づけば突 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語が面白く、一日で読み切ってしまうほどぐいぐい読めた。
主人公・ユンジュは感情がない。感情に大切な脳の偏桃体(アーモンド)が小さいから、らしい。
そのため淡泊な描写で主人公の幼少期から学生までの成長の過程を描いていく。
ゴニが蝶を苛めるシーンは読んでいてつらかった。主人公となかよくしたいだけなのに、うまくいかない。
ゴニは愛をもらったことがないから、そういったコミュニケーションしかできないのだ。
最後はやや駆け足であり、ある種のご都合主義感が否めなかったが、そういうラストであってもいいか、と思えるほどには彼らの幸せを祈って読めていた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ脳の扁桃体が小さく感情が分からない少年ユンジェと、怒りと暴力の塊のようなゴニ。
二人が出会い、対話を重ね成長していく話。
文章が読みやすく、ユンジェの行く末も気になってあっという間に読み終えてしまった。
ユンジェの淡々と現実を受け止める姿は全くおかしくはなく、むしろ素直で微笑ましいし、シム博士とのやり取りでは知性も感じられてすごく好感が持てる。
その真っ直ぐさがあるからこそ、ゴニのことも偏見なく受け入れることができた。
一方、その無表情や無反応ゆえ人からは「怪物」と言われるユンジェ。
彼を何とかしようとする母の気持ちも痛い程わかる。
「平凡」「普通」であることがある意味めちゃくちゃ尊いってい