矢島暁子のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
話題のヤングアダルト……ということで読むのを後回しにしていたが読み出すと止まらず、遅読な私には珍しくあっという間に読了。感情を理解出来ないという主人公の語り口が淡々としており、不必要な描写がなく、結果的にかなり読みやすく仕上がっている。
いやあ……海外文学を読んでいると度々遭遇する理不尽な暴力に、誰も彼もがぶち当たって、そのたびに涙が溢れて止まらなかった。主人公は愛が理解出来ないというが、母や祖母の愛でもってよほど人間らしく育っていると思う。
偶々愛情と疎遠になってしまったゴニが周囲の人々によって怪物になろうとするのはどうにも痛々しく、悲しい。よくある事なんだけど、本来はとても素直な子供が環境に歪まされるのは、やっぱり辛い。
しかし同時に、大人になった自分はこういう子供達に向き合う事ができるだろうか?と考えさせられた。綺麗事じゃない。たぶん難しいだろう。共感ってのは人と違うものを避けるためにも使うから。
共感とはなんだ、助けない人々、遠巻きに見ている人々の気持ちとは、と考える主人公の言葉があまりに真っ直ぐで、読み終わってもまだ泣ける。
取り敢えずヤングアダルトらしいすっきりした終わりで私は救われた……。本当に良かった……。 -
Posted by ブクログ
存在感を消して生きている「ビスケット」を救出する、過敏な聴覚の持ち主が主人公のお話。
自己肯定感の薄さが存在感を消していく。
家庭や学校、職場に居場所をなくし、
孤立してしまうと、存在感はどんどん薄れていく。
たったの3日間、誰とも話をしないだけで、
あれ?声でるかな?私、周りから見えてるかな?
なんてことを考えるのだから、
周囲からあえて存在感を消して生きていたら、
本当に見えなくなってしまうのかもしれない。
自分が見えなくなってしまうことより、
家族や社会が、見ない、見ようとしないことの方が
恐ろしい。
どこにでも、ビスケットはいる。
見ようとするかしないかだけ。
男の家に突入するシーンはなかなかスリルがあって面白かった。 -
Posted by ブクログ
文章からとても映像が見える。
作者の方が元々映画監督だと知って納得。
これ映画化したらとても面白いなと思ったけれど、小説だからこその余地も美しいなとも思う。
登場人物たちの仕草や行動、表情などとても映像的。
だからこそ、失感情症の主人公の独白も映える。
最初は感情を感じない主人公だったが、少しずつ、様々な人と出会い、感情と出会っていく。
受動的だった主人公がだんだんと能動的になっていく。
やり方を真似てきた主人公が、自身で選び取っていく。
感情というものについて、ずっと考えてきた主人公が、感情と向き合い、時に感情に振り回されながらも、自分を愛して、他者を愛していく姿はよかった。
理性というか、知識がある程度ある状態で、はじめての感情に出会う、その描写の仕方もよかった。
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Posted by ブクログ
通り魔のシーン、頭の中で想像出来るくらいリアルで、不謹慎ながらも面白いと感じてしまった。
ユンジェ目線で書かれているから、感情を書き分けられないが故の生々しさがリアルに綴られていて、読書で初めて興奮に近い感覚を味わいました。
ニュアンスですが
''人間は、感じても行動せず、共感するといいながら簡単に忘れる''
この一節、図星をつかれた。
確かに、SNS時代で「感じる」ことがほんの一瞬のイベントになってしまっている。
感じたことを共有したり書き残して、自分のものにして、忘れないようにするっていうのは、人間である以上やるべきことなんだなあ。と感じました。