あらすじ
“あの日”何があったの? 死んだあの子と“私”に……
校舎裏で殺された女子生徒、容疑者は“親友”とされる一人の少女。
食い違う18の証言、やがて浮かび上がる戦慄の真実。
主人公は高校一年生の女の子、ジュヨン。ある日校舎の裏で親友のソウン
が死体となって発見され、警察から容疑者として取り調べを受けることに
なる。昨日の放課後、ソウンと大げんかをしたのは確かだが、記憶は途中
からすっぽりと抜け落ち、殺人の記憶はない。
裕福な家庭で何不自由なく育ち、誰からも羨まれるジュヨン。一方、貧し
い家庭で育ち、学校ではあまり目立たなかったソウン。性格も周囲の評価
も正反対だが、他の誰も間に入り込めないような親友だった。物語は、勾
留されたジュヨンの心の声と、周囲の人たちの証言を交互に綴っていく。
当初バラバラに見えた「真実」をめぐる証言は、ある方向に集約していく
のだが……。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
衝撃を受けた。
思い込みが真実へと姿を変えていく恐ろしさに震えた。
ジュヨンの親友・ソウンが死体となって発見された事に端を発した事件は思いも寄らない方向へ向かう。
凶器と思われた煉瓦からはジュヨンの指紋が見つかり、誰もが彼女を犯人だと決めつける。
クラスメイトや担任、弁護士や両親までもが。
追い詰められていくジュヨンが発した「どうせ信じてくれないくせに」の言葉に涙が込み上げる。
物語は『真実』と『信じるということ』の二つのテーマを掲げ、私達がどうあるべきかを考えさせてくれる。
終盤で明かされる二つの真実には言葉を失う。
Posted by ブクログ
国は違えど世論が形成されていく過程は同じだ。
人間は信じたい真実を信じる。
それ以外のものは排除する。
自分はどんな真実を期待して、この本を読み進めただろうか。
またこの著者には、他人の印象を変えることなんて簡単なのだ、と言われているような気がした。
章が変わるたびに登場人物への印象が変わる。
これも作者の想定通り、ということだろう。
Posted by ブクログ
いろんな人の意見が沢山出てくる度に、「真実」とは何なのかをすごく考えさせられた。
信じることの意味を深く考えさせる1冊で、非常に読み応えのある作品だった。
Posted by ブクログ
ある日ソウンという女子高校生が殺害された。容疑者は彼女の親友とされるジュヨン。
クラスメイトや、塾の先生など様々な人の証言、ジュヨンと弁護士の対話などを通して物語が進んでいく。
ある人は彼女たちが奴隷と主人のような関係であったといい、ジュヨンがソウンをいじめていたと証言する人もいる。ジュヨンはお金持ちでソウンは貧しい家庭。ジョウンの激情的な面も作中を通して語られ、世間はジュヨンがソウンを殺したのだという意見を強めていく。
しかしジュヨン本人はたしかにソウンを親友だと思っていて、好意を持っていた。ジュヨンは絶対に自分はソウンを殺していないはず。でも殺していないと断言することが出来ない。当時の記憶が曖昧である為だ。だが確かにその日2人の関係を揺るがす決定的な何かがあったことは確かで…。
では何が真実なのか
表面的な情報で物事を判別し語ってしまう私たちへ。
真実とは他人が信じていたいもの。
本質なんて誰にもわからなかった。
Posted by ブクログ
拘留された被害者の親友・ジュヨンと関係者18人の証言が交互に語られ真実に迫っていきます。証言者それぞれ匿名なせいか身勝手な発言が多く、その度にジュヨンの印象がガラリと変わるスリリングな展開と、「金のスプーン、泥のスプーン」といった貧富の差を例えた表現や被害者なのに責められるところなど韓国特有の階級社会の根深さを垣間見た点は興味深いものでした。
しかし、真相は唐突と言いますかどこか取ってつけたようで消化不良でした。