中西モトオのレビュー一覧
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ネタバレ序章を終え、憎しみを覚えてしまった甚夜は逃げたはずの生まれた地、江戸に戻る。怪奇譚がひしめき、皆が不安を募らせるからか鬼が生まれる。虐待されていた父の本当のことを見て、親子には戻らないふたりの距離が独特。この作品は血の繋がらない親子が沢山出ており、時代的に珍しいだろう人たちがこうやって巡り会うのは運命か、それとも因果といえば良いのか。だが仲は良さそうな親子らは見ていて微笑ましい気持ちとなる。
最後の短編で養父である元治の名前が出たのは作中の甚夜並に驚いた。鬼に関連するかもしれないと鈴音を知っているからこそ不安がり、怯えている甚夜の姿は痛々しかった。元治の惚気で本当に良かった。変に重いものを出さ -
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ネタバレ虐待されていた妹・鈴音と江戸を出た甚太は葛野で巫女守をしている元治に拾われる。元治の娘である白雪との出会い、幸せな日々かと思われたそれは水泡の如く、パチンと消えた。巫女となった白雪こと白夜。守るために巫女守となった甚太。成長しない右目が赤い鈴音。葛野を支えなければならない巫女だからこそ、社に籠り、自分を抑える白雪はついに恋心さえ閉じ込めようとした。葛野のためと思いあっているはずなのに結ばれることを願わない二人。自分が進む道を曲げられないから結ばれない。そんなどうしもうもないからこそ相手が好きな二人は美しく、強かった。
鈴音は甚太以外どうでもよかった。彼の幸せを一番に望むからこそ、その自己犠牲の -
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過去の伏線回収が絶妙であった!登場人物が輝き個々の感情が溢れ出す!ここで出てくるかという様な登場!(おふうさん良かった)、いよいよ終宴をむかえようとしている事が伝わってくる、描かれた170年色々あったな〜と懐かしい。著シリーズの素晴らしいところの一つに日常の和みと戦闘の激しさがあるが、両方がバランス良く描かれる、その中に主人公 甚夜の哲学的な表現が個人的に心に響く!著書引用「過去を否定することは、現在に対する侮辱だと思う。辿り着いた景色を美しいと感じられたならば、歩んできた道のりは間違いであっても、大切だったと胸を張って言えるはずだ」今回も考えさせられる事が多く、酷く悲しい過去を抱え、傷つき苦