酒井敏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ただのちゃんちゃらおかしい本ではない。
「選択と集中」is正義を作ってきた日本の偉い人達とそれを迎合する世の中の人間たちに対する心の叫びが具現化した本である。ブラボー。
私は自他ともに認める真面目な人間だが、そこそこアホであることも自覚している。大学時代にいた突拍子もない友人先輩後輩ほどではないが、社会に出て割とアホな方であると知った。
突き抜けもしないし、だからといって真面目一直線でもない。そんな中途半端な自分に嫌気がさしていたが、「人間は矛盾する生き物」という言葉に安心した。アホな一面もあっていいじゃないか。
筆者は「選択と集中」というキレイな言葉を使っているが、「選択と集中」したもの以外を受け付けないという昨今の風潮が私は嫌いだ。お金にならないから、賞を取れないから、だから無駄だ。なんだその価値観は、と言いたくなる。そうではなかろう。お金にならない・賞を取れないとムダなのかと反論したくなる。国立大学が独立行政法人になってしまった、日本が自国の学問をそうさせてしまったことに深い悲しみを覚えた。もうこの時点で私はアホ寄りなんだろう。
もっとアホでいていい。私はもう学生じゃないし、なんなら人を管理する側に入ってしまった。でも制限をかけたり取り締まるのは本当に好きじゃないしやりたくない。でも、自分がやろうと思ったことはもっと突き抜けてやってもいいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物事の枠組み自体をつくれる人材/思考について学びたく、手に取った1冊。散文的だが、改めて再確認したことは、以下。
・人間は樹形図的に物事の因果を捉える傾向にある(≒決定論的に物事を考える)が、これは突然の変化に弱い。重要なことは、未来のことはわからないという前提に立ち、幅広く物事に手を付け、期待できるものを「ゆるく」選択すること。生物進化論的なイメージ
・樹形図構造的に考えると、行きつく先は重箱の隅をつつく行為。経営学もこれに近くなっている?次のパラダイム(≒枠組みを変える変化)は何か?
・まともに戦うと特定の領域に於ける過当競争に陥る。戦略論と同様、重要であることは戦う軸をずらすこと
・知識を詰め込むことは、必ずしも常によいこととは限らない。知らないために、仮説思考で物事を捉えることにより、特定領域に於ける常識を超えられる可能性がある
・自己組織化(物質や個体が、系全体を俯瞰する能力を持たないのに関わらず、個々の自律的な振る舞いの結果として、秩序を持つ大きな構造を作り出す現象のこと)はキーワード。意図的に偶発性を生み出す、という考え方に近い?
印象に残った個所は以下の通り
・「あらかじめの何かの基準や価値観がないところに、何らかのルールのようなものができあがるのが、自己組織化の特徴」(p.100)
・「私は学生に「教科書を読むな。教科書は自分でデータをとって自分で考えてから読め」と言いました。実際、何か新しいことをやるときは、「知らない」ことが武器になります。いったん何かを知ってしまうと、その発想から逃れられなくなる。しかも、その武器は一生に一度しか使えません。それを使う前に捨ててしまうのは、非常にもったいないことです」(p.148)
・「新たな研究の目的は、最初から社会の多くの人に理解してもらえるようなものではありませんし、やっている本人だって、よく理解しているとは限らないのです。これが自己組織化する社会です」(p.166)
・「単純な好奇心から得られるのは、個別の知識です。しかし人間は、その知識とほかの知識を関連づけたり、そこからさまざまな方向に推論を広げたりすることができる。そうやって個別の知識が溜まってくると、頭のなかで臨界状態の知識がパーコレーションを起こすのです。そのときの感動は、体験したことのある人でないとわからないでしょう。きっと、先駆的な研究にこだわる人たちは、そんな感動のとりこになって、それを追い求めているのです」(p.194)
・「マジメな勤勉さを失ってしまったら、人間として成立しないでしょう。しかし、アホな好奇心をなくしてしまえば生物として存在し得ません。人間はそんな矛盾を抱えており、その葛藤のなかで生きているのではないかと思います」(p.210)