酒井敏のレビュー一覧
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職場の上司から「この本、読んでみると良いよ」と言われ、お借りした本。大学における教養概念を考えていく上で、ヒントがたくさんあった。著者は京大の旧教養部・総人の教員であり、「アホ」や「ムダ」・「ガラクタ知識」の効用を自身の研究と教育経験に基づきわかりやすく説いている。複雑化社会に対応するには、生物の真似をし、様々なことをやってゆるく選択するという「発散と選択」の考え方が有用とのこと。今日の樹形図構造により組織された秩序だけで、物事を判断しようとすると、人間がが生物でなくAIを備えたロボットのようになってしまうと危惧されている。本書では教養について、「カオスな世界では、因果律を積み上げた体系的知識
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SDGsはキレイゴトの目標で、明確な達成基準があるわけでもないため、無理をせずぼちぼちやることが大事という。
プラスチックゴミは、海への流出を防ぐ意味で、素材を揃えて回収しやすいペットボトルくらいをリサイクルでフリース素材などに回し、それ以外は焼却して熱回収するのが最も良いというのは目から鱗。埋め立ては資源循環を止めてしまうためにサステナブルではないし、雨などで侵食されて流出することもある。リサイクルは異なる素材では難しいうえに、品質が劣化するためプランターなどの屋外用途が多くなり結局劣化して雨で流れ出しマイクロプラスチックとなって海を浮遊してしまう。焼却は二酸化炭素排出の観点で欧米で忌避され -
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【最変人】
すばらしい。変人ぷりがすばらしい。
人と違うことをしている人には魅力を感じます。
最新技術をアートにする。この考え方すごいです!
「全員が人とかぶらないで違うことを行ったら」どうなるのでしょうか。
・コミュニケーションが取れない
・グループで目標に向かうことできない
デメリットとしてはこれぐらいでしょうか。
ただ、その人の考え方を容認すれば、コミュニケーションが取れないことはないと考えます。私の考え方も一つ、あなたの考え方も一つというようにそれぞれの考え方が存在することを認めれば問題ありません。
グループで成し遂げることは、結局、ひとりの人間が考えたことをその他まわりが共感 -
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アホ
・京大入学時には何度もアホの大切さを強調される。常識やマジメの対立概念
・アホは打率が低い、おもろいが褒め言葉
・暴力的なまでの自由、どこに歩いていいかわからない、1/3は行方不明になる
・効率を求め即戦力を欲しがる産業界の要請で京大の良さが失われつつある。
◯予測不能なカオス
・ローレンツの理論: たった三つの変数で方程式を記述したが初期値の微妙な差で答えが変わることを示した。
・バタフライエフェクトのように、自然界は精度の問題ではなく予測は原理的に不可能。カオス理論ともいう、因果関係がわからないため、過程もわからない
・外的要因ではなく、結果を入力としてフィードバックループする中 -
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ネタバレ<目次>
はじめに
第1章 アリ社会の仁義なき掟~女王アリと働きアリの微妙な関係…市岡孝朗
第2章 曖昧という真実~割り切れないから見えてくる、グレーゾーンに潜む可能性…伊勢田哲治
第3章 アートはサイエンスだ!~アーティストと研究者,二足のわらじで見つけた日本の美…土佐尚子
第4章 そうだ!宇宙に行こう!~手話と学問の意外な関係性…嶺重慎
第5章 「できない」から「できる」んだ~「他人事」になる」社会の中で、自分を唯一性を持って生きる…富田直秀
おわりに 「本能の声」に気づく、従う
<内容>
京大の変人講座第2弾。第4章、5章は深いですね。手話者は日本語を手話に翻訳するのではな -
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小曾根哲教授の地球学、神川龍馬助教の進化生物学が面白かった。▼地球岩石学者の小木曽教授の『常識を越えるノート』:1)地球はいま46億歳。気が遠くなるほどの悠久の時間を生きている。2)火星と金星には生物はいないのに、地球だけ「”たまたま”いい条件が重なって生命が生まれた。3)原始の生物にとって酸素は猛毒。酸素に適応できた”変な生き物”だけが残った。4)恐竜を絶滅させた隕石は、またやってきてもおかしくない。5)地球はだんだん冷えているが、太陽はさらに明るく熱くなっている。地球は今、そのはざまで微妙なバランスを保っている。▼進化生物学者の神川助教の『常識を越えるノート』:1)細胞同士で合体すると、意
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変人という天才達の集まり、各分野の着眼点も面白く、深い読み物、さすが!
「遠足のおやつ300円まで」秀逸!
不便益とは!
東大は官僚養成学校、京大は西園寺公望が、自由な学風の学校作ろうとしたのが始まり
東京は討論、ディベート
京大は対話、ダイアローグ、発見方式
Together and Alone ともに、一人で
全地球凍結、Snowball Earth
ヘーゲルの弁証法、ある一つの物事にはそれを否定する物事が含まれ、矛盾するものだという事
寿司屋のオヤジは職人肌で客なんか関係ねぇ、自分の仕事をしているんだ!とみせる
京大変人伝説/
鯨が魚類である理由を述べよ!最終レポートの提出日は -
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<目次>
はじめに ”変人”がいるから人類は繁栄してきた
第1章 「地球の教室」 毒ガスに満ちた「奇妙な惑星」へようこそ~学校では教えてくれない!恐怖の「地球46億年史」
第2章 「経営の教室」 なぜ鮨屋のおやじは怒っているのか~「お客さまは神さま」ではない!
第3章 「法哲学の教室」 人間は”おおざっぱ”がちょうどいい~安心、安全が人類を滅ぼす
第4章 「社会デザインの教室」 なぜ、遠足のおやつは”300円以内”なのか~人は「不便」じゃないと萌えない
第5章 「生物の教室」 ズルい生き物、ヘンな生き物~”単細胞生物”から、進化の極みが見えてくる
第6章 「予測の教室」 「ぼちぼと -
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知人の推薦で読んでみた。
東大と京大の違いは時折聞きはするものの、京大大学院の人間・環境学研究科教授自ら、「アホ」の価値を真面目に説いた本。
世界は、スケールフリー、べき乗則、フラクタルに満ちている、深く深く掘り下げていくと学問は繋がり出す、教養部は一見役に立たないからこそ意味がある、1990年代に大学から教養部を無くしてしまったのは失敗、と説く。
正規分布とべき乗則(地震の場合、グーテンベルク・リヒター則)の違いは、自然からのしっぺ返しの文脈でよく聞くが、巨大地震のように人生で一回あるかどうかの出来事の発生確率とインパクトを正しく認知するのは難しい。
著者の発明である「フラクタル日除け