高野史緒のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
二度目ましての作家さんです。
世界観からして戸惑います。
13世紀なのに、一度核戦争で滅びた世界になってます。
しかも核戦争を起こしたのがローマ帝国だったりする。
現代の世界地図は頭から追い払わないといけない。
更に、アーサー王が出てきたり、マルコ・ポーロが出てきたり
まさかのベスビオ火山の噴火まで!
いわゆるヨーロッパ中世の史実を混ぜ込んでいる。
架空の世界に史実を織り込んで、更には色々な知識が
ほどよく散りばめられているから厄介。
想像の翼を広げるにも、色んな意味で違和感バリバリなので、
ある意味では面白いんだけど混乱します(^◇^;) -
Posted by ブクログ
「カラマーゾフの兄弟」のパロディ続編。書かれなかった二つ目の物語。
乱歩賞のSFミステリ作家だし気楽に読めればいいかな、程度だったせど意外と読み応えあった。
あくまでも楽しめるパロディとしてだけど。
巻末の鼎談にもあったけど、ドストエフスキーの作品はミステリではなく純文学だから、と誰もがスルーしている矛盾点を細かく読み解いて物語を繋げていてなんだかすっきりした。
イワンとアリョーシャはちょっとキャラ変わりすぎてて違和感あったけど、他は割と細かい流れを汲んでて面白かった。
コーリャのコスミズムについてはぶっ飛びすぎな印象もあったけど、そうかけ離れた時代の話でもないのね。宇宙科学黎明期、より少 -
Posted by ブクログ
亀山郁夫さんの新訳が爆発的に流行ったときに読みたいと思い、舞台化やテレビ化されたものを見て更に原作に興味が出たものの、未だに読んでいない「カラマーゾフの兄弟」。お話の筋は知っているので、順番があべこべになることに抵抗感はあったけれど、この「続編」を読んでみることにした。
私の中で、人間の内面に迫る、重厚な、敷居が高い純文学のイメージが強かった原作だが、本編と、作者と亀山郁夫さん・ロシア文学の教授の鼎談までを読み終え、原作に対するイメージが変わった。完結編というべき続編が予定されていたことも踏まえて読むと、ミステリーとして読んだときに違和感があるシーンが続編に繋がる伏線だったのかもしれないとの指 -
Posted by ブクログ
世界文学史上もっとも有名な殺人事件の盲点を衝き、真犯人を明らかにしようという意欲作。原作では錯乱したまま舞台から姿を消してしまったイワンが犯罪捜査官として帰還するという設定からして、わくわくさせるには十分。ミステリーとしての面白さだけでなく、原作の世界観もきちんと踏まえたうえ、ファンタジー・SFの高野史緒らしい遊び心も満載な、楽しめるパロディになっています。
正直、多重人格という設定にはあまり感心しないのだけど、アリョーシャやリーザ、コーリャ、ラキーチンらの13年後の姿もそれぞれになるほどと思わせるし、「神がいなければすべてが許される」という、原作においてイワンが口にする重要なテーゼが、異なる -
Posted by ブクログ
あのドストエフスキーの書き上げた大傑作、カラマーゾフの兄弟
その続編に挑戦するという勇気は賞賛に値したい。
絶対にどんなものを書き上げても文句を言う輩はいるのだから。
着眼点や原作への解釈はずば抜けていた。
だからこそ、この続編を書き上げることができたのだろうが。
恐れていては何も進まない。作家というものは突き進むもの。
そういうことをまざまざと見せつけられた。
ただ、どうだろうか。
いわゆるカラマーゾフ事件の真犯人は確かに存在した。
そして、確かにああ結びづけるのがもっとも何かもしれない。
とは言え、読み終わった後に何も残らなかったのも確か。
陳腐な多重人格や、陳腐な現代描写がそうさせた