高野史緒のレビュー一覧
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ベストSF 2023に選ばれ手にとったものの積んだままになっており、ようやく読むことができました。同じ時代を生きているはずなのに、どこか微妙に異なる世界にいる男女2人が互いに干渉しあっていく様子は、どこか「君の名は」に近い雰囲気があり、中盤までは先の展開が気になりすぎてページを捲る手が止まらなかったです。ただ終盤にかけての展開があまりにも唐突で、ラストのオチも受け入れ難いものだったので、作品全体としてみるとちょっと好みではないというのが正直な感想です。世界観だけ見れば好みの青春SF小説ですし、量子論や相対性理論を絡めた展開もとても面白いんですが、全体としてみると、う〜ん……。
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ネタバレ【収録作品】ダブルクリップ-プロローグ-/ハンノキのある島で/バベルより遠く離れて/木曜日のルリユール/詩人になれますように/本の泉 泉の本/ダブルクリップ再び-エピローグ-
「ハンノキの……」本は出版されるものの、保存されないことが基本となった世界。作家はある噂を頼りに進む。
「バベルより……」南チナ語の翻訳者が出会った、不死の呪いをかけられたという異国人。呪いを解く方法について相談される。
「木曜日の……」辛口書評家が出会った幻の自作小説。
「詩人になれますように」詩人になりたいと願った少女の現在の姿。
「本の泉 ……」「本の魔窟」に埋もれる青年。
本の呪いか祝福か。足下がふと揺らぐよ -
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本にまつわる5篇で構成された短篇集。
「読書法」なる法律が施行され、出版された本は6年で“完全に”抹消される世界を描いた「ハンノキのある島で」。
南チナ語の日本でただ1人の翻訳者が出会った奇妙な外国人との交流を描く「バベルより遠く離れて」。
すべての小説に牙を剥く文芸評論家が書評できない唯一の本とは?「木曜日のルリユール」。
願いを2つ叶えてくれる勾玉に「詩人になれますように」と願った少女の顛末「詩人になれますように」。
奇妙な古本屋で古本を渉猟する2人の男を描いた「本の泉 泉の本」。
つまらなくはないが、特におもしろいとも思わなかった。好き者向けの1冊。 -
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まさかの、茨城県土浦SF。
のっけから、知った地名がバンバン出て来てビビったが、著者がここの出身らしい。
表紙の感じから、「君の名は」かよと思ってしまったが、まあ、そんな感じかもしれない。
今、日本のSFってこんな感じなの?
科学の最先端ワンアイデアと、設定がそのまま構成になって作品になるみたいな。
ちょっと甘酸っぱい青春の、なんつか、高校文学部的な。
あとは作者の文章家としての技能と、編集者の腕?
結果として思ったより悪くないと思ったのも事実だが、最悪なのが、おそらく、作品のキモになる幻想的な展開と、量子論の裸の説明。
ここがもっと上手く処理出来ていれば、もっと素直に楽しめたような -
Posted by ブクログ
ネタバレ肖像画から抜け出した王が新庁舎を闊歩する16世紀アムステルダムで、ペストで亡くなり埋葬されたと思われてた宝石商が自宅〈翼竜館〉の金庫部屋で見付かる。埋葬された人物は誰か?ペストだと診断したペスト医師も誰なのか??宝石商も肖像画から蘇ったのでは…!?みたいなミステリ。
肖像画を描いた画家がレンブラント・ファン・レインだったのも、主要な登場人物が記憶を無くしてる男というのも好みの世界でした。
謎解きも納得。息子さんと記憶を無くした謎のナンドが駆けずり回ったけれど、それまで話題に上るけど登場しなくて終盤でようやく出てきたレンブラントが全ての謎を解いたのは……えっ、、、となりました。この洞察力あって金 -
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読書備忘録665号。
★★★☆。
SFとロシア文学のリミックス短編集とのこと。すなわち超マニア向け短編集。笑
言い方を変えると、作者が楽しくて自ら三題噺を起草して、仕上げて大喜びしているという図。これ、みなんさんも共感してもらえますよね!面白いでしょ!という思いがずんずん伝わってくる。
前提条件として、非常に幅広いSF好きであること。そしてAnd条件として、ロシア文学をある程度知っていること。この条件に当てはまるのは、レッドデータブックに載るくらい希少な読書家の方々。笑
私は当然当てはまらない・・・。
そんな中でも、2作ほどはドツボにハマりました。なので間をとって★3.5。
「アントン