高野史緒のレビュー一覧
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☆「アントンと清姫」
ソヴィエトの科学者アントンに捨てられた清姫は蛇体とかして、モスクワに彼を追い、クレムリンの大鐘に隠れた彼を鐘ごと焼き殺す。この史実(?)を時間砲のよって変えようとする科学者の息子は……。
クライマックスの祝祭感をなんとなくアニメっぽいな、と感じた。
☆「百万本の薔薇」
深紅の薔薇の確保と、前任者の怪死の謎を解くべく、中央から薔薇を栽培している秘密都市へ送り込まれた、野心家の科学者。しかし。
よくあるニューロティックなサスペンスかと思いきや、という一本。野心家で、如何にもヤな奴の主人公の、隠しきれない人の良さに味があっていい。
☆「小ねずみと童貞と復活した女」 -
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本家ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は高校生の頃に読んで
大人というか、大台超えた60代の2005年になってから読み直したのと
追ってすぐ亀山新訳の話題に引かれ2008年にまた読んだのと
都合3回読んでいる
高校生の頃はわかったのか?わからないままでも
登場人物たちの饒舌な会話が気にいったものだった
若いときの読書なんて感性で読むものかもしれない
2回目の読書術もこなれすぎたあたりの感想は
ストーリーの物語性(エンターティンメント性)に感心してしまって
ドストエフスキーの言わんとするところなどはスルーしている
そして亀山新訳を読むに至って
またわかったようなわからないような -
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読みたいと思って待っていたらやっと回ってきた。昔読んだがぼんやりしか覚えていない「カラマーゾフの兄弟」。今あらためて読んでも大丈夫解るのだろうか。先にアノ長い長い本編を読んだほうがいいのだろうか。迷っているうちに手元に来てしまった。
こういうのを杞憂と言うのだろう。読んでみたら、もう面白くて最後まで読んでしまわないと眠れない、久々に読書の楽しみを実感した。
作者がこの本を書いたのはとても勇気がある。驚いたのは隅々まで読み込んで、原作(前作)のポイントは必ず抑えてある。その上で新しい展開をたっぷり読ませてくれる。なんといっても事件の13年後。あの事件は解決済みで犯人に審判もくだり、関係者もそれ -
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ネット技術のみが歪に発達した帝政ロシア支配下の江戸ーーエンジニアの町娘・おきみは、ロシア皇后の座を狙う吉原一の花魁・真里奈太夫から、暗殺されたはずの廃皇子が秋葉原に潜伏しているという噂の情報収集を依頼される…
電飾と広告用のディスプレイで飾られた吉原。長屋ではラップトップ端末でネットゲームにログインする。江戸の風俗と現代のガジェットが入り混じった世界は、SFまんがやアニメのようで、メインストーリーだけを追っても楽しかったです。一方で、厳冬と時系列が混乱したロシア史の中に現れた幻のペテルブルクの謎解きが、江戸とペテルブルクを行き来しつつ明かされる展開にも引き込まれました。 -
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『ボリス・ゴドゥノフ』を題材に、電脳世界や江戸吉原、ロシア、革命、色んなものが出てくる歴史改変小説。
舞台は帝政ロシアと属国日本(徳川幕府)。
そのなかで、特別な意味合いをもつ幻想都市ペテルブルクと、どこかにあるという「赤い星」。
登場人物たちはヴァーチャルとリアルを行き来しながら、ペテルブルクを目指し、欲するものを目指していく。
序章にあるようにこの話には結論みたいなものがない。何が真実なのかも最後まで分からない。なので、読み終わったときは、伏線を探してあちこち読み返しちゃったんですが、そういう小説ではないらしい。
靄のかかったペテルブルクや、赤い星を乗せた列車と龍太郎が向き合うところは