高野史緒のレビュー一覧

  • まぜるな危険

    Posted by ブクログ

     ☆「アントンと清姫」
     ソヴィエトの科学者アントンに捨てられた清姫は蛇体とかして、モスクワに彼を追い、クレムリンの大鐘に隠れた彼を鐘ごと焼き殺す。この史実(?)を時間砲のよって変えようとする科学者の息子は……。
     クライマックスの祝祭感をなんとなくアニメっぽいな、と感じた。
     ☆「百万本の薔薇」
     深紅の薔薇の確保と、前任者の怪死の謎を解くべく、中央から薔薇を栽培している秘密都市へ送り込まれた、野心家の科学者。しかし。
     よくあるニューロティックなサスペンスかと思いきや、という一本。野心家で、如何にもヤな奴の主人公の、隠しきれない人の良さに味があっていい。
     ☆「小ねずみと童貞と復活した女」

    0
    2021年08月16日
  • 翼竜館の宝石商人

    Posted by ブクログ

    実在の画家・レンブラントとその息子・ティトゥス。彼らが活動していた十七世紀アムステルダムを舞台に、架空の登場人物・ナンドを絡め、ペストで死んだ宝石商の謎を追う。暗くはないけど不穏。これ本当に解決するのかなと訝しみつつ、ナンドとティトゥスで謎を解くのかと思いきや、親方がいいところを全部持って行った!? しかもたった五日でナンドの運命が数奇なことになっているのだが。こうなると、彼の後日談を知りたい。

    0
    2021年07月17日
  • 翼竜館の宝石商人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    父の濫費と奇行に悩まされる、レンブラントの息子と記憶喪失の商人が、ペストで死んで埋められたはずなのに、レンブラントの画から抜け出して生き返った? 宝石商人の謎を追って、洪水の恐怖に怯えるアムステルダムの街をさまよう。
    メイントリックはどうということはないが、小ネタの使い方が秀逸で、最後に現れて名探偵ぶりを発揮するレンブラントの推理によって、一気に辻褄があっていく過程にはミステリらしいカタルシスがある。ラストのツイストも楽しい。

    0
    2020年10月24日
  • カラマーゾフの妹

    Posted by ブクログ

    本家ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は高校生の頃に読んで
    大人というか、大台超えた60代の2005年になってから読み直したのと
    追ってすぐ亀山新訳の話題に引かれ2008年にまた読んだのと
    都合3回読んでいる

    高校生の頃はわかったのか?わからないままでも
    登場人物たちの饒舌な会話が気にいったものだった
    若いときの読書なんて感性で読むものかもしれない

    2回目の読書術もこなれすぎたあたりの感想は
    ストーリーの物語性(エンターティンメント性)に感心してしまって
    ドストエフスキーの言わんとするところなどはスルーしている

    そして亀山新訳を読むに至って
    またわかったようなわからないような

    0
    2020年06月11日
  • カラマーゾフの妹

    Posted by ブクログ

    読みたいと思って待っていたらやっと回ってきた。昔読んだがぼんやりしか覚えていない「カラマーゾフの兄弟」。今あらためて読んでも大丈夫解るのだろうか。先にアノ長い長い本編を読んだほうがいいのだろうか。迷っているうちに手元に来てしまった。
    こういうのを杞憂と言うのだろう。読んでみたら、もう面白くて最後まで読んでしまわないと眠れない、久々に読書の楽しみを実感した。

    作者がこの本を書いたのはとても勇気がある。驚いたのは隅々まで読み込んで、原作(前作)のポイントは必ず抑えてある。その上で新しい展開をたっぷり読ませてくれる。なんといっても事件の13年後。あの事件は解決済みで犯人に審判もくだり、関係者もそれ

    0
    2019年12月29日
  • カント・アンジェリコ

    Posted by ブクログ

    面白かったです。
    カストラートが活躍する18世紀パリに煌々と輝く電飾と、張り巡らされた電話網…好きな世界でした。サイバーパンク、というジャンルなのか。。
    カストラートたちが電話をハッキングするハッカーというのが良いです。
    〈大天使〉と〈鳥〉…予想していた人物と逆でした。やられた。
    なんという心地よさだ…と満たされるのが、音楽、というのが素敵でした。全盛期のカストラートの歌声、聴いてみたかったです。
    オルランドとレスリー卿の黄昏はちょっと切なかったです。
    (電飾で)きらびやかなオペラを鑑賞したような作品でした。

    0
    2019年11月28日
  • カラマーゾフの妹

    Posted by ブクログ

    カラマーゾフ+ミステリー+スチームパンク。『カラマーゾフの兄弟』のその後を妄想した架空続編小説です。
    カラマーゾフ事件の真犯人は誰なのか? 暴かれるのは封印された記憶、秘められた欲望。濁らない無垢も潔癖な正しさも、過ぎればそれは"狂気"なのだ。白黒つかない灰色の日々を凡庸に生きて行こう…。

    0
    2016年03月19日
  • ムジカ・マキーナ

    Posted by ブクログ

    ブルックナー教授大活躍ですよ。おまけに近代ヨーロッパのおいしいとこ取り。クラシック音楽+スチームパンク、最高ですね。

    音楽SFという素敵なジャンルがあるとは知らなかった。これは「分かる」どころではなく、最初から自分の中に広がっていた世界だったりする。

    0
    2016年02月29日
  • カラマーゾフの妹

    Posted by ブクログ

    実に細部まで『カラマーゾフの兄弟』を読み込んであるのに感心した。アリョーシャが犯人だとはいまいち腑に落ちない。また兄弟には妹がいたとの発想は面白い。もっと妹が育っていてほしかった。それも妹ではなく弟で。『カラマーゾフの兄弟』読んだことある人には賛美半分失望半分だろうが十分楽しめた。

    0
    2015年01月03日
  • カラマーゾフの妹

    Posted by ブクログ

    カラマーゾフと聞けば、いつかは読まずにはいられないかと。
    ロシア文学の巨匠の作品。書かれなかった続編を想像するのは、楽しいことだと思うけど、まさか自分で書いてしまうとは!
    イワンの人格形成については、考えさせられることがあるけど、アリョーシャの神性についてはイメージが合うかもしれない。
    よく調べます。楽しみながら読ませていただきました。

    0
    2014年12月10日
  • カラマーゾフの妹

    Posted by ブクログ

    「カラマーゾフの兄弟」の続編でもあり、ミステリーでもある。
    多重人格等新しい要素も加えて、見事に謎解きをしているのである。
    ちょっと分かりにくい小説の解説にもなっており、二重三重に得した気分だ。

    0
    2014年09月07日
  • カラマーゾフの妹

    Posted by ブクログ

    あのドストエフスキーが、死によって書き上げられなかった『カラマーゾフの兄弟』の続編!

    原作を損なう事なく、そして、とても納得の行くものでした。
    全ての謎が、「妹」をキーにして、きれいに納まる感じです。
    普通に文学としてだけでなく、ミステリとしても、SFとしても、心理学としても楽しめました。
    そうか・・・ 本編の13年後は、ホームズと同時代になるのですね。


    「カラマーゾフ事件」の真犯人は、諸説ありますが、この作品では、私の考えと同じ人が真犯人でした。

    0
    2014年08月20日
  • カント・アンジェリコ

    Posted by ブクログ

    読み手と作品と劇中劇との間を行ったり来たりしながら、幻想的な怪しい世界へと引きずりこまれて行く。
    書き方は薀蓄が多いがすんなり入ってくるものである。ただアカデミックな部分の書き方が口上を読み上げるようで、物語の転換も詩人のような書き方に感じた。
    カストラート、とても興味惹かれる世界をここまで舞台にした作品は素晴らしい。

    0
    2013年04月10日
  • 赤い星

    Posted by ブクログ

    ネット技術のみが歪に発達した帝政ロシア支配下の江戸ーーエンジニアの町娘・おきみは、ロシア皇后の座を狙う吉原一の花魁・真里奈太夫から、暗殺されたはずの廃皇子が秋葉原に潜伏しているという噂の情報収集を依頼される…

    電飾と広告用のディスプレイで飾られた吉原。長屋ではラップトップ端末でネットゲームにログインする。江戸の風俗と現代のガジェットが入り混じった世界は、SFまんがやアニメのようで、メインストーリーだけを追っても楽しかったです。一方で、厳冬と時系列が混乱したロシア史の中に現れた幻のペテルブルクの謎解きが、江戸とペテルブルクを行き来しつつ明かされる展開にも引き込まれました。

    0
    2010年12月26日
  • ラー

    Posted by ブクログ

    文章中に、日本語以外の言語(象形文字)が出てきます。
    だんだん、なんとなく読めるようになってくるマジック。
    難しかったけど、その難解さに何かハマる感じ。

    0
    2010年09月12日
  • 赤い星

    Posted by ブクログ

    『ボリス・ゴドゥノフ』を題材に、電脳世界や江戸吉原、ロシア、革命、色んなものが出てくる歴史改変小説。

    舞台は帝政ロシアと属国日本(徳川幕府)。
    そのなかで、特別な意味合いをもつ幻想都市ペテルブルクと、どこかにあるという「赤い星」。
    登場人物たちはヴァーチャルとリアルを行き来しながら、ペテルブルクを目指し、欲するものを目指していく。

    序章にあるようにこの話には結論みたいなものがない。何が真実なのかも最後まで分からない。なので、読み終わったときは、伏線を探してあちこち読み返しちゃったんですが、そういう小説ではないらしい。
    靄のかかったペテルブルクや、赤い星を乗せた列車と龍太郎が向き合うところは

    0
    2009年10月07日
  • アイオーン

    Posted by ブクログ

    架空の中世ヨーロッパを舞台にした一大叙事詩。「これでもか!」というほどのヨーロッパネタがつまった、濃厚かつ芳醇(話によっては貴腐のような)重量級ごった煮SFです。人物紹介を見ればそれは一目瞭然かと。
    ……でもその内面は「人とは」「世界とは」「知識とは」「信仰とは」という、人間の精神に共通する「何か」を求めようとする者たちの彷徨の詩であり、骨太の静かな福音書。

    0
    2009年10月07日
  • アンスピリチュアル

    Posted by ブクログ

    「視える」・・・めちゃくちゃ興味ある
    のに・・・この終わり方って、なーに
    まだ続くよね
    そうじゃなきゃ、困るけど

    0
    2025年10月01日
  • アンスピリチュアル

    Posted by ブクログ

    こういうのをSFというのだろうか?歌舞伎町、宗教、離婚、占いといった要素は良いのだが、全体としてはなんだかよく分からなかった。

    0
    2025年07月01日
  • 大天使はミモザの香り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    高校生の拓人はある日、見知らぬ女性からアマチュアオーケストラに入らないかとスカウトされた。拓人の部活の先輩からの推薦らしい。演奏会の当日、ヴァイオリンの名器《ミモザ》が消えてしまい ―― 。

    音楽とミステリー。よくある題材ですが、アマチュアオーケストラの存続がかかっていたり、《ミモザ》の行方だったり、そこそこ楽しめました。

    0
    2024年11月04日