高野史緒のレビュー一覧

  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船
     青春小説でSF。「SFが読みたい! 2024年度版」ベストSF2023国内編第1位の作品。

     以前から読みたいと思っていたのだが、なぜか踏ん切り(?)がつかずズルズルと積読状態だった。パラレルワールド物で、しかもガールミーツボーイ物だ。夏紀と登志夫、やはりラストは切ない。

     そのうちアニメにな...続きを読む
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船
    女子高生の夏紀と大学生の登志夫(年齢は夏紀と同じ)は異なる宇宙(並行世界)にいる。土浦に到着する飛行船グラーフ・ツェッペリンを介して出会う。この二人は量子の性質である情報のあるなしが同時に存在しているのと同様な存在である。この二人の関係は恋人になるものではなく、恋人でもあり兄弟でもあり本人でもあるよ...続きを読む
  • カラマーゾフの妹
    『カラマーゾフの兄弟』はドストエフスキーが死の直前まで執筆していて、本来は続編が予定されていたという。これを日本人の著者が独自に読み解き、解釈し、勝手に続編を書いたのが『カラマーゾフの妹』だ。と言っても、ドストエフスキー自身が構想していたとされる設定も引き継がれている(アレクセイが革命家を志している...続きを読む
  • カラマーゾフの妹
     日本の小説家が『カラマーゾフの妹』という小説を出したとしたら、まずは日本を舞台にした小説で『カラマーゾフの兄弟』にアリョーシャ、いやいや、アリュージョンがあるようなもの、と推測されるではないか。それが『カラマーゾフの兄弟』の続編とは大胆不敵。なぜ100年以上も続編が書かれなかったのかといえば、ドス...続きを読む
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船
    さらっと読める青春SF……なんだけど、エンタメではない。エンタメの皮被った私小説、純文学寄りだ。後書きまで読むと、より尚更。
    二つ別々の世界を生きる女の子と男の子。グラーフ・ツェッペリン号を中心に、茨城は土浦を舞台に繰り広げられるひと夏。ハードSFでも、単なる青春SFともエンタメとも違う、この独特な...続きを読む
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船
    並行世界のそれぞれに暮らす高校2年生の夏紀と、17歳だけれども飛び級で東大2年の登志夫が、著者の故郷土浦を舞台に交差していく長編SF。甘酸っぱさ漂う良質のYAであり、ネット空間に堆積されていく情報の本質にせまっていく作品でもあり、と思いながら読み終えて、あとがきに書かれた著者の近況を読み、さらに心打...続きを読む
  • 大天使はミモザの香り
    漫画みたいな展開で純粋に面白かった。
    ヴァイオリンとかクラシックとか全然分からない私でもストラディヴァリは聞いたことあるし、話し展開もテンポが良くよかった。
    アルベールのプロポーズ、私なら受けてるな(笑)
  • まぜるな危険
     ☆「アントンと清姫」
     ソヴィエトの科学者アントンに捨てられた清姫は蛇体とかして、モスクワに彼を追い、クレムリンの大鐘に隠れた彼を鐘ごと焼き殺す。この史実(?)を時間砲のよって変えようとする科学者の息子は……。
     クライマックスの祝祭感をなんとなくアニメっぽいな、と感じた。
     ☆「百万本の薔薇」
    ...続きを読む
  • 翼竜館の宝石商人
    実在の画家・レンブラントとその息子・ティトゥス。彼らが活動していた十七世紀アムステルダムを舞台に、架空の登場人物・ナンドを絡め、ペストで死んだ宝石商の謎を追う。暗くはないけど不穏。これ本当に解決するのかなと訝しみつつ、ナンドとティトゥスで謎を解くのかと思いきや、親方がいいところを全部持って行った!?...続きを読む
  • 翼竜館の宝石商人
    父の濫費と奇行に悩まされる、レンブラントの息子と記憶喪失の商人が、ペストで死んで埋められたはずなのに、レンブラントの画から抜け出して生き返った? 宝石商人の謎を追って、洪水の恐怖に怯えるアムステルダムの街をさまよう。
    メイントリックはどうということはないが、小ネタの使い方が秀逸で、最後に現れて名探偵...続きを読む
  • カラマーゾフの妹
    本家ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は高校生の頃に読んで
    大人というか、大台超えた60代の2005年になってから読み直したのと
    追ってすぐ亀山新訳の話題に引かれ2008年にまた読んだのと
    都合3回読んでいる

    高校生の頃はわかったのか?わからないままでも
    登場人物たちの饒舌な会話が気にいった...続きを読む
  • カラマーゾフの妹
    読みたいと思って待っていたらやっと回ってきた。昔読んだがぼんやりしか覚えていない「カラマーゾフの兄弟」。今あらためて読んでも大丈夫解るのだろうか。先にアノ長い長い本編を読んだほうがいいのだろうか。迷っているうちに手元に来てしまった。
    こういうのを杞憂と言うのだろう。読んでみたら、もう面白くて最後まで...続きを読む
  • カント・アンジェリコ
    面白かったです。
    カストラートが活躍する18世紀パリに煌々と輝く電飾と、張り巡らされた電話網…好きな世界でした。サイバーパンク、というジャンルなのか。。
    カストラートたちが電話をハッキングするハッカーというのが良いです。
    〈大天使〉と〈鳥〉…予想していた人物と逆でした。やられた。
    なんという心地よさ...続きを読む
  • カラマーゾフの妹
    カラマーゾフ+ミステリー+スチームパンク。『カラマーゾフの兄弟』のその後を妄想した架空続編小説です。
    カラマーゾフ事件の真犯人は誰なのか? 暴かれるのは封印された記憶、秘められた欲望。濁らない無垢も潔癖な正しさも、過ぎればそれは"狂気"なのだ。白黒つかない灰色の日々を凡庸に生きて行こう…。
  • カラマーゾフの妹
    実に細部まで『カラマーゾフの兄弟』を読み込んであるのに感心した。アリョーシャが犯人だとはいまいち腑に落ちない。また兄弟には妹がいたとの発想は面白い。もっと妹が育っていてほしかった。それも妹ではなく弟で。『カラマーゾフの兄弟』読んだことある人には賛美半分失望半分だろうが十分楽しめた。
  • カラマーゾフの妹
    カラマーゾフと聞けば、いつかは読まずにはいられないかと。
    ロシア文学の巨匠の作品。書かれなかった続編を想像するのは、楽しいことだと思うけど、まさか自分で書いてしまうとは!
    イワンの人格形成については、考えさせられることがあるけど、アリョーシャの神性についてはイメージが合うかもしれない。
    よく調べます...続きを読む
  • カラマーゾフの妹
    「カラマーゾフの兄弟」の続編でもあり、ミステリーでもある。
    多重人格等新しい要素も加えて、見事に謎解きをしているのである。
    ちょっと分かりにくい小説の解説にもなっており、二重三重に得した気分だ。
  • カラマーゾフの妹
    あのドストエフスキーが、死によって書き上げられなかった『カラマーゾフの兄弟』の続編!

    原作を損なう事なく、そして、とても納得の行くものでした。
    全ての謎が、「妹」をキーにして、きれいに納まる感じです。
    普通に文学としてだけでなく、ミステリとしても、SFとしても、心理学としても楽しめました。
    そうか...続きを読む
  • カント・アンジェリコ
    読み手と作品と劇中劇との間を行ったり来たりしながら、幻想的な怪しい世界へと引きずりこまれて行く。
    書き方は薀蓄が多いがすんなり入ってくるものである。ただアカデミックな部分の書き方が口上を読み上げるようで、物語の転換も詩人のような書き方に感じた。
    カストラート、とても興味惹かれる世界をこ...続きを読む
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船
    星2.5
    だらだら感があり、ストーリーに起伏がなかった。いや、夏紀と登志夫が結びついたところから「来るか!?」と思ったけど、そこからはなんだか観念的な世界に飛んでいってしまった。夏紀の最後の行動もあまりに唐突で、よくわからなかった。