高野史緒のレビュー一覧

  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

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    すこし不思議。夏というものは不思議なもので幻想などの作品が多くなるものである。「あの夏」の飛行戦、グラーフ・ツェッペリン号がキーとなり、二つの世界が交差する。量子力学的や途中仏教の話もあったりと世界に没入して一気読み。

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    2025年06月28日
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

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    土浦には子どもの頃に行ったことがある。30年くらい前に筑波に行くことが多かった時には土浦を通って行ったけど、読みながら思い出そうとしていたのは子どもの頃の記憶。この本の主人公の一人、トシオもそんな風に土浦を訪れる。一ヶ所だけ、私の記憶に重なる部分があって驚いたのだけれど、もちろん物語そのものは私に関係なく進んでいく。途中、量子理論のあたりの説明に挫けそうになるし、最後がちょっと急ぎすぎな気もするけれど面白かった。

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    2025年01月22日
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

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     青春小説でSF。「SFが読みたい! 2024年度版」ベストSF2023国内編第1位の作品。

     以前から読みたいと思っていたのだが、なぜか踏ん切り(?)がつかずズルズルと積読状態だった。パラレルワールド物で、しかもガールミーツボーイ物だ。夏紀と登志夫、やはりラストは切ない。

     そのうちアニメになりそうな気がする。

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    2024年03月13日
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

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    ネタバレ

    女子高生の夏紀と大学生の登志夫(年齢は夏紀と同じ)は異なる宇宙(並行世界)にいる。土浦に到着する飛行船グラーフ・ツェッペリンを介して出会う。この二人は量子の性質である情報のあるなしが同時に存在しているのと同様な存在である。この二人の関係は恋人になるものではなく、恋人でもあり兄弟でもあり本人でもあるような量子的存在だ。だからこそ、ラストに向かう現象は、シュレディンガーの猫のように観測されるまでは状況が確定しないことになる。量子の振る舞いを17歳の男女として表現したところが、あやふやな立場と相まってより揺れる心の不安定さが伝わってくる。さくっと読めて面白かった。

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    2023年09月24日
  • カラマーゾフの妹

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    『カラマーゾフの兄弟』はドストエフスキーが死の直前まで執筆していて、本来は続編が予定されていたという。これを日本人の著者が独自に読み解き、解釈し、勝手に続編を書いたのが『カラマーゾフの妹』だ。と言っても、ドストエフスキー自身が構想していたとされる設定も引き継がれている(アレクセイが革命家を志しているとか)

    『兄弟』で描かれた「カラマーゾフ殺人事件」から13年後、捜査官となったイワンが再び事件の真相に迫る中で新たな事件が起こる展開。ミステリーとしても面白いし、多重人格者や異常なフェティシズムなどサイコな面も描かれつつ、更にはスチームパンク得意の”ディファレンス・エンジン”が登場し、その計算能力

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    2020年08月16日
  • カラマーゾフの妹

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     日本の小説家が『カラマーゾフの妹』という小説を出したとしたら、まずは日本を舞台にした小説で『カラマーゾフの兄弟』にアリョーシャ、いやいや、アリュージョンがあるようなもの、と推測されるではないか。それが『カラマーゾフの兄弟』の続編とは大胆不敵。なぜ100年以上も続編が書かれなかったのかといえば、ドストエフスキイ翁が亡くなってしまったからである。……のだが、翁の死後、続編の執筆に挑戦する者がいなかったのはなぜかといえば、それはドストエフスキイを凌駕する重圧に挑戦者たちが退けられたのだろうと作者は述べる。しかしドストエフスキイに互するものを書こうなんて思わなければ簡単じゃないかというのが作者の意見

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    2016年02月15日
  • カラマーゾフの妹

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    果敢にもドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に挑戦し、独自の答えを描いてみせた第58回江戸川乱歩賞受賞の力作。

    原作を損なうことなく、ミステリーとして続編を描くという面白いアイデアと力量には驚かされた。どのような着想からこの作品を描くに至ったのか非常に興味深かったが、巻末の高野史緒と亀山郁夫、沼野充義の鼎談を読み、納得した。

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    2014年08月16日
  • ムジカ・マキーナ

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    緻密な音楽SF、ファンタジー、ミステリー?
    ある程度の音楽知識がないと読み進めるのが難しいかもしれないが、知らなくても十分に楽しめるストーリー性はある。
    ブルックナー存命中のヨーロッパ、フランスはナポレオン3世が失脚した第三共和制時代なのに、音楽機械とかメモリとかの言葉が頻出する不思議な世界観。

    無賞のデビュー作。このクオリティを持続させるのは難しいのではないかと思うが、次作も読んでみたい。期待大。

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    2009年10月04日
  • ラー

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    古代エジプトに行くためにタイムマシンまで作った主人公が、クフ王の時代に飛んでピラミッド建設の謎を追う話。
    高野さんの小説は、情景描写がとても好き。キラキラ輝くピラミッドや、星が落ちてきそうな夜空、古代エジプトの建物や街がありありと想像できて、読んだあとは本当に旅をしてきたような気分になります。

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    2009年10月07日
  • ラー

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    SFです。でも、SFだけじゃないです。SFと歴史小説と人間ドラマと・・・・うまく言えません。
    P244の「真理」についてのジェディの考え方が自分の中に定着しました。手帳に写すくらいの衝撃を受けました。

    太陽も宇宙だよね!とかいうこじ付けで特集に入れてしまいました。

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    2009年10月04日
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

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    この表紙だけを見て面白そうと思った人を跳ね飛ばしそうな「パラレル」「史実」「茨城SF」
    宇宙開発が進んだ2021年、インターネットが実用化されたばかりの夏紀と
    量子コンピュータが実現している2021年、宇宙開発は発展途上の登志夫
    2人の共通点は子供の頃に飛行船グラーフツェッペリンを見た記憶があること

    と、この別の世界線に生きる2人の物語

    ツェッペリン号は現実に飛んだ船であるし
    つくば市の小ネタが挟まれとても面白いのだが
    SFガジェットがしっかりしているのであまり噛んでいない人からすると「?」となるであろうことが残念(でもそういう人も手に取ったということはとても嬉しい)

    ツェッペリン号が頭

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    2025年11月14日
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

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    ネタバレ

    こういった話に趣を感じるのは、やはり人間が過去から現在、未来へ流れていく『時間』の中に意味を見出す生き物だからなのだろうか?
    『時間』は、人間の経験のなかでも取り戻したいと切望しても叶わない儚さがあるのに対して(青春)、サイエンス的にそもそも時間とはなんだろうか?存在しているのか?『流れる』ものなのか?という問いかけに真っ向から挑んで、時間の『流れ』を否定しねじ曲げ出会うはずのない線を交わせて物語にする(SF)から、ですかね。
    「出会うはずのない出会い」っていい。この現象が起こらなかったらこのルートはありえなかった。日常一つ一つが選択の連続って誰かが言ってたけど、その中でも「選ばなかった方のル

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    2025年09月03日
  • アイオーン

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    信仰と科学のお話。

    中世のフランスが舞台。と思っていると、少しだけ違和感を覚えるところが出てくる。どうやら、この世界は昔、人工衛星を打ち上げられるくらい科学が発達していて、核戦争で文明が滅んだ後らしい。
    それで人々は信仰を大切にしていて、科学は異端とみなしている。
    そんななか、医者のファビアンと旅の科学者アルフォンスが出会ってそれぞれ探求の旅に出るお話。

    現実の中世を下敷きにしているけど、世界史はそれほど詳しくなくて、ほとんど元ネタがわからなかったので、分かればもっと面白そう。

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    2025年06月29日
  • ビブリオフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅

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    ネタバレ

    〇ハンノキのある島で
    本の寿命を定め古典以外は断裁する読書法が制定された世界で、自分の著書をハンノキのある島に流そうとする。
    〇バベルより遠く離れて
    戦後の近未来、チャツネ・キムチ・メシウマの小説の翻訳家と日本語で呪いをかけられたフィンランド人の帆のhン文化研究家
    〇木曜日のルリユール
    メッタ切の小説評論家が学生時代書いて破棄した小説を書店で見つけて。

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    2025年06月12日
  • ビブリオフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅

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    本を書く人達の短編集。どれも展開が意外で引き込まれた。「詩人になれますように」は、特に心に残る話だった。

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    2024年10月23日
  • ビブリオフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅

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     短編集。世の中には無数の本がある。かつて出された本。これから出る本。自分には読めない言語で書かれた本。本になる見込みはなく本にしようというつもりで書かれたわけでもないけれど、いつか、誰かによって書かれた文章。読み尽くせるわけがない、全ての言語が理解できる者など存在するわけがない、読んだとしても理解できているとは限らない、なにかの賞をとったとして、その受賞にどれだけの意味があるのかもよくわからなくなっている。そのような諦念がどの作品にも充満している。無限に広がっていくような古書店のなかをさまよう『本の泉 泉の本』が一番好き。最後のほうに描かれている情景は、わたしも二〇一一年に経験しているので、

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    2024年08月17日
  • ビブリオフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅

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    ネタバレ

    本を主軸にしたSFチックな短編集。可愛らしい表紙とは裏腹に、重めで思考させるような作品が続く。本が好きな人には是非読んでほしい。

    『ハンノキのある島で』は増えすぎた娯楽作品を制御するため「読書法」という仕組みができた世界。溢れかえる娯楽作品に翻弄されることに共感はするものの、こんな世界にならないことを願う。

    『バベルより遠く離れて』は悩める翻訳家の物語。翻訳というものの妙や翻訳家の悩みが身に染みる。訳すとは何か、物語を受け取るとは何か、ということを考えさせられる。

    『木曜日のルリユール』は辛口でぶった斬る系書評家の書評できない作品『木曜日のルリユール』という作品をめぐる話。書評家と『木曜

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    2024年08月04日
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

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    さらっと読める青春SF……なんだけど、エンタメではない。エンタメの皮被った私小説、純文学寄りだ。後書きまで読むと、より尚更。
    二つ別々の世界を生きる女の子と男の子。グラーフ・ツェッペリン号を中心に、茨城は土浦を舞台に繰り広げられるひと夏。ハードSFでも、単なる青春SFともエンタメとも違う、この独特な詠み終えた後の気持ちを、ぼくは大切にしたい。

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    2024年01月21日
  • グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

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    ネタバレ

    並行世界のそれぞれに暮らす高校2年生の夏紀と、17歳だけれども飛び級で東大2年の登志夫が、著者の故郷土浦を舞台に交差していく長編SF。甘酸っぱさ漂う良質のYAであり、ネット空間に堆積されていく情報の本質にせまっていく作品でもあり、と思いながら読み終えて、あとがきに書かれた著者の近況を読み、さらに心打たれた。夏紀に生理がくることが物語のなかで重要な要素のひとつになっているのだが、生理のない女性である自分にとっては、これは読んでいて、かなり苦しく、つらかった⋯⋯それでも、この物語が、自分は好きです。

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    2024年01月11日
  • 大天使はミモザの香り

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    ネタバレ

    漫画みたいな展開で純粋に面白かった。
    ヴァイオリンとかクラシックとか全然分からない私でもストラディヴァリは聞いたことあるし、話し展開もテンポが良くよかった。
    アルベールのプロポーズ、私なら受けてるな(笑)

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    2023年08月01日