アントワーヌ・ローランのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『ミッテランの帽子』や『赤いモレスキンの女』のアントワーヌ・ローランによる記憶とそれとの決別を巡る話。
雰囲気がパリ、フランスという感じ。取り扱っている素材が骨董ということもあり、フランスや家族の歴史と記憶を辿る。自分に似た人物が描かれた肖像画との出会いから彼自身の祖先やフランス革命にまで遡り、かつそれが現在の主人公にまでつながる。過去に別れてしまった道を辿り直した末に現在と決別し別の選択肢を選ぶ。
フランス語のタイトルはAilleurs j’y suisで英語にするとelsewhere if I am there。私がいるかもしれないどこか。まさにその通りのタイトル。人はどこにいるのが正解だったのか、あるいはそもそもそんな場所は存在するのか。すべてはフェイクではないのか、といったことを思った。 -
Posted by ブクログ
1986年のパリ。
仕事場で自分の意見を上司の顔色を伺うことでなかなか言えず、やや鬱屈とした気持ちを払拭しようとたまの贅沢のために高級レストランにやってきた、会計士のダニエル。
運良くたまたまキャンセルが入り、予約なしで案内してもらえることになった。
そして新しく入ってきて、彼の席の隣に座った客人は、なんと時のフランス大統領、フランソワ・ミッテランであった。
ドギマギしながらミッテランたちの会話に聞き耳を立てつつ、ゆっくりゆっくりと食事をするダニエル…
ここから紆余曲折あって、ミッテランの帽子の旅と、ダニエルを始めとしたミッテランの帽子を受け取った大人たちの、幸福へと導かれる物語がバトンのように引き継がれていく。
帽子がどのように次は引き継がれていくのか、次はどのような人の元に辿り着くのかが気になりつつ楽しむ。
この調子でミッテランの帽子はいったいどこへ行ってしまうのか…?
1980年代のフランスの、行ったこともない地の情景を味わいながら、ついわくわくして読み進める。
帽子はまさかの軌道を辿って物語は終わる!
終盤に行くにつれて盛り上がるワクワクドキドキ。
とても面白かった。
エピローグとても好き。
そして帽子に出会った人々の物語やその後の話も、愛着が湧く。
さまざまな登場人物に幸福をもたらしていった帽子。
本書背表紙に、大貫妙子さんの書評があり、引用させていただくと、「帽子が幸運をもたらしたとしても、それは本当は、それぞれの人に眠っていた力なのだ」。
たしかに、きっと帽子がもたらしたのは、登場人物たちが自信をつけたり決断をしたりするキッカケだった。そしてそのキッカケをかれらはモノにした。
なんだか素敵な愛用の帽子を一つ、買いに街へ出たくなるお話でした。
あと牡蠣、今まで食あたりが怖くてなんとなく避けて食べたことなかったけど、本書を読んでいたら(そんなに美味しいのか…?)と少し食べたくなりました。
さすが美食の国…
あと訳者あとがきも、ミッテランや当時のフランス情勢について軽く解説してくれていて読むとお得だ。
しかしそのあとがきの中で一番驚いたのは、他ならぬ本書の原作者、アントワーヌ・ローランとミッテランの帽子との出会いについてなのだ!
その出会いを通じて、単行本のカバーには本物のミッテランの帽子が使われることになったとのこと…ロマンだ。
そうだ、この物語すべてが、ロマンに溢れている。 -
Posted by ブクログ
大統領のフランソワ・ミッテランが、お店に置き忘れた帽子を再び手にするまでのお話。
帽子は、会計士のダニエル・メルシエ、不倫相手との関係を断ち切ることができないファニー・マルカン、心療内科に通い悶々とした日々を過ごす元天才調香師ピエール・アスラン、代々続く名家のベルナール・ラヴァリエールの4人にそれぞれ、良い変化をもたらしていく。
その帽子を持つだけで人生の正解がわかったかのように、考えや行動が変わっていき、結果、全てが良い方向へ向かうという、まさに魔法の帽子で、ファンタジーなお話だった。
フランスについてあまり知らないので、なんとなくでその時代のフランスを見ていたが、もし詳しく知っていたら、物語の情景を想像することができ、もっと世界観を楽しめるように感じた。
ダニエル・メルシエは帽子によって人生がうまくいったかもしれないが、帽子に取り憑かれた行動の描写が多く見受けられ、個人的にはその少し異常に感じる行動の方が気になってしまい、物語の主軸を楽しむことができなかった。