アントワーヌ・ローランのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
強盗に遭った女性。彼女が奪われたバッグを見つけた書店主・ローランが持ち主を探すという物語。
著者の作品は『ミッテランの帽子』が有名だそうですが私は本作が初めてでした。
大人のおとぎ話という触れ込み通り、「こうだったらいいのに」が展開され、ハッピーエンドになるくだりは心温まり、読後感もとても良かった作品です。
反面、おとぎ話と言われるのは「現実はこうはならないよな」という部分から来るものなんでしょう。
たとえば
持ち主不明のハンドバッグを書店主が偶然見つけること、
その広い主が善良な人間であること、
バッグの持ち主に辿りつくこと、
それぞれが現代社会においては「奇跡的」とも言えるもので、だ -
Posted by ブクログ
1980年代パリ。冴えない会計士ダニエルは、予約なしで訪れたブラッスリーで大統領フランソワ・ミッテランの隣の席に案内される。
ミッテランが置き忘れた帽子から始まる四つの物語。
一人目のダニエルはちょいとどうなの?的な行動が目に余るけど(リアルな人間らしさはある)二人目以降はフィクション感があって楽しい。私は三人目の調香師の話が好き。四人目になると一気に政治色が出るけど、それもまた良し。
何より、実在する大統領がこんなかたちでフィクションに登場するのが→
楽しい。日本にはない感覚な気がする(日本の大臣を物語に脇役としておしゃれに登場させる国内作品、私は読んだことないけどあるのかな?)
政治が -
Posted by ブクログ
ネタバレパリの書店主ローランは、ごみ箱の上に置かれていた女物のハンドバッグを拾う。中身はパトリック・モディアノのサイン本と香水瓶、クリーニング屋の伝票と、そして文章が綴られた赤いモレスキンの手帳――そのわずかな手がかりを頼りに落とし主を探し始めるが…。
とてもロマンチックな話でした!
ハンドバッグを強盗された女性は意識不明、それを知らないローランは拾ったバッグの中身のわずかな手がかりを元に、顔も名前も知らない持ち主を探し始める…という話。そして同時に会ってもいない持ち主の女性にどんどん惹かれていくという(笑)
わずかな手がかりからちょっとずつ持ち主に近づいていって、ついにおうちまで行ったときにはド -
Posted by ブクログ
お洒落な大人のおとぎ話と紹介されているように、読み進めてほっこりと優しい気持ちになりました。
物語は、ミッテラン大統領がブラッスリーで帽子を置き忘れたところから始まります。
新たに帽子の持ち主になった人たちは、それをきっかけに人生を好転させていきます。
能力の低い同僚に出世をこされた男、不倫を切れない小説家志望作家、スランプ中の天才調香師、固定概念に囚われたブルジョワ男、そして最後に手にするのは…?
舞台は1980年代のフランス。
今でいうハイテク機器がない時代の、帽子を介した不思議な巡り合わせが素敵な設定です。
読みながら当時のフランスの政治的背景や生活を知ることができてとても興味深