アントワーヌ・ローランのレビュー一覧
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『赤いモレスキンの女』以来、久々に戻ってきた。
心が浮き立つような大人のおとぎ話。店先から漂う料理のいい匂い同様、表紙の装丁から既にいい出会いの予感がする……
「(一部を除き)みんな盗癖ありすぎ笑」
小説は好きだし読後感に浸ることもザラにあるけれど、「いやちょっと待て」とツッコミを入れることも多い。今回はまさかの初っ端からツッコミを入れるハメになったものの、物語が進展するにつれ、そうも言ってられなくなった。
帽子の渡り方(?)が毎回違っており、「次は誰がどうやって?」と前の人のエピソードが終わる前から予測していた。会話の鉤括弧が(敢えて)抜かれているせいで誰の発言か分からなくなるこ -
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Twitterでたまたまタイトルを見かけておもしろそうと思って読んでみた
落としたバッグの中身だけを見て恋に落ちるという展開は、率直なところちょっと気持ち悪いと思った。でも、この突拍子のなさが逆に物語全体の魅力を引き立てていて、現実ではあり得ないからこそ心が惹かれる。舞台はパリ、街の情景や人々の息づかいが軽やかな文章で描かれていて、それだけで日常から少し遠い世界へ連れ出してくれる。文章のひとつひとつが洗練されていて、おしゃれな雰囲気が漂い、読みながらワインの香りがふわっと広がるような感覚さえする。大人のためのおとぎ話のように甘く、時に切なく進んでいく展開に夢中になり、気づけば最後まで一気読み。 -
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ネタバレミッテラン大統領の帽子を持つと持ち主の運命を変えていく、、、という話。
途中までは普通に帽子が持ち主を変えて、その持ち主にいろいろ起こるという、少し短編みたいな内容なのかな?と思っていた。
ただ、ダニエルの行動力がすごすぎてびっくりした。帽子を追い求めるために広告をだしたり、顧客名簿をみたり、、盗んだり、その行動力あったら、帽子なくても出世するよ。
帽子は単なるきっかけにすぎず、みんな幸せになってよかった。特に、ファニー。
最後、ミッテラン大統領は帽子をなくした1時間後にはすでに帽子のありかを知っていて、ずっと追跡していたことには本当に驚いた。
面白かった!! -
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この本を知ったのは、いつだったか、東京は丸ノ内の丸善のなかをブラブラしていたときのこと。当店売れ筋トップ10みたいな棚があり、この本が1位だった。知らない本だった。ほかの書店じゃそんなランキングじゃない気がして、丸ノ内のソフィスティケートな人々に人気の本ってどんなだろう…って気になっていた。赤いモレスキンの女…タイトルも装丁もステキ…
まるでフランス映画を見ているような作品。おしゃれ…!いやこれはきっといつか映像化するに違いない。観たい。そして私もパリの街なかでこんな出会いをしたい…(?)
物語はこんな感じ:
アラフォーの絵画修復師の女(夫と死別)は、夜中のパリの街なかでひったくりに遭い -
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タイトルのフランスの有名な大統領の名前ではなく、おとなのおとぎ話という文言に惹かれて読んでみた。
偶然自分の手元に置かれることになった大統領の帽子を巡って、拾い主が転々としていき、そのそれぞれの拾い主にドラマがある落とし物小説。わらしべ長者というよりは「風が吹いたら桶屋が儲かる」に近いかもしれない。
帽子を通して読む、拾い主である全く別の人々がそれぞれ持つ誰かとの繋がり。食事、人々の会話、挟まれる当時の風俗や、音楽や絵画の芸術の話題が息づくように描写されている。
まるで、当時のパリの街並みや生活の中へ、自分も帽子と共に飛び込んだみたいに。
夜寝る前にふと読んで心が少し暖かくなる、そんな小 -
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大人のおとぎ話という言葉が本当にぴったりの読後感でした。
パリを舞台に大人の男女が本当に奇妙なきっかけで導き合われていくストーリーの中に、
2人が本好きである事や書店についての細かい記載が多分に含まれていて、本好きとしてはそういう部分でも楽しかった。
パリの大通りのカフェのテラス席でエスプレッソを飲みながら本を読む描写なんて、サラッと書いてあるけどめちゃくちゃかっこいい。
キーアイテムとなるモレスキンの赤い手帳ひとつとってもすごくお洒落に思える。
地名やフランスの著名な作家に対する部分などはわたしの知識不足もあってすっと頭に入って来ない感じがしたけれど、物語の大筋としては読みやすくて楽しめ -
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立川のジュンク堂のクレストブックスの棚に、新作の本としてディスプレイされていたのを見て購入した!
初めはタイトルの『赤いモレスキンの女』の"女"であるロールと、彼女の鞄を拾ったローランがあるきっかけで関わりを持ち、会話をし、紆余曲折があって親しくなる、そう言った王道のラブストーリーを想像していた。
でも実際に読み終えて気がついたけど、彼らが実際に会話を交わしたのは本当に終盤のほうだけ。
2人が実際に出会うまでがメインのストーリー。
本来人と出会い人生の中で関わっていく時は、顔を合わせたりお互いに同じ場所に居合わせたり、同じコミュニティや、ツールを用いて出会う。任意で出会 -
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あま~い大人のラブストーリー、「ミッテランの帽子」を書いたアントワーヌ・ローランの「赤いモレスキンの女」。内容はというと、自宅の前で強盗にハンドバッグを取られ、やむなく泊まったホテルで暴漢に襲われ意識不明で救急搬送されたロール。そのバッグをゴミ箱で拾った書店主のローランは持ち主を捜そうと、バッグに入っていた赤い手帳、そしてサイン入りのモディアノの本…。それらを見るうちにローランは見知らぬ持ち主に恋をする。
モレスキンといえばフランスのメジャーな手帳ブランドですが、原題はLa femme au
carnet rouge。赤い手帳の女。ここにブランド名を入れるのはお洒落っぽさを出したかったのか -
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裏表紙に書いている「大人のためのおとぎ話」というフレーズがぴったりな作品。
深夜の帰宅途中に、一人の女性がハンドバックを盗まれるところから物語は始まります。
後日、偶然にもその盗まれたハンドバックを拾った書店主の男性が、バックの中身のわずかな情報の中から持ち主を探し出し、次第に不思議な恋に落ちていく。
ざっくり紹介するとこんな感じです。
読んでる途中で、ん?この男性ちょっと怖くないか?と思うところもあったんですけど、最後まで読むとその違和感もなくなって綺麗におさまりました。
英国王室カミラ夫人がコロナ禍で
「大切な人から隔離されたとき、人は読書に癒やしを求める」
という言葉を添えて
「正 -
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インスタやYouTubeをフォローしているkatie.simplechicさんが紹介していた本。
パリの書店主が落ちていたハンドバッグを拾い、持ち主を探し出すというストーリーに最初はちょっと気持ち悪いと思いつつ読んでいた。もし自分だったらさっさと警察に届けて欲しい!クリーニング店からワンピースを引き取った場面などはゾッとした。知らない男性が自分の服(クリーニングに出すくらいだからお気に入りに違いない)を触っているなんて…。
でも、ハンドバッグの中身だけで恋に落ちさせるなんて魅力的な女性なんだろうとも思った。手帳に書き留めた言葉、香水、サイン入りの本。(私が手帳に書き留めているのは毎日の出費記