桃崎有一郎のレビュー一覧

  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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    ネタバレ

    近年では最高の歴史本、ついに「武士」がいつ、どこで、どうして生まれたのかが判明したのです
    武士は889年「物部氏永の乱」勃発を契機に、天皇が我が身の危険に対応する目的で、宇多天皇が890年に「滝口武士」として設置した「朝廷組織外で官職を持たない」弓馬の達者な「武士」と儒学の発想と元正天皇の詔の先例から名付けられた
    奈良時代より弓馬の道(日々鍛錬を要する非生産部門)を義務付けられていたが、平安時代より富の集中と格差がもたらす「群盗」の存在が、武勇に堪能する人材を地方に、地方の調停者として「王臣子孫」という存在を核に化学反応により生まれた「武士」、平将門の乱により段違いの武勇を得た兵士は、藤原純友

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    2024年06月07日
  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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    武士の起源は何だろう?そんな疑問に正面からぶつかっている意欲作です。僕が学生の頃「生産力の向上で富の余剰が蓄積されると、その奪い合いの争いが起こる。その中で地方の富裕な農民、中でも年貢の納入を請け負う名主が荘園の中で成長し、土地や財産を自衛するために一族で武装し、武士になった。彼らは律令国家の諸矛盾の中で草深い田舎に生まれ腐敗した中央の貴族政治を克服して中央社会を切り拓いた」こう習いました。しかし、ここに書いてあることのほぼ全てが嘘だと著者は述べています。その時点で本に引き込まれました。またある学者は「都の衛府から生まれた」と言いますがそれも違うと論じてます。では武士の起源はどこにあるのか。そ

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    2023年12月22日
  • 「京都」の誕生 武士が造った戦乱の都

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    平安京のことや子供と中世への変化を考えていく上で、疑問に思ったり、「なんだか荒いな」と思っていたことが全て書いてあって面白かった。
    平安京=京都ではない、武士の論理、古代から中世へと変化していく上での産みの苦しみ。
    天皇と院政、平清盛の太政大臣就任と、激動の時代について面白おかしく読める。
    終わりかたがすごく気になる。一読して、損はないと思う。

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    2021年01月24日
  • 京都を壊した天皇、護った武士 「一二〇〇年の都」の謎を解く

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    やはり、刺激的な本。後醍醐を怪物と表現するのはさすがだし、それであまりある後醍醐。三種の神器のくだりはもはやコントでは。室町幕府は直義派のものであったという理解。明治維新の評価も面白い。

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    2020年11月03日
  • 室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたか

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     足利義満とは「強きを助け、弱きを挫く」男という説を何度か読んだことがあったが、表現としては面白いが曖昧な印象しか残らなかった。本書はその曖昧な部分に光を通して、そのような説が生まれた背景を解き明かしてくれる。
     論旨が明快で文に勢いがあるのは、著者の頭脳と行動力の産物であろう。若さみなぎるエネルギーが痛快である。

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    2020年10月09日
  • 室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたか

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    謎多き室町時代の本質を描いた名著。なぜ京都に幕府があったのか、なぜ義満が絶対権力者になったのか、といった問いに明快に解答を与えてくれる。そして、その後なぜ戦国時代が始まったのか、という問いに対しても、本書で示唆を与えつつ、次の著書で明確な答えを示してくれることを大いに期待させる。

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    2020年02月02日
  • 室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたか

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    「武士の起源をときあかす」の桃崎有一郎氏の新著。内容が足利義満だけにかつての「室町の王権」から中公の「足利義満」を経てどういう話にアップデートされているか強い興味を持って読んだ。

    いつもながら多量の史料収集と卓越した筆致、軽妙な?ツッコミでぐいぐい読ませてくるのには感心しかない。これまたいつもどおり、核心的な主張については必ずしもピースが揃っていない部分も感じられるが、それを差し引いても「義満以前」の尊氏・義詮から「義満以後」の義持・義教を含めて足利義満とはなんだったのかを描き出している。

    紙の新書だと妙に分厚く仕上がっているが、これは論を進めるにあたっての前提、例えば「室町殿」「北山殿」

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    2020年01月14日
  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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    日本固有の武士の成立過程をわかりやすく描いている。日本には武士が力を持っていた故に、元寇、大航海時代、幕末と、海外から征服される可能性があった危機を乗り越えることができた。その武士は、本書にあるように、王臣子孫と地方の郡司豪族層の統合から生まれた。必然ではなく、様々な条件がもたらした結果であった。では、インカ帝国のような南米になくて、日本にあったものは何か。武士を生み出した源たるそれは、地方に軍団が割拠できるほどの生産性の高い豊かな土壌と、中国由来の思想や弓射術なのかもしれない。

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    2019年02月25日
  • 中世武士団 偽りの血脈 名字と系図に秘められた企て

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    著者は「武士の起源を解きあかす」で、10世紀に王臣子孫が、郡司富豪層と古代武人排出士族に婿入りすることにより、武士団が形成され、武士の誕生と武士団の形成は同時に起こったとの説を展開した。今回は、武士の誕生は、婿入り以外に、王臣子孫の嫁を迎え、父系と母系とを逆にし、系図を偽造したり、外孫が養子に入ったりすること等で武士が誕生したケースもあったとの説を展開する。武士の系図などからみて、極めてリーズナブルな説と思われる。
    ・父系と母系の合成みょうじが作られ、その場合父系が上になる。官職由来と考えられてきたが、当該官職についいていない例が多い。佐伯+藤原=佐藤、守部+藤原=守藤→首藤、伊香+藤原=伊藤

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    2025年09月23日
  • 平治の乱の謎を解く 頼朝が暴いた「完全犯罪」

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    平治の乱について著者が気付いた真相を元に平治の乱を丹念に追っていく過程がおもしろかった。
    実際に著者の真相が真実かどうかはわからないが興味深かった。

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    2025年09月16日
  • 中世武士団 偽りの血脈 名字と系図に秘められた企て

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    <目次>
    プロローグ 改竄された“社会の設計図”
    序章    武士の誕生と名乗り~アザナと名字
    第1章   「佐藤」名字と佐伯氏~佐伯姓と波多野氏
    第2章   「首藤」名字と守部氏~美濃と源氏と王臣子孫
    第3章   「伊藤」「斎藤」「兵藤」名字と伊香・在原・平氏
    第4章   「○藤」名字の源流~官職由来と古代卑姓由来
    第5章   「近藤」名字と院政~出自不明な院近臣たち
    第6章   奥州藤原氏の創造~秀郷流・坂上氏・五百木部氏の融合
    第7章   文筆官僚「斎藤」家の創造~大江氏・葉室氏・清原氏との融合
    第8章   大規模互助ネットワーク~斎藤・後藤・文徳源氏・宇都宮
    第9章   後藤・近藤・武

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    2025年07月19日
  • 平治の乱の謎を解く 頼朝が暴いた「完全犯罪」

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    過去の知識の前提と違う世界の平治の乱
    (1)保元の乱に至る道もそうだが、すべて我が子に継がせたいという親の妄執が争いを招く①摂関家は忠通が頼長から基実へ②皇室は鳥羽が崇徳から近衛へ、後白河が二条から守覚法親王へ、後白河が二条から憲仁へ、二条が憲仁から六条へ
    (2)二条天皇の「孝」を無視した短慮を糊塗する朝廷全体の動きにより平治の乱の日記が記録を消された
    (3)真相は、①皇位を巡り二条天皇が三条殿=後白河上皇を襲った(保元の乱で後白河が崇徳上皇を制圧した様に)②院政の主軸信西の排除と政務停滞(信頼)③三条公孝案で執権を設ける(大炊御門経宗・葉室惟方)④争乱責任を信頼・義朝に押しを付ける⑤二条は守

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    2025年03月19日
  • 室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたか

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    歴史で、室町時代はなんか、鎌倉時代や江戸時代などと比べると薄く感じる。
    南北朝時代と戦国時代に挟まれて、足利幕府の存在感がないんだな。もう、室町時代といったら、足利尊氏&義満しか思い浮かばん。幕府の創立者の尊氏はさておき、義満は他の将軍とは比べ物にならないほどの逸材だったんだろうな。
    その義満の凄さがわかる本…、新しい発見に繋がった!( ^∀^)

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    2025年02月01日
  • 平安王朝と源平武士 ――力と血統でつかみ取る適者生存

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    武士としての源氏平氏が顕在化するきっかけとなったのが、939年の平将門の乱だという文言から始まる著書だが、多くの人名が出てきて把握するのが大変だった.最終的に源頼朝が鎌倉幕府を開いたのが、武士政権の頂点だとの指摘だ.ただ、北条家としての平氏が背後に存在しており、平清盛へ政権が移り、彼が出世していくことになる という結論だと捉えたつもりだが、解説書としては非常に読みにくい.話の流れが途中で分岐することが多く、何度も前に戻って読み直すことが多々あった.

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    2025年01月05日
  • 平安王朝と源平武士 ――力と血統でつかみ取る適者生存

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    何故「源平」の二氏が武士の代表になったのか、を平将門の乱から平治の乱に至るまでの各家の盛衰を紹介して論じている。馴染みのない時代のことが詳しく書かれていて、とても面白かった。

    満仲以降の歴代源氏の危うさと、そこまで振り切れない平氏(特に直方流)の強かさが印象に残る。
    また、平治の乱で主従の縁が切れたはずの「源氏累代の家人」が敢えて頼朝を担いだ理由に興味が湧いた。

    それにしても古代からの武人氏族の娘を血縁に取り込んだ皇族の末裔や藤原氏傍流の荒れ狂い具合がすごい(同時代の北欧を扱う漫画『ヴィンランド・サガ』に描かれる士族たちを連想させる)。平安時代だから、生まれた子供は荒くれ者が屯する母親の実

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    2024年09月25日
  • 「京都」の誕生 武士が造った戦乱の都

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    「武士の起源を解きあかす」や「平安京はいらなかった」を読んでいなかったら本書にはついていけなかったぐらい独特の視点でご自身の説を言い切るので「小気味よい」けど「本当かなぁ」と一抹の不安を覚える(失礼)
    平治の乱で崇徳上皇がクーデターを企んだのではなく、後白河上皇が軍勢を集めたが故の不安から対抗して軍勢を集め、当時近衛天皇呪詛を疑われていた最悪の頼長と合流したために日本最大の悪霊になってしまった
    白河院の時代から強訴=嗷訴への対抗として武力を天皇(上皇)が指揮して比叡山等を相手に武力排除する習慣が政治に寄らない武士を使った政争という背景も理解した
    「京都の誕生」とは律令を楯に見えと虚構で張りぼて

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    2024年07月04日
  • 平安王朝と源平武士 ――力と血統でつかみ取る適者生存

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    <目次>
    序章   王朝絵巻世界の裏面史~隣り合わせの血と暴力
    第1章  三つの謎~源平の突出、消えた名族、強い受領
    第2章  源平はいかにして武士の代表格たり得たか
    第3章  王臣家・群盗問題の解決と将門の乱
    第4章  源氏の飛躍と秀郷流藤原氏の沈淪
    第5章  藤原保昌を生んだ血統と政治的環境
    第6章  <強い受領>の確立と摂関政治
    第7章  源氏の凶暴化を促す藤原保昌一家
    第8章  平氏を従える源氏~男系の棟梁と女系の家人
    第9章  源氏の支配権の達成と秀郷流・利仁流藤原氏の編成
    第10章  「源平」並立体制へ~源氏の内乱と平氏の台頭
    第11章  平氏政権の達成と「源平」並立の空洞化
    終章

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    2024年06月22日
  • 平治の乱の謎を解く 頼朝が暴いた「完全犯罪」

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    平治の乱について分析した一冊。

    これまで保元の乱とセットでしか語られることのなかったこの戦と、その後の結果について深く知ることができた。

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    2023年12月05日
  • 室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたか

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    室町初期についての本。

    足利義満が幕府と公家の融合という意味で、日本史における特異点というのがよくわかった。

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    2023年11月09日
  • 平治の乱の謎を解く 頼朝が暴いた「完全犯罪」

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    <目次>
    ○事実経過編
     第1章  真相解明を妨げるもの
     第2章  三条殿襲撃事件
     第3章  二条天皇脱出作戦
     第4章  京都合戦
     第5章  二条派失脚事件
    ○全容究明編
     第6章  保元の乱の恩賞問題と源義朝
     第7章  先行学説の弱点と突破
     第8章  二条天皇黒幕説の論理的証明
     第9章  源頼朝の証言と三条殿襲撃の「王命」
     第10章  「信西謀反」の真相と守覚擁立計画
     第11章  残された謎~信西・清盛・後白河の動向
    ○最終決着編
     第12章  二条の勝利と後白河の逆転勝利
     第13章  乱の記念碑~新日吉・新熊野・法住寺殿
     第14章  孤立する二条の死と平清盛の覇権
     

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    2023年10月21日