桃崎有一郎のレビュー一覧

  • 平治の乱の謎を解く 頼朝が暴いた「完全犯罪」

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     丹念と言えば丹念。多少丁寧過ぎる気がしながらも読破。歴史ミステリーなら、この半分のボリュームで書かれていたに違いない。
     平治の乱の当事者達の役割についての解説は、この時代について書かれた、他の著作に触れる時に一つの武器になるだろう。

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    2023年08月18日
  • 「京都」の誕生 武士が造った戦乱の都

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    非常に読みやすい。学術書ではないので、細かい説明はないが、ポイントを絞り、全体の流れを優先していおり、理解しやすい。歴史を学校の勉強のように「点」では学んでいくのではなく、複数の「線」が絡み合った結果、こうなったと説明されると分かりやすいのだなと感心する
    この著書は平安後期を主軸にしており、白河院政から平家の台頭が範囲となっている。ただ、そこに至るまでの経緯やポイントを説明してくれている。平安京の治安悪化とその背景から武士の台頭、藤原摂関家の頽廃、源氏の没落。また、当時の寺や神社。特に「平安京内に寺をつくってはならない」という決まりや比叡山の荒れくれ模様など、「へー」と頷くだった。

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    2021年08月15日
  • 室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたか

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    絶大な権力を誇り、南北朝を統一させるなど辣腕を振るい、室町時代の絶頂期を築き上げた足利義満の考察ではあるが、むしろ足利政権誕生の過程から、義満の死後の政権まで加える事で、日本史上類を見ない不安定だった室町幕府の所以や、何故義満が強大な権力を持つに至ったのか、そして何故その強力な権力体制が長続きしなかったのかがとても良く理解できた。
    そして室町幕府の肝は足利直義という説明が、見事に腹落ちした。

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    2021年04月10日
  • 「京都」の誕生 武士が造った戦乱の都

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    タイトルから想像した内容とはかなり違ったが,面白かった.平安末期の白河上皇による院政の時代から,源氏と平氏が政治に入り込み,特に平家(平氏宗家)に清盛という特異な人物(なぜ特異かは伏せます)の登場するという過程を経て,従来の平安京が鴨川の東(現在の岡崎から三十三間堂や京女のあたりまで)と八条(西は梅野小路車庫のあたりまで)に拡張され「京都」が形成された歴史を説く.「武士が中央(=京)政治において地位を確立する過程」を描いた,とでも言おうか.

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    2021年02月02日
  • 室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたか

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    足利義満を中心に尊氏・直義の祖業から義持・義教までの黄金期の終焉までを「室町殿」という概念と朝幕関係の変遷を詳述。
    義満が如何に朝廷を支配し、足利家が天皇家を乗っ取ろうとした説の背景の考察は白眉。

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    2020年12月09日
  • 室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたか

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    「室町の王権」で義満の天皇位簒奪計画説を読んだときはショックを感じたが、現在はこの説はほぼ否定されている。ただ、近年、義満や室町幕府に関して興味深い著作が多く出ており、本書もその一冊である。
    本書は、義満の作り上げた室町殿について、1 京都との関係、2天皇との関係、3将軍と大名との関係に焦点を当てて、その魅力を教えてくれる。

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    2020年05月29日
  • 室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたか

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    ネタバレ

    <目次>
    プロローグ 規格外の男・足利義満
    第1章   室町幕府を創った男の誤算~足利直義と観応の擾乱
    第2章   足利義満の右大将拝賀~新時代の告知イベント
    第3章   室町第<花御所>と右大将拝賀~恐怖の廷臣総動員
    第4章   <力は正義>の廷臣支配~昇進と所領を与奪する力
    第5章   皇位を決定する義満と壊れる後円融天皇
    第6章   「室町殿」称号の独占と定義~「公方様」という解答
    第7章   「北山殿」というゴール~「室町殿」さえ超越する権力
    第8章   虚構世界「北山」と狂言~仮想現実で造る並行世界
    第9章   「太上天皇」義満と義嗣「親王」~北山殿と皇位継承
    第10章   義持の「

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    2020年01月25日
  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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    9世紀には坂上とか伴といった軍事氏族が活躍するのに、10世紀以降の戦争シーンに登場するのは源平藤原とその一族ばかり。古代日本は軍事国家だったが全て武装解除されて平和な平安時代がやってきました、と考えるのはやはり不自然で、古代と中世の軍事力は繋がっていると見るべきだろう。筆者はその2つを、有閑弓騎、蝦夷俘囚、そして古代軍事氏族をキーワードに繋げていくのだが、その大胆で時に強引な論証はなかなか面白い。

    もう一つ、荘園公領制の成立論もなかなか。荘園による土地の囲い込みは平和裏に進んだのではなく京進物資の強奪から始まった、というのはなかなかにリアル感がある。そこに登場するのは虎の威を借る王臣子孫や王

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    2019年10月06日
  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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    序章では巧みな導入だったが、第1章から11章まではやや詳細過ぎて斜め読みになった.終章でのヨーグルト(納豆)の例えが面白かった.武士の存在の背景に中央と地方の合体があることは、我が国の文化的神髄に通じるものがあるように感じた.

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    2019年07月12日
  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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    ネタバレ

    <目次>
    序章   武士の素性がわからない
    第1章  武士成立論の手詰まり
    第2章  武士と古代日本の弓馬の使い手
    第3章  墾田永年私財法と地方の収奪競争
    第4章  王臣家の爆発的増加と収奪競争の加速
    第5章  群盗問題と天皇権威の転落
    第6章  国司と郡司の下剋上
    第7章  極大点を迎える地方社会の無政府状態~宇多・醍醐朝
    第8章  王臣家子孫を武士化する古代地方豪族~婚姻関係の底力と桎梏
    第9章  王臣子孫を武士化する武人輩出氏族~「将種」への品種改良
    第10章  武士は統合する権力、仲裁する権力
    第11章  武士の誕生と滝口武士~群盗問題が促した「武士」概念の創出

    <内容>
    かなり挑

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    2019年02月08日
  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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    風呂読書。おもしろい。王臣家も群盗も武士も悪いやつらだ。歴史ものは政治史みたいなのよりこういうモノとか技術とかに注目してくれるやつの方が興味もちやすい。

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    2021年01月05日
  • 平安王朝と源平武士 ――力と血統でつかみ取る適者生存

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    武士の創設から鎌倉幕府までの歴史についてかなりの推論を交えて述べたもの。
    王族子孫からの土着、武士化、受領との抗争などから、将門の乱、秀郷や利仁、藤原保昌などの子孫の話は面白かった。

    母方の遺伝で凶暴化するとかは眉唾。
    この説では論文にはならないだろう。

    著者独自の視点もあちこちに見られて、歴史に詳しい人はニヤニヤしながら楽しめるのではないか。

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    2025年02月18日
  • 平治の乱の謎を解く 頼朝が暴いた「完全犯罪」

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    面白く、サクサク読み進んでしまうのだが、随所に別の自著を案内したり、ここではページを割けないとか、少しフラストレーションが溜まる箇所が多かった。

    歴史の裏側を垣間見る感じがするので、為になった。

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    2023年12月07日
  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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    武士の誕生プロセスについて書かれているが、古代郡領輩出集団の歴史の表舞台からの「消え方」について関心がある人も興味深く読めると思う

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    2023年08月06日
  • 「京都」の誕生 武士が造った戦乱の都

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    京都というと平安貴族によって作られたようなイメージがある。
    しかし実際の京都の街をみると、所謂我々が京都のイメージの街並は平安京の外側であり、むしろ平清盛をはじめとする、武士が頭角を現してきてから、現在に繋がる京都になってきたという話だが、それはそのまま平安後期の政治史である。
    改めて貴族と武士の成り立ちから関係について知ることで、京都の成り立ちも知ることができる。

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    2020年12月20日
  • 京都を壊した天皇、護った武士 「一二〇〇年の都」の謎を解く

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    前著『「京都」の誕生』に続いて京都の歴史、特に内裏にスポットを当て、今日の京都御所にまで至る史実を解き明かしてくれる。

    京都の建造物は、治承・寿永の乱、南北朝の争乱、応仁の乱以降の荒廃や、度重なる地震、大火等により、消失、再建を繰り返してきたといったイメージを持っていて、内裏もそうなのだろうと思っていた。

    本書の副題は、"え、どういうこと"と思わせるが、実は武士が京都を守ってきたことを、著者は具体的な史実を基に明らかにしていく。ここでポイントとなるのは、やはりと言おうか、後鳥羽であり、後醍醐である。また、武士が守ったといっても、別に忠義の心からではなく、時の最高権力を握

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    2020年06月11日
  • 「京都」の誕生 武士が造った戦乱の都

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    東夷(アズマエビス)の末裔には京都は遠い存在である。平安京=京都ではない!と帯にあっても、今一つピンと来なかったが、院政から平家政権にかけての土地開発、寺院造営の歴史を、政治史を交えて、ダイナミックに論じていく筆致に引き込まれてしまった。

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    2020年05月11日
  • 「京都」の誕生 武士が造った戦乱の都

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    ネタバレ

    <目次>
    はじめに  平安京が「京都」に転生する時
    第1章   武士に依存する平安京と朝廷の治安~「獄門」と凱旋パレード
    第2章   「京都」誕生と「天下」の謎~秩序の平安京+君臨の鳥羽+極楽往生の白河
    第3章   武士代表となる平氏~京都と院政に融合した新種の実像と虚像
    第4章   京都と天皇を呪う嗷訴、守る武士~院政が生んだ反逆者と守護者
    第5章   破局する京都と保元・平治の乱~武士が都を蹂躙する「武者の世」
    第6章   六波羅と法住寺殿の大規模開発~後白河院・平家の二人三脚と京都拡充
    第7章   平家の新都市域「八条」の開発~京都が最初の完成を迎える時
    第8章   ”殿下の乗合”事件~

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    2020年04月10日
  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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    タイトルも文章も挑戦的で、さぞ突拍子もない仮説が飛び出すのではと変な意味で期待して読み始めたのだが、実際のところそこまで極論には落ち着かず、これまで研究者がざっくり述べていた論をむしろ補強するような丹念な史料研究という感じだった。好意的な意味で、タイトル倒れかもしれない。

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    2019年10月13日