桃崎有一郎のレビュー一覧
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非常に読みやすい。学術書ではないので、細かい説明はないが、ポイントを絞り、全体の流れを優先していおり、理解しやすい。歴史を学校の勉強のように「点」では学んでいくのではなく、複数の「線」が絡み合った結果、こうなったと説明されると分かりやすいのだなと感心する
この著書は平安後期を主軸にしており、白河院政から平家の台頭が範囲となっている。ただ、そこに至るまでの経緯やポイントを説明してくれている。平安京の治安悪化とその背景から武士の台頭、藤原摂関家の頽廃、源氏の没落。また、当時の寺や神社。特に「平安京内に寺をつくってはならない」という決まりや比叡山の荒れくれ模様など、「へー」と頷くだった。 -
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ネタバレ<目次>
プロローグ 規格外の男・足利義満
第1章 室町幕府を創った男の誤算~足利直義と観応の擾乱
第2章 足利義満の右大将拝賀~新時代の告知イベント
第3章 室町第<花御所>と右大将拝賀~恐怖の廷臣総動員
第4章 <力は正義>の廷臣支配~昇進と所領を与奪する力
第5章 皇位を決定する義満と壊れる後円融天皇
第6章 「室町殿」称号の独占と定義~「公方様」という解答
第7章 「北山殿」というゴール~「室町殿」さえ超越する権力
第8章 虚構世界「北山」と狂言~仮想現実で造る並行世界
第9章 「太上天皇」義満と義嗣「親王」~北山殿と皇位継承
第10章 義持の「 -
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9世紀には坂上とか伴といった軍事氏族が活躍するのに、10世紀以降の戦争シーンに登場するのは源平藤原とその一族ばかり。古代日本は軍事国家だったが全て武装解除されて平和な平安時代がやってきました、と考えるのはやはり不自然で、古代と中世の軍事力は繋がっていると見るべきだろう。筆者はその2つを、有閑弓騎、蝦夷俘囚、そして古代軍事氏族をキーワードに繋げていくのだが、その大胆で時に強引な論証はなかなか面白い。
もう一つ、荘園公領制の成立論もなかなか。荘園による土地の囲い込みは平和裏に進んだのではなく京進物資の強奪から始まった、というのはなかなかにリアル感がある。そこに登場するのは虎の威を借る王臣子孫や王 -
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ネタバレ<目次>
序章 武士の素性がわからない
第1章 武士成立論の手詰まり
第2章 武士と古代日本の弓馬の使い手
第3章 墾田永年私財法と地方の収奪競争
第4章 王臣家の爆発的増加と収奪競争の加速
第5章 群盗問題と天皇権威の転落
第6章 国司と郡司の下剋上
第7章 極大点を迎える地方社会の無政府状態~宇多・醍醐朝
第8章 王臣家子孫を武士化する古代地方豪族~婚姻関係の底力と桎梏
第9章 王臣子孫を武士化する武人輩出氏族~「将種」への品種改良
第10章 武士は統合する権力、仲裁する権力
第11章 武士の誕生と滝口武士~群盗問題が促した「武士」概念の創出
<内容>
かなり挑 -
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前著『「京都」の誕生』に続いて京都の歴史、特に内裏にスポットを当て、今日の京都御所にまで至る史実を解き明かしてくれる。
京都の建造物は、治承・寿永の乱、南北朝の争乱、応仁の乱以降の荒廃や、度重なる地震、大火等により、消失、再建を繰り返してきたといったイメージを持っていて、内裏もそうなのだろうと思っていた。
本書の副題は、"え、どういうこと"と思わせるが、実は武士が京都を守ってきたことを、著者は具体的な史実を基に明らかにしていく。ここでポイントとなるのは、やはりと言おうか、後鳥羽であり、後醍醐である。また、武士が守ったといっても、別に忠義の心からではなく、時の最高権力を握 -
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ネタバレ<目次>
はじめに 平安京が「京都」に転生する時
第1章 武士に依存する平安京と朝廷の治安~「獄門」と凱旋パレード
第2章 「京都」誕生と「天下」の謎~秩序の平安京+君臨の鳥羽+極楽往生の白河
第3章 武士代表となる平氏~京都と院政に融合した新種の実像と虚像
第4章 京都と天皇を呪う嗷訴、守る武士~院政が生んだ反逆者と守護者
第5章 破局する京都と保元・平治の乱~武士が都を蹂躙する「武者の世」
第6章 六波羅と法住寺殿の大規模開発~後白河院・平家の二人三脚と京都拡充
第7章 平家の新都市域「八条」の開発~京都が最初の完成を迎える時
第8章 ”殿下の乗合”事件~