桃崎有一郎のレビュー一覧
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<目次>
○事実経過編
第1章 真相解明を妨げるもの
第2章 三条殿襲撃事件
第3章 二条天皇脱出作戦
第4章 京都合戦
第5章 二条派失脚事件
○全容究明編
第6章 保元の乱の恩賞問題と源義朝
第7章 先行学説の弱点と突破
第8章 二条天皇黒幕説の論理的証明
第9章 源頼朝の証言と三条殿襲撃の「王命」
第10章 「信西謀反」の真相と守覚擁立計画
第11章 残された謎~信西・清盛・後白河の動向
○最終決着編
第12章 二条の勝利と後白河の逆転勝利
第13章 乱の記念碑~新日吉・新熊野・法住寺殿
第14章 孤立する二条の死と平清盛の覇権
第15章 乱の清算~「朝の大将軍」の鎌倉幕府
○エピローグ~平治の乱の新たな全貌
<内容>
論理的に積上げられた面白い論文。なかなか厚いが(347ページ)、読み応えはある。ただ「平治の乱」という一般には余り伝わらない戦乱(教科書では保元の乱とセットだ)を読む人はいるのか?二条天皇の陰謀を後白河が再逆転する流れは、わかりやすいが…。かつての呉屋勇一『応仁の乱』ほどのことはあるまい…。 -
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非常に読みやすい。学術書ではないので、細かい説明はないが、ポイントを絞り、全体の流れを優先していおり、理解しやすい。歴史を学校の勉強のように「点」では学んでいくのではなく、複数の「線」が絡み合った結果、こうなったと説明されると分かりやすいのだなと感心する
この著書は平安後期を主軸にしており、白河院政から平家の台頭が範囲となっている。ただ、そこに至るまでの経緯やポイントを説明してくれている。平安京の治安悪化とその背景から武士の台頭、藤原摂関家の頽廃、源氏の没落。また、当時の寺や神社。特に「平安京内に寺をつくってはならない」という決まりや比叡山の荒れくれ模様など、「へー」と頷くだった。 -
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ネタバレ<目次>
プロローグ 規格外の男・足利義満
第1章 室町幕府を創った男の誤算~足利直義と観応の擾乱
第2章 足利義満の右大将拝賀~新時代の告知イベント
第3章 室町第<花御所>と右大将拝賀~恐怖の廷臣総動員
第4章 <力は正義>の廷臣支配~昇進と所領を与奪する力
第5章 皇位を決定する義満と壊れる後円融天皇
第6章 「室町殿」称号の独占と定義~「公方様」という解答
第7章 「北山殿」というゴール~「室町殿」さえ超越する権力
第8章 虚構世界「北山」と狂言~仮想現実で造る並行世界
第9章 「太上天皇」義満と義嗣「親王」~北山殿と皇位継承
第10章 義持の「室町殿」再構成~調整役に徹する最高権威
第11章 狂暴化する絶対正義・義教~形は義持、心は義満
第12章 育成する義教と学ぶ後花園天皇~二人三脚の朝廷再建
エピローグ 室町殿から卒業する天皇、転落する室町殿
<内容>
340ページ余りの大作。足利義満が題だが、初代尊氏・直義から6代義教までが結構詳細される。そして斬新な解釈で面白い。というか、、室町時代面白い。近年のベストセラー『応仁の乱』(呉座勇一)から始まり、この時代の混沌とその中で生きた人の発想の仕方が面白い。桃崎さんはその応仁の乱も書きたいそうなので、待っていたいね。しかし、かつての今谷明の『室町の王権』は全否定されているらしいが、この本は発想的には似ている(本人は全面的に違うと言っているが)。 -
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9世紀には坂上とか伴といった軍事氏族が活躍するのに、10世紀以降の戦争シーンに登場するのは源平藤原とその一族ばかり。古代日本は軍事国家だったが全て武装解除されて平和な平安時代がやってきました、と考えるのはやはり不自然で、古代と中世の軍事力は繋がっていると見るべきだろう。筆者はその2つを、有閑弓騎、蝦夷俘囚、そして古代軍事氏族をキーワードに繋げていくのだが、その大胆で時に強引な論証はなかなか面白い。
もう一つ、荘園公領制の成立論もなかなか。荘園による土地の囲い込みは平和裏に進んだのではなく京進物資の強奪から始まった、というのはなかなかにリアル感がある。そこに登場するのは虎の威を借る王臣子孫や王臣家人たち。地方統治は空洞化し、群盗の横行を取り締まる役所も機能しない。秩序が危機に陥ったからこそ、地方武力は貴種を旗頭に組織化され、それを中央貴族が活用する時代が幕を開ける。
将門の純友の乱後、中央と結びついた武家貴族が急成長していく。そこを語らずに将門が滝口の武士だった論を論証しようとするのはどうかとも思ったけど、この本はあくまで律令制末期の武士成立論にフォーカスがあり、その後の武士成長論は例えば元木泰雄著『河内源氏』などを読めば良いということなんだろう。 -
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ネタバレ<目次>
序章 武士の素性がわからない
第1章 武士成立論の手詰まり
第2章 武士と古代日本の弓馬の使い手
第3章 墾田永年私財法と地方の収奪競争
第4章 王臣家の爆発的増加と収奪競争の加速
第5章 群盗問題と天皇権威の転落
第6章 国司と郡司の下剋上
第7章 極大点を迎える地方社会の無政府状態~宇多・醍醐朝
第8章 王臣家子孫を武士化する古代地方豪族~婚姻関係の底力と桎梏
第9章 王臣子孫を武士化する武人輩出氏族~「将種」への品種改良
第10章 武士は統合する権力、仲裁する権力
第11章 武士の誕生と滝口武士~群盗問題が促した「武士」概念の創出
<内容>
かなり挑戦的な本である。武士の活躍は日本史に書かれるが、肝心の武士の起こりがあいまいなままごまかされていると。本書は、平安初期の王臣家の暴走とそこの治安を守り、国司の簒奪を避けたい郡司層、そこで地方で行きたい王臣家の子孫、国司の横暴を避けたい郡司層のつながりを呼び、武士のが生まれたとする。
大筋は従来の説と変わらないが、しっかりと証拠を上げて論破している点が素晴らしい。 -
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前著『「京都」の誕生』に続いて京都の歴史、特に内裏にスポットを当て、今日の京都御所にまで至る史実を解き明かしてくれる。
京都の建造物は、治承・寿永の乱、南北朝の争乱、応仁の乱以降の荒廃や、度重なる地震、大火等により、消失、再建を繰り返してきたといったイメージを持っていて、内裏もそうなのだろうと思っていた。
本書の副題は、"え、どういうこと"と思わせるが、実は武士が京都を守ってきたことを、著者は具体的な史実を基に明らかにしていく。ここでポイントとなるのは、やはりと言おうか、後鳥羽であり、後醍醐である。また、武士が守ったといっても、別に忠義の心からではなく、時の最高権力を握った武家の権威を高めるためであったことも明らかにされる。
前著では、院政や平家政権時代に京都が拡大してきた歴史が描かれたが、本書では、内裏の場所的変遷と京都の変化が描かれる。地図が付されているのだが、京都の地理に詳しくない自分には、今ひとつピンと来ないのが残念であった。是非とも現地を歩いてみたい。