岩田温のレビュー一覧
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タイトルの「大東亜戦争」に右翼が語る歴史修正主義による内容かと思い身構えたが、全くそのようなことはない。
本書は「人種差別」の視点から「大東亜戦争(太平洋戦争)」を解きほぐしている。
欧米諸国の植民地主義が引き起こした有色人種へのあまり酷い仕打ち。歴史上有名な思想家アリストテレスや哲学者モンテスキューが人種差別を肯定し、白色人種が有色人種を奴隷として酷使することは当然と考えていたこと。驚くべきは奴隷解放で有名なリンカーンは人種差別主義者であり、英首相サッチャーも植民地主義を完全には否定していない。
誰もが知る豊臣秀吉は宣教師が日本人を奴隷として売り買いしている事実を知ったことから「伴天連追放令 -
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現代日本で奇怪な言説を振りまく、「リベラル」と称する人々の反知性主義的な主張をあらゆる点から批判した一冊です。私自身も、日々Twitterを見ていて「あのような頭のいい人がなぜこのような陳腐な発言にいいね!をしているのか」といった「リベラル」の知識人たちを見ていて不思議に思ったことから本書を手に取ってみました。本書では、「リベラル」と呼ばれる日本の知識人の言説を取り上げその批判をしています。特に印象に残に残った「リベラル」の言動についての批判は、第4章にある従軍慰安婦に対しての奇怪な議論です。韓国の言いなりになり謝罪をし続けろという「リベラル」の言論を取り上げ、彼らには「和解」の思想が欠けてい
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先日本屋さんに立ち寄った時に見つけた本です、様々な切り口からの歴史を振り返っている本を読んできましたが「人種差別」という観点から書かれた本に初めて出会って興味を持ちました。私よりも20歳近く若い学者さんですが、多くの文献を読まれてこの本を執筆していて、彼の集大成を数時間で読ませてもらう贅沢な読書ができました。
小学5年の時、担任の先生が「戦争が始まって晴れ晴れとした気分になった」と言われた意味がずっと気にかかっていましたが、この本で少しはわかった気分になりました。
以下は気になったポイントです。
・現在、日本国民の多くが大東亜戦争を支持したという事実が忘れ去られ、まるで日本国民は一部の戦 -
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人種差別の定義としては人種的偏見により、ある固定の人種を差別することとあり、この撤廃・排除に向けては、国際社会が長らく様々な会議を経て議論してきた課題である。Wikipediaで人種差別を検索してみると、その撤廃に向けた経緯において、本書にも登場する牧野伸顕の写真が掲載されているのを見つける。この現代社会においては、その存在すら既に否定されつつある人種差別がかつての世界においてはごく普通になされてきた事実、特に白色人種のヨーロッパやアメリカ、オーストラリアによって日常的に存在した考え方である事は、歴史上誰も否定できない事実だ。例を挙げるなら、ヨーロッパの列強はアジアやアフリカ諸国を植民支配し、
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ネタバレチュチェ思想について一般人に分かりやすく説明するとともに日韓において浸透する経路を解説しています。
チュチェ思想が危険というイメージがありつつ、危険だからこそ浸透するわけがないという日本の一般人に対する警鐘が示されています。特にチュチェ思想研究会の活動については、怖さも感じます。
一方、朝鮮学校の生徒が芸術祭で出した反安倍政権の作品が、指桑罵槐的に独裁一般を批判しているという指摘、組織化を企図する人の経歴がインターネットにより簡単にバレる時代である点を示すなど、煽られる危機感ほどには浸透していないのではないかという印象も受けました。
ここからは個人的な考えですが、公明党ですら宗教法人の意 -
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「リベラル」というと響きはいいが、日本でリベラルを名乗っているのはただの「反知性主義」。
理想というか信条というか、スローガンというか。
それのみを掲げて、過去も現状も顧みない。
なのに、ただリベラルとレッテル貼ると、その言葉から全く違う存在のように周りが勝手に考える。本人もか。
保守、というレッテルもそうだな。別に懐古主義でもなければ軍国主義でも、増してやファシズムでもない。
所謂ストローマン的なことをやりたがるのも、「リベラル」な気がするな。
左翼、についても、「ガラパゴス左翼」とバッサリ。
共産主義が何故ダメなのかに付いても、簡潔に、明快に論じてあって、すっきりした。 -
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「流されない読書」「リベラルという病」に続く岩田氏3冊目の本です。
今回は、日本で活動する「リベラル」の正体を手際よく暴露していく痛快本です。
保守論客としては櫻井よしこ氏が代表格でしたが、岩田氏にももっと活躍してほしいものです。
さて、本書では、池上彰、石破茂、枝野幸男、岡田克也、小沢一郎、小池百合子、小泉純一郎、小泉進次郎、志位和夫、玉木雄一郎、鳥越俊太郎、野田佳彦、鳩山由紀夫、前原誠司、村山富市、森達也、蓮舫など具体的な名前をあげながら、その言動の矛盾について指摘していきます。
捨て章無しの力作ですが、特に第4章は必読です。
とはいえ、死刑制度を論じた最終章には一抹の不安を感じました。