【感想・ネタバレ】[新版]人種差別から読み解く 大東亜戦争のレビュー

あらすじ

戦後80年――改めて問い直す大東亜戦争の大義

◎日本侵略の先兵だったキリスト教宣教師
◎豊臣秀吉は「日本人奴隷」解放の父
◎人種差別撤廃を訴えた日本、拒絶した欧米
◎昭和天皇が指摘された日米開戦の本当の理由

近代から先の大戦に至るまでの歴史を「人種差別」の観点から明らかにする!

第1章 大東亜戦争と人種差別
第2章 世界侵略を正当化した人種差別思想
第3章 アフリカ、 インカ、 アメリカの悲劇
第4章 奴隷貿易と無縁ではなかった日本
第5章 「植民地にされる」とはどういうことか
第6章 日本が求めた欧米列強と対等の地位
第7章 人種差別撤廃の理想を世界に問うた日本
第8章 日本人が知らない大東亜戦争の大義

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Posted by ブクログ

人種差別だけで大東亜戦争をしたわけではないが、影響は強いと納得する本。リンカーン大統領は黒人と白人を平等と考えて無かった。とか色々記述されている事の1つづつ納得。

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2025年09月01日

Posted by ブクログ

タイトルの「大東亜戦争」に右翼が語る歴史修正主義による内容かと思い身構えたが、全くそのようなことはない。
本書は「人種差別」の視点から「大東亜戦争(太平洋戦争)」を解きほぐしている。
欧米諸国の植民地主義が引き起こした有色人種へのあまり酷い仕打ち。歴史上有名な思想家アリストテレスや哲学者モンテスキューが人種差別を肯定し、白色人種が有色人種を奴隷として酷使することは当然と考えていたこと。驚くべきは奴隷解放で有名なリンカーンは人種差別主義者であり、英首相サッチャーも植民地主義を完全には否定していない。
誰もが知る豊臣秀吉は宣教師が日本人を奴隷として売り買いしている事実を知ったことから「伴天連追放令」を発したこと。明治維新の志士達は、欧米諸国がアジア・アフリカで行っている植民地主義を知り、日本を植民地化されないためにヨーロッパの技術や政治制度を取り入れ「明治維新」として近代化を行ったこと。
左派勢力からは悪名高い「大日本帝国」は欧米諸国の植民地政策で行われている人種差別に反対し、アジア諸国と連携して「大東亜憲章」を制定して欧米諸国にからアジアを守ろうとしたこと。
どれも日本では広く知られていない事実だろう。
かつての大日本帝国、主に軍部がやってきたことは批判されるべきことも多いが、少なくとも「大東亜戦争(太平洋戦争)」には“人種差別”を行う欧米諸国と抗うために起きたという事実も知られないといけない。
本書は右派・左派といったイデオロギーに関係なく読んでほしい。

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2025年08月25日

Posted by ブクログ

戦前までの世界での人種差別がいかに酷いものであったのかがよくわかる。人種差別に対しての日本の対応も知られていない。

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2025年08月21日

Posted by ブクログ

先日本屋さんに立ち寄った時に見つけた本です、様々な切り口からの歴史を振り返っている本を読んできましたが「人種差別」という観点から書かれた本に初めて出会って興味を持ちました。私よりも20歳近く若い学者さんですが、多くの文献を読まれてこの本を執筆していて、彼の集大成を数時間で読ませてもらう贅沢な読書ができました。

小学5年の時、担任の先生が「戦争が始まって晴れ晴れとした気分になった」と言われた意味がずっと気にかかっていましたが、この本で少しはわかった気分になりました。

以下は気になったポイントです。

・現在、日本国民の多くが大東亜戦争を支持したという事実が忘れ去られ、まるで日本国民は一部の戦争指導者に騙された被害者であったかの議論が横行している。間違いなく日本国民は日米開戦を熱烈に支持した(p12)

・大東亜戦争とは、昭和16年に内閣の閣議決定で定められた先の大戦の呼称であるが、その閣議決定では「支那事変」も含めて呼ぶことが確認されているので開戦の時期が16年よりも遡ることになる。太平洋戦争とは、アメリカが日本を占領した時に強要した名前で、大東亜戦争の呼称を禁止した(p21)

・昭和天皇は、大東亜戦争の要因が、第一次世界大戦後の平和条約(ベルサイユ条約)の中に存在していることを指摘している、また国際連盟設立の際に日本が主張し、米英によって退けられた「人種平等案」についても語っている、さらにカリフォルニア州における排日移民法の存在についても言及している(p34)

・明治維新とは不思議な革命であった、特権階級に所属する武士たち自身が自分たちの特権を捨てるために敢行した奇妙な革命であった(p36)

・大東亜会議とは昭和18年秋に、アジアの指導者(ビルマ、満洲国、中華民国、タイ、フィリピン、自由インド仮政府、日本)が一堂に会し、欧米列強の数百年に及ぶアジア侵略の罪を糾弾し、傲慢な植民地主義を打倒する大東亜戦争の意義について語り合った(p40)

・古代ギリシアには市民の資格を持たない者、すなわち奴隷が存在していた。古代ギリシアの民主主義とは、あくまで成人男子の市民の間における民主主義である、民主主義と奴隷制度とは、相反する関係のように思いがちであるが、両者は必ずしも対立するものではない(p45)

・欧州文明が優れていたというよりも、その発明した武器(大量破壊兵器)が他の文明を圧倒していたことに尽きる(p53)

・欧州人は直接、アフリカ人を捉えるのではなく、現地の有力者と手を結び、自分たち自身は手を汚すことなく奴隷を手に入れた、当初奴隷とされていたのは、罪を犯した重罪人であった。当時のアフリカでは、重罪人は奴隷にされて罪を償う文化が存在していた。しかし需要が増えたでアフリカ内陸部の村々を襲撃して捕虜となったものを奴隷にした(p67)

・リンカーンは「奴隷解放の父」と呼ばれる大統領だが、彼の主張は、白人と黒人は平等ではあり得ない、黒人は政治参加もすべきでないし、白人との結婚もあり得ない、白人が上位にあって黒人は下位にある(p69)

・秀吉の「バテレン追放令」の背景には、知られざる日本人奴隷の問題、キリスト教徒による侵略の問題があった、ポルトガル人が日本人を奴隷として売買しているにいとに憤りを感じた政治家であった(p97)

・アメリカは「出生地主義」なので、アメリカに移り住んだ日本人移民にはアメリカ国籍は与えられないが、その子供たちには生まれた段階でアメリカ国籍を持っていることになる(p161)

・イギリスは自国で重い罪を犯した流刑因をアメリカ大陸へ送っていたが、1776年に独立したので、代わりに見つけたのが不毛の地・オーストラリアである、こうしてイギリスの植民地に組み込まれた、オーストラリアを発見したのは、イギリスでなく、ポルトガル・スペイン・オランダ人がアジアへの商業版図を広げるなかで偶然に見つけた、しかし彼らは不毛の地であることに失望して植民地化しなかった(p183)

・第一世界大戦において中国山東省の青島はドイツの租借地であり、日英同盟に基づき参戦した日本は占領した、ベルサイユ条約では日本の青島権益が移譲されることが決定した、しかしこの後に、アメリカの圧力により放棄させられることになる、これに対して日本人が憤ったのは事実(p199)

・民族自決とは、アメリカ大統領ウィルソンが提唱した概念で、その民族の問題はその民族に決定させる、という考え方。この原則に従って、東欧ではポーランド、フィンランド、バルト三国が独立するが、アジアに適用されることはなかった、植民地独立を好まない、イギリス・フランスなどが反対したため(p214)

2025年8月19日読破
2025年8月19日作成

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

人種差別の定義としては人種的偏見により、ある固定の人種を差別することとあり、この撤廃・排除に向けては、国際社会が長らく様々な会議を経て議論してきた課題である。Wikipediaで人種差別を検索してみると、その撤廃に向けた経緯において、本書にも登場する牧野伸顕の写真が掲載されているのを見つける。この現代社会においては、その存在すら既に否定されつつある人種差別がかつての世界においてはごく普通になされてきた事実、特に白色人種のヨーロッパやアメリカ、オーストラリアによって日常的に存在した考え方である事は、歴史上誰も否定できない事実だ。例を挙げるなら、ヨーロッパの列強はアジアやアフリカ諸国を植民支配し、それら住民を「文明化」するという大義名分を掲げて統治し、作物や資源を搾取してきた。彼らに言わせれば、非文明状態にある(猿や家畜と同等レベルの)原住民に、技術的文化的な指導を(知識が豊かで精神的にも洗練された白人が)行っているという状態になる。古くはスペインによるインカ帝国の破壊も我々非白人から見ると衝撃的ではあるが、白人にとっては自分たちの正当な権利を行使したに過ぎない。仮にそれが多くの原住民を殺害したり、国の滅亡につながるとしてもだ。また、アメリカは長らく黒人奴隷をアフリカから輸入し(この表現自体が人をモノとしか見ていない点で正しくないが)、その労働力を国家の基盤としてきた。キング牧師が世に黒人差別を訴えるきっかけとなった、バスの白人専用席の話は余りに有名である。そしてイギリスの流刑地として白人が大量に流れ込んだオーストラリア。アボリジニー狩りは正に白人以外を動物と同じ感覚でしか扱えない感覚をそのまま表していると言える。
本書はそうした主に白人による人種差別的観点について、その成り立ちや歴史上の出来事を取り上げながら、その根深さを追求すると共に、かつての大戦(本書ではアジア・太平洋戦争を意図的に「大東亜戦争」と表現する)に於いて、日本が掲げた大義名分「大東亜の解放」の歴史を分析していく内容となっている。誰しもこの大義名分を目にした時、日本側から見た一方的な史観として懐疑的な目を向けると思うが、本書はそれ(戦争)に至る経緯の一つとしての捉え方とする。それは明治維新後近代化した日本の侵略的な側面や、アメリカとの関係性の崩壊に至った経緯などを否定するものではなく、あくまで人種差別からの解放を一つの要因であるとする立場をとる。戦争に至るまでの原因を並べていけば、それは人種問題、資源の問題、諸外国の思惑など挙げたらキリがない。それに、本書書き初めが村山談話の「国家が国民を不幸にした」とする点への批判から始まる様に、国民自体がアメリカへ仕掛けた戦争に熱狂し心酔し、熱にうなされ後押しした事実もある。それらを地層の様に積み重ねた時、あるきっかけで爆発したものに対し、一つの要因と決めつけることなど不可能だ。そしてその層が太平洋戦争と後に名付けられる大地震によって断層割れを起こした時、断面に見えるのは蓄積されたある種、国民の鬱憤の様にも見えるものである。よってその目的や目標が多数あり、後世の歴史家や研究者により解明された時の一つが人種差別という事になる。
人種差別が当時の白人社会の常識として存在していたか、日本が国際連盟を通して(前述の牧野のように)どの様に国際社会へ問題提起してきたか、そしてかつての日本が受けてきた人種差別の洗礼を見ていく事で、多様性が重視される現代社会での社会のあり方などを考えるきっかけになるのではないだろうか。豊臣秀吉のバテレン追放令を日本史で勉強すると、単なるキリスト教排除=信教の自由の否定、として捉えてしまいがちだが、その時代背景を世界史レベルや人類学的に学ぶ事により、より一層真実に迫ることができる。我々は読んだ本、見たニュース、インターネット記事などの「見えている部分」だけで判断しがちだが、物事を深く理解し自分の頭で考えてから動くべきだ、という当たり前の事の大切さに気付かされる。本書内容が全て太平洋戦争の原因を述べているわけではない。また人種差別に関する記述も、本書は極一部、日本人に関係する部分を切り取っただけに過ぎない。まず我々に必要なのは、そうした知識のピースを集めて、全体完成図となる絵画の色の濃さや構図から得られる作者の意図を探る事である。だが、それすらも作者でない他者が考える以上、完全ではない事を理解しながら、考えて生きる事なのだと思う。

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2025年07月06日

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