波多野聖のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今年の大河ドラマが明智光秀ということで、関連書籍も多く出版される中、敢えてこの1冊を私が選んだ理由は著者の波多野氏の経歴です。波多野氏は当初、国際金融の最前線で資産運用を担当したり、大手証券会社のファンドマネージャーを経て作家となった異色の経歴の持ち主です。
明智光秀が織田信長の家臣として取り立てられたのは、他の重臣よりも遅く、それにも関わらず猛烈なスピードで出世し、最後には秀吉と並ぶほどの地位を得ました。この特異ともいえる出世を現代に例えて波多野氏は”50歳前後で財閥企業に中途採用で課長待遇で入社して、3年後に筆頭取締役に昇進するようなもの”と表現されています。
信長が極めて合理主義的な人物であっただけに、光秀の出世の速さには、合理主義者信長を満足させる要素があったはずという観点で、光秀の行動を顧客満足、危機管理、情報管理、組織における個人の振る舞い方、等々の現代の会社組織で重要とされるような視点から描いておられます。
明智光秀と言えば、信長に背いて、すぐに秀吉に殺されるというヒールのようなイメージしかありませんでした。しかし本書を読む限り、武芸だけでなく茶道や和歌を嗜み、まさに文武両道でかつ主君の思いを汲み取って行動できる極めて優秀な武将であったことが分かります。その光秀が何故、信長に背くことを決意したのか。その合理的な裏付けが本書の後半部分で描かれています。
大河ドラマの予習として、大変参考なりました。余談ですが、著者の波多野氏は大阪教育大学付属高等学校平野校舎卒業です。母校が輩出した作家、というだけでも興味がそそられました。