末木文美士のレビュー一覧
-
座談会形式。それぞれの分野の一級の知性が闊達に、問題意識を提示していく。その中で、わたしの固定概念が崩れていく。読み終えて、生と死を合わせて、この世界に対して畏敬の念さえ抱いた。
若松さんの言葉にはハッとする。
「東日本大震災で宗教は言葉を失ってしまった」
「神智学協会の方向は、謎が明らかになって...続きを読むPosted by ブクログ -
興味深い指摘が多く、個人的には得るところ大であった。
ただし、仏教用語の前提知識、とりわけ、天台教学の知識がないと完全な理解は難しいだろう。
慎重でありながらも、偽作の疑いのある遺文に意義を見出して行くあたりが醍醐味か。
・消息による布教
・女性信者への機微
・文字本尊は親鸞も用いていたPosted by ブクログ -
イエス・キリストはキリスト教という新しい宗教を打ち立てたという認識はなく、既存の宗教を正しい道に戻す立場であった。日蓮も同じである。天台宗寺院で学び、天台宗の奉じる法華経が正しい教えと主張する。比叡山延暦寺を建てた最澄は自らの宗派を天台法華宗と称していた。しかし、最澄の後の天台宗は密教を取り入れるよ...続きを読むPosted by ブクログ
-
話題は多岐にわたるが、問題意識は一つ。
ポスト近代において、確かな道筋を描けるか?である。
そのために、神智学や神秘主義を参照しつつ、他者というものを掘り下げる。
ポスト近代の問題点は、覇権主義だ。
ルールさえ守れば、何をしても良いという発想だ。
根底に相対主義がある。
それでも、進む「べき」道...続きを読むPosted by ブクログ -
今年の夏から仏教の勉強を始めたが、基礎基本が分からず途方に暮れていたところこの本のことを知り購入した。入門者には分かり易い内容で重宝している。
-
日蓮の研究は、それぞれの宗門内部で活発におこなわれており、尊敬すべき仕事も多くありますが、それらはいまだ十分に宗門の外に対して開かれたものとなっていないように思われます。一方アカデミズムにおいては、戦前の日蓮主義が政治への積極的なコミットメントをおこなってきたことへの反省に立って、日蓮の国家へのかか...続きを読むPosted by ブクログ