末木文美士のレビュー一覧

  • 日本思想史
    日本古代から現代に至る様々な思想を構造化して一つの枠組みとして捉えることを試みている。本書では、日本思想における大きな枠組みを王権に関する思想(政治思想)と神仏に関する思想(宗教思想)を設定し、両者の緊張関係の間に文学や芸能などの思想が位置づけ、これを大伝統としている。大伝統は主に中世に出来上がった...続きを読む
  • 日本宗教史
    丸山真男が言う歴史を貫く唯一の古層などない。層の重なりがあり埋もれている古層を宗教史を通じ検討する。
    近代における過去の発見は近代に都合の良い古層を作り出す作業であった。古代最大の文献は記紀である。記紀神話は仏教と無関係ではなく影響がある。
    神仏習合は最も深い古層である。集合にはいくつかの形態がある...続きを読む
  • 死者と霊性 近代を問い直す
    座談会形式。それぞれの分野の一級の知性が闊達に、問題意識を提示していく。その中で、わたしの固定概念が崩れていく。読み終えて、生と死を合わせて、この世界に対して畏敬の念さえ抱いた。

    若松さんの言葉にはハッとする。
    「東日本大震災で宗教は言葉を失ってしまった」
    「神智学協会の方向は、謎が明らかになって...続きを読む
  • 日本仏教入門
    仏教より前に神道はない、言われてみればそうなんだが。そこにあったものが何であれ、かなり神道とは違う崇敬崇拝だったんだろう。善光寺の話を読みなおしてみたい。
    いつの世にも日本ガラパゴス起きるんだなあ。
    単純化してAかBかというのは、朝鮮半島の専売特許でもなさそうだ。
  • 増補 日蓮入門 ──現世を撃つ思想
    興味深い指摘が多く、個人的には得るところ大であった。
    ただし、仏教用語の前提知識、とりわけ、天台教学の知識がないと完全な理解は難しいだろう。
    慎重でありながらも、偽作の疑いのある遺文に意義を見出して行くあたりが醍醐味か。

    ・消息による布教
    ・女性信者への機微
    ・文字本尊は親鸞も用いていた
  • 日本宗教史
    日本宗教の歴史のイメージをとりあえずふんわりと抑えるという意味において、本書の持っている力というのは絶大だと思う。

    無論、新書という形態をとっている以上、細かいところまでは言及されてはいないし別の見方もあるのだろう。

    けれど、日本における「宗教」概念がどのように形成されてきたのか、そしてどのよう...続きを読む
  • 日本宗教史
    ふーむ面白かった。
    しかしあれですね。宗教ってわけわかんないですね。(いっちゃった!)
    ただ、現世利益を求めるようになったっつーのは、少なくとも余裕がでてきたからなのかしらと思いました。
    その欲求っていうのもまた、いいんだか悪いんだが…うそ寒い現代を作ったなあとおもいます。

    実感があるからなのか、...続きを読む
  • 日本宗教史
    日本の宗教史が詳しくかかれており、どのような形をえて、現在の日本のかたちなったのかが良くわかる本です。浅く広く宗教史を書いている感じで勉強になりました。
  • 日本宗教史
    最初と最後が面白かった。丸山眞男の提唱した古層論にたいして、どのように捉えるべきなのか。古層とは、一環的なものじゃなくて、それ自体が歴史的に形成されてきたもの。

    イザナミイザナギの時代の話から創価学会まで分かりやすく説明されてる。
    鎌倉仏教とかキリシタンの話は眠かったけど、大学受験の内容を復習出来...続きを読む
  • 日本宗教史
    表層に現れず私たちに蓄積されているもの。これらを「古層」というキーワードに当てはめ、日本宗教史を解説。筆者の立場は、日本古来の「古層」は存在ぜず(解明されておらず)、歴史的に作られたものだとする。確かに、古事記や日本書紀が書かれたのは天武朝以降のことであり、それ以前の文字史料はないのだから、その通り...続きを読む
  • 日本宗教史
    神道だけでなくその他の日本で信仰されたり影響を与えた宗教の歴史をざっとさらっており、しかし新書の丁度読みやすい分量であった。末尾の現代宗教の言及から、日本人が宗教に耽溺していることを危険とし、少なくとも良くは思わないという風潮から現代日本人は曖昧な信仰心を抱き、それが俗に言う日本人の無宗教的思想の根...続きを読む
  • 増補 日蓮入門 ──現世を撃つ思想
    イエス・キリストはキリスト教という新しい宗教を打ち立てたという認識はなく、既存の宗教を正しい道に戻す立場であった。日蓮も同じである。天台宗寺院で学び、天台宗の奉じる法華経が正しい教えと主張する。比叡山延暦寺を建てた最澄は自らの宗派を天台法華宗と称していた。しかし、最澄の後の天台宗は密教を取り入れるよ...続きを読む
  • 死者と霊性の哲学 ポスト近代を生き抜く仏教と神智学の智慧
    話題は多岐にわたるが、問題意識は一つ。
    ポスト近代において、確かな道筋を描けるか?である。
    そのために、神智学や神秘主義を参照しつつ、他者というものを掘り下げる。

    ポスト近代の問題点は、覇権主義だ。
    ルールさえ守れば、何をしても良いという発想だ。
    根底に相対主義がある。

    それでも、進む「べき」道...続きを読む
  • 日本思想史
    日本思想史をコンパクトにまとめている良著。日本の三段階を、明治維新、敗戦で区切っているところがポイント。基本的にバランスよくまとめてあると思う。
  • 日本宗教史
    古代から現代にいたるまでの日本における宗教の歴史をたどりつつ、著者自身の関心にもとづく考察をおこなっている本です。

    著者は、丸山眞男の「古層」の概念に触れて、「古層」は歴史を通して一貫したものとして存在しているのではなく、むしろ歴史のなかでつくられてきたものと考えるべきなのではないかと主張します。...続きを読む
  • 日本仏教入門

    仏教の基礎基本

    今年の夏から仏教の勉強を始めたが、基礎基本が分からず途方に暮れていたところこの本のことを知り購入した。入門者には分かり易い内容で重宝している。
  • 増補 日蓮入門 ──現世を撃つ思想
    さすが東大の権威。すごい説得力。知ってる情報を再確認する読み方でも認識を新たにさせられる。おすすめ。
  • 増補 日蓮入門 ──現世を撃つ思想
    日蓮の研究は、それぞれの宗門内部で活発におこなわれており、尊敬すべき仕事も多くありますが、それらはいまだ十分に宗門の外に対して開かれたものとなっていないように思われます。一方アカデミズムにおいては、戦前の日蓮主義が政治への積極的なコミットメントをおこなってきたことへの反省に立って、日蓮の国家へのかか...続きを読む
  • 日本宗教史
    前半はキレの良い部分もあったが、後半は粗っぽい印象を受けた。

    記紀神話の政治性、聖の登場、聖地化、キリスト教と権力者の神格化、国家神道の詭弁。
  • 日本宗教史
    正月は神社に初詣に行き、結婚式はキリスト教の教会で挙げ、盆に先祖の霊を迎え、クリスマスを祝い、葬儀は仏式で行う…、そんな無節操さを、しばしば批判的な論調で語られることが多い日本人。
    私自身、まったくの無宗教・無信心で、いわゆる信仰というものに対する嗜好は皆無だが、日本に生まれ暮らす日本人の一人として...続きを読む