木村裕美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前作の風の影と比べるとよりダークで暴力的だけど幻想的かつ複雑で特に下巻に入って以降のたたみかける展開は読ませる。正直なところ全てが理解できているとは思えないけど外縁をなぞっているだけでも物語に引き込まれてて翻弄される。本を巡る物語ではあるけどもっと人間の奥底にある何かを信じる気持ちを揺さぶるような、そしてそんな世界を作る側の立場からの物語を作るような壮大さを感じる。とはいえ深く考えることをしなくてもエンターテイメントとしても完全に楽しめる。序盤は風の影もそうだったけどスローなスタートなのでそこを越えるまでは我慢。登場人物や道具立てなど村上春樹の作品に似てるなあと感じるところもあったけど多少の影
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Posted by ブクログ
<上・下巻併せての評です>
ピレネー山脈の両麓に位置してビスケー湾に面し、フランスとスペイン両国に跨がるバスク地方。古くから独自の言語、バスク語を話す民族が暮らす土地だが、現在は国境によって北はフランス領、南はスペイン領に分断される形になっている。この小説は、スペイン側のギプスコア県にある村に暮らす二家族の確執を描く。確執を生み出すもとになったのは、民族独立運動から派生し、今やヨーロッパ最後のテロ組織といわれるETA(バスク祖国と自由)が起こした殺人事件。
殺されたのは、村で運送会社を経営するチャト。それ以前からETAに運動資金として多額の金銭を要求されていた。何度か応じはしたものの、相手 -
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スペインのベストセラー作家サフォン。
「風の影」「天使のゲーム」に続く「忘れられた本の墓場」シリーズ4部作の3作目。
前2作よりはだいぶ薄いので、迷宮のような重厚さ複雑さはややシンプルに。
妖しい雰囲気と登場人物の哀しいまでの純粋さは同じです。
スペインでは内戦が終わって間もない1957年、バルセロナ。
ダニエルはその名も「センペーレと息子書店」という父の書店で働いています。
怪しげな雰囲気の男が書店に現れ、親友フェルミンへメッセージを残します。
フェルミンは結婚を間近に控えているのですが‥?
フェルミンが語り始めた過去は。
18年前、監獄に入っていたこと。そこで出会った作家マルティンのこ -
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ネタバレ前作「風の影」に続いて【忘れられて本の墓場】が登場する第2弾。
今回も舞台はバルセロナ、年代は1917年から始まる。
主人公の少年の不幸な生い立ちから大人になって、執筆業に携わるようになるいきさつ、そこに現れたのが謎の編集者と曰くのある謎の館、ダビット(少年だった主人公)はいつしかその数々の謎に足を踏み入れてしまう・・・
前回も書いたかもしれないけれど、バルセロナという街、街自体がミステリアスです。私の中でですけど。
一昔という年代の設定でもあるかもしれませんが、一言で言い表せないような・・・でも魅力的。
佐野元春の歌の中にも出てきましたがそのイメージとも重なります。