あらすじ
世界的ベストセラー『風の影』第2弾!――ダビッドが契約していた出版社が放火されて経営者が亡くなり、刑事にマークされる生活が始まる。いっぽうで移り住んだ“塔の館”のかつての住人ディエゴ・マルラスカが不審な死に方をしていたことがわかり、関係者を訪ね歩くダビッド。調べていくうちに、マルラスカと自分に複数の共通点が見つかり、彼を襲った悲劇に囚われていく。不可解な出来事、殺人事件。“塔の館"の過去とは? “本に宿る作家の魂”を描く珠玉の文学ミステリー!!
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Posted by ブクログ
まさに傑作という言葉が相応しい作品。
前作の「風の影」以上に様々な事柄が複雑に絡み合い繋がっていく作風は見事だった。
途中、人名が混ぜこぜになってしまって混乱したので間を空けずに読むことが大事だと思った。
最後に、「風の影」の主人公であるダニエルの誕生の話が出てきたところで感動と驚きがあった。
ダニエルのあの性格は母親譲りなんだろうなぁと思えて幸せな気持ちになった。
著者、訳者、ともにあっぱれです。
Posted by ブクログ
読み進めながら、『風の影』との時系列の関係を整理していたら、なるほど、ダニエルの父が若い時の時代なのか!(気づくの遅すぎる…)
重ためのストーリーの中、センペーレ(息子)とイサベッラのサブストーリーが唯一の癒しだった。
ただ、私の理解力が及ばず、事件の流れは未だに整理しきれていない…。これは2周目しなければ!
Posted by ブクログ
バルセロナを舞台に描かれた、忘れられた本の墓場をめぐる幻想的なミステリーの第二部。
風変わりな依頼を受けた作家が、奇妙な出来事に巻き込まれていく。
『風の影』に続く作品ではあるが、時間は遡りその前章譚といえる位置づけ。最後まで読むと、エピローグが前作につながっていく。
たくさんの謎がきれいに解き明かされていく前作とは異なり、オカルトのような要素も加わって、どこまでが現実の出来事なのか、読むほどに迷宮の奥へと入り込んでしまうような怖さに絡め取られていく。
作家の悲しみ、苦しみがやるせない。
幸い続編も手元にあるので、すぐに続きを読もう。
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ダビッド・マルティン17歳。幼き頃に母は出て行き、父は堕落と貧困の果てに死んだ。重苦しい彼の人生において、唯一幸福と呼べるものは本の中にのみあった。落ちぶれた新聞社で雑務をこなしながら小説の執筆をしてなんとか生きている……そんなある日、1通の手紙が届く。擬羊皮紙の封筒に翼を広げた天使のシーリングスタンプ。赤インクの美しい筆跡で書かれた内容は、作品への称賛とダビッドをバルセロナのミステリーへ誘う妖しい招待状―――壮大な天使のゲームのはじまりだった。
“忘れられた本の墓場”シリーズ2作目。前回『風の影』主人公は読者という立場だったが、今回は作者としての視点から展開する物語。物書きの描く物書きだけに、その言葉には実感を伴う重みがある。濃厚なストーリーに引き込まれ、夢中で読んだ。ホントおもしろい!!様々な要素が前作とリンクしさらに次へと…シリーズは4部作。これからが楽しみでならない。ああああそれにしても!!!!なんて魅力的な文章を書く人なんやろう!!!!なにげない情景も心理描写も展開のリズムも彼らの粋なジョークもハッとする見識も、語られる言葉、会話のやりとり……本の隅から隅まで魅了される、色気がある。何度も文をたどっては…ああこんな文章書けたらいいなとかしみじみ感じ入る今日この頃。
Posted by ブクログ
上巻を読んで、今回は正直ちょっと期待外れかな?と思っていました。
ゴメンナサイ!!
下巻では、謎になっていた様々な出来事が繋がって、
本当にページを繰る手が止まりませんでした~><
前作で登場した少年ダニエルが、こんな形で出てくるなんて嬉しい。
「天使のゲーム」のエピローグが前作「風の影」に繋がっているのですね。
プロットの巧みさ、溢れ出す美妙な言葉の奔流に圧倒されました。
ミステリというよりは、幻想小説のような趣ですね。
イサベッラとのかけがえのない友情、
クリスティーナとの身を焦がすような切ない恋も物語に華を添えています。
それにしてもラストの展開は驚きですね…!(好きです^^)
さて、この<忘れられた本の墓場>シリーズは四部作になるとのこと。
パズルのピースが全て埋まった時、どんな世界を見せてくれるのでしょう?
今から待ち遠しいです☆
Posted by ブクログ
20世紀前半のバルセロナを舞台にした、きらきらしいゴシック・オペラ。
上巻よりも幻想小説になっているので、おお、こう来たか!と‥
上巻でも十分その要素は出ていたんだけど、ミステリ読みでいける範囲内だったのよね。
「忘れられた本の墓場」で見つけた「不滅の光」という本を持ち帰ったダビッド・マルティン。
宗教書のように見えた本は、書き手が錯乱しているかのような内容。
しかも、ダビッドの住む「塔の家」の前の住人マルラスカが書いたものだった。
マルラスカには、いったい何が起きたのか‥
ダビッドの前に、依頼どおりの本を書いてくれたら巨額の金を支払うという編集者が現れる。
どこか不気味な編集者コレッリの仕事をすることを、最初はためらうのだが‥?
前の契約が終わっていないあこぎな出版社が放火で焼失し、ダビッドは自由の身に。しかし、それで警察に疑われることに。
運命の女性クリスティーナが、ダビッドの元にやってくるが‥?
行く先々で不思議な出来事が起こり、つぎつぎに不慮の死が‥!
めくるめく感覚、惑いと恐怖のさなか、若い助手のイサベッラとの友情が一筋さわやか。
思いがけない結末に、静謐な印象が残ります。
エピローグが1945年6月で、「風の影」の冒頭に繋がるのも楽しい。
Posted by ブクログ
読み終わるのが惜しい本。読み進みたいけど、読み終わりたくないというジレンマ。私は風の影よりも引き込まれた。こんな風に文章を綴れる作家はそうはいない。
後編は切ない展開で、最後は涙で目が…。
ストーリー、美しい言葉、とりわけ訳者さんの日本語力に脱帽です。
いろんな解釈が出来そうなので読み返したい。
4部作全部読むとまた新しい世界が広がりそう。待ちきれない。
Posted by ブクログ
ネタバレ注意!これはなんだろう?見事にひっくり返された。こっちに行くか?と唖然です。不滅の光の復讐か。この方向はジョナサン・キャロルですかね~~全然よそくできなかったのでびっくりです。でも面白かったです。下手な感想が書けない本です。塔の館はやっぱり焼けました。これは予測の範囲内でした。だけど、主人公ダビッド、マルティンがこんなことになるとは・・・ジャンルを超えた・・・そりゃ越えますね~許せない人もいるかもしれないけど、許します。これぞ、ミステリ!!さいごは怒涛の展開でした。イサベッラ、幸せだっただろうか?良かったけど、前作の「風の影」の方が好きです。
Posted by ブクログ
時空間が複雑に交錯して物語が進むので、説明なんて無理はやめた。
これはすごい!面白い! 4部作の2作目らしいので、早く続きを発表して欲しい。翻訳者の方にも頑張ってほしい。
帯には「全世界の遺産である」とのイギリス紙の評価が載っている。
大袈裟ではなく、本当に歴史的な小説にいまめぐり合っているのかもしれない。
もう一度『風の影』読もう。
Posted by ブクログ
面白かったです。
下巻は登場人物が何人も死んでしまい辛かったですが、
内容はとても興味深く、夢中になって一気に読みました。
墓標のところでは、つい声を出してしまうくらいワクワクしました。
物語の締めくくりも とてもよかったです。
Posted by ブクログ
「人がそのために生きたり死んだりするほどの物語をつくることに、きみは心をそそられませんか? そのために人を殺し、あるいは殺される、そのために犠牲になり、罰をうける、そのために魂をささげるほどの物語ですよ。きみの職業で、これほど大きな挑戦がありますか? フィクションを超越して、“啓示の書”になりうるだけの力をもった物語をつくるんですよ」
2020/5/20
まさに“悪魔の囁き”。しかも、この物語がダビッドの妄想に基づくものなのかが曖昧な所がまた不安を醸し出すのである。
Posted by ブクログ
前作の風の影と比べるとよりダークで暴力的だけど幻想的かつ複雑で特に下巻に入って以降のたたみかける展開は読ませる。正直なところ全てが理解できているとは思えないけど外縁をなぞっているだけでも物語に引き込まれてて翻弄される。本を巡る物語ではあるけどもっと人間の奥底にある何かを信じる気持ちを揺さぶるような、そしてそんな世界を作る側の立場からの物語を作るような壮大さを感じる。とはいえ深く考えることをしなくてもエンターテイメントとしても完全に楽しめる。序盤は風の影もそうだったけどスローなスタートなのでそこを越えるまでは我慢。登場人物や道具立てなど村上春樹の作品に似てるなあと感じるところもあったけど多少の影響はあるのかな?
Posted by ブクログ
上に続き、バルセロナの街の暗部を感じることができる作品。この作家の描写が素晴らしく、タイムスリップして小説の世界に没入できる。他の作品も是非読んでみたい。
Posted by ブクログ
忘れられた本の墓場シリーズ、第二作目。
第二作目だが、風の影の前の時代のお話。
全体的に不穏な感じだったが、イサベッラの明るさに救われたかなー?
次作も楽しみ。
Posted by ブクログ
『風の影』シリーズでの伝説の作家・マルティンのお話。
コレッリ、マルラスカなど謎の多い人々に翻弄されながら
命を削るように小説を紡いでいく……
クリスティーナの死に際が壮絶だったのだが、
エピローグで再生? 続きが気になる!
シリーズ最終刊、日本語訳が待ち遠しい!
Posted by ブクログ
こういう雰囲気は好きです。
前作 風の影 のほうがよかったかもですが、
全体を覆う微妙な湿度や翳りが 気に入ってます。
ちょっと最後の方に少し不満がありますが、
大半は楽しませて頂きました。
また時間が経ったら 読みたくなる作家さんですね
他にこういう感じいないですからね。
Posted by ブクログ
前作「風の影」に続くバルセロナを舞台に、書く側、作家の立場から話が進む「天使のゲーム」。
塔の館に住んでいた、前住民と同じ運命を辿っている事に気がついたダビット。身の危険を感じながらも、真実を求めて進んで行く。
コレッリは一体何者なのか。
過去と現在が意外な所で繋がるのも読み応えあり。
次の3作目も早く出てほしい!
Posted by ブクログ
『風の影』と時代は違うが、『センペーレと息子書店』の佇まいが変わらずあって、呪われた『塔の館』とともに、繋がっていく物語の面白さがある。最後になっても謎がすっきりしたわけでもなく、クリスティーナの写真でますますホラー的な要素が強まって、精神病との境界が不明だ。ただ、イサベッラの手紙は真実の愛が確かにあって、本当にただ一つの美しい物という感じがした。
Posted by ブクログ
その話は、夢幻なのか、現実なのか。
手に入れたと思った愛は、一瞬のうちに姿を消し、哀しみと憂いを秘めて再び姿を現す。
支えられた人もいつか目の前から消え去り、我が身だけがつと残る。
いのちは…生きる目的は…どこにあるのだろう。
サフォンが紡ぎだす物語に、読者はただ酔いしれてしまう。
Posted by ブクログ
よんだ、よんだよ、おもしろかったけど、オチが想像と激しく離れた部分に着地して、あっそうゆう話だったの、そうゆう世界だったの・・・!?って。イザベッラがひたすら可愛かった。「友達だよな?」「死が二人を別つまで」いい子すぎる。
Posted by ブクログ
最初はこれミステリー?て思う出だしだが、主人公が自分にオファーを出した謎の編集者の正体を追ううち、殺人事件が発生する。
終盤犯人が明かされるが、それでもなお、魔法の街バルセロナの不思議が残る。
全体的にバルセロナの街の魔法、魔術的な雰囲気をただよわせる本。
犯人探しの推理を楽しむのではなく、作者の魔術にのせられて読むのが良いと思う。
Posted by ブクログ
中盤から終盤にかけてどんどん周囲の人が亡くなっていき不気味さが増す。マルティンはただのヒョロヒョロの物書きのはずが、どうして刑事相手にやり合えるのか謎。
終盤コレッリの影が出てこず、コレッリはどうした!?と突っ込まずにはいられなかった。
クリスティーナはただただ悲劇としか言いようがないし、結局ディエゴ・マルラスカの存在もイマイチはっきりしない。
読ませる割に腹落ち感がなく、後味がよくない。
一体コレッリは何者だったのか。
時空を超える、永遠の魂など本当にあるのか。
ミステリーを超えたファンタジーのような物語だった。
Posted by ブクログ
そうかー、そう来るのかー
それはでも無茶やわー
四部作の二作目で急にそれは無茶やわー
むしろどう収束させるのか気になって早く次読みたいわー
ということで、一応このパターンもあるかなという予想の範疇ではありましたが、やっぱり無茶してきよる
同じ世界なのに世界観変えて来やがったのよ
しかも(繰り返しになるけど)四部作の途中なのよ
まぁ誰も読んでないだろうからぶっちゃけちゃうけど、前作では一見ファンタジーに思えたことが実は裏であーなっててこーなってて最後にそれが明かされてうわーだったのよ
でも今作はファンタジーに思えたことがそのまんまファンタジーっていう
うそ〜ん
だって共通する登場人物とかいるんだよ?
うそ〜ん
で、しかもこの世界観はわしちょっと苦手っていうね
宗教色ちょっと強めなのよね
いや残りどうすんだろ?
ある意味楽しみやわ〜
Posted by ブクログ
あれっ?幻想的なミステリーだと思ってたのに、ミステリーみたいな幻想小説だったの?
最後は流血がいっぱいで色んな人が死んでしまってグロテスクなのだけれど、結局のところ何の犯人を探していたのか、何が一番の問題だったのか分からないまま、私の頭の中はとっ散らかっております。
結局、上巻で「忘れられた本の墓場」へ行ったときから時空を超えた“天使”の罠に捕まったということなのかな?この小説の主人公は小説家なので、作者のカルロス・ルイス・サフォン自身が主人公でもあり、天使でもあったのかもね。
でも、私は実は伏線はこの小説の外にあるのではないかと期待している。
それは主人公ダビッドが子供の頃にセンペーレ古書店の店主にもらったディケンズの小説「大いなる遺産」だ。ダビッドは字の読めない、戦争帰りの荒れ狂った父親に育てられ、本を読むことを許して貰えなかったのだが、優しいセンペーレ古書店の店主が少年ダビッドに「大いなる遺産」をプレゼントしてくれたのだ。ダビッドはその本を大切に大切にしていたけれど、暴力をふるう父親からその本を守るために、一度店主に「この本を守って下さい」と言って返し、作家になったときに、再び巡り巡ってダビッドの手に戻ってきたのである。
この作者カルロス・ルイス・サフォン氏の作家としての思いと本に対する愛情が込められた作品ということかな。
とにかく、「大いなる遺産」を読もう。
Posted by ブクログ
下巻は、上巻よりもっと話が入り組んで、ややこしくなってきた。
細切れに読んでいると訳が分からなくなってくる。
本にまつわる話というのは全編を通してのテーマなのだけれど、ミステリーに加えて、最後は謎の依頼人との対決、刑事との闘いとハードボイルドの要素も出てきた。
それも暗い、陰湿なイメージのバルセロナを舞台に繰り広げられる。
何人もの人が死んでいく、というのもちょっと気が滅入った。
Posted by ブクログ
”本の墓場”シリーズ第2弾。
本の墓場とは今回は関わりが薄く、さらっと出てくるだけで、別の話となっている。
小説家が莫大な報酬で執筆を依頼され、仕事を進めるのだが、疑問をもち、謎を追いかけ解いていこうとする話。
ほとんど眠らず、食べず、書くことに憑かれた様子が書かれているところが伝わってくるものがあった。
ストーリーの内容に関しては少々わからないような腑に落ちないような部分があり、前作「風の影」のほうがおもしろかった。
第3弾、4弾に期待する。
Posted by ブクログ
Shadow of the wind の続編ということで,待ち遠しかった本.英語で読んでしまおうかとも思ったくらい.でも翻訳を待ってよかったかも.謎の編集者コレッリとの宗教に関する議論のところはたぶん英語だとまったくわからなかっただろう.日本語でもあんまり読みたくないところ.
さて,物語にぐいぐい引っ張られて,二冊本を私にしてはかなり速く読み終えた.下巻の残り三分の一くらいから,急に幻想小説というのか,現実が溶けていくような感覚になるところが,私の好みではなかった.4部作の第二作ということで,新しいのがでたらまた読んでしまうかな.できれば,記憶が薄れないうちにでて欲しい.
Posted by ブクログ
「寓話」を作ろうとして逃げ、自身が誰にも読まれない「寓話」になった男の話…かな?
途中主人公と同じように何が真実かわからなくなり翻弄される。
解説読むまで正体わかってなかったよ…。とほほ。
「風の影」には及ばないものの作品の雰囲気は相変わらず好き。