木村裕美のレビュー一覧
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不遇のただ中にいた若き作家は謎めいた編集者の存在によって、自身の人生を変えていく。しかしその編集者との契約は、必ずしも素晴らしいものとは言い切れず……、ということで、〈忘れられた本の墓場〉シリーズの二作目です。忘れられた本の墓場の幻想的なイメージは、新たな視点から語られることで、さらなる奥行きが出てきていて、とても魅力的です。
時代は『風の影』から遡って、1910年代~1920年代が作品の舞台になっています。『風の影』の前日譚的な色合いも強い作品的で、結末にいたって、「そうか、こういうふうにダニエル(前回の主人公)は」と物語から物語へとバトンの渡されていく一方で、ダビッドの物語はまだ終わ -
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名探偵ヒマキュール・ポメロ登場!(ババーン)
謎解きの時間です
ほほう、『風の影』四部作の三作目ですか…ズバリ!本当は三部作だったんじゃないですか?
でも、明らかに二作目の『天使のゲーム』がそうでもなかったんで、一作目で大人気だったダニエル&フェルミンを主人公に戻して最終作を前に急遽一冊ねじ込んて人気を取り戻したかった!
違いますか?!
うん、ぜんぜん違ーう!w(名探偵退場)
いやいやいや、なんか色々明かされた!
そうだったんか!っていう
一作目と二作目の謎が明かされあっちとこっちが繫がっていやそういうことなら話変わってくるやん!
そういうことなら『天使のゲーム』★3じゃないやん!
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フェルミンの過去、内戦直後を背景として、前作の『天使のゲーム』における主人公ダビッド・マルティンも深く絡むお話。
フェルミンの過去は想像以上に重たいだろうなと思い、第四作の『精霊たちの迷宮』の後に読んだ。感想としては、順番に読めば良かったと思った。たしかに、著者としては、どこから読み始めても大丈夫なようにしているようだし、実際ドラマみたく順番に見ないと分からなくなるということはない。でも、順番に見て行った方が後々の作品へののめり込み度合いが違ってくる。たとえば、『精霊たちの迷宮』に出てくるマウリシオ・バルスも、『天国の囚人』を読んでからの方が「こいつ…!」って感じで感情移入しながら読める。 -
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「バスク人の国を作る」ための独立運動盛んな時代のスペイン・バスク地方。家族同然の付き合いだった二つの家は、過激派となった一方の息子がもう片方の父親を銃殺したことで疎遠になった。夫を殺された妻は、20年の時を経て真実を明らかにしたいと願う。夫を殺したのは、本当に彼なのか?
一章が5ページ程度と短く、2家族9人のメンバーが代わる代わる語り手となってモンタージュのように20年の出来事を語る。計算された不親切さで、時系列もばらばらなうえ肝心な出来事がなかなか解説されない。少しずつ輪郭がクリアに、年表が埋まっていき、ラストのカタルシスを生み出すことに成功してると思う。
原題のpatriaは故郷という -
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ダビッド・マルティン17歳。幼き頃に母は出て行き、父は堕落と貧困の果てに死んだ。重苦しい彼の人生において、唯一幸福と呼べるものは本の中にのみあった。落ちぶれた新聞社で雑務をこなしながら小説の執筆をしてなんとか生きている……そんなある日、1通の手紙が届く。擬羊皮紙の封筒に翼を広げた天使のシーリングスタンプ。赤インクの美しい筆跡で書かれた内容は、作品への称賛とダビッドをバルセロナのミステリーへ誘う妖しい招待状―――壮大な天使のゲームのはじまりだった。
“忘れられた本の墓場”シリーズ2作目。前回『風の影』主人公は読者という立場だったが、今回は作者としての視点から展開する物語。物書きの描く物書きだけ -
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あぁもう、みんなにこの本買ってあげたい。
そのくらい素晴らしい!
サフォン、すげえ、すげえよ!!
前作で物語の素晴らしさは折り紙つきだけど
またとんでもない物語を紡いでくれました。
たしかに前作とは主人公も違って書き手側で
多少重くて、暗いお話かもしれん。
ある契約に基づいて物語を作っていくのだけど
誰のため、何のためか分かってくる後半は
暗い幻想に溺れながらも読む手は止まらない。
ただ、アシスタント役のイサベッラが素敵すぎ♪
暗い主人公をパーフェクトに支えてくれます。
こんな人に出会えたら、一生離さないと思う。
ラストの手紙、最後の一行は
書く事を仕事にする人にとっては最高の言葉よね -
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上巻を読んで、今回は正直ちょっと期待外れかな?と思っていました。
ゴメンナサイ!!
下巻では、謎になっていた様々な出来事が繋がって、
本当にページを繰る手が止まりませんでした~><
前作で登場した少年ダニエルが、こんな形で出てくるなんて嬉しい。
「天使のゲーム」のエピローグが前作「風の影」に繋がっているのですね。
プロットの巧みさ、溢れ出す美妙な言葉の奔流に圧倒されました。
ミステリというよりは、幻想小説のような趣ですね。
イサベッラとのかけがえのない友情、
クリスティーナとの身を焦がすような切ない恋も物語に華を添えています。
それにしてもラストの展開は驚きですね…!(好きです^^)
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20世紀前半のバルセロナを舞台にした、きらきらしいゴシック・オペラ。
上巻よりも幻想小説になっているので、おお、こう来たか!と‥
上巻でも十分その要素は出ていたんだけど、ミステリ読みでいける範囲内だったのよね。
「忘れられた本の墓場」で見つけた「不滅の光」という本を持ち帰ったダビッド・マルティン。
宗教書のように見えた本は、書き手が錯乱しているかのような内容。
しかも、ダビッドの住む「塔の家」の前の住人マルラスカが書いたものだった。
マルラスカには、いったい何が起きたのか‥
ダビッドの前に、依頼どおりの本を書いてくれたら巨額の金を支払うという編集者が現れる。
どこか不気味な編集者コレッリの仕 -
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ベストセラー「風の影」の続編。
「忘れられた本の墓場」という秘密の書庫があるという本好きには嬉しい話がまた出てくる物語。
主人公は違いますが、前作の親子も出てきます。
1917年、バルセロナに始まります。
ダビッド・マルティンは17歳。
父は本も読めない男で、戦後妻に逃げられ、不遇な暮らし。
息子が本を読むのを好まず、ダビッドは子供時代に「大いなる遺産」という本に魅せられますが、本屋に返しに行きます。
その本屋が「センペーレと息子書店」
新聞社の守衛をしていた父が死に、ダビッドはそこの使い走りに。
「産業の声」という新聞の穴埋めに、小説を書くチャンスを与えられます。
大金持ちの御曹司で作家 -
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ネタバレネタバレ注意!これはなんだろう?見事にひっくり返された。こっちに行くか?と唖然です。不滅の光の復讐か。この方向はジョナサン・キャロルですかね~~全然よそくできなかったのでびっくりです。でも面白かったです。下手な感想が書けない本です。塔の館はやっぱり焼けました。これは予測の範囲内でした。だけど、主人公ダビッド、マルティンがこんなことになるとは・・・ジャンルを超えた・・・そりゃ越えますね~許せない人もいるかもしれないけど、許します。これぞ、ミステリ!!さいごは怒涛の展開でした。イサベッラ、幸せだっただろうか?良かったけど、前作の「風の影」の方が好きです。