木村裕美のレビュー一覧
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ネタバレ全部で四部作であると言う三作目。
一部と二部はほんの少し繋がりがあるか、と言う具合だったけど、三部になってから一気にそれぞれの登場人物が出て来て、どう繋がって行くのが興味深い。
話しはそれぞれの部で完結しているとのことだが、これは四部がすごく気になる。二部のどんでん返しに疑問が出て来るし、どの見方をするかで話の内容が変わってしまいそうなくらい。
舞台はスペインで、小説はスペインの内戦とフランコ独裁を通り抜けている。この時代の背景がスペイン人の人達の心にどう落とし込まれたか、主人公や登場人物の心や人生にも大きく関わっているのがよくわかる。
作品の中のスペイン人達の会話が面白い。とってもまわ -
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ネタバレ『風の影』と同じシリーズで、「忘れられた本の墓場」が登場する本。読みだすと何故か止まらなくなる本です。
『天使のゲーム』は『風の影』とはまったく趣が違う。『天使のゲーム』を読んでいると、上巻から下巻の最初までは、全体を把握できていたつもりだったのに、突然、なんだかまったくわからなくなると言うことになる。
そして、最後まで読むと、さらに何が起きたのかがまったく不透明になると言う、普通のミステリー小説ではあり得ない感じ。このシリーズは第4弾まであるらしいので、その中で少し関わってくるのかな?
スペインの街並みの話しや、スペイン人の人柄にも触れる事が出来るので、その辺りも楽しい本。
『風の影 -
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内戦終了後間もない1957年のクリスマスを目前に控えたバルセロナ、旧市街にある「センベーレと息子書店」を訪れたのは、古臭い仕立ての黒い背広を着て杖を突いた年寄りだった。猛禽を思わせる目をした男は鍵つきの書棚から『モンテ・クリスト伯』を選ぶと、不自由な手でメッセージをしたためた。《死者のなかからよみがえり、未来の鍵をもつフェルミン・ロメロ・デ・トーレスへ。十三より》と。使用人で店主の息子ダニエルの親友でもあるフェルミンに本を贈ったのはいったい何者、不吉なメッセージは何を意味するのか。
心配するダニエルの問いに重い口を開いたフェルミンがぽつぽつと語り始めたのは、内戦からフランコ独裁に至るスペイン -
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「風の影」が良かったので、その第2弾ということで購入
「風の影」の冒頭にでてくるバルセロナの「忘れられた本の墓場」が本作にも登場する。訳者あとがきによると「忘れられた本の墓場」4部作の第2弾らしい。
本作は「風の影」より少し前の時代で1928~1930年頃の時代設定で、1926年に建築家ガウディが没し、1929年に世界恐慌が始まるという時代背景がある。
この本のエピローグに主人公に送られてきた女性の手紙の中に「ダニエル」という息子が出てくるが、これが「風の影」の冒頭にでてくる「センペーレ古書店」の息子「ダニエル」で、前作につながっている。
感想は下巻で -
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・ カルロス・ルイス・サフォ ン「マリーナ バルセロナの亡霊たち」(集英 社文庫)の「訳者あとがき」によつてこの物語の粗筋をできる限り 短い言葉で言へば、「ゴシック・ロマンの香りが全編ただよう本作 は、ミハイル・コルベニクなる人物をめぐる謎追いを経糸に、オス カルとマリーナの友愛を緯糸にして、一九七九ー八〇年の『現在』 と、その半世紀まえの『過去』の逸話を行きつ戻りつしながら紡が れていく。」(309頁)。主たる物語はミハイルだが、そこにオ スカルとマリーナが絡むといふことである。これを物語巻頭の文章 から引けば、「時という大洋がそこに埋めた思い出を、遅かれ早か れ返してくるなんて、あのころの