木村裕美のレビュー一覧
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「風の影」が良かったので、その第2弾ということで購入
「風の影」の冒頭にでてくるバルセロナの「忘れられた本の墓場」が本作にも登場する。訳者あとがきによると「忘れられた本の墓場」4部作の第2弾らしい。
本作は「風の影」より少し前の時代で1928~1930年頃の時代設定で、1926年に建築家ガウディが没し、1929年に世界恐慌が始まるという時代背景がある。
この本のエピローグに主人公に送られてきた女性の手紙の中に「ダニエル」という息子が出てくるが、これが「風の影」の冒頭にでてくる「センペーレ古書店」の息子「ダニエル」で、前作につながっている。
感想は下巻で -
Posted by ブクログ
・ カルロス・ルイス・サフォ ン「マリーナ バルセロナの亡霊たち」(集英社文庫)の「訳者あとがき」によつてこの物語の粗筋をできる限り短い言葉で言へば、「ゴシック・ロマンの香りが全編ただよう本作は、ミハイル・コルベニクなる人物をめぐる謎追いを経糸に、オスカルとマリーナの友愛を緯糸にして、一九七九ー八〇年の『現在』 と、その半世紀まえの『過去』の逸話を行きつ戻りつしながら紡がれていく。」(309頁)。主たる物語はミハイルだが、そこにオスカルとマリーナが絡むといふことである。これを物語巻頭の文章から引けば、「時という大洋がそこに埋めた思い出を、遅かれ早かれ返してくるなんて、あのころのぼくは知らなかった。十五年後、 あの日の記憶がぼくにもどってきた。(中略)魂の屋根裏部屋に鍵をかけてしまいこんだ秘密を、ぼくらの誰もがもっている。(原文改行)ぼくにとっては、この物語が、まさにそれなのだ。」(15 頁)といふことであらう。最後になつてやつと気づくのだが、これ はオスカルの言はば手記であつた。その「謎追い」の経糸が極めておもしろい。
・オスカルがマリーナの屋敷に侵入したのをきつかけに2人は友人 となる。その後、実にいろいろなことが起きる。そのどれもが「ゴシック・ロマンの香り」である。マリーナの屋敷で事件は起きない が、しかしその香りは十分である。鉄柵の「門のむこうには何十年も置き去りの雰囲気の古風な庭の名残がひろがり、茂みのあいだに二階建ての館のシルエットがうかがわれた。陰気なファサードがそそりたち、長年で苔むした彫像たちの噴水が手前にある。」(19 頁)その家で最初の事件は起きた。と言つても、これが2人の出会ひにつながるだけのこと、事件といふならば、逃げ出す時に「途中で蓄音機にぶつかって倒してしまった。」(22頁)ことぐらゐで、この先に起こる事件に比べたら全くたいしたことではない。マリーナの屋敷に入つた理由を問はれて、オスカルは「謎めいてたから、かな……」(36頁)と答へる。初めから謎であつた。最後に王立大劇場が舞台となる。「永遠につづく誰もいない平土間のうえで巨大なシャンデリアが訪れることのない電気の接続を待っていた。」(224頁)り、「一階席の中央通路に敷かれた幅広いじゅうたんは行きつく先のない永遠の道のりを紡いでいた。」(225 頁)つまりは廃墟である。使はれることなく廃墟と化した歌劇場である。これもまたゴシック・ロマンにふさはしい。ここで起きる出来事、いや事件は、事件といふだけでは足りないであらう。それほどの事件である。1つだけ書いておけば、ここで恐怖をもたらすのは、いはばフランケンシュタインの創造物もどきである。これももちろん謎である。この物語の場所は廃墟の如きがほとんどである。 現在生きてゐてミハイルを語る人達は普通に暮らしてゐるが、話の中に出てくるのは廃墟か廃墟もどきであり、そこは謎に包まれてゐる。ゴシック・ロマンの香りはさういふ中から漂つてくる。これが経糸である。おもしろい。これをあまりに型通りすぎると言ふのは野暮であらう。ゴシック・ロマンとはさういふものだとサフォンが 考へてこの物語を書いたのかどうか。私は個人的にそのやうに読んだ。巻頭にサフォンの「親愛なる読者へ」といふ文章がある。その一節、「書き進めるにつれて、この物語にあるすべてに別れの味がしはじめた。」(10頁)確かに別れの物語かもしれない。「十五年後、あの日の記憶がぼくにもどってきた。」それに別れを告げるためにぜひとも必要な物語であつた。もしかすると、そこにオスカルの大人になる時間があるのかもしれない。 -
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ネタバレそうかー、そう来るのかー
それはでも無茶やわー
四部作の二作目で急にそれは無茶やわー
むしろどう収束させるのか気になって早く次読みたいわー
ということで、一応このパターンもあるかなという予想の範疇ではありましたが、やっぱり無茶してきよる
同じ世界なのに世界観変えて来やがったのよ
しかも(繰り返しになるけど)四部作の途中なのよ
まぁ誰も読んでないだろうからぶっちゃけちゃうけど、前作では一見ファンタジーに思えたことが実は裏であーなっててこーなってて最後にそれが明かされてうわーだったのよ
でも今作はファンタジーに思えたことがそのまんまファンタジーっていう
うそ〜ん
だって共通する登場人物とかいるんだよ?
うそ〜ん
で、しかもこの世界観はわしちょっと苦手っていうね
宗教色ちょっと強めなのよね
いや残りどうすんだろ?
ある意味楽しみやわ〜 -
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ネタバレあれっ?幻想的なミステリーだと思ってたのに、ミステリーみたいな幻想小説だったの?
最後は流血がいっぱいで色んな人が死んでしまってグロテスクなのだけれど、結局のところ何の犯人を探していたのか、何が一番の問題だったのか分からないまま、私の頭の中はとっ散らかっております。
結局、上巻で「忘れられた本の墓場」へ行ったときから時空を超えた“天使”の罠に捕まったということなのかな?この小説の主人公は小説家なので、作者のカルロス・ルイス・サフォン自身が主人公でもあり、天使でもあったのかもね。
でも、私は実は伏線はこの小説の外にあるのではないかと期待している。
それは主人公ダビッドが子供の頃にセンペーレ古書店の店主にもらったディケンズの小説「大いなる遺産」だ。ダビッドは字の読めない、戦争帰りの荒れ狂った父親に育てられ、本を読むことを許して貰えなかったのだが、優しいセンペーレ古書店の店主が少年ダビッドに「大いなる遺産」をプレゼントしてくれたのだ。ダビッドはその本を大切に大切にしていたけれど、暴力をふるう父親からその本を守るために、一度店主に「この本を守って下さい」と言って返し、作家になったときに、再び巡り巡ってダビッドの手に戻ってきたのである。
この作者カルロス・ルイス・サフォン氏の作家としての思いと本に対する愛情が込められた作品ということかな。
とにかく、「大いなる遺産」を読もう。 -
Posted by ブクログ
まず前作『風の影』のあらすじを覚えていない。魅力のある小説だった気はするのだが、なんかこうスッと入ってこなかった。本作もやっぱりそれに近いかな。
ちなみに『風の影』の断片的な記憶はこんな感じ。特に後半戦を覚えていない。
・本の墓場みたいなところ。冒頭チラリとしか出てこない
・ナゾの作者が書いた本が出てくる
・ナゾの男につけられる
・友だちと血入りのソーセージを食べるシーン
・彼女と空き家でイチャイチャする
作中での時間経過の感覚とか、他人の書いた原稿を裏で書き直してしまう場面とか、ヒロイン(ではないのか。クリスティーナの方ね)の振る舞いとか、いろいろ微妙に納得しづらい。
夢と現がないまぜになっているあたりは読みどころではあるが、何となく読後感はスッキリしない。写真のネタも概ね予想通りだが、すっきり種明かしされる感じではない。無理にクリアに落とさなくてもよいのだろうが。次作につながるところもあるのかね。
グダグダ書いたが面白く読んだことは読んだ。納得できなかったぶん、次作も読むだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレShadow of the wind の続編ということで,待ち遠しかった本.英語で読んでしまおうかとも思ったくらい.でも翻訳を待ってよかったかも.謎の編集者コレッリとの宗教に関する議論のところはたぶん英語だとまったくわからなかっただろう.日本語でもあんまり読みたくないところ.
さて,物語にぐいぐい引っ張られて,二冊本を私にしてはかなり速く読み終えた.下巻の残り三分の一くらいから,急に幻想小説というのか,現実が溶けていくような感覚になるところが,私の好みではなかった.4部作の第二作ということで,新しいのがでたらまた読んでしまうかな.できれば,記憶が薄れないうちにでて欲しい.