【感想・ネタバレ】祖国 (下)のレビュー

あらすじ

夫を殺したのは親友の息子なの? ごく普通の二つの家族が「愛国心」のもとに引き裂かれ大きな波紋を描く壮大なドラマ。バスクを舞台に世界を揺るがしたスペイン文学。大ベストセラー!

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Posted by ブクログ

「バスク人の国を作る」ための独立運動盛んな時代のスペイン・バスク地方。家族同然の付き合いだった二つの家は、過激派となった一方の息子がもう片方の父親を銃殺したことで疎遠になった。夫を殺された妻は、20年の時を経て真実を明らかにしたいと願う。夫を殺したのは、本当に彼なのか?

一章が5ページ程度と短く、2家族9人のメンバーが代わる代わる語り手となってモンタージュのように20年の出来事を語る。計算された不親切さで、時系列もばらばらなうえ肝心な出来事がなかなか解説されない。少しずつ輪郭がクリアに、年表が埋まっていき、ラストのカタルシスを生み出すことに成功してると思う。

原題のpatriaは故郷という意味もあるみたいだけど、タイトルの意味するものが読むほどに重くのしかかる。故郷への愛がテロリズムを呼び、中立であることを許さない過激性、攻撃せぬ者は同胞であれど敵という理論に結びつき、それ自体をグロテスクな場所に変えてしまう過程が描かれて恐ろしい。

テロリストとなったホシェマリの悔悛。
「謝罪するのは、人を銃で撃ったり爆弾を作動させるよりも、ずっと勇気のいることだ」

総じて面白かった!にしても、チャトと家族が殺されてもなおあそこまで村八分にされなきゃいけない村の閉鎖性とか、民族の中でもルーツが違うことによる微妙な距離感とかおそらく日本人では感覚がつかみにくいところも多かった…。

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2022年04月16日

Posted by ブクログ

作者が描こうとした故郷バスクの人々は、悲劇の一時代を生きた普通の人たちだ。テロ活動に身を投じたホシェマリさえ例外ではない。

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2024年09月01日

シリーズ作品レビュー

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