三浦俊彦のレビュー一覧
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前半は記号論理学の基本の説明、後半は論理学の人間原理への応用である。高校生の時に一度読んだが再読。今回は後半のみ。
人間原理は元々宇宙物理学の文脈において提唱された。その一般化した主張は、簡単に述べれば次のようなものである。つまり、「私が『私』であること(今が『今』であること、ここが『ここ』であること)は尤もらしい」つまり、「私たちは平凡だ」ということである(平凡の原理)。
この、ごく常識的な、少なくともコペルニクス以来の脱人間中心主義・近代科学的世界観の延長線上にある考え方を認めれば、論理学の推論から、例えば
・地球外知性は存在しそうにない。
・銀河クラブはありそうにない。
・地球文明 -
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本当は同じシリーズの『高校の数学を〜』を買いに行ったんだが、こっちの方が気になって先に読み切ってしまった。来週、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展に行くしな。
アートとデザインの違い、アートの世界のパラダイム転換(『13歳からのアート思考』にも似たような話があった)も勉強になった。
しかし一番刺さったのは、何かゴールを求めて能率本位になるのではなく、「私はいまここにいる。私はこういう経験をしている」と意識を自分に向けてあげることが大事というメッセージ。これは禅や瞑想の姿勢に近い。スムーズにアウトプットを続けるだけの人生は果たして「生きた」と言えるのか…?
これが結果として、自分の知らない世 -
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・不思議なことに、企業が自己の人格と区別して赤の他人として消費者を扱ったとたん、本来は同人格であるはずの消費者は近くて遠い存在に豹変してしまう。
・SNSでの発言をフォローするため、企業の中には、リサーチ部門、後方部門、事業部門などに専門のスタッフを置いている。
・マーケティングリサーチやSNSといった手段そのものが、間違っているのではなく、表面に現れている消費者の「意見や要望」を手掛かりにしている限り、それは同じ商品やサービスの開発につながってしまい、市場が同質化してしまうのではないか。
・人間の脳には顔を認識する特定の部位が存在し、顔のようなものが目に入ると敏感に反応するという。
・コカコ -
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論理力つまりロジックを鍛えるための問題集という内容のものです。聞いたことのあるような内容から、こんな風に考えるのだと驚くような回答が出てきたりして、頭を結構使いながら読ませていただきました。答えというのは、直感や経験からではなく、粛々とした論理の結果であるということを冷徹に突きつけられたような感覚を持つことを求められます。考えるとはどういうものなのかを知らせれた、ある意味読むのがきつい内容でした。その問いに意味があるとか無いとか、感覚的に受け付けないとか、そういう身体的なもので物事を考えがちなのだと、責められているような気がしました。しかしそれを克服した先に何があるのか。それをおぼろげながら教
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パソコンの登場により
『勘と経験のアートの世界』から『統計と論理の戦略の世界』へ。
広告会社の仕事とは、デザインや音楽、雰囲気や世界観と言った
必ずしも デジタルな数字では割り切れない、
感覚的で抽象的なものを扱う仕事でもある。
そのデジタルの隙間から、人間の感性にかかわる重要な何かが
こぼれ落ちている。
『なんとなく』の正体と仕組みを追って行くうちに、
たどり着いたのは 『脳』 だった。
ニューロマーケティング。
①商品の名前を覚えてもらうことが、コミュニケーションの最低条件。
②商品を魅力的に表現するメッセージが顧客の購入意向を刺激するのか?
③商品の選択はオンラインへ。体験はリアル -
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このシリーズで私が一番好きなのは本書なのですが、4冊ある内でどれか読んでみたいということであれば『心理パラドクス』をお勧めしますし、そちらの方のレビューで私が考えるこのシリーズの全体的な評価や評価基準についても触れています。
この本を「論理的思考力を鍛えるテキスト」として使うとするならば、おそらく半分ぐらいの方が1問目の問題に対する自分なりの答えが出てこず、先に進めない。運良く先に進めた半分の方も、次の問題で引っかかって半分が脱落する・・・とこれを108問繰り返していれば2分の1の108乗だから・・・最後の問題まで投げ出さずにたどり着ける人は限りなくゼロに近い。「論理的思考力を鍛えるテキ -
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ネタバレ[ 内容 ]
「なぜ、人を殺してはいけないの?」「地球外知的生命は実在するだろうか?」―論理的に考えると、どのような回答がもたらされるか。
演繹、帰納、背理法など、推論のテクニックを豊富な例題とともに紹介しながら、現代論理学の基礎をわかりやすく解説。
明晰な思考のためのトレーニングであるのみならず、宇宙物理学などの科学と論理学の接点をも探る、知的興奮に誘う一冊。
[ 目次 ]
1 記号論理学の基礎―ゲームの規則(論理学的思考へ―意味論と語用論;真と偽―命題の特性を探る;トートロジー―偽となりえない命題;「ならば」の論理―条件文の構造 ほか)
2 人間原理の論理学―論理における「私」の位置(「 -
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「原爆投下は正当だったか?」という問いをめぐる、もんのすごい頭を使い、そして勉強になる本である。正直、僕の頭では今回は著者の議論に圧倒されてしまい、批判的に考える余裕があまりなかった。「要・再チャレンジ認定」の本。
僕がこの本を手にとった動機は、原爆投下50年の1995年に起きたスミソニアン博物館原爆展の展示問題に関心があったから。僕自身は「原爆投下は不当である」という立場であり、どちらかというと「明らかに不当なはずの原爆投下をそれでも肯定するアメリカ人の心理と論理」に興味があって、その読書の延長で何となくこの本をとった。しかし、どつぼにはまってしまったのである。
著者は、「原爆投下の正当