七河迦南のレビュー一覧
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七海学園シリーズ、ついに北沢春菜が復活します! リハビリを進めながら子供たちに関わる彼女の姿にほっとしつつわくわくしますし、魅力的な謎もたっぷり。おなじみのメンバーも健在です。クールでシニカルな葉子と賑やかな亜紀のコンビが特に楽しくって良いなあ。癒されます。特に今回、亜紀のとんでもない才能が明らかに……!
新しく学園に迎え入れられた自閉症の少女・文を巡る謎がまた良いです。独特の思考回路や行動から「宇宙人」と呼ばれる文だけど、新しい環境に戸惑いながらも馴染もうとする彼女と彼女を理解しようとする周りの様子にはほっこり。風変りだけれどそれもまた大きな魅力だし、そう感じられるところが良いなあ。
ただし、謎解きに至っては先入観というか、「常識の押し付け」に捉われてしまうところがどうしてもありますね。まさかこんな真相だっただなんて……! これにはなかなか気づくことができないと思います。タイトルの意味も深くて印象に残りました。 -
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今回もめちゃくちゃ心に響いた……。いつかは主題に置くのだろう、と思っていた自閉症スペクトラムの子どもを芯に据えて描かれた七海学園シリーズ最新作。
春菜と海王さんの発達障害とは、の場面が顕著だが、現在時点での自閉症スペクトラムがどのように研究され、そこにどんな人たちが生きていて、どんな困難があるかを知って欲しい、という気持ちが物語を通して伝わってくる(もちろん専門書で学ぶべきだが、色んな世界に触れるきっかけになる)。
謎の鮮やかさ、幻想的でうつくしい文章、巧みな物語運び、人物描写の機微、素晴らしかった。
春菜が退職するまで七海学園を追わせてくれ…… -
Posted by ブクログ
保育士の春菜が勤める児童養護施設「七海学園」を舞台とするシリーズ第2弾。
前作中時間から一年後。春菜はふたたびいくつかの謎に直面しながら、自分の仕事、子どもたちの抱える傷に向き合っていく。冬、学園の生徒も通う高校の文化祭で転落事故が起こり─
冬(現在)・春・冬(現在)・夏、と一年で起こった謎をあいだに挟みながら現在進行形である「転落事故」の謎に迫っていく連鎖短編構成。
各謎解きの華麗さももちろんだが、児童保護関連の制度の仕組み、社会・家庭問題、傷つきながらも力強く生きる子どもたちを幻想的な文章で描き出す表現に感嘆する。
なんといっても子どもたちそれぞれの描きかたがいい。子どもを舐めてる大人が書いたり撮ったりした子どもメインの話ってそれが透けて見えて嫌いなんだけどそういうのがない。子どもたちは境遇ゆえに連帯もするし、共同生活ゆえに喧嘩したり孤立したりもする。だけどそれぞれがそれぞれの経験や性格をもとにいまを生きようとしている。そんな子どもたちを見守って支える仕事のやりがいや苦労も春菜を通して描かれる。
本作はいわゆる「驚愕の事実」ミステリなのだが、伏線描写が本当に繊細なのでその部分にきたときちゃんと「え?」と思ったしなんならすぐに再読したい!と興奮している。でもそれより、物語そのもの、文章そのものが素晴らしい。 -
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七海学園シリーズ二作目。死に魅せられ惹かれる少女は、自ら身を投げたのか。謎めいた少女・瞭のことを春菜は気にかけていた。しかし心配なのは彼女についてだけでなく、日常の中で次々と事件は起こる。子供たちと向き合いながら事態の解決に奔走する春菜だが、やがて起こった転落事件が彼女の生活を一転させる。
不穏な事件から幕を開ける本作。再読なので、さすがにメインの謎はしっかりと覚えていました(初読時は完全に騙されたし、驚きました)。でも日常の謎的な部分は案外忘れていたこともあって、もう一度しっかりと楽しめました。連作ミステリとしても見事。
「晩秋の章」が実に楽しいです。子供に会わせろと要求し半ば立てこもる父親と春菜の攻防、はらはらするのに少し笑えてしまったりも。そして春菜の魅力が一段と感じられた物語でもありました。
もちろん楽しいだけでなく、つらい面も多くあります。子供たちの苦しみはそれぞれで比較できるものじゃないけれど、やはり瞭の孤独感が突き刺さるような気がしました。ある意味わかりやすい不幸ではない苦しみは、かえってつらい気がします。そして物語がここで終わってしまうことに前回は不安を覚えたのだけれど、ついに続編が……! -
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再読。児童養護施設「七海学園」に伝わる七不思議の噂と、実際に起こった不可思議な出来事の数々を描く連作ミステリ。学園職員の春菜は、子供たちと向き合いながらその謎の数々にも挑むことになる。厳しい世界を描きながらも、優しさが印象的な物語です。
決して児童養護施設の子供たちが不幸なわけでも可哀想なわけでもありませんが、どの子にも並々ならぬ事情があるのは事実。各々の事情を汲み取り事態解決に臨む職員や児童相談所は本当に大変そうで、しかしその分やりがいもあるのだと感じました。ただしそのやりがいをきちんと感じてくれる人でないと、大人も子供も不幸になっちゃいそうですが。
七不思議に絡んだ謎の数々も、怪異なイメージがありながらも優しい真相。お気に入りはやはり「滅びの指環」ですね。これって完全にハッピーエンドなのか、でも不幸に思う人がいなければ良いのだろうか、ともやっとする部分がありますが、それも含めて好み。
そしてやはり全編通しての謎。はっと気づいて表紙を見たくなります。 -
Posted by ブクログ
こちらもまた初読みの作者さん。
時々レビューで見かける「アルバトロスは羽ばたかない」が面白そうで、その前の巻から買ってみた。
様々な事情を抱えた子どもたちが暮らす児童養護施設・七海学園で起こる不思議な出来事の謎を、主人公の保育士・北沢春菜と児童相談所の児童福祉司・海王が解き明かしていくお話。
と書いてしまったが、いわゆる“日常の謎”系の話ではあるのだが、謎解きだけでなく、それに絡んで語られる施設の子どもたちの生活や行動がしっかり書き込まれていて、それらが興味深く読めるところが良い。
暗かったり辛かったりする話も多いが、幼い頃から一緒に育ったメンバーが互いに相手を気遣う第五話をはじめとして、それでも、読んだ後には爽やかな印象が残る話が多かった。
お話の中には『わたしは児童養護施設やそこで暮らす子どもたちについて、もっと世の中の人皆に知ってほしいと思っている』という主人公の言葉があったが、そこには作者さんの思いが込められているように思った。
謎解きにおいては、児童福祉法など法律の知識がないと及びもつかない内容も多いのだが、それを駆使して一見不可能と思われる事象に説明を付けていくストーリーもなかなか面白く、いささかこじつけと思われるところもあるが、まかれた伏線はきちんと回収されるし、読んでいて納得感はある。
本の紹介文に「現在と過去を繋ぐ六つの謎、そして全てを結ぶ七つ目の謎に隠された驚くべき真実」とあるので最後どのようにまとまるのかと思っていたが、思いもかけぬ展開に、これは本当に驚く。前のほうのページを読み返し、破綻なく語られているところにも感心。
終盤になって『海王さんにかかると、どんな大変な子だって「本当にいい子」だ。でもその言葉の意味がわたしにも最近少しずつ分かってきた気がする』と述懐する主人公の成長の物語としても、心地よい読み口。