七河迦南のレビュー一覧
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今回もめちゃくちゃ心に響いた……。いつかは主題に置くのだろう、と思っていた自閉症スペクトラムの子どもを芯に据えて描かれた七海学園シリーズ最新作。
春菜と海王さんの発達障害とは、の場面が顕著だが、現在時点での自閉症スペクトラムがどのように研究され、そこにどんな人たちが生きていて、どんな困難があるかを知って欲しい、という気持ちが物語を通して伝わってくる(もちろん専門書で学ぶべきだが、色んな世界に触れるきっかけになる)。
謎の鮮やかさ、幻想的でうつくしい文章、巧みな物語運び、人物描写の機微、素晴らしかった。
春菜が退職するまで七海学園を追わせてくれ…… -
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保育士の春菜が勤める児童養護施設「七海学園」を舞台とするシリーズ第2弾。
前作中時間から一年後。春菜はふたたびいくつかの謎に直面しながら、自分の仕事、子どもたちの抱える傷に向き合っていく。冬、学園の生徒も通う高校の文化祭で転落事故が起こり─
冬(現在)・春・冬(現在)・夏、と一年で起こった謎をあいだに挟みながら現在進行形である「転落事故」の謎に迫っていく連鎖短編構成。
各謎解きの華麗さももちろんだが、児童保護関連の制度の仕組み、社会・家庭問題、傷つきながらも力強く生きる子どもたちを幻想的な文章で描き出す表現に感嘆する。
なんといっても子どもたちそれぞれの描きかたがいい。子どもを舐めてる -
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七海学園シリーズ二作目。死に魅せられ惹かれる少女は、自ら身を投げたのか。謎めいた少女・瞭のことを春菜は気にかけていた。しかし心配なのは彼女についてだけでなく、日常の中で次々と事件は起こる。子供たちと向き合いながら事態の解決に奔走する春菜だが、やがて起こった転落事件が彼女の生活を一転させる。
不穏な事件から幕を開ける本作。再読なので、さすがにメインの謎はしっかりと覚えていました(初読時は完全に騙されたし、驚きました)。でも日常の謎的な部分は案外忘れていたこともあって、もう一度しっかりと楽しめました。連作ミステリとしても見事。
「晩秋の章」が実に楽しいです。子供に合わせろと要求し半ば立てこもる父親 -
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再読。児童養護施設「七海学園」に伝わる七不思議の噂と、実際に起こった不可思議な出来事の数々を描く連作ミステリ。学園職員の春菜は、子供たちと向き合いながらその謎の数々にも挑むことになる。厳しい世界を描きながらも、優しさが印象的な物語です。
決して児童養護施設の子供たちが不幸なわけでも可哀想なわけでもありませんが、どの子にも並々ならぬ事情があるのは事実。各々の事情を汲み取り事態解決に臨む職員や児童相談所は本当に大変そうで、しかしその分やりがいもあるのだと感じました。ただしそのやりがいをきちんと感じてくれる人でないと、大人も子供も不幸になっちゃいそうですが。
七不思議に絡んだ謎の数々も、怪異なイメー -
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こちらもまた初読みの作者さん。
時々レビューで見かける「アルバトロスは羽ばたかない」が面白そうで、その前の巻から買ってみた。
様々な事情を抱えた子どもたちが暮らす児童養護施設・七海学園で起こる不思議な出来事の謎を、主人公の保育士・北沢春菜と児童相談所の児童福祉司・海王が解き明かしていくお話。
と書いてしまったが、いわゆる“日常の謎”系の話ではあるのだが、謎解きだけでなく、それに絡んで語られる施設の子どもたちの生活や行動がしっかり書き込まれていて、それらが興味深く読めるところが良い。
暗かったり辛かったりする話も多いが、幼い頃から一緒に育ったメンバーが互いに相手を気遣う第五話をはじめとして、そ -
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家庭では暮らせない子どもたちの施設・七海学園で起きる、不可思議な事件の数々。そこで働く保育士2年目の春菜と謎解きを大きく助けてくれた児童福祉司海王。
第18回鮎川哲也賞受賞作にしてデビュー作ですが、プロ作家の別ペンネームなのでは――?そう疑われたという程の完成度。
構成から登場人物からミステリまで、すべての完成度が高い。児童福祉に造詣が深くて、かといって子どもたちにも寄り過ぎず、絶妙なバランスで描かれたこの世界、本当に素晴らしかったです。
扱っている題材は重たいものです。
それが、海に近い田舎を舞台に、心地いい風を自然を感じつつ繰り広げられ、暗くなり過ぎない。思わず夢中になって読みました。