七河迦南のレビュー一覧

  • 七つの海を照らす星

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    養護施設「七海学園」の七不思議を巡る短編集。日常の謎。
    特に最初の、端々の不思議な出来事と、不良少女の真相の謎が良かった。一つ分かるとカラクリが全て解けて、あちこちに仕掛けられた伏線と真相の鮮やかさに驚いて。次の話からは(自力で解くことは出来ないけれども)、伏線を見つけることに意識が行って、なんかまたこれも伏線か、とマンネリ化してしまっていましたが、最後に後書きにもあるように星と星を結んだら星座が見えるような、そんな感じの本でした。
    児童養護施設を舞台にしているのも、新鮮で良い。現実はそこまで仲が良いのかそうでないのか分かりませんが、なんとなく身近になったなと。

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    2018年10月15日
  • 七つの海を照らす星

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    ネタバレ

    総合評価 ★★★★☆
     児童福祉法に基づく児童養護施設である「七海学園」に勤めて2年目になる北沢春菜の視点から描かれる連絡ミステリ。探偵役となるのは児童福祉施設の福祉司である海王さん。七海学園を舞台にした6つの短編と,それらの短編で残された謎をまとめる7つ目の短編からなる。そして,7つ目の短編で3つ目の短編の真相が暴かれる。6つの短編の中での白眉は「滅びの指輪」。ミステリとしてのデキはそこまで高いとは言えないが,金持ちという地位を捨てて浮浪者になりたいほど恐ろしい父との関係にもインパクトがあるし,滅びの指輪というタイトルと意味深なラスト。インパクトがすごすぎる。あとの5作品は短編としてのデキは

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    2018年09月17日
  • アルバトロスは羽ばたかない

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    著者のシリーズ前作「七つの海を照らす星」は読んでいないが十分に楽しめた。
    謎の真相部分は、ちょっと強引とも思えるところもあるが、綿密な構成で叙述ミステリとして一級品だと思う。
    本筋は暗くて重い内容だが、構成している「冬」以外の各章は、それぞれ完結した短編ミステリとも云える内容であると同時に、登場人物が置かれた状況をユーモアも交えて描いている。そのため読後感も悪くない。
    是非、前作だけだなく後作の「空耳の森」も読んでみたい。

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    2018年06月08日
  • 七つの海を照らす星

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    日常の謎系は好きだが、北村薫さん、はやみねかおるさん、米澤穂信さん等々の、キャラクターと文体とミステリのバランスが絶妙にとれた傑作が出るジャンルなので、読者としてもハードルが高いなと思うことがある。
    今作は、やや走っていると思う部分もあるが、読みやすく、読後には温かみがある。海王さんの口ぐせも、じわじわと考えさせられ、本当に良い台詞だ。仕掛けも面白く、これまでの優れた日常の謎の系譜に連なるものだと思う。
    読んで良かった。次作が楽しみだ。

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    2017年12月16日
  • 七つの海を照らす星

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    七海という都市が舞台の、七つの連作短編集。
    児童養護施設が舞台となっていて、主人公含め明るいタッチの中に、何か勝手にこちらがいたいたしい感じをもってしまったが、それも想定されているように、子供たちや主人公らが元気だった。
    キャラクターがそれぞれ立っていて、好感があり読みやすい。
    日常の謎ジャンルで、謎自体は読み慣れている人なら察しがつくかと。
    ただし、こんなもんかと思わず最後までどうぞ。

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    2017年11月03日
  • 七つの海を照らす星

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    児童養護施設にここまで踏み込んだ内容のものは始めて読んだ。当然ながら、それぞれ抱えているものはあれど、暗くなり過ぎない雰囲気に救われる。ミステリとしても、最後の怒濤の仕掛けにしてやられました。

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    2017年10月31日
  • 七つの海を照らす星

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    養護施設という特殊状況下で起こる日常の謎を扱った短編集。
    人間が魅力的で引き込まれるからこそ、読者である私も真相に一喜一憂させられた。

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    2017年08月29日
  • 七つの海を照らす星

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    ネタバレ

    ネタバレ注意です!

    「もし、私がこのことを小説に書くんだったら、ペンネームは絶対ローマ字回文になるようにするな。そうしたら冒頭どころか表紙に載るもんね。『最大の伏線は本を開く前から読者の目の前に!』とかってコピーができるわよ」
    にこの物語の全てが集約。
    児童養護施設という社会的テーマをも扱いつつ、日常の謎を混ぜ込み、最後の話で大風呂敷をきちんとまとめたところが小気味よい。謎の論理的組み立てはもうちょっとなるほどーというものがあるともっとよかった。

    けれど、個人的には若竹七海の「ぼくのミステリな日常」の方が驚きは大きかった。

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    2015年08月02日
  • 刹那の夏

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    淡く幻想的な世界観ながら、救われない人間の足掻きや現実を強烈に描いたミステリー短編集 #刹那の夏

    ■きっと読みたくなるレビュー
    家族や親族など、深いつながりの中に残酷さ… その運命に対して抵抗したり向き合ったりする人々を描く作品集。表題作『刹那の夏』は長めのお話になっており、他四作は短めの短編です。各作品、綿密かつ上品な筆力で書かれています。

    読んでいると重みに潰されそうになってしますね~、でもこの深海に潜っていくような感覚が本書の一番の読みどころ。最後まで読んでも、ほとんどカタルシスを得られることなく悲しく終わってしまうのが魅力。

    特に少年少女を描いた作品では、淡く幻想的な世界観が感じ

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    2025年11月20日
  • 刹那の夏

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    なかなか良かった。
    明かされた真実を含めなかなかヘビーな真相が見えるのはいい。
    この人らしい作品でした。
    3054冊
    今年282冊目

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    2025年11月06日
  • 七つの海を照らす星

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    7つの話が最終的には繋がっていく物語。
    7つの話にそれぞれ一捻りあり、
    伏線や最後の章で繋がっていく様はお見事。
    ただ、児童養護施設が舞台でやや興味がわかず入り込めなかった。
    次回作アルバトロスは羽ばたかないはどんでん返しで本としてリストに上がってたので読んでみたいとおもいます。

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    2025年10月19日
  • アルバトロスは羽ばたかない

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    どんでん返しのトリック自体は良くできている一方、不自然な表現や言い回しはかなりアンフェア寄り。妙に句点が少ないので読みづらいし、無駄なセリフや登場人物が多すぎるので間延び感がありテンポが悪い。屋上の密室も説明がイマイチで、そもそも密室が成立しているのかどうか分かりにくい。モノはいいが未熟。

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    2025年10月13日
  • 七つの海を照らす星

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    児童養護施設にまつわる不思議な出来事の真相を、主人公の職員と児童福祉士が解明していくミステリ小説。

    あっと驚くような何かがあるわけでは無いが、真相は気になるという感じ。結構長いので冗長感はあるかも。ただ児童養護施設や制度の内情がリアルで興味深いのと、主人公の人柄に好感が持てるので応援したくなる。

    このまま「アルバトロスは羽ばたかない」を読みます。

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    2025年08月28日
  • 七つの海を照らす星

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    ネタバレ

    書店にて、今作の続編『アルバトロスは羽ばたかない』が平積みされていて、その横に「まずはシリーズ1作目のこちらからどうぞ!」とのおすすめが
    せっかくなので同時購入

    読みながら「妙に描写が古いな……さては時間誤認系の叙述トリックが仕込まれているな!!」なんて勝手に妄想をしていたら
    ( 例えば『第四話 夏期転住』での海王さんとのやりとりに手紙を利用していたり、『第六話 暗闇の天使』で佳音とのやりとりがメールで行われていたりなど)
    そんなのなにも関係なく、ただ単にそういう時代のお話というだけでした

    というかそもそも初版が2013年なんですもの!
    そこにびっくりですよ!

    冒頭に書いた書店でのおすす

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    2025年08月22日
  • 空耳の森

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    ネタバレ

    短編集。アイランドは面白かった。
    自分には合わないのか女子高生の話がある後半からは飽きて長く感じた。
    なぜか十二人の手紙を思いだしたがヌルっと終わって違ってた。

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    2025年07月26日
  • 七つの海を照らす星

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    児童養護施設を舞台にした7編からなる連作短編集。
    細かいところも伏線になっていたりして芸が細かい。

    児童福祉法の説明も要所に記載があり、児童福祉についても考えさせられる。
    主人公の保育士があっけらかんとしたタイプだから、ストーリーが暗い印象はない。

    本当の緊急時は別として、日本では基本的に親の同意がないと施設で保護できないらしい。
    そういう親至上主義がなくならないと、助けられない子供たちももっと増えてしまうのではないだろうか。

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    2025年06月06日
  • 七つの海を照らす星

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    うまく出来てる本だった。
    この構成の美しさを愛する人がたくさんいるのはよくわかる。
    個人的には「構成ありき」感が拭えず、そこまでのめりこめなかった。
    とはいえアルバトロスは羽ばたかないも手元にあるので、あんまり先入観を持たず次も楽しみたい。

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    2025年05月24日
  • 七つの海を照らす星

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    7つの短編が少しずつ繋がっている物語です。
    詳しいことは分かりませんが、無限の可能性がある子供がその子らしく過ごせる環境は、大人が作るべきものであり当たり前ではないのだと感じました。

    「昔の人が夜空にただ散らばっているだけの星の間に線を引っ張って星座を作ったように」

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    2025年01月26日
  • アルバトロスは羽ばたかない

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    ネタバレ

    大オチには騙されたが、冬の章だけ読み直すとかなりアンフェアな気が。
    名前の言い切り(冬の章Iの「北沢春菜です」とか)や、瞭の話をしている最中にあえて主語を省略していてその主語が春菜だとか、瞭が誰かに恨まれてなかったかを聞くところとか(春菜が恨まれていなかったかはなぜ聞かないのか)、瞭が屋上で誰と話していたのかわかってないとか(状況から見て春菜と話していた蓋然性が限りなく高いが、なぜその検証はしないのか)。

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    2023年08月24日
  • アルバトロスは羽ばたかない

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    最終章、そうきたかーと声が出ました。
    途中まで構成や文体になかなか馴染めず、少し停滞していた時もありましたが、中盤からは惹き込まれて楽しめました。続編期待します。3.5

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    2021年09月17日