【感想・ネタバレ】七つの海を照らす星のレビュー

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Posted by ブクログ

児童養護施設・七海学園で起こる不思議な現象に、新米保育士の北沢春菜は、児童保育司の海王と共に挑む。
いわゆる日常の謎系ミステリで、ネガティブな面も描きつつ希望につながる傑作です!
ネタバレ無しの紹介は非常に難しいのですが、傑作ミステリ間違い無しなので、未読の方は是非!

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2024年05月07日

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ネタバレ

心が温まり未来の希望に満ち溢れた素敵なミステリーでした。短篇集ではあるものの一話一話にしっかりとしたトリックがあり、「そういうことか」と毎話驚かされました。
最後の章で、これまでの短編が全て繋がる所には興奮しました。
この作品に巡り会えたことに感謝を。

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2023年06月03日

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家庭では暮らせない子どもたちの施設・七海学園で起きる、不可思議な事件の数々。そこで働く保育士2年目の春菜と謎解きを大きく助けてくれた児童福祉司海王。

第18回鮎川哲也賞受賞作にしてデビュー作ですが、プロ作家の別ペンネームなのでは――?そう疑われたという程の完成度。
構成から登場人物からミステリまで、すべての完成度が高い。児童福祉に造詣が深くて、かといって子どもたちにも寄り過ぎず、絶妙なバランスで描かれたこの世界、本当に素晴らしかったです。

扱っている題材は重たいものです。
それが、海に近い田舎を舞台に、心地いい風を自然を感じつつ繰り広げられ、暗くなり過ぎない。思わず夢中になって読みました。暗くなり過ぎないのは、希望も同時に散りばめられていたから。

殺人事件とは違う日常ミステリ。
「いつも全部の謎が解けるとは限らない。不思議なことは不思議のまま残しておいてもいいんじゃない?」という言葉も好きでした。日常において、その感覚は大事な気がする。

ミステリであると同時に、保育士2年目の春菜の成長物語でもあります。当初は「児相なんて」と抱いていたマイナスの感情、学習より前に1番基本の『生活』を落ち着いてできる力をつける方がずっと大事だと信じて疑わなかった純粋さ、人との関わりや目の前の現実と向き合う中で少しずつ変わっていく考え。そこもまたすごくよくて。

それから天才的なまでに美しい回文。
文字遊び、というんでしょうか。上から読んでも下から読んでも同じ、という言葉作り。私はせいぜい5文字程度のものしか作れないかもしれない…こんな美しく、状況に合わせたものを作り出せるなんて、と何度感動したかわからない。

空に輝く星みたいに、一見わからなくても、名前がないように思えても、その1つ1つがきちんと輝く星。
それらが繋がり星座になる。
最後まで読み終わってまたこの作品の全体としての素晴らしさに気づかされる。余韻も残り、この本のおかげで、いい休日が過ごせました。続編があって嬉しい。読むのが楽しみ。

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2020年08月08日

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初読の作者ですが、これはすごい‼︎
「七海学園」という児童養護施設を舞台とした日常ミステリーとなっております。
ポイント①:7編の連続短編小説であり、1編の長編小説でもあります。
ポイント②:児童養護施設という今までにあまりないテーマを用いています。
ポイント③:とにかく伏線が凄い!(ここまで伏線回収が素晴らしい作品ははじめてかもしれません)
ポイント④:未読の方は人生を損しています(笑)
などのポイント要素が盛りだくさん。これはもう読むしかないでしょう(笑)
未だ未読の方は是非ご覧になって下さい!

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2018年05月06日

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これは凄い。   凄い小説だ。    
なんとか賞受賞と聞くと、鬼才だとか奇才だとかいうものの内容を連想してしまうのだが、今作は、秀才だ。     
とても巧く構成されている。そして面白い。   
児童養護施設の現状についても、勉強させられる。   
一人ひとりに物語がある。人生がある。 
だから小説は面白い。   

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2018年02月05日

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連作短編集。「ミステリマストリード」から。七不思議にあやかった学園ミステリ。ありきたりのプロットかなと思ったけど、キャラ設定が魅力的だし、謎解きも納得のいくもので、総じて満足度の高いものだった。最後も綺麗に纏まっていて、読後感も良好。続編が間もなく文庫で登場ってことで、そちらも楽しみです。

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2017年11月07日

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第18回鮎川哲也賞を受賞した
児童養護施設を舞台に展開される
保育士、児童福祉司、そして施設に暮らす子供たちの物語。

複雑な事情を抱える子供たちが出てきますが
重いだけの話にならず、どこか救いというか
未来を照らす明るさのようなものが随所に感じられ
品の良い丁寧な筆致と相まって
一歩引いた視点からずっと登場人物たちを見守るような
感じで最後まで読むことができました。

細かい仕掛けがいろいろと仕掛けられていて
それを読み解くのも楽しみの一つで、
作中貫かれている温かさというか優しい視点が
最終話の第7話で伏線の回収と合わせて昇華され
驚きとともにある種のハッピーエンドのような
爽やかな終わり方でした。

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2014年02月18日

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児童養護施設の「学園七不思議」をテーマにした連作短編集。保育士が狂言回しで児童福祉司が安楽椅子探偵という一見、地味な設定ですが、行間から漂う品の良さと、最終章での総まとめ(少々強引だけれども)の構成力など読む価値はありました。

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2014年01月08日

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おもしろい!
児童養護施設を舞台に主人公の春菜が探偵役の烈海王と共に謎を解決していきます。


全ての謎がちゃんと物語を読んでいれば解けるようになっていて読んでいて気持ちよかったです。


さらに最後の伏線回収が気持ちいいー笑
続編も絶対読む!

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2022年01月27日

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ネタバレ

児童養護施設を舞台に、子どもたちを巡る日常の謎をテーマにした短編集。六つの物語が最後に収斂するつくりはすごいな、と思いました。鮎川賞受賞作ということは、デビュー作なのでしょうが、解説にもある通り、伏線のはり方や読者を上手に誘導していく書き方は完成度の高さを感じます。「夏季転住」とか伏線でだいたいオチの予想がついたのですが、最後の七章でそれをひっくり返してしまうのも驚き。個人的には人の優しさがほの温かい「裏庭」が好きです。

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2019年05月27日

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児童養護施設・七海学園を舞台としたミステリー。

同じ主人公での7つの物語があとで繋がってくる、よく考えられた物語。個人的には人名を覚えるのが不得意なので、その緻密な物語設定が理解できず、楽しめてないように思う。
人名をメモしながら読めばよかった。

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2019年05月15日

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養護施設「七海学園」の七不思議を巡る短編集。日常の謎。
特に最初の、端々の不思議な出来事と、不良少女の真相の謎が良かった。一つ分かるとカラクリが全て解けて、あちこちに仕掛けられた伏線と真相の鮮やかさに驚いて。次の話からは(自力で解くことは出来ないけれども)、伏線を見つけることに意識が行って、なんかまたこれも伏線か、とマンネリ化してしまっていましたが、最後に後書きにもあるように星と星を結んだら星座が見えるような、そんな感じの本でした。
児童養護施設を舞台にしているのも、新鮮で良い。現実はそこまで仲が良いのかそうでないのか分かりませんが、なんとなく身近になったなと。

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2018年10月15日

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ネタバレ

総合評価 ★★★★☆
 児童福祉法に基づく児童養護施設である「七海学園」に勤めて2年目になる北沢春奈の視点から描かれる連絡ミステリ。探偵役となるのは児童福祉施設の福祉司である海王さん。七海学園を舞台にした6つの短編と,それらの短編で残された謎をまとめる7つ目の短編からなる。そして,7つ目の短編で3つ目の短編の真相が暴かれる。6つの短編の中での白眉は「滅びの指輪」。ミステリとしてのデキはそこまで高いとは言えないが,金持ちという地位を捨てて浮浪者になりたいほど恐ろしい父との関係にもインパクトがあるし,滅びの指輪というタイトルと意味深なラスト。インパクトがすごすぎる。あとの5作品は短編としてのデキは夏期転住こそ平均的以上だがそのほかは平均点程度。これらをまとめるラストが面白い。野中佳音という一見モブキャラだと思わせる存在が中心的な存在にすり替わる展開はミステリとしての上手さも感じる。総じてレベルの高い,完成度の高いミステリ。★4で。

サプライズ ★★★★☆
 個々の短編のサプライズは少ないが,脇役として登場し,探偵役兼聞き手と思われた野中佳音が「夏期転住」のヒロイン「小松崎直」だったという展開は驚ける。なにより,サプライズがあるような作風ではない点が大きい。個々の短編が最後に一つのつながりを持つという作品は多いが,個々の短編でできてた謎,謎の少女が全て同一人物で,野中佳音であったというのは上手い。伏線がかなりちりばめられているので,納得のいく驚き。ただ,「驚愕の真相」,「どんでん返し」がある作品として読んでしまったので,やや読めてしまったのが残念。全く予備知識なしで読めばサプライズは★5だったと思う。★4で。

熱中度   ★★★☆☆
 文章・文体が非常に洗練されている。小説としての完成度が高いと感じる。その分,何が起こるんだろうという印象は少ない。安心感がある。熱中度としてはそこまで高くないので★3か。

インパクト ★★★★★
 文章・文体が洗練されていていて,人物もきちんと描かれている。そのため,サプライズ型の作品っぽくない。それでいて,野中佳音=小松崎直というラストはサプライズもあるしインパクトがある。また,「滅びの指輪」は一つの短編としてインパクトが高い。★5で。 

キャラクター★★★★★
 北沢春奈を始めてとする七海学園の生徒や関係者,海王さんなど魅力的なキャラクターに溢れている。文章が洗練されており,人間がきちんと書けている印象が強い。★5で。

読後感   ★★★★☆
 野中佳音にも悲しい過去があったことが分かる。そのため,完全に読後感がよいという訳ではないが,読後感の悪さはない。北沢春奈のキャラクターの良さもあいまり,この作品に登場したキャラクターが総登場し,活躍する最後の「七つの海を照らす星」を読む限り,読後感は良い。★4で。

希少価値  ★☆☆☆☆
 現状は絶版ではないし,電子書籍もある。手に入らない,読めないということはないだろう。しかし,あまり売れている感じはない。「アルバトロスは羽ばたかない」だけ置いている大き目の本屋もある。将来的には希少価値が着いてしまうかも。現時点では★1。

メモ
〇 今は亡き星の光も ★★★☆☆
 七海学園の問題児で洋子が,七海学園に移ってくる前にいた児童施設で経験した不思議な体験について語る。かつて救護院といわれていた問題児を預かる自立支援施設というところに移って死亡したはずの玲弥という少女が死んでから自分を見守っていたという話である。葉子は1年前にも玲弥を見たという。海王は北沢春奈に自分の「解釈」を伝える。玲弥は不良だったのではなく病弱だったのではないかと。葉子は行政的な事情から1日ではなく別の日に別の施設に移され,調理師のところで預かられていた。その場を洋子が目撃したのではないかと言おう推理である。七海学園に来てから見た玲弥の姿についての謎は謎として残る。玲弥の人物像が海王の視点でがらっと変わるどんでん返しの教科書のようなミステリ。教科書どおりの印象の分,サプライズ感は少ないが,文体も読みやすくよくできている作品。★3で。

〇 滅びの指輪 ★★★★★
 七海学園の生徒で18歳になる浅田優姫がヒロイン。浅田優姫はかつて戸籍がなかった。廃屋で生活しているところが見つかり,「三条美寿々」と名乗ったが,その名前の少女は別に存在していた。「浅田優姫」の出生届があったので就籍をして,七海学園に移ってきた。優姫は特殊な専門学校への進学を希望していたが,進学にはかなりのお金がかかる。北沢春菜は進学についての相談を受けていたがお金が足りない。しかし,ある日多額の金銭が振り込まれていた。海王に相談したところ,海王は驚くべき真相を語る。「浅田優姫」と名乗る少女に「三条美寿々さん」と話しかけた。海王は浅田優姫と三条美寿々が入れ替わっていたと推理する。その伏線も多く描かれている。「浅田優姫」の証言によると「三条美寿々」の父は異常者だったという。「浅田優姫」は学費をもらうために,「三条美寿々」に連絡を取ったのだった。ミステリとしては浅田優姫と三条美寿々の入れ替わりしかないので,ミステリとしての驚きは少ないが小説としては,なんとも言えないすごみがある作品。傑作といっていい。特に入れ替わった後の三条美寿々とその父親との関係を想像させるラストがなんとも言えない。浅田優姫が感じる不安が何か分からない点も不気味さを感じさせる。★5で。

〇 血文字の短冊 ★★★☆☆
 北沢春奈の大学時代の同級生である野中佳音が登場。ちなみに服装によっては10代に見えるなどの伏線もある。この話は「三単現のS」が伏線となり,鍵となる短編。沙羅と健人とその父である秋本譲二が登場する。母親が家を出て父親だけでは育児ができないので施設に入れている。秋本譲二が吉川さんという相手と再婚しようとしている。沙羅は父親から嫌われているという話を春奈にする。春奈の話を聞いて佳音が謎解きをする。秋本譲二は外国人。沙羅と健人も一目で外国人と分かる外見。日本人と思わせる叙述トリックが描かれている。父親は再婚相手の「藍(あい)」について「Ai hate ~」と伝えた。三単現のSが苦手な沙羅は「Ai」を「I」だと誤解したというオチ。ミステリとしてはたわいない話。叙述トリックもそこまでの意外性はなく,そこそこ。★3で。なお,「お父さんが怖い。殺される」と書かれた短冊が見つかるという七不思議の話が謎として残る。

〇 夏期転住 ★★★★☆
 「遠い夏の日。幻の新入生。少女は行き止まりの非常階段で姿を消し,その記憶はただ一人,少年の胸にしか残されていない。」
 俊樹と美香という七海学園出身の二人が結婚するという。しかし,俊樹は12年前に夏期転住として田舎で生活していたときに小松崎直という少女が連れてこられた。俊樹と直は一緒に生活をし,思い出を作る。しかし,直の父親が直を探しに来て,直は姿を消してしまう。春奈の推理は直は突然視察に来た政治家の子どもで虐待をされていたというもの。一時保護委託という制度を利用して実誠学園に直を一時保護委託した。春奈は直が男の子だったと推理する。直の消失は実誠学園の旗を利用して実誠学園の生徒に交じって逃走した。この短編は,最終的に明らかになる直=佳音の伏線が潜んでいる。ダミーの真相である直=男性の真相もそこそこ意外性がある。この短編単独で見ると★3だが,全体の中の位置付けでも評価したい。この短編集の鍵となる作品★4で。
 
〇 裏庭 ★★★☆☆
 七海学園の裏にある「開かずの門」。「開かずの門の浮姫」という七不思議をめぐる話。塔ノ沢加奈子は七海学園を代表して自治会連合会に参加する。合同定規に参加する。七海学園の高校二年生の明と大日愛児園の瑞枝という少女と付き合っているという。それが問題となった。マスコミに手紙が出され「施設の子は恋愛をしてはいけないのか」という話になる。「子どもの人権侵害」という話題を避けたい行政が戸惑う。明は行事を中止させないため,そして加奈子と杉山のために,自分と瑞枝付き合っているふりをし,それからマスコミに手紙を出した。加奈子が裏門から入ってくる子を見たのは小学校1年生のときの話。このときの話は謎として残る。ミステリとしては弱い。恋愛話。悪くもないがよくもないこの作品の中では平凡なデキ。★3で。

〇 暗闇の天使 ★★★☆☆
 女の子6人で通ると幽霊が出るというトンネルの話。15年前に7人目の女の子の声を聞いた千香に偶然に会って話を聞く。そして今回,舞という少女が「天使の声」を聴く。15年前の出来事は佳音が,排水管が「伝声管」の役割を果たしたのではないかと推理する。真相はトンネルの出入り口にいた警備員(男性)が天使の声の人であるというものだった。舞が見た天使のような女性の話が謎として残る。ミステリとしては意外性もそれほどなく,平凡なデキ。ギリギリ★3といった程度か。

〇 七つの海を照らす星
 最後の話で6つの話の「謎」がつながる。野中佳音は海王と知り合いであり,「小松崎直」であることが分かる。夏期転住の山荘で行き止まりの非常階段から天空へ消えた少女=直が野中佳音だったが,それだけでなく,七海学園にやってきた洋子が門のところで見た死んだ玲弥に似ていた娘,優姫が七海に来る6年前に廃屋に住み着いて幽霊と呼ばれた女の子,七夕の短冊に助けを求めるメッセージを書いた子,学園の開かずの裏門を越えて入ろうとして人の気配に逃げ出した少女,トンネル悪戯をした小さな女の子,これら全てが野中佳音だった。そして,天使事件のときに現れた謎の美少女(天使)も野中佳音だった。「野中佳音(のなかかのん)」もローマ字回文となっている。これまでの話をまとめるようなエピローグのような話。完全な脇役かと思われていた野中佳音の過去が描かれ,物語の中心人物にすり替わる展開はかなりのインパクト。この短編は,この短編だけで評価はしにくい。作品全体で評価すべき短編

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2018年09月17日

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日常の謎系は好きだが、北村薫さん、はやみねかおるさん、米澤穂信さん等々の、キャラクターと文体とミステリのバランスが絶妙にとれた傑作が出るジャンルなので、読者としてもハードルが高いなと思うことがある。
今作は、やや走っていると思う部分もあるが、読みやすく、読後には温かみがある。海王さんの口ぐせも、じわじわと考えさせられ、本当に良い台詞だ。仕掛けも面白く、これまでの優れた日常の謎の系譜に連なるものだと思う。
読んで良かった。次作が楽しみだ。

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2017年12月16日

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七海という都市が舞台の、七つの連作短編集。
児童養護施設が舞台となっていて、主人公含め明るいタッチの中に、何か勝手にこちらがいたいたしい感じをもってしまったが、それも想定されているように、子供たちや主人公らが元気だった。
キャラクターがそれぞれ立っていて、好感があり読みやすい。
日常の謎ジャンルで、謎自体は読み慣れている人なら察しがつくかと。
ただし、こんなもんかと思わず最後までどうぞ。

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2017年11月03日

Posted by ブクログ

児童養護施設にここまで踏み込んだ内容のものは始めて読んだ。当然ながら、それぞれ抱えているものはあれど、暗くなり過ぎない雰囲気に救われる。ミステリとしても、最後の怒濤の仕掛けにしてやられました。

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2017年10月31日

Posted by ブクログ

養護施設という特殊状況下で起こる日常の謎を扱った短編集。
人間が魅力的で引き込まれるからこそ、読者である私も真相に一喜一憂させられた。

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2017年08月29日

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ネタバレ

児童養護施設を舞台にした連作ミステリー
いわゆる「学園七不思議」もんってヤツですが、一つ一つの話が丁寧に良くできていて、謎解き小説としてよりも、元気をもらえる小説としていいなぁと思える。舞台が舞台だけに少々切ない思いもするんだけど、それを包んで余りある優しさというか人間味が、柔らかく心地よい。

けに、最後のどんでん返しがちょっと残念。仕掛け自体は非常にいいんだけど、ネタばらしとバレてからの展開が、ちょっとバタついてる感あって荒っぽいんよなぁ。この仕掛けがあるからミステリーとして映えてるというのは分かるが、もうちょい丁寧に仕掛けてくれたら言うことなしやったんだけど。

それでも、十分読ませてくれる日常ミステリー。
実は日常もん…と言ってしまうのに抵抗がある、何しろ舞台が児童養護施設、彼らの背負っている「日常」って…。ほんま、子供虐待する奴は子供産むなよ、セックスするなよ、と声高にいいたくなる。そう思うのは、この本を読んだ時に限ったことではないんだけど。

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2016年05月27日

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まず、読みやすい。
繋がりのある短編7つだけど、最後に全編に絡む驚きがある。
また、一つ一つの謎解きも、ハッとさせられて面白い。
しかし、最大のハッ は、表紙にあったとは!

これでやっと、アルバトロスを読める。

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2016年03月06日

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七海学園という児童養護施設の7つのミステリー。「どんなに似て見えても、その子の苦しみはその子だけのもので、本当にはわからないのかもしれないけれど、あまりにも思い当たる言葉がいっぱいで、学園に今ももう一人の、ううん、もう二人、三人、何人ものわたしがいるような気がして、切ない気持ちになったんだ」

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2015年12月11日

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ネタバレ

ネタバレ注意です!

「もし、私がこのことを小説に書くんだったら、ペンネームは絶対ローマ字回文になるようにするな。そうしたら冒頭どころか表紙に載るもんね。『最大の伏線は本を開く前から読者の目の前に!』とかってコピーができるわよ」
にこの物語の全てが集約。
児童養護施設という社会的テーマをも扱いつつ、日常の謎を混ぜ込み、最後の話で大風呂敷をきちんとまとめたところが小気味よい。謎の論理的組み立てはもうちょっとなるほどーというものがあるともっとよかった。

けれど、個人的には若竹七海の「ぼくのミステリな日常」の方が驚きは大きかった。

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2015年08月02日

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児童養護施設を舞台に、学園の七不思議の謎を解くストーリー。主人公の施設職員と子供達との関係には心温まるものがあり、しかもミステリーの部分もしっかりしているという一冊で二度美味しい、いい作品。少し真相の説明がクドいのが難点か。最終話の展開は鮮やか。驚かされた〜。

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2014年10月15日

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児童養護施設の七不思議を一つずつ追っていくストーリー展開。
単純な感動ものかと思いきや、しっかりとしたミステリーだった。
とりわけ最後の意外性は、「やられた!」という爽快感もあって、読み応えがあった。

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2014年09月20日

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ネタバレ

連作短編集。

児童養護施設「七海学園」での日常を描いたミステリー。

ミステリーであるが、殺人があるわけでなく、かと言っ
平凡な日常の謎でもなく、学園七不思議を呼ばれる謎を解明していく。

一つ一つの短編が面白く人間味ある物語であるうえ、
最後の章でとっておきのミステリーが炸裂する。





ネタバレ>

主役の学園職員 北沢春菜が児童福祉司の海王さんの
助けを借り謎を解明していくのだが、春菜の友人 佳音ちゃんに学園の話をよくするのだが、その謎解きの1つに行方不明になった少女の謎解きがある。

その少女自身が佳音ちゃんだったというのが最後のミステリーとなる。
各章に出てくる色々な謎の女性も佳音ちゃんであった。
佳音ちゃんが意識してそういう役回りをしたのでなく、たまたまそうなってしまった。

佳音ちゃん自身も七海学園に一時保護されていたのだが、春菜と知り合ったのも大学が同じであった為の偶然でしかなかった。

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2014年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

素晴らしかった。児童養護施設が舞台ということでふわふわした感動ものだったりしたら嫌だなぁと読み始めたのですが全然そんなことなかった。子供たちにとって厳しい現実を彼ら自身が逞しく生きぬいていく様が強く印象に残った。個人的には2話目の話がすごく好きで、真実を隠したまま幸せになる、2人の選択が許させる世界で良かった。最後の"みすず"の暗示にもぞくっとしたけど、彼女の行動が復讐のためなのかそれても…と、考えさせる終わり方もとても味があり好き。
ミステリー性よりも他に光るところが目立った印象でした。初作家さんでしたがこれからも読んでいきたいです。

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2014年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

児童養護施設を舞台に展開されるミステリー。短編の中に出てくる人物が実は主人公の近くにいる人間であると言いうのはとても驚いた。途中まで、海王さんは悪い人だと思っていたがそんなことも無くいい人である事が分かり、良かった。

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2021年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語としては、うーん。レビュー評価が高く、期待しすぎました。

最後のエピソードなんかは驚かされたし、たくさんの伏線を丁寧に回収していて、よく出来ているんだろうなとは思うものの、「そんな都合よく?」「いや、その要素を答え合わせで足すの?」みたいな感覚が多くていまいち盛り上がれない。自分がミステリーをあまり読まないから馴染みがないだけなのかもしれません。

むしろ、児童養護施設の子たちと接する機会が多いので、職員の大変さ、子どもたちの抱える問題や対応の難しさを多少なりとも理解できる部分もあって、その要素の方が興味深く読めました。
でもだからこそ、現実はこんな爽やかに納まるものでは決してなく、あくまでフィクションだから希望の要素を前面に出しているんだろうな、とか余計なことを考えてしまい、これまた複雑な気分になってしまいました。

アルバトロスはどうしよう。

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2019年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鮎川哲也賞受賞ということで読んでみた。
全7話で、舞台・登場人物は同じ。養護施設で働く主人公が日々の生徒たちとのかかわりあいの中で知ることになる施設にまつわる不思議な話。それを安楽椅子探偵役?の相談員が話だけで解決していく。さらに7つ目の話で、この6つの話が全て一つの時系列に見事につながっていく展開は見事で、緻密に計算されたミステリとしての完成度は高い。
が、しかし・・・その一方でミステリとして見ると、養護施設の抱える問題や社会的な位置付け等、問題提起の部分も多くて、これが毎回出てくるので話が不要に長くなる。
キャラも今一つ浮足立ってるような、表面を軽く撫でたような印象でリアルさに欠けている。
作者は養護施設関係で働かれているのかもしれないが、そこでの営みを詳細に描きこんだことが、皮肉なことにミステリとしての爽快感やスピード感を殺してしまったような気がして残念。

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2016年09月28日

Posted by ブクログ

児童養護施設を舞台に、日常の謎を追うというもの。その重いテーマ性にもかかわらず、著者のみずみずしい文章のタッチと主人公の性格ゆえか、思ったよりも重くは感じられない。マイノリティあるいは社会的弱者に対して、わたくしたちはいかに関わっていくか、ということを考えていく上で、考えさせてくれる作品です。

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2014年07月02日

Posted by ブクログ

表紙に惹かれて読んでみたら、思いのほか面白かった。ただ、謎解きがやや強引すぎるかな?という話もちらほら・・・。でも、最後で全ての話が一つに繋がってたのには驚かされました。

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2014年02月21日

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