児玉敦子のレビュー一覧
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★5 呪いに影響された世界を救うため旅にでた少年達… 闘いの果てに得た善悪の答えは #呪いを解く者
■あらすじ
湿地と森で構成される原野が広がるラディスが舞台、この世界ではクモに似た小さな仲間によって、人に呪いをかける力を得ることができる。少年ケレンは呪いを解くことができる特技を持っており、かつて鳥にかえられてしまっていた少女ネトルと旅を続けていた。
呪い人が許せない二人は、呪いに犯された世界を救うために冒険を続ける。果たして呪いはなくなり、人々は幸せになれるのだろうか…
■きっと読みたくなるレビュー
こりゃまた、すごい物語だわ…
今までに想像したこともなかった世界につれてってくれる。いつ -
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ネタバレフランシス・ハーディング、一気読み。一番面白かった!次点で「嘘の木」かな。
本物でない偽トリスが主人公。自分が本物と思っていたのに、いきなりアイデンティティが壊された偽トリス(トリスタ)。記憶も自身の身体も借り物だと知ってもなお、それでも私は生きている!と、命ある限り本物のトリスを助けようとする。借り物であるがゆえに、いびつな家族関係を客観的に理解し、父親ピアスにはっきりと意見をいうところは良かった。
最後は偽トリスが儚く消えて終わりかと思いきや、しぶとく生き続けるラストも意外で良かった。第一次世界大戦後、信仰への揺らぎ、女性の社会進出など、今までの価値観がすべて覆され、自分たちも変わりつつ、 -
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ネタバレ北京五輪男子シングル金メダリスト・ネイサンチェンによる自伝。
普段のインタビューも紳士かつ真摯そして頭脳明晰(ゆえにやや速い英語)なネイサンが綴る自伝はその性格から来る落ち着きとアスリートとしての情熱を存分に感じられました。
小さいころから五輪を目指し一家が(特にお母さん!すごい!)ネイサンのために協力し合って金メダルに辿りいたときにはこちらも「やったね!」となり、北京五輪当時を思い出しました!
読んでいて馴染みのある方々のお名前も出てきたりしてそれも興味深かったです。
これからのネイサンもネイサン自身が信じる道を邁進していくことを願っています。
※KADOKAWAさんのキャンペーン -
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芸術の側面のあるスポーツを行うフィギュアスケーターとしては珍しくかなり理知的で論理的な方なので、文章もわかりやすかったです。どの試合でどういう状況でどんなミスをして、、ということをきちんと覚えているのがすごいです。
彼のように賢く理知的な人でも、北京五輪の直前はコロナ禍や五輪への不安で眠れなかったと吐露しているところが印象的でした。ただ彼のすごいところは、こうした不安が起こることを受け止め、時に専門家のアドバイスをもらいながら、そのアドバイスを自力で取捨選択し、自分にとっての最適な不安への対処法を見つけて実践しているところです。
体操をやれば選手コースに誘われ、スピードスケートのコーチにもスカ -
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ネタバレ初のフランシス・ハーディング。
児童文学賞とか嘘やん笑、と言いたくなるほどがっつりミステリ。
序盤は主人公のフェイスに襲いかかる苦難が読んでいて辛くて辛くて。
19世紀のイギリスという時代背景も含め、女性がとことん生き辛い世の中、父の捏造の噂からの死。自殺で処理されると埋葬もできない、加えて後半判明するが資産相続もできないため、これから生きていくためには、父は殺されたのだという証明=犯人探しが必要となる。
このあたり、中盤以降に登場する「嘘の木」の性質をうまく利用し、フェイスが島の裏で暗躍する段になってからがかなり読み応えが良くなった印象。児童文学としていいかどうかは置いといて笑
犯人に至る -
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面白かったです。ハーディングは大人が読んでも面白いです。
困難に立ち向かっていく自己形成小説が特徴であり、今回も少女の冒険活劇だったけれど、舞台設定とキャラ設定が秀逸。
ピューリタン革命前の1634年頃のイギリスの激動の時代に、霊を憑依させた上、共存するという不気味で奇抜なアイデア。
10歳〜15歳。人生経験も少ないし味方もいない天涯孤独。
どんな能力をもってしても、一人ではか弱いほんの子供だけれど、メイクピースはたくましく大胆に周到に準備していく。生き残るために誰を信じて共存するか?
そのあたりも見守っていたくなる。
ピューリタンであろうがプロテスタントであろうが、王党派であろうが、議会派 -
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ファンタジーであり、ミステリーであった。
児童書であり、歴史書であり、伝記であった。
そして小説であり、自叙伝であり、哲学書であった。
これが児童書なのかと驚いた。様々な側面を持つ、何とも読み応えのある本。
翻訳本特有の読みづらさも少ない。
文庫本なのに1200円もするだけはある。
女性の権利があまりにも低く、読んでいるだけで嫌気がさすような差別を受ける中、それでも強く自分の信じた道を歩く女性が沢山出てきた。
序盤、話の中心は男性だったが、後半になるにつれてその舞台には多くの女性が台頭してくる。真っ直ぐにそれぞれの自分の信念を貫く母娘、どちらの気持ちもわかってしまい胸が苦しくなった。
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世界の運命を決する戦いに巻き込まれてゆくわけではない。死と生の均衡を保ち世界を救うために旅に出るわけでもない。
渡し守は、霧深い小さなマーランク島で、なすべき仕事を粛々と果たす存在だ。
敬意は払われていても、あくまでも職人として、家業として、死者が島に留まって災いを招かないように、壊れた塔の島へと船で運び続けてきた。
渡し守に向かないと父に告げられた少年が、悲しみや怯えに屈っしそうになりながらも、父のやりかけた仕事を引き継いで船を出すのは職責を全うする意志からだ。
この父と息子の厳しくも認め合う関係性が、死とは何かという幻想的な物語の芯となっている。
死者に思いを巡らし、死者の声に応えるこ -
Posted by ブクログ
児童文学の世界は海外と言わずとも、日本でも大家は多い。
が私にとって、ハーディングは第一作から虜にさせられた別格の神的存在。
作2024年12月発刊のこの作品、バタついていてなかなか読めなかっただけに 読み始めると砂地に水が吸い込まれるように脳内に染みわたった。
従来の彼の作品と比したら、かなりボリュームが少ない。
だが、内容、メッセージ共に「作品はボリュームで語るもんじゃない」を如実に体現している。
そして挿絵の素晴らしさ~お初ともいえる画家の肩だが、作風のイメージを見事に体現。
モノクロのトーンは児童文学の世界で宗教画とも言えそうな神的温度を思わせる。
ハーディングはデヴューして20年