あらすじ
高名な博物学者のサンダリーによる大発見、翼のある人類の化石。だがそれが捏造だとの噂が流れ、サンダリー一家は世間の目を逃れるように島へ移住する。だが噂は島にも追いかけてきた。そんななかサンダリーが謎の死を遂げ、父の死因に疑問を抱いた娘のフェイスは密かに調べ始める。父が遺した奇妙な手記、嘘を養分に育ち真実を見せる実をつけるという不思議な木、フェイスは真相に辿り着くことができるのか。19世紀イギリスを舞台に、時代の枷に反発し真実を追い求める少女を生き生きと描いた、コスタ賞大賞・児童書部門賞ダブル受賞の傑作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
【嘘の木】という不気味で謎な植物が謎を解くキーとなっていてダークな雰囲気が漂う物語。
女性は表舞台に立てず、知識を持っていると奇異な目で見られた時代。好奇心旺盛で知識もある少女・フェイスは鬱屈としていた。そんな彼女だからこそ秘密裏に行動して真相に辿り着けたのだから胸がすく。
少女が大人の目を掻い潜って謎に迫るハラハラ感が面白くて彼女の成長する姿がYA文学ならではでとても良い。
フランシス・ハーディングの他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
嘘を栄養分に成長して実を成らせる嘘の木。ファンタジーだから、好き嫌いは分かれると思う。でも、児童文学としての位置付けならば、思春期の何者でもない中途半端な時期に主人公が父の死の秘密を解き明かし、母の生きるすべを許していく子どもの成長の物語とも言える。そして、自分の進むべき道を見出していく。
決して幸せな話ではないが、作者の緻密な文章に引き摺り込まれる内容。そして、最後には主人公フェイスがこれからどのように成長するのか、博物学者としてこの時代に生活していけるのか、いろいろ考えてしまう。余韻のある作品。
Posted by ブクログ
人生経験で人の見え方や世の中の見え方がガラッと変わることを教わった。
主人公の知性の解放、推理、登場人物の豊かなキャラクター、物語が一転二転するにつれて深まる推理や、女性の格差社会の時代背景などすべてのギミックがハマった。
過去に大切にしてきた自分の価値観と現実どちらも認めて、前に進み出す主人公や女性達の生き様がかっこよかった。
読後感も気持ちよく、主人公がかっこいい。
また読み返しても味わい深いと思う。
Posted by ブクログ
全女子に読んでもらいたい本!
舞台は19世紀のイギリス。今よりずっと女性に権利も自由もなかった時代。
出てくる女性たちが皆、自分の武器を最大限活かして戦っているのがいい。
一見男性社会に抑圧されているように見えても、逞しく生きている。
主人公が知性を生かしてダークヒーローになりかけていく展開は、いったいどうなるのかと予想がつかなかった。
非常に読み応えはあるけど子供騙しじゃなくて、でも児童書らしく爽快な読後感。
おすすめ。
Posted by ブクログ
フランシス・ハーディングの作品はカッコーの歌、影を呑んだ少女 ときて3番目に読んだのがこれ。中盤まで嫌〜な大人たちの描写が続き、それに比例するかのようにジワジワと主人公も陰湿な内面が出てくるあたりはいつも通り。周りの陰湿さで言うと上述の2つよりこの本のほうが陰湿で読んでいてゲンナリしてくる。ただ、中盤以降で話が大きく動いていくのは流石で作品のテーマもわかりやすく、『嘘』という事柄が最初から最後まで一貫していたしエンドも投げっぱなしではないところが良かった。残りのハーディング作品も早く読みたい。
Posted by ブクログ
・あらすじ
19世紀英国舞台のフーダニットミステリーでもありファンタジーでもあり、ジュブナイルもの。
19世紀英国、フェイスは高名な考古学者である父親の仕事の都合でとある島に移住。
大人しく目立たない存在であろうとするフェイスは、尊敬する父親の秘密と嘘と罪が暴かれるごとにその殻を破って、父親を殺した犯人を突き止めていく。また父親が隠し殺される原因となった嘘を食べて育つ木の正体は…?
・感想
殺人事件が起こるまでは19世紀の厳格な家父長制描写とか主人公が父親を神の如く盲信してたりちょっとイライラもどかしく思いながら読んでたけど、父親が死んでから父親の呪縛と呪いから開放され殻を脱ぎ捨てたフェイスと母親の描写がすごく良かった…。
①フーダニットミステリー②嘘の木をめぐるファンタジー③時代故の価値観に苦しめられるフェイスの成長譚という3つの属性がきれいに一つの作品を織り上げていて読み応え抜群
。
とても面白かった 。
Posted by ブクログ
父の死の真相と嘘の木の解明をめぐるミステリー。
YA向きです。もっと若いとき、できれば主人公と同じ年頃で読みたかったと思います。歳をとって読んでもこれだけ面白いのですから。
ダーウィンの『種の起源』が発表された頃、まだ女性が自由ではなかった時代の話。
女性たちとひとくくりにされながらも、登場人物たちがそれぞれの個性を活かしてしたたかなところがグッときました。
自分にもし娘がいたら、読んでみて、と薦めたくなる本でした。
Posted by ブクログ
登場人物はみんな名前で呼ばれるので、最初の方は誰が誰の父で母で子なのか混乱するが、読み進めていくと意図的にそうしていることがわかってくる。みんな父や母や子である前に一人の人間で、独立した考えを持っているし、必ずしも「正しい」面ばかりではない。
大人や社会が押し付けてくる「こうあるべき」に疑問を持った思春期の女の子が、危うい橋を渡りながら、自分の生き方を探っていく話。
Posted by ブクログ
こんなに贅沢な児童文学もないものだと感じ入りながら、読み応えのある物語を堪能しました。文学小説家としてもフランシス・ハーディングさんは天性の才能を持っている方だな思っております。
Posted by ブクログ
前半は、鬱々として、うーん辛いと思いつつ進んでいくと、途中からの主人公フェイスの脱皮で、物語は凄みを帯びてくる。
そこからは怒涛の展開で、ラストは涙した。
ファンタジーでありミステリであり、ダークヒロインの物語であり、少女の成長と勇気の物語である。
とても好きだった。読み返すと思う。
Posted by ブクログ
初のフランシス・ハーディング。
児童文学賞とか嘘やん笑、と言いたくなるほどがっつりミステリ。
序盤は主人公のフェイスに襲いかかる苦難が読んでいて辛くて辛くて。
19世紀のイギリスという時代背景も含め、女性がとことん生き辛い世の中、父の捏造の噂からの死。自殺で処理されると埋葬もできない、加えて後半判明するが資産相続もできないため、これから生きていくためには、父は殺されたのだという証明=犯人探しが必要となる。
このあたり、中盤以降に登場する「嘘の木」の性質をうまく利用し、フェイスが島の裏で暗躍する段になってからがかなり読み応えが良くなった印象。児童文学としていいかどうかは置いといて笑
犯人に至るまでの過程も見事。伏線がうまく張られていた。
帯にもあったが、終盤の親娘の会話も良かった。
19世紀の女性の闘い方で家族を守ろうとした母親、新しい時代を切り開こうとした娘。どっちも正しいよなぁと。
評判どおりの面白さで、次作も楽しみ。
Posted by ブクログ
とんでもない行動力と体力と知力がある少女が主人公。
これはSFになるんだろうか。
『すずめの戸締まり』のすずめ並みの体力をもつ主人公。(うろ覚え)
悪党に嘘の木を渡すな!
Posted by ブクログ
ファンタジーであり、ミステリーであった。
児童書であり、歴史書であり、伝記であった。
そして小説であり、自叙伝であり、哲学書であった。
これが児童書なのかと驚いた。様々な側面を持つ、何とも読み応えのある本。
翻訳本特有の読みづらさも少ない。
文庫本なのに1200円もするだけはある。
女性の権利があまりにも低く、読んでいるだけで嫌気がさすような差別を受ける中、それでも強く自分の信じた道を歩く女性が沢山出てきた。
序盤、話の中心は男性だったが、後半になるにつれてその舞台には多くの女性が台頭してくる。真っ直ぐにそれぞれの自分の信念を貫く母娘、どちらの気持ちもわかってしまい胸が苦しくなった。
Posted by ブクログ
覚えているのは宮部書評本でのオススメだけだけど、他にも複数個所でオススメされていた記憶アリ。YA向けファンタジーの気持ちで臨んだけど、実際には普通の外文ミステリの味わいでした。タイトル通り、ファンタジー色ももちろん重要なんだけど、あくまでそういう味付けのミステリ、って印象。何といっても、”嘘の木”の登場が、半分あたりまで進んでやっとだから、前半は当然、ファンタジー色皆無。ちょっと不穏な普通の物語。まあそんなことは、面白ければどうでも良く、本作も楽しめたからそれで満足。
Posted by ブクログ
これを児童書のジャンルに入れるなんて、イギリスはやっぱりその道の最高権威だな。日本人が書いたらもっと中2的な青臭い狭っ苦しい物語にしかならなかっただろう。子どもと大人の中間にいる十代半ば前くらいの思春期の子どもの内面は確かに、こんなふうに捻くれて多感だった。大人が考えるよりずっと複雑だった。なかなか面白い小説であった。
Posted by ブクログ
舞台は19世紀の英国。翼のある人類の化石を見つけた博物学者で牧師のサンダリーだが化石は捏造だとの噂が流れ、一家はヴェイン島へ移住する。しかし噂は島にまで届き、ある夜サンダリーは不審死を遂げる。その死は自殺と疑われ牧師でもあったサンダリーの埋葬許可も下りない。一家は島民たちから村八分され居場所を失う。そんな中、殺人を疑った娘のフェイスは父の死の真相を調べ始める。遺された父の日記から、嘘を養分に育ち真実を見せる実をつける「嘘の木」のことを知る…。
前半は退屈だ。サンダリー家の環境や登場人物の人となりの説明なのだろうが、淡々と話は進む。特に事件は動かないし、不思議なことも起こらない。しかし後半から話が動き出す!
実在した嘘の木が見せるヴィジョンとは何なのか。この木は何ものなのか。島民の中に殺人犯人がいるのか。それとも自殺なのか事故なのか。
娘のフェイスの視点で話は進むのだが、まだまだ女性が古い観念に縛られていた時代に、フェイスは強い意志と行動力で真実を突き止めていく。いや、時代に反発するのはフェイスだけではない。登場するそれぞれの女性たちが抗い、逞しく自分らしさを追い求めている。フェイスのラストの活躍はアクションたっぷりの活劇だ。
帯に宮部みゆきの推薦の弁で「終盤の母娘の会話に涙した」というのは、全てが終わった後、それまでお互いを理解できなかった母と娘が心を開いて話すシーン。父親と息子が理解し合う話はよくあるが、母娘はそうそうない。同様にフェイスは他の登場人物とも腹を割った話をしてその壁をなくす。気持ちの良い爽やかなところだ。
Posted by ブクログ
19世紀末のイギリス。「種の起源」が出版されて間もない時期。女性が個人としての存在を認められることはない時代。14歳のフェイスは、家族と共にヴェイン島に移住する。牧師であり、博物学者でもある父は、翼のある人類の化石を発見したことで捏造者の汚名を抱えていた。父に認められるような博物学者になりたいと密かに思っているフェイス。そんな父は、フェイスに手伝わせて島の洞窟に1本の木を隠し、翌朝死体で発見される。父の死は自殺ではないことを証明しようとするフェイス。謎を握るのが父と共に隠した木である事に気づくが…。
離島という閉じられた空間で起こった殺人事件の犯人探しミステリーであり、『嘘の木』という架空の植物を巡るファンタジーでもある。たいへん読みごたえのある作品です。
"私的な殺人捜査"が物語の主軸となるため、主人公はもちろん、登場人物の性格や行動原理は結構エグいです。19世紀末を題材にとった"女性の自我の覚醒と自立を促す物語"という捉え方もできるのかもしれません。
【余談】
それよりも気になったのは、この作家が、私が以前から考えていた『イギリス女性作家の系譜の一員なのではないか』という疑問です。ブロンテ姉妹からJkローリングに繋がる、強い自我を持った若くて強靭な女性を、現在の視点で描ける人のような気がします。他の作品も読んでみたいという気にさせてくれる作品でした。
Posted by ブクログ
うん。予想外におもしろかった。
読み始めるまでは文学文学してるような難解な話なのかな~とか、思わせぶりな隠喩だらけの抹香臭いような話なのかな~とか、あんまり期待せずに読んだのがよかったのかな。
単純におもしろかった。
冒険ヒロイックミステリー。
封建的で男尊女卑な19世紀のイギリスが舞台で、「種の起源」が発表された九年後という設定もうまい。
化石の捏造を指摘された高名な博物学者である父親の死の真相を調べます。
主人公の14歳の少女フェイスが小気味いい。
知恵も度胸も行動力もある。
最初のうちは
【十四年間かけて植えつけられてきた恐怖が頭の中を駆け巡る。見知らぬ男。わたしはもうすぐ大人の女になろうとしている娘。保護者やお目付けなしで、見知らぬ男の近くにいてはならない。そんなことをしたら、恐ろしいことが数かぎりなく起きる谷に落ちるだけだ。】
な~んてことを言ってたのに後半では
【人は動物で、動物はただの歯だ。先にかみつき、食らいつけ。それが生き残る道なのだ。】
と勇ましくなっていく。
ジブリとかがアニメ化してくれないかなー。
似合うと思うんだが。
お仕着せのレディーの格好をさせられたフェイスが駆け回る姿を見てみたい。
そういえば久し振りの★4評価です。
去年の「百瀬、こっちを向いて。」以来。
一年二か月振りでした。
ちょっと点数甘いかなとも思いましたが、読み終わった後に拍手してしまいましたからね。
★4でいいです。
惜しむらくは「嘘の木」ですね。
これがなんだかわからない。
京極夏彦さんの「塗仏の宴」に出てきた不死の生命体「くんほう様」みたいに、なんらかの解釈を与えて欲しかったな。
Posted by ブクログ
19世紀英国。女性の立場は低く、学問を志すことも自立した生き方も許されず、ただ貞淑で家庭にいることを強いられていた時代。まさに子供から女になろうとする14歳のフェイスが、知恵と勇気をふるい多くの束縛や困難を乗り越えて真実を追い求めるミステリー。
高名な学者であり畏れつつも敬愛していた父が殺され、その汚名をすすぎ犯人を見つけるために奮闘するのだが、高潔と信じていた父が実はそうではなかったという皮肉。
それに対し、美しく着飾り男に媚を売ってばかりの母を軽蔑していたのに、それが家庭を守るための母なりの闘いだったのだと知り、終盤で母娘がお互いを認め合うシーンが良かった。
自分の信念(faith)を持って闘う少女は、女が自由に生きられる新しい時代を切り拓いてゆくに違いない。
Posted by ブクログ
ミステリ。ファンタジー。
初めて読む作家。
イギリスでは児童書だったらしい。
背表紙のあらすじ的にはSF要素もありそうだったが、実際はほぼなし。ファンタジー。
全体としては、主人公フェイスの頑張る姿を応援する作品、という印象。
中盤の実験と捜査と工作、終盤の解決、どちらも面白いが、個人的に一番良かったのは序盤。
ミステリとは関係なく、19世紀のイギリス・小さな島という環境によって主人公が置かれた立場が興味深い。
特にジェンダー論に関して、かなり考えさせられる。
児童文学としては難しい気もするが、面白いのは間違いなし。
Posted by ブクログ
ウソを食べて育つ『嘘の木』の果実を食べると… 暗く静かでキレイなファンタジーミステリー #嘘の木
■あらすじ
19世紀のイギリス、宗教の協議と進化論が折り合わない時代。
博物学者を主とする一家が、研究結果捏造の中傷を浴びてしまい、島に移住をしてきた。島の住民に疎まれながら、肩身の狭い生活を余儀なくされる。
娘であるフェイスは、ある日の夜中、博物学者の父に秘密の場所に引き連れられる。しかしよく朝起きると、父は不審死を遂げてしまうのだった。納得ができないフェイスは独自で調査を始めるのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
これがファンタジー小説というやつか… 美しく幻想的な作品でした。
翻訳ミステリーは物語をいかに盛り上げていくかが読みどころなんですが、本作はひたすら静かに、そしてゆっくりと進行していきます。何もかもはっきりとは説明もされず、ずっと薄暗い世界を読み進むことになるのです。
そこに現れるのが「嘘の木」。
夢のような効果が得られる植物にも関わらず、やはりそこには暗澹たる世界しかない。素晴らしいダークファンタジーを体験することができました。
本作は儚げな美人を眺めているような文章で、可憐すぎるんですよ。圧倒的な筆力。じわっと心の染み入る表現が素晴らしかった。
本書 P81 引用:
女性たちがひっそりと羽をのばして素の姿になっている。
見た目の変化はなくとも、花が開くように、あるいは折りたたみ式ナイフを開くように、本当の姿を見せはじめていた。
本作は登場人物の推しは、やっぱり主人公フェイス。
控え目ながらも、父を想う優しい心と、問題解決に立ち向かう熱い姿が可愛い。19世紀イギリスでなくとも、現代の日本社会の第一線で戦っている女性たちを見た時と同じにように、勇気と生気をもらいました。
そして事件の結末と真相も、まさに胃が締め付けられるような展開でしたね… ただこれから未来のフェイスには、一筋の光が差し込んでいるような気がしました。
■ぜっさん推しポイント
書き連ねてくるテーマ性がめっちゃ痺れましたね。
作者はまだまだいっぱい作品があるので、楽しみに読もうと思います。
・女性の生き方
この時代における社会や家庭における女性の立場が、あまりにも痛み入る。どんなに優秀であっても、正しくても、権利が与えられないという現実がどれほど人の価値観を卑屈にしていくか…
・宗教と種の起源
人はどこから生まれ、どこに帰っていくのか。キリスト教の禁忌を犯した者の運命は… 深い深いテーマに人の欲が絡み合ったとき、こんな物語になるのだと感動しました。
Posted by ブクログ
14歳とは思えぬ行動力と頭脳をもった主人公が、頭ごなしに枠におさめられるような日々を過ごす中、父が不名誉な汚名を注がれて死亡する
自殺か殺人か、主人公は1人で事件を解決するため奔走する話。
最後に進むにつれてみんな鬼気迫るシーンの連続で、映画になったらなかなか迫力がありそうです。
Posted by ブクログ
ミステリーというより、ミステリーの形を借りた、古き良き欧州の時代劇みたいな感じだったな。
元々は児童向けらしいから、複雑な設定は何もない、は言い過ぎだけど、それもこちらが日本人だから舞台設定が馴染みがないだけで、分かりやすい小説だった。
Posted by ブクログ
少女の利発さと行動力にドキドキはらはら
あっという間に読み進め
最後に彼女が母親をみる目がかわっていくところに真の成長を感じた
確かに、よくできた冒険ファンタジーだと思う
Posted by ブクログ
もっと盛り上がるかと期待したのだが、カタルシスは弱かった。彼女が女であるだけで否定されて自信を叩き潰される様を見続けて、だからこそ大きなカタルシスを求めてしまうのだ。周りの女たちにもそれぞれの言い分があるような薄い描写もあったが、児童文学でこの雑な片付け方は、イギリスならではの皮肉なのか?これでいいのか?大きな賞を獲っているようだが、あまり納得はできなかった。
Posted by ブクログ
ファンタジー要素は少なく
40%くらいまで現実的なミステリーです。
後半は中々のトリップ感があります。
種の起源の発表後のキリスト教世界と
嘘で膨張する植物を絡ませた物語は、いつもながら児童文学とは思えないですね。
Posted by ブクログ
児童文学とは思えぬダークミステリー。
これはファンタジーとされているが
ミステリー要素が最初から散りばめられ
学者の父が犯した捏造の噂から逃れる為
一家はある島に逃げる様に移住する。
そして、父親の不審死から謎の植物の存在
が発覚する。
それは人間の吐く嘘を養分にして大きく
実がなり、それを食すと世の中の理や真実が
ビジョンとして頭の中に映し出される
と言う不思議な力をもった植物だった。
この時代の女性達は男性に従ってしか
生きられず、娘は父の死の謎を解き明かす
為に今までの抑圧された生活から
一歩踏み出し、嘘の木と父親の死の謎を
解き明かす。
抑圧されたこの物語の全ての女性達は
最後の最後に嘘の木の消滅と共に
全ての鎧を脱ぎ捨て、力強く生きるのだ。
Posted by ブクログ
時代背景をよく表した本であると思った。
当時の女性は、こうあるべきだ、といったものがとても強かったのだろう。
そして、そのように生きなければ生きられないくらい厳しい時代だったのも事実。
だが、そんな中でも少数派として生きていく人は、誰かに共感してほしく、どうにかして自分を貫いて、表には出ない形で活躍していく。
主人公の周囲を考えないで突き進んでいく行動力はよくもあり、悪くもあるが、こうあるべきだ、という概念が強すぎる時代には必要なのかもしれない。
今の比較的自由な価値観を持つことが許されるようになった時代の前には、数々の苦労があったと思う。その苦労があったからこそ、今の自由があるのだと感謝して生きていこうと思った。
Posted by ブクログ
不思議な読後感。
おもしろくて、ページをめくる手が止まらない!
というわけではなく、どういう着地をするのか、
気になって最後まで読んだ、という感じ。
嘘を与えると成長する木、という、途方もない設定なんだけど、関わる者みんながそれに取り憑かれ、
信じてしまう。そのことにそれほど違和感を感じなかったのは、それだけこの作者に筆力があったからだろう。
主人公の少女は完璧なヒロインではなかった。
悩み、時に卑屈になり、親の愛情に疑問を持ったり飢えていたり。かと思えば、この時代に似つかわしくない大胆さで意見や行動をする。
世の中の多くの少女が持つそんな特性に、読んでいて共感する部分も多いかもしれない。
少女の母親も含め、登場する女性の描き方がおもしろい作品だった。