【感想・ネタバレ】影を呑んだ少女のレビュー

あらすじ

メイクピースはずっと母とふたりで暮らしていた。悪夢にうなされるたび、母は怒った。メイクピースは幽霊を憑依させる体質だから、抵抗しなければいけないというのだ。そんなある日、ロンドンで暴動に巻きこまれ、母が命を落としてしまう。残されたメイクピースのもとへ会ったこともない亡き父親の一族から迎えが来た。父は死者の霊を取り込む能力をもつ旧家の次男だったのだ。父の一族の屋敷で暮らし始めたメイクピースだったが、屋敷の人々の不気味さに嫌気がさし、逃げだす決心をする。『嘘の木』の著者が17世紀英国を舞台に描く歴史大作。/解説=杉江松恋

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

フランシス・ハーディングの邦訳3作目。
今作も、戦わざるを得なくなった少女の物語。「嘘の木」「カッコーの歌」と比べると、先の読めない意外な展開が多い。

17世紀イギリス。母親に先立たれたメイクピースは、死んだ父の生家に引き取られる。ただそこは、母が何かから逃げてきた場所でもあった。内戦の音が近づく中、奇妙な父の親族たちから逃げ出すことを決めたメイクピースだったが。。。

舞台はピューリタン革命の足音が聞こえる内戦状態のイギリス。ジャンル的には歴史冒険ファンタジー。過去作にはないほど、史実である内戦の影響が物語に影を落とす。
非常にミステリ要素のある展開というか、先の読めない展開があるため、事前情報を少なくして読んだ方が良い。
そしてハーディングの描く少女。今作も数多くの不条理に巻き込まれても、決して折れない姿を見せてくれる。海外ファンタジーとして、あらためてハズレが全くない作家だと感じた。

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2025年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今月は色々とあり、なかなか読み進めるのが難しかったのですが。

この作品と出会えた事は縁なのだろうと思います。

死者の魂を住まわせることが出来る一族の少女の物語は胸打つものがありました。

人は必ず逝くべき所へいかなくてはならない。
その事を改めて考えて、生きていかなければいけないですね。

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2023年09月30日

Posted by ブクログ

面白かったです。ハーディングは大人が読んでも面白いです。
困難に立ち向かっていく自己形成小説が特徴であり、今回も少女の冒険活劇だったけれど、舞台設定とキャラ設定が秀逸。
ピューリタン革命前の1634年頃のイギリスの激動の時代に、霊を憑依させた上、共存するという不気味で奇抜なアイデア。
10歳〜15歳。人生経験も少ないし味方もいない天涯孤独。
どんな能力をもってしても、一人ではか弱いほんの子供だけれど、メイクピースはたくましく大胆に周到に準備していく。生き残るために誰を信じて共存するか?
そのあたりも見守っていたくなる。

ピューリタンであろうがプロテスタントであろうが、王党派であろうが、議会派であろうが、大事なのは生きて出られることと立ち向かっていく強さ。

内なる声と話し合うのは誰もが天使の声悪魔の声ぐらいは持っているだろうけれど、
思えば本を作っていくこととも、人生そのものとも似ているだろう。

自由を得るため、ただ生き残るために奔走する異能の少女の味わい深いゴシックファンタジーだった。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

『嘘の木』に続く著者第八作。
今作の舞台は1642年、清教徒革命下のイギリス。特殊な能力をもつ少女•メイクピースは暴動で母を亡くし、亡き父の一族のもとに引き取られる。王党派の父の一族は、代々あらわれる特殊な能力をもつ者をつかって邪な目的を果たしていた。その能力とは"霊に取り憑かれる力"。しかしメイクピースにはひた隠しにしている事実があって…。

幽霊が出てくるゴシック•ファンタジー。多様な仕掛けのある歴史ファンタジーでもあり、十五歳の少女が苦難を乗り越えていく成長の物語でもあります。
イギリスで賞を取った『嘘の木』も面白いけど、その一作前の『カッコーの歌』も、本作も面白い。全てに共通しているのは少女の成長。ときに慎重に、ときに大胆に、難局を乗り越えていく姿が生き生きと描かれています。

なお、清教徒革命期の話ですが主人公は市井の人なので、読むための歴史的知識はなくても大丈夫、読めます。"国王と議会が対立して内乱になり、最終的には国王が処刑された"くらい知っていてもいいかな。
ちなみに王の名はチャールズ1世。(今の国王は3世です。別王朝の人だから間違えないようにしないとね!)

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2024年07月07日

Posted by ブクログ

他人を信用するのもしないのも決めるのは自分自身。

カッコーの歌でフランシス・ハーディングに興味をもち次に読んだのがこれ。最初は宗教がらみの話がよくわからなかったのだがそこは主人公も同じで読んでいくうちに主人公と共に現在の状況がわかってくる。相変わらず(訳者の方の翻訳センスもあるのだろうが)ところどころでぐっとくる言い回しが多く展開も早いのでグイグイ読めた。エンディングがカッコーの歌と比較すると若干投げっぱなし感が否めなかったが、これはこれでアリだなと思えたのでそこまでは気にはならなかった。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ
17世紀、議会vs王で内乱状態にあった(清教徒革命)イギリスが舞台のファンタジー小説。

小さな田舎町で母と暮らしていたメイクピース。幽霊に取り憑かれてしまうという特異体質をもつ彼女はその能力を使って動乱の時代を生き抜いていく。

・感想
作者の作品は三作目なんだけど、どれも少女を主人公に据えた成長譚。
今回も同様に泥臭く生き抜く少女が逞しく描写されてる。
いわゆるなろう系とは全く正反対の苦境・逆境を傷つきながらも乗り越えていく作風で読み終わった後のカタルシスが良い。

過去に縛られ過去に拘泥し過去に生きている人々、旧く強大な権力を持つものに抗って新しい時代を生きていく人々を時代設定と主人公の設定に落とし込んでた。

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2024年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今まで培われてきた一族の歴史そのものを相続するという発想
とんでもない衝撃!
その叡智を結集させ揺るぎない地位を築き、栄華を極め続ける
子孫はただの器で弱きものは淘汰されてゆく、、
クマにボロボロにされてるし、逃げなきゃだし、わたしもついていくのがやっとだし
一難去ってまた一難のリピート
ちょっとやそっとでは太刀打ちできない
面白すぎる

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2023年10月10日

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