フランシス・ハーディングのレビュー一覧
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◼️ フランシス・ハーディング エミリー・グラヴェット絵「ささやきの島」
才能の出逢い。死と生の狭間。別れと再生。
考えさせる児童小説。
イギリスで評価の高い児童小説作家と、同国を代表する絵本作家、挿絵画家。2人の女性に編み込まれた作品。人の情に基づいたストーリーとファンタジックな世界観、追跡劇。ふむふむ。
領主の娘が死に、渡し守である父のもとに、娘の母親から死者の青い靴が持ち込まれる。娘と同じ14歳のマイロは父に、渡し守には向いていないと言い渡されており、兄のレイフが主に手伝っていた。死者の魂を、靴とともに船で「壊れた塔の島」に連れて行き昇天させるのが渡し守の役割だ。
領主がマイロ -
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『嘘の木』の著者による異世界ファンタジー。発表は2014年で『嘘の木』より前。
舞台は地下都市カヴェルナ。生まれつき表情を持たない人々は訓練を受けて"面"(おも)と呼ばれる表情を身に付けて暮らしている。チーズ作りの匠•グランディブルのトンネルに突然現れた少女•ネヴァフェル。五歳くらいの少女は、それまでの記憶を無くしていた。外界から遮断されたトンネルの中で、チーズ作りの弟子として七年を過ごした彼女は、ちょっとしたきっかけからトンネルの外に出ることになる…。
ハイ•ファンタジーとしての"創り込み"が徹底しています。…と言うより、あまりにも手が込んでいて、 -
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現実世界にも作中の『書記長』がいて法律や契約を反故した者には死の裁きを…という事であれば、現在、市政に関わる多くの為政者は死を免れないであろう。 今まさにトピックされているキャッシュバック騒動に加担している輩は言わずもがな、選挙活動中『国民のために』とうそぶいた奴らもという事になれば、一体どれだけの政治家がサバイヴ出来るのか?
そして、
それはこの国に限らない。
今、世界中で勃発している戦争や紛争を先導、或いは加担している奴らの殆どは指導者では無く、権力者…いや、肥大した自己顕示欲を抱える狂人なのだ。
そんな輩によって、
今、世界は憎悪と怨嗟に満ちている。
世界中に『呪い』が蔓延って、作 -
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児童文学とは思えぬダークミステリー。
これはファンタジーとされているが
ミステリー要素が最初から散りばめられ
学者の父が犯した捏造の噂から逃れる為
一家はある島に逃げる様に移住する。
そして、父親の不審死から謎の植物の存在
が発覚する。
それは人間の吐く嘘を養分にして大きく
実がなり、それを食すと世の中の理や真実が
ビジョンとして頭の中に映し出される
と言う不思議な力をもった植物だった。
この時代の女性達は男性に従ってしか
生きられず、娘は父の死の謎を解き明かす
為に今までの抑圧された生活から
一歩踏み出し、嘘の木と父親の死の謎を
解き明かす。
抑圧されたこの物語の全ての女性達は
最後の最後に -
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時代背景をよく表した本であると思った。
当時の女性は、こうあるべきだ、といったものがとても強かったのだろう。
そして、そのように生きなければ生きられないくらい厳しい時代だったのも事実。
だが、そんな中でも少数派として生きていく人は、誰かに共感してほしく、どうにかして自分を貫いて、表には出ない形で活躍していく。
主人公の周囲を考えないで突き進んでいく行動力はよくもあり、悪くもあるが、こうあるべきだ、という概念が強すぎる時代には必要なのかもしれない。
今の比較的自由な価値観を持つことが許されるようになった時代の前には、数々の苦労があったと思う。その苦労があったからこそ、今の自由があるのだと感謝して -
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不思議な読後感。
おもしろくて、ページをめくる手が止まらない!
というわけではなく、どういう着地をするのか、
気になって最後まで読んだ、という感じ。
嘘を与えると成長する木、という、途方もない設定なんだけど、関わる者みんながそれに取り憑かれ、
信じてしまう。そのことにそれほど違和感を感じなかったのは、それだけこの作者に筆力があったからだろう。
主人公の少女は完璧なヒロインではなかった。
悩み、時に卑屈になり、親の愛情に疑問を持ったり飢えていたり。かと思えば、この時代に似つかわしくない大胆さで意見や行動をする。
世の中の多くの少女が持つそんな特性に、読んでいて共感する部分も多いかもしれない。