フランシス・ハーディングのレビュー一覧

  • 呪いを解く者

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    ネタバレ

    人を呪う
    それほどまでの恨み辛み、そして悲しみ
    呪縛を解き放つための赦しもまた、人の心で
    幾重にも積み重なった重いテーマを、小さき二人に背負わせる
    指先のかじかみ、節々の痛み、飢え
    彼らの痛みは痛烈で今作はまた一段と凄まじい超弩級のダーク加減
    最終的には解いた糸が繋がりを持ち始める
    これまでにない没入感
    なんという作品だ

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    2024年01月10日
  • 影を呑んだ少女

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    ネタバレ

    今月は色々とあり、なかなか読み進めるのが難しかったのですが。

    この作品と出会えた事は縁なのだろうと思います。

    死者の魂を住まわせることが出来る一族の少女の物語は胸打つものがありました。

    人は必ず逝くべき所へいかなくてはならない。
    その事を改めて考えて、生きていかなければいけないですね。

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    2023年09月30日
  • カッコーの歌

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    ネタバレ

    フランシス・ハーディング、一気読み。一番面白かった!次点で「嘘の木」かな。
    本物でない偽トリスが主人公。自分が本物と思っていたのに、いきなりアイデンティティが壊された偽トリス(トリスタ)。記憶も自身の身体も借り物だと知ってもなお、それでも私は生きている!と、命ある限り本物のトリスを助けようとする。借り物であるがゆえに、いびつな家族関係を客観的に理解し、父親ピアスにはっきりと意見をいうところは良かった。
    最後は偽トリスが儚く消えて終わりかと思いきや、しぶとく生き続けるラストも意外で良かった。第一次世界大戦後、信仰への揺らぎ、女性の社会進出など、今までの価値観がすべて覆され、自分たちも変わりつつ、

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    2023年09月09日
  • 嘘の木

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    【嘘の木】という不気味で謎な植物が謎を解くキーとなっていてダークな雰囲気が漂う物語。
    女性は表舞台に立てず、知識を持っていると奇異な目で見られた時代。好奇心旺盛で知識もある少女・フェイスは鬱屈としていた。そんな彼女だからこそ秘密裏に行動して真相に辿り着けたのだから胸がすく。

    少女が大人の目を掻い潜って謎に迫るハラハラ感が面白くて彼女の成長する姿がYA文学ならではでとても良い。
    フランシス・ハーディングの他の作品も読んでみたい。

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    2023年07月28日
  • 嘘の木

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    登場人物はみんな名前で呼ばれるので、最初の方は誰が誰の父で母で子なのか混乱するが、読み進めていくと意図的にそうしていることがわかってくる。みんな父や母や子である前に一人の人間で、独立した考えを持っているし、必ずしも「正しい」面ばかりではない。
    大人や社会が押し付けてくる「こうあるべき」に疑問を持った思春期の女の子が、危うい橋を渡りながら、自分の生き方を探っていく話。

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    2023年07月03日
  • 嘘の木

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    こんなに贅沢な児童文学もないものだと感じ入りながら、読み応えのある物語を堪能しました。文学小説家としてもフランシス・ハーディングさんは天性の才能を持っている方だな思っております。

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    2023年06月14日
  • 嘘の木

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    前半は、鬱々として、うーん辛いと思いつつ進んでいくと、途中からの主人公フェイスの脱皮で、物語は凄みを帯びてくる。
    そこからは怒涛の展開で、ラストは涙した。
    ファンタジーでありミステリであり、ダークヒロインの物語であり、少女の成長と勇気の物語である。
    とても好きだった。読み返すと思う。

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    2023年03月21日
  • 嘘の木

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    ネタバレ

    初のフランシス・ハーディング。
    児童文学賞とか嘘やん笑、と言いたくなるほどがっつりミステリ。

    序盤は主人公のフェイスに襲いかかる苦難が読んでいて辛くて辛くて。
    19世紀のイギリスという時代背景も含め、女性がとことん生き辛い世の中、父の捏造の噂からの死。自殺で処理されると埋葬もできない、加えて後半判明するが資産相続もできないため、これから生きていくためには、父は殺されたのだという証明=犯人探しが必要となる。
    このあたり、中盤以降に登場する「嘘の木」の性質をうまく利用し、フェイスが島の裏で暗躍する段になってからがかなり読み応えが良くなった印象。児童文学としていいかどうかは置いといて笑
    犯人に至る

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    2022年12月25日
  • 嘘の木

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    とんでもない行動力と体力と知力がある少女が主人公。

    これはSFになるんだろうか。
    『すずめの戸締まり』のすずめ並みの体力をもつ主人公。(うろ覚え)
    悪党に嘘の木を渡すな!

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    2022年12月08日
  • カッコーの歌

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    ネタバレ

    ファンタジー小説は自由でいてほしいと思う。

    現実を忘れ、物語に没頭すれば、そこに広がるのは、私たちが知らない世界だ。

    この物語はある一家の物語であり、そこへ紛れ込まされたカッコーの少女の物語だ。

    読み終えるまで、私は彼女と共に冒険をした。
    とても楽しい旅だったと記しておきたい。

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    2022年12月06日
  • 影を呑んだ少女

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    面白かったです。ハーディングは大人が読んでも面白いです。
    困難に立ち向かっていく自己形成小説が特徴であり、今回も少女の冒険活劇だったけれど、舞台設定とキャラ設定が秀逸。
    ピューリタン革命前の1634年頃のイギリスの激動の時代に、霊を憑依させた上、共存するという不気味で奇抜なアイデア。
    10歳〜15歳。人生経験も少ないし味方もいない天涯孤独。
    どんな能力をもってしても、一人ではか弱いほんの子供だけれど、メイクピースはたくましく大胆に周到に準備していく。生き残るために誰を信じて共存するか?
    そのあたりも見守っていたくなる。

    ピューリタンであろうがプロテスタントであろうが、王党派であろうが、議会派

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    2025年11月14日
  • カッコーの歌

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    ネタバレ

    読みやすく、面白かった。
    クレセント家は異常だが、そうでもしないと受け入れられなかったのだなと推察することはできる。
    いい子でいないといけないトリスとトリスのストレスのはけ口となったペン。
    ペンは子供らしい子供だった。

    「ケーキみたいに切りわけて、きらいなところだけ捨てるようなわけには行かないの」
    自分の思い通りになる家族なんていないよなと改めて感じた。

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    2025年09月15日
  • 嘘の木

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    ファンタジーであり、ミステリーであった。
    児童書であり、歴史書であり、伝記であった。
    そして小説であり、自叙伝であり、哲学書であった。

    これが児童書なのかと驚いた。様々な側面を持つ、何とも読み応えのある本。
    翻訳本特有の読みづらさも少ない。
    文庫本なのに1200円もするだけはある。

    女性の権利があまりにも低く、読んでいるだけで嫌気がさすような差別を受ける中、それでも強く自分の信じた道を歩く女性が沢山出てきた。
    序盤、話の中心は男性だったが、後半になるにつれてその舞台には多くの女性が台頭してくる。真っ直ぐにそれぞれの自分の信念を貫く母娘、どちらの気持ちもわかってしまい胸が苦しくなった。

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    2025年07月29日
  • ささやきの島

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    死者の魂を乗せる船の渡し守を父に持つマイロは、父から「お前は渡し守に向いていない」と言われ後を継ぐのを諦めかけていた。ところがある日、死んだ娘を生き返らせようと領主がマイロの家にやってきて、父を殺してしまい、マイロしか船を出せなくなった。父から教わったことを思い出しながら、マイロは初めての渡し守としての務めに出る。

    静かな語り口の物語で、言葉が心に染み込んでくるようだった。逃走劇であり、争いや葛藤もあるので動的なシーンはいくつもあるのだけど、印象はとても静かで凪の海のような物語。

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    2025年05月17日
  • ささやきの島

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    世界の運命を決する戦いに巻き込まれてゆくわけではない。死と生の均衡を保ち世界を救うために旅に出るわけでもない。
    渡し守は、霧深い小さなマーランク島で、なすべき仕事を粛々と果たす存在だ。
    敬意は払われていても、あくまでも職人として、家業として、死者が島に留まって災いを招かないように、壊れた塔の島へと船で運び続けてきた。

    渡し守に向かないと父に告げられた少年が、悲しみや怯えに屈っしそうになりながらも、父のやりかけた仕事を引き継いで船を出すのは職責を全うする意志からだ。
    この父と息子の厳しくも認め合う関係性が、死とは何かという幻想的な物語の芯となっている。

    死者に思いを巡らし、死者の声に応えるこ

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    2025年04月28日
  • ささやきの島

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    児童文学の世界は海外と言わずとも、日本でも大家は多い。
    が私にとって、ハーディングは第一作から虜にさせられた別格の神的存在。
    作2024年12月発刊のこの作品、バタついていてなかなか読めなかっただけに 読み始めると砂地に水が吸い込まれるように脳内に染みわたった。

    従来の彼の作品と比したら、かなりボリュームが少ない。
    だが、内容、メッセージ共に「作品はボリュームで語るもんじゃない」を如実に体現している。
    そして挿絵の素晴らしさ~お初ともいえる画家の肩だが、作風のイメージを見事に体現。
    モノクロのトーンは児童文学の世界で宗教画とも言えそうな神的温度を思わせる。

    ハーディングはデヴューして20年

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    2025年04月16日
  • 嘘の木

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    覚えているのは宮部書評本でのオススメだけだけど、他にも複数個所でオススメされていた記憶アリ。YA向けファンタジーの気持ちで臨んだけど、実際には普通の外文ミステリの味わいでした。タイトル通り、ファンタジー色ももちろん重要なんだけど、あくまでそういう味付けのミステリ、って印象。何といっても、”嘘の木”の登場が、半分あたりまで進んでやっとだから、前半は当然、ファンタジー色皆無。ちょっと不穏な普通の物語。まあそんなことは、面白ければどうでも良く、本作も楽しめたからそれで満足。

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    2025年04月14日
  • ささやきの島

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    ずっと気になっていた作家さんだったのだけど、どの本も分厚くてなかなか読めずにいたところこの本を見つけたので読んでみました。

    装丁がキレイで挿絵もあり、児童文学らしいお話でとても良かった。

    ちゃんと他の長編作品も読んでみたいなと思いました。

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    2025年03月30日
  • 嘘の木

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    これを児童書のジャンルに入れるなんて、イギリスはやっぱりその道の最高権威だな。日本人が書いたらもっと中2的な青臭い狭っ苦しい物語にしかならなかっただろう。子どもと大人の中間にいる十代半ば前くらいの思春期の子どもの内面は確かに、こんなふうに捻くれて多感だった。大人が考えるよりずっと複雑だった。なかなか面白い小説であった。

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    2025年03月04日
  • ささやきの島

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    魂の息吹と囁きが読み手まで伝わってくる… 夢の中を冒険しているようなファンタジー #ささやきの島

    ■あらすじ
    主人公マイロの父は死者の魂を島に送りだす仕事の渡し守をしていた。父の仕事に憧れているマイロだったが父からは渡し守には向いていないと言われていた。

    ある日、領主の娘ガブリエルが亡くなってしまうが、領主は娘の死が受け入れられなかった。そのトラブルに巻き込まれた父は殺されてしまい、島に死者の魂が放たれてしまう。

    マイロは父の任された渡し守の仕事を引き継ごうとするが…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    いつもファンタジーな世界に誘ってくれるフランシス・ハーディング。今回の作品はかなり短めな

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    2025年01月02日