フランシス・ハーディングのレビュー一覧
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購入済み
挿絵は多いが中身は濃厚
日本で訳されている作品には外れがない。挿絵が多く、いつもより短くてシンプルな筋立てだが、いつも通り濃い人生が描かれる。敵に追われ、妨害を乗り越え、舟を進める少年。父に教えられた道を必死にたどるが、なかなかうまくはいかない。ネタバレになるので難しいことは脇に置くと、手に汗握るストーリーは単純におもしろいです。
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「嘘の木」の著者フランシス•ハーディングの最新作はイギリスの絵本作家エミリー•グラヴェットの挿画が付いた120ページの短編。この挿画がよくはまっていて素晴らしい。
マイロの父親は死者の魂を船に乗せて送り届ける渡守り。島の住人は死者が出るとその靴を渡守りのところへ持っていく。渡守りの仕事は、兄のレイフが引き継ぐことになっていた。そんなある日、領主の娘が亡くなり、父親は靴を受け取った。ところが領主は娘の死を受け入れず、靴を取り返そうとする…
死とは何か、生きるとはどういうことかを問いかけるファンタジーとして大一級の傑作だと思います。
父親がマイロではなく兄のレイフを後継者に指名したのは何故か。マイロと同じ14歳の若さで亡くなった領主の娘ガブリエルの望んでいた未来とは何だったのか、読み進めるうちに少しずつ明らかになっていきます。少年マイロの成長の物語として読むこともできます。お薦めです。
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Posted by ブクログ
ネタバレフランシス・ハーディングの邦訳2作目。前作「嘘の木」はファンタジーミステリだったが、今作は冒険ファンタジー。
池に落ちて記憶を失った少女トリス。その日を境に、毎朝耳元でカウントダウンが始まり、異常な食欲に悩ませられる。妹のペンは過剰なまでの憎しみを向けてくるし、死んだ兄の婚約者と両親の間にもトラブルがあるらしい。身の回りで一体何が起きているのか。。。
序盤は本当に何が起きてるのか分からないのだが、中盤にあることが判明してからようやく話の筋が掴めるようになる。そのことにより登場人物たちの見え方もガラリと変わってしまい、見事な転換。
終盤の父親に対する指摘が本当にもっともで。いわゆる無自覚な毒親に対する、これでもかと言う正論がスッキリするとともに、強く見えていた父親も人間なのだと気づく娘に胸が熱くなる。
ミステリ要素は薄めなため、前作の雰囲気を期待するとギャップがあるかもしれないが、純粋な冒険ファンタジーとしては一級品。良かった。
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ネタバレ・あらすじ
19世紀英国舞台のフーダニットミステリーでもありファンタジーでもあり、ジュブナイルもの。
19世紀英国、フェイスは高名な考古学者である父親の仕事の都合でとある島に移住。
大人しく目立たない存在であろうとするフェイスは、尊敬する父親の秘密と嘘と罪が暴かれるごとにその殻を破って、父親を殺した犯人を突き止めていく。また父親が隠し殺される原因となった嘘を食べて育つ木の正体は…?
・感想
殺人事件が起こるまでは19世紀の厳格な家父長制描写とか主人公が父親を神の如く盲信してたりちょっとイライラもどかしく思いながら読んでたけど、父親が死んでから父親の呪縛と呪いから開放され殻を脱ぎ捨てたフェイスと母親の描写がすごく良かった…。
①フーダニットミステリー②嘘の木をめぐるファンタジー③時代故の価値観に苦しめられるフェイスの成長譚という3つの属性がきれいに一つの作品を織り上げていて読み応え抜群
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とても面白かった 。 -
Posted by ブクログ
★5 呪いに影響された世界を救うため旅にでた少年達… 闘いの果てに得た善悪の答えは #呪いを解く者
■あらすじ
湿地と森で構成される原野が広がるラディスが舞台、この世界ではクモに似た小さな仲間によって、人に呪いをかける力を得ることができる。少年ケレンは呪いを解くことができる特技を持っており、かつて鳥にかえられてしまっていた少女ネトルと旅を続けていた。
呪い人が許せない二人は、呪いに犯された世界を救うために冒険を続ける。果たして呪いはなくなり、人々は幸せになれるのだろうか…
■きっと読みたくなるレビュー
こりゃまた、すごい物語だわ…
今までに想像したこともなかった世界につれてってくれる。いつも幻想的な世界に誘ってくれるハーディング先生ですが、今回はより一層ダークファンタジー味が強く、もはや別の次元に連れってってくれる傑作。
理論的な見方しかできない人では正直ついていけません。夢の世界に飛び込む勇気や、経験したことのない世界をビジョン化する想像力が必要になります。なので子どもの頃に戻って、純粋に物語を楽しむのがおすすめ。そうすると、ずっーーと文字をおい続けたくなってくる。そしてそのまま寝ちゃうのが幸せを感じる読み方ですね。
本作、呪い人VS呪いを解く人の構図で物語が進められる。様々な登場人物たちが呪いに振り回されながら生活をしており、さらにその呪いの原因となる小さな仲間や、統制を目論む政務庁や救済団という組織も絡んでくる。
そんな複雑難解な世界を、まだ幼い少年少女であるケレンとネトルが、善という信念をもって旅を続けていく。途中で出会う呪われた人々の叫びに対して、彼らはひとつひとつ向き合っていくんですよ…すごくない?もう泣いちゃうんです。またネトルの兄、ヤニックが大好き。カモメの彼は可愛いし、いつも二人を助けてくれる。妹想いの愛情深さが染みますね。
そして物語の後半あたりからは冒険もクライマックス、闘いの果てに待ち受ける善悪の答えとはなんなのか。この長い物語を読んだ人であれば、シンプルながらも深い意味が胸を貫くと思います。
■ぜっさん推しポイント
我々の世界でも憎む人、憎しみから生まれる武器、そして被害にあう人たちも存在する。一見、憎み攻撃する側が悪いようにも思えるが、果たしてそれが正解といえるのか…何を大事にするかの価値観によって善悪というのは変化する。みんなが幸せになるって、難しいですね…
ハーディングの作品では、いつも社会を闇を暴いたり救ったりしてくれる主人公は幼い少女や少年たち。彼らの成長は見ていて胸が熱くなるんですが、現実の子どもたちには無邪気でいられる世界であってほしいですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレフランシス・ハーディング、一気読み。一番面白かった!次点で「嘘の木」かな。
本物でない偽トリスが主人公。自分が本物と思っていたのに、いきなりアイデンティティが壊された偽トリス(トリスタ)。記憶も自身の身体も借り物だと知ってもなお、それでも私は生きている!と、命ある限り本物のトリスを助けようとする。借り物であるがゆえに、いびつな家族関係を客観的に理解し、父親ピアスにはっきりと意見をいうところは良かった。
最後は偽トリスが儚く消えて終わりかと思いきや、しぶとく生き続けるラストも意外で良かった。第一次世界大戦後、信仰への揺らぎ、女性の社会進出など、今までの価値観がすべて覆され、自分たちも変わりつつ、逞しく生きようとする少女たちを応援したい。