小林武彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ結論は、生物は奇跡が重なって地球に誕生し、多様化し、絶滅を繰り返して選択され、進化を遂げてきた。その流れの中で偶然にして生まれてきた私たちは、その奇跡的な命を次の世代へと繋ぐために「利他的に」死ぬことが遺伝子に組み込まれているためだ。
この結論へ辿り着くために、序盤から終盤まで細胞や遺伝子の説明がなされる。
私自身が生物の授業を選択していなかった...のは言い訳だが、この説明部分は難しく感じた。
締めくくりのAIについての以下の警鐘は同感だ。
多くの知識を溜め込み、いつも合理的な答えを出してくれるAIに対して、人間が従属的な関係するになってしまう可能性がある。昆虫などの生き物に抱くような、ある種の「優越感」と逆の感情を持つのかもしれない。「AIは偉大だな」というような。 -
Posted by ブクログ
部活の同級生からの課題図書。読んでみて感想、聞かせて欲しいと。執筆当時59歳の細胞の老化の研究をしている生物学者のシニア論です。なるほど…ヒト以外の生物は老いずに死ぬ…のか。まさに「ピンピンコロリ」がほとんどの動物のスタンダードであることを初めて知りました。ヒトだけが死の前に老年期という時間を過ごすようになったことをこの前半で生物学者として、DNAの老化の専門家としてグイグイ語ります。(でも、暮らしの中で目にするおじいちゃん、おばあちゃんの犬はどう考えればいいのか?質問したくなりました。)その老いという時代を、どう生きるべきか?というテーマが後半に繰り広げられます。前半が学問の啓蒙的であるのに対して後半は研究というより著者の試論の様相を呈して来ます。人間ならではの「シニア」という存在に対する「おばあちゃん仮説」「おじいちゃん仮説」ぐらいからちょっとアレレ…って感じに思えます。そこには研究者のライフステージの移行に対する著者自らの問題意識の反映も感じます。本書ではシニアを『生物学的な「年齢」とは切り離して、知識や技術、経験が豊富で私欲が少なく、次世代を育て集団をまとめる調整役になれろ人」と定義づけします。いわく「徳のある人」…ホント?これって定年延長で給料が下がる説明会に集まったおじさんたちの心のモヤモヤを顕在化したみたい…。こうならばいいな、という願望としては理解できます。当事者の願望と社会のニーズがうまくマッチングするためには本書に書かれている以外の新しい仕組みが生まれないと難しいような気がします。死の前の「老い」という季節は個人の意識の問題なのか社会の仕組みの問題なのか?自分の別の友人は「高齢者に出来る社会貢献は消費だけだ!」と嘯いて高額のオーディオ商品買いまくる人もいます。ちなみにこの新書を読んでいる間に買ったばかりのスマホを紛失してしまい1時間ぐらい死んだ気分になりました。幸い直前にいた場所に落ちていて助かりましたが、確実に「老い」に直面してボロくなっている自分に落ち込みました。それがこの本に対する辛口気分の源泉かも。勧めてくれた友人と「老いの過ごし方」談義してみます。