【感想・ネタバレ】生物はなぜ死ぬのかのレビュー

あらすじ

【死生観が一変する〈現代人のための生物学入門〉!】
生命の死には、重要な意味がある。
遺伝子に組み込まれた「死のプログラム」とは?



なぜ、私たちは“死ななければならない”のでしょうか?

年を重ねるにつれて体力は少しずつ衰え、肉体や心が徐々に変化していきます。
やむを得ないことだとわかっていても、老化は死へ一歩ずつ近づいているサインであり、私たちにとって「死」は、絶対的な恐るべきものとして存在しています。
しかし、生物学の視点から見ると、すべての生き物、つまり私たち人間が死ぬことにも「重要な意味」があるのです。
その意味とはいったい何なのか――「死」に意味があるならば、老化に抗うことは自然の摂理に反する冒涜となるのでしょうか。
そして、人類が生み出した“死なないAI”と“死ぬべき人類”は、これからどのように付き合っていくべきなのでしょうか。


■主な内容
・恐竜が絶滅してくれたおかげで、哺乳類の時代が訪れた
・宇宙人から見た「地球の素晴らしさ」とは
・地球上で最も進化した生物は昆虫である
・遺伝物質DNAとRNAの絶妙な関係
・「死」も、進化が作った仕組みである
・ヒトだけが死を恐れる理由
・“若返る”ベニクラゲの不思議
・超長寿のハダカデバネズミは、なぜがんにならないか
・ヒトの老化スピードが遅くなっている理由とは?
・「若返り薬」の実現性
・少なめの食事で長生きできる理由
・老化細胞は“毒”をばらまく
・テロメアの長さと老化は関係ない?
・生物学的に見ると、子供が親よりも「優秀」なワケ
・ヒトが生きる目的は、子孫を残すことだけではない
・“死なないAI”を生み出してしまったヒトの未来
・有限の命を持つからこそ、「生きる価値」を共有できる
・私たちは、次の世代のために死ななければならない
――すべての生き物は「死ぬため」に生まれてくる。

第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか
第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか
第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか
第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか
第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか

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Posted by ブクログ

生まれて、死ぬ。全ての生命はそれを繰り返して、今の地球環境で生存していることになります。生まれて死ぬを繰り返す中で進化してきているのです。
最初に生まれた生命が不老不死だったとしたら、生物学的な進化を遂げるわけでも無く、その形のまま地球環境が大きく変化した時に適応できずに生命は終わってしまうことでしょう。遺伝子に老化や死は組み込まれているのだそうです。
本書には難しい話も出てきますが、生物に関する興味深い話を学ぶことができます。生物として考えると、生と死を理解できるのですが、身近な人やペットが亡くなると、とてつもない喪失感を味わい、なぜ死ななければいけないのか?と考えてしまいます。本書は、我が家の猫が亡くなったことがきっかけで読み始めました。悲しみが薄れるわけではないのですが、生き物は必ず死ぬということを生物学という視点で学ぶことができました。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

そうか、老化は必然なんだ。
そう気づかされたから、昨今の体力の低下とか病気とかを悲観するのではなく、正面で受け止められる気がする。
小林先生が易しい言葉に落としてくださっているように、「生き物が生まれるのは偶然ですが、死ぬのは必然なのです。壊れないと次ができません。これはまさに、本書で繰り返してきた「ターンオーバー」そのものです。」P202 という事実を踏まえれば、自分が死ぬこともそう悪くないことだと思う。
願わくばこの何十億年もかけて進化を遂げたいのちのルールを、昨今の商業主義による激しい開発競争ただ中の抗老化研究が、真摯な検証もないままにひっくり返してしまうことのないよう祈っている。

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2025年05月31日

Posted by ブクログ

生物学的な視点から「死」について考察した一冊。進化の過程から「死」は生まれたのであり、生命が多様性を獲得し繁栄するために「死」はあるのだという。つまり、未来の子どもたち(人間に限らず)のために、親(人間に限らず)は死ななければならないのだ。そのために、生物は死ぬようにプログラムされている。であれば「死」を恐れる必要はないはずだが、そうはいかないのが人間。共感力が高いせいで、人だけが「死」を恐れ悲しむ。わかっちゃいるけどやめられない、ってやつだ。だから、せめて「死」の正体を知り、恐怖を和らげるしかないだろう。そのために役立つ本であった。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

生物がなぜ誕生したか、なぜ絶滅するのかあたりから順序立てて、生物からAIに至るまでのことが書かれており、とてもワクワクさせられる。真核生物の中でも、酸素呼吸を行うミトコンドリアがプロテオバクテリアという細菌が起源であり、光合成を行う葉緑体がシアノバクテリアという細菌が起源であり共生している、つまり、それぞれ共生が現存生物に恩恵を与えているという奇跡に感動する。

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2024年06月04日

Posted by ブクログ

「生き物は利己的に偶然生まれて、公共的に死んでいく」という言葉が印象的。

生物学的な専門の話は少し難解だけど、そこを読み飛ばしても充分読み応えある。

も一回読み直したい。

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

スケール大きく、知的刺激溢れる。しかも、説明上手で分かりやすい。生物学の込み入ったDNAの話とか、関心があるのに理解が及ばない領域に一歩踏み入れたい人にはオススメの入門書と言えるだろうか。話は宇宙の成り立ちから始まる。

現在観測できる最も遠くの星は、2018年にハッブル宇宙望遠鏡がとらえたイカロス。地球からの距離は90億光年。幅が30メートルある巨大な望遠鏡TMTでは、138億光年先が見える。宇宙にはおよそ10の22乗個、つまり1000億の1000億倍以上の恒星があると推定される。太陽系のように恒星である太陽の周りに惑星が8個あるのは例外的に多く、恒星の周りに惑星がない方が一般的。現在までに発見されている惑星は4400程度で恒星に比べるとかなり少ない。中でも生物が存在する可能性のある惑星はかなり限られる。

ビックバンの巨大なエネルギーが宇宙を膨張させ、星を作り、太陽系を作った。ビックバンは物質や質量を生み出すと同時にそれらの化学反応も作った。化学が登場する。つまり物理学の後に化学が生まれ、生物学はその後に続く。

そこからなのだ。地球の素晴らしさは、生物の多様性だと著者は言う。多様性は進化の歴史だ。絶滅を伴うターンオーバーが生物の進化を加速。例えて言うなら、容赦ない生物界のリストラが進化の原動力。やがて絶滅するか生き延びるかと言う生命誕生時代ステージから、共存のステージへと変わっていく。そのことが多様性を生んだ。

適応放散とは、恐竜などの生活場所に別の生き物が時間をかけて、適応進化してその場所で生活できるようになること。食料不足に強い小型の生物や食料の探索能力が高い鳥類が生き残った。昼行性の恐竜がいない新生代は夜行性である必要もなくなった。その頃に豊富な果実によって、霊長類の祖先は、体内でビタミンCを作る遺伝子を失った。代わりに、夜行性の時代には、2色の色覚遺伝子のみだったが、色覚遺伝子が1つ増えた。これにより、より果実が見つけやすくなったと考えられる。

よりミクロな話。DNAが誕生する前にRNAが遺伝物質として使われていたと考えられていた。DNAの方がより安定して、しかも2本がくっついた二重螺旋構造なので、より長い分子が維持できてたくさんの移転情報を持つことができる。しかしDNAもRNAも脆弱。紫外線によって強く欠乏してしまうし、放射線によってDNAはすぱっと切断されてしまう。活性酸素によってもDNAが酸化。

ミトコンドリアは酸素呼吸を行うプロテオバクテリアと言う細菌だった。それを取り込むことで真核細胞が誕生した。一方、葉緑体はもともとシアノバクテリアだった。それを取り込んで、植物細胞が誕生した。

細胞の話から、ようやく死の話へ。細胞が老化すると、アポトーシスが起こりにくくなり、組織にとどまる傾向がある。そのとどまった老化細胞が、サイトカインを撒き散らす。それにより炎症反応が持続的に起き、臓器の機能を低下させたり、動脈硬化や癌などの原因となる。また、DNAに傷がつくことで、老化が促され結果として死に至る。

個体にとって、死は忌むべきアクシデント。しかし、種の保存や進化にとって、個々の死は必要な過程だと改めて学ぶ。また、しかし人間には死を悼む情緒も備わっており、必ずしも生態系における合理性だけでは死を扱えないという点にも触れる。バランスの良い内容だ。

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2023年12月28日

Posted by ブクログ

生命の誕生以来、あらゆる生命体に生じる「死」。
人類も例に漏れず、どんな偉人でも必ず死ぬ運命にあり、王侯貴族が不老不死に向けた儚い努力をしたののの実らず、必ず死んできた。

そのように忌むべき存在として語られがちな、死であるが、そもそもなぜ「死ななくては」いけないのか。
系としての「死の目的」は何かあるのかを問うた本書。

個人的には死生観の転換を促したといってもいいほどの良書。
生物的な死の役割と、生命を構成する基本設計も学べます。

1.そもそも生物はなぜ誕生したか
2.そもそも生物はなぜ絶滅するのか
3.そもそも生物はどのように死ぬのか
4.そもそもヒトはどのように死ぬのか
5.そもそも生物はなぜ死ぬのか

・ポイントは変化と選択。個体の死によってターンオーバーし変化が促される

・老化は癌が急激に増殖しないための仕組みの副作用

・遺伝的多様性を損なわない教育が重要

・腹八分目だと細胞分裂可能な回数が伸びる

・ヒトにとって死の恐怖は、「共感」で繋がり、常に幸福感を与えてくれるヒトとの絆の喪失を恐れること。

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2023年11月29日

Posted by ブクログ

選択と変化、つまり進化によって、生き物には多様性がうまれ、繁栄してきた。その選択と変化を実現するために、死が存在している。死は、生物にとっては 必要な要素だということを認識できた。生き物にとって死の種類はそれぞれであり、死はそれぞれの生き方の結果であると感じた。途中難しい内容もあったが、生物科学に興味を持つことができた。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

子どもが生まれたことをきっかけに、人間の生と死をもうちょっと俯瞰で見れるようになりたいなと思って読みました。生物学的なところは自分には理解が難しかったけれど、死の意味を考える良い機会となりました。
死があるからこそ生物は誕生し、進化し、生き残ることができるのか...
「命のたすきを次に繋げて、利他的に死ぬ」この言葉はすごく救われました。自分が生きていることにも何かしらの意味があるなと思えるし、身近な大切な人の死への恐れや寂しさを少し和らげてくれる気がしました。

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2025年07月09日

Posted by ブクログ

とても楽しい。これから高校生物を学ぶ高校入学前の子どもにもおすすめ。生物を学ぶのが楽しくなる。ただし例示として出てくる用語(リストラ、ウルトラマンなど)が少し古いので子どもにはおそらくピンとこないところがある点は注意。

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2025年04月19日

Posted by ブクログ

この著者先生のなぜ老いるのかの本を読んで、こちらも読んでみました。やはりと言うか、こちらの方が面白かったです。こちらにも老いの話は載ってますし。

生物学者の観点から、地球の生き物のライフサイクルを眺めた本です。

生まれてくるのは偶然の利己的な行為。
死ぬのは必然の利他的な行為。

この言葉が印象的でした。これを読んだからと言って死ぬのが怖く無くなると言う訳ではないですが、死ぬことは何か特別な恐怖の出来事ではないんだと思うことが少し出来ました。

それと、最後に記載されている、AIの出現が及ぼす影響のあたりは確かにそうかもしれないと思って少し怖くなりました。AIは便利だけど使うのはあくまでも人間であることを忘れてはいけないと思いました。

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2025年02月10日

Posted by ブクログ

 138億年前、「ビッグバン」により宇宙が誕生し、46億年前に太陽系ができた。原始の地球で化学反応がくり返され、やがて偶然の産物から最初の「細胞」ができた。原始の細胞は「変化」しながら存在領域を広げ、様々な環境の中で「選択」的に生き延びたものが更に「変化」し多様性を増していった。葉緑体やミトコンドリアの細胞内共生により真核細胞が誕生し、やがて多細胞生物が生まれ、細胞間の役割が分化し、生物はより多様に、そしてより複雑な機能を獲得していった。天変地異による大量絶滅と、新たな生物相による秩序の再生は「変化と選択」の連続だった。その全過程において「死ぬ」という仕組みは保存されてきた…すなわち「死ぬ個体が選択」されてきた。「死」も進化が作った生物の仕組みの一部である。
 自然界では食う、食われる、世代交代するという生と死の繰り返しの中で「命の総量」は一定に保たれている。自然界における「死」は、そういう必然的なものであり、実に淡々とした営みである。
 一方で、社会的な生き物であるヒトにとって「死」は「共感」で繋がる大切な他者を失う恐ろしくて悲しいもの。この「社会性」もまた、「変化と選択」の中で受け継がれてきたもの…。
 最終章の最後の項のタイトルは「ヒトが人であり続けるために」。人と人との血の通ったコミュニケーションが減っている社会、「死なない人格=AI」が影響力を増していく社会で、今後ヒトはどうなっていくのか、著者の考えを示すとともに、読者への大きな問いが投げかけられている。

 宇宙ー細胞、原始ー未来と様々な軸で論理が展開される。その中に、「今のありようは、これまでの「変化と選択」の結果である」という生物学者の一貫した視点がある。最終章では生物学の話から社会学的な話に展開していく。難しい話も多いけど、著者が極力平易に、そして重要なことを何度も要約して伝えてくれるので読むことができる。
 専門家としてのレンズ、世の中を見つめるスコープの広さ、それらを一般人に向けた言葉で語ること…「学識」とはこういうことを言うのだなと思った。

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2025年01月23日

Posted by ブクログ

誰もが避けては通れない(そしてしばしばタブー視され、発言を躊躇われる)「死」について、生物的知見により、比較的肯定的に捉えられていた。ただ、いくら肯定的に捉えられるといって、私の死に対する恐怖心は全く変わらない。これも、遠い先祖達が「死」と進化を通して、私たちをそういう死に対する恐怖を持つようにプログラムしたのだと考えるほかないのかも知れない。プログラムされたといえば、所詮箱庭の中で踊らされている感じもしなくないが、100年も人生が続くなら、どうせなら、楽しく踊ろう。

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2025年01月18日

Posted by ブクログ

千原ジュニアさんがざっくりYouTubeで言ってた、生物誕生の確率の話は、この本からだったんだ。
じっくり読んでも理解できない内容が多く、分かるところだけ読んでいくと、するするするっと読み進んでいきます。
文体は、とても読みやすいです。

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2024年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

漠然と死ぬって怖いなとか、まだ死ぬには早いな、もったいないなって考えたことがあり、題名にも惹かれたので読んでみた。

この本によると、生き物が死ななければいけない理由は2つあり、①食料や生活空間の不足、②多様性のため。前者は結果論であり、死ななければならない根本的な理由ではない。
生き物の激しく変化する環境の中で生き残る仕組みは「変化と選択」であり、多様性を確保するためにプログラムされている。
実際に、生物的な歴史の中で他の生き物が環境に適応し、進化してきたように、死に対してショックを受けるという人の感情も変化と選択の進化の過程で獲得してきたものである。人の進化の過程で、自分だけが生き残ればいいという「利己的な能力」より、「集団や全体を考える能力」の方が重要であり、選択されてきた。

自分1人だけではもちろん生きていけない。学校でもスーパーでも、どこに行っても誰かがいることで世の中が成り立っている。そう考えると、もちろん自分の人生は重要にするけど、同時に他の人の人生も豊かにできるのであれば自分の人生はもっと素晴らしくなるんじゃないかなと思った。それが集団や全体を構成する1人の役目なのかと。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

COURRIER JAPON
著名人の本棚
橋爪大三郎さんの推薦図書より

「生き物は利己的に偶然生まれ、公共的に死んでいくのです。」

生物学の観点で語ると、次の世代の変化の為に死ぬ(死ななければならない)となれば、死は否定的なものではなく、祝祭のようなものかもしれない。
新たな「始まり」との言葉は納得である。

消費と競争ばかりの資本主義社会を生きる今、ハダカデバネズミのスローライフな生態と、腹八分目が寿命を延ばす話はなかなかに示唆的だった。
(医学が進歩して寿命は延びたかのように見えるが、実は寿命を縮めるような強ストレス社会になってはいないだろうか。)

人間は社会的な生き物であるので、子供を産んでいようが産んでいなかろうが、社会で子育てをしていこうという話に繋がるのもよかった。

最後の最後に、情緒面での死についての考察で、人間の持つ「共感力」こそが社会をまとめる骨格になる、という指摘も腑に落ちた。

なぜ、死は恐れられ否定的なものと捉えられているのか。なぜ、死は悲しいのか。
個体としての絶命以上に、社会的な死=絆の喪失がある。
これは人間が人間である由縁なのだろう。
死の二面性が興味深い。

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2024年02月05日

Posted by ブクログ

自然の中で老いがある生物がほんの一部しかないことに驚いた。細胞の老いと個体しての老いは違うが、せめて細胞だけは長く分裂してもらうためにも努力したい。読むのが難しかった!

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2024年01月16日

Posted by ブクログ

進化の結果、死が作られたとは驚きでした。統計的には衰えはじめは55歳くらいでガタが来はじめ、最長でも寿命は115歳くらいとのこと。人間、生物の死のメカニズムにスポットを当てた論考は、とても興味深く、専門的な説明は難解ですしたが、挫折せず通読できました。

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2024年01月13日

Posted by ブクログ

生物は死ぬことを繰り返して弁証法的に、高みをめざしていった。人間がいるのも、最初に出来た細胞が死んで生まれての分裂を繰り返して人間になったらしい。正直、神様的な存在が居ないとこんな綺麗に物事が進む気がしない。

生物は死ぬ事で多様性を増やして言ったから死ぬんだ!って言われたけど、個人としては自分が全てなんだし、だから死のうか!とはならない。

正直p2688の細胞が~を遮断するためにー、みたいなのは分からなかったけど、生物学的に自分の体に着いて何となく知ることが出来て良かった

なんで神様は自分に意識を与えたのだろうか、、、

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

大枠はつかめるものの、ちょいちょいついていけない小難しい話が。で、どうなのか、というところもちゃんとあるが、さらに深い話に仕立てることもできそうなのに、もうちょい!惜しい!…という超私見の感想でした。

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

実は「生物はなぜ死ぬのか」より以前の
「生命とはなにか」がこの春以来、
熾火のように未だ燻っている状態だったので、
タイトルが目に入った途端連れて帰った本。

はじめにの1行目から、ものすごく興味深い。

宇宙的な視野の広さをもって見ると、地球には2つのものしかありません。
それは「生きているもの」とそれ以外です。(3頁)

そうそう!その生きているものとそれ以外の決定的な違いを言語化してほしかったのよ!
…と、思いながら第1章、

そもそも生物はなぜ誕生したのか

私にとってこんな最高の掴みはない。

ちなみに、先ほどの私の問いはあっさりと明かされる。すなわち、

生物と無生物の大きな違いは、単独で存在でき、それ自身で増えることができるかどうかです。(35頁)

序盤で早々に回答を得られてしまっても、この本が面白かったのは、昔学校で習ったはずの遺伝物質のお話や、最近ようやくその真意を少しだけ理解できてきたように思う進化論について、丁寧な図解とともに解説してくれているから。
そもそも、そこがわからないと、この本の大きな問いであるところ「死」について、説明しきれないのだろう。

ただ、正直めちゃくちゃ難しい。
通読したけど、細かい部分(RNAやDNAの塩基配列とか複製とかそういうところ)は2割もわかっていないと思う。
図解もあってめちゃくちゃ丁寧なんだけど、多分私に圧倒的前提知識が足りてない。

前提知識が足りていないと自覚しつつも、この本の向かうところ、「生物が死ぬこと」について、生物学的見地から紐解かれる内容は大変面白い。
捕食されて死ぬのか、老化により死を迎えるのか、個体としての死を丁寧に追っていくかと思えば、種としての生命の循環に繋がったり、ハッとする箇所がいくつもあった。

そんな中でもやはり、生物についていつかどこかで耳にした「ガスの火」の比喩がめちゃくちゃしっくりきたのが、自分的に次の足掛かりになりそうな知識のアップデートになると思う。

さらに、最後の方で書かれていたAIについての著者の見解が、私が今ぼんやり思っている不安の輪郭を見せてくれている内容で、「死」についての結論よりも印象に残った。

今年に入って、自分の頭で考えたことを誰かに伝えたり、そもそも自分の頭で考える習慣に対して異常なまでに興味を惹かれるのは、ここに対する自分なりのカウンターだったのかもしれない。

生命とはなにか?

この本による言語化でスッキリしつつも、私にとってこの問いが持つ熾火はまだまだ消えそうにない。




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2025年09月21日

Posted by ブクログ

「ターンオーバー」「選択と変化」「多様性」「絶滅」「進化」
これらが主なキーワード。
途中、「老化」についても書かれている。

「AI」について書かれていた箇所が、色々と考えさせられた。

生物は死ぬが、AIは死なない。

AIは死ぬことなく、情報をためつづける。

「死ぬことを繰り返して進化していく」のが、これまでの進化であったのに、
AIは死ななくても、進化していく。

それはとんでもない速度だろう。

「死なない」ことは、怖いことだ。
この先、死なないAIはどうなっていくのだろう。

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2025年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

結論は、生物は奇跡が重なって地球に誕生し、多様化し、絶滅を繰り返して選択され、進化を遂げてきた。その流れの中で偶然にして生まれてきた私たちは、その奇跡的な命を次の世代へと繋ぐために「利他的に」死ぬことが遺伝子に組み込まれているためだ。

この結論へ辿り着くために、序盤から終盤まで細胞や遺伝子の説明がなされる。
私自身が生物の授業を選択していなかった...のは言い訳だが、この説明部分は難しく感じた。

締めくくりのAIについての以下の警鐘は同感だ。
多くの知識を溜め込み、いつも合理的な答えを出してくれるAIに対して、人間が従属的な関係するになってしまう可能性がある。昆虫などの生き物に抱くような、ある種の「優越感」と逆の感情を持つのかもしれない。「AIは偉大だな」というような。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

書名の問いについて生物学者が答える本。その回答が明確にわかりやすくかかれていてサラッと読める。
それぞれの生物はその死に方にも意味がある。生物の進化から考えれば、その種の多様性の中で、その死に方を含めた遺伝子以外のその種は進化の過程で絶滅したのだから。・・・この主張に説得力があった。
遺伝子の難しい話も時々出てくるが、話の筋はわかりやすい。(各章の最後を読んで聞くと論旨がわかる)

最後は老化の話が書かれていたが続編があるのね。「なぜヒトだけが老いるのか」

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【要約】
地球上に存在する生物は「変化」と「選択」の結果としての「進化」から作られている。その観点から考えると「死(老化)」も何らかの「選択」の結果だと言える。

まず細胞レベルで言えば、遺伝子の不安定性(変異)がスイッチとなって、がん化等を防ぐために老化が起こる。これはいくつかの早期老化症でDNA修復に関わる遺伝子の変異が報告されていることからも示唆される。(その他がん化を防ぐための機構として、免疫細胞による細胞の破壊やテロメアの短縮による老化がある。)

また個体レベルで言う老化の意味として、一つ目に限られた空間や食糧の制約により死が必要であると言える。2つ目として、多様性を支えるために必要な死である。一般的に子供の方が大人よりも多様性が高いと言う意味で優れている。その多様性の高い子供たちを生かすために、大人は死んで新たな世代を作る材料となる。

【感想】
著者が主張していることには同感。ただ、個体としての死の意味については、特に新しい知見はなかったように思う。しかし、ところどころに散らばっている豆知識には、関心するところがいくつかあった。例えば、実験的にサルに少なくカロリーを与えると、寿命が長くなること等。これは、代謝が減って活性酸素等の副産物が減るからとのこと。またハダカデバネズミの不思議な分業生活はとても興味深い。私もハダカデバネズミのように、自分のできる仕事をそれなりにやりつつ、のんびり生きていきたい。

文体が話言葉風なので、分かりやすい人には分かりやすいのかもしれないが、やや稚拙な印象を与える。あと、話の脱線が多く、「何の話だっけ?」となることがしばしば。脱線話については、コラムなどで、別立てにすればより読みやすいかもしれない。

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

自然界の生き物はみな、ピンピンコロリ。老衰という概念なし。食べられて死ぬか、寿命で死ぬか。
ターンオーバーとしての死。老化細胞。サイトカイン。アポトーシス。
テロメア。
死はプログラムされている。長生き細胞は癌化することがあり、ガン化を防ぐ為にテロメア50回再生で死。
ハダカデバネズミは他のネズミの10倍長生き。ベニクラゲ。寿命なく若返る。テロメアがないから細菌は老化しない。若返りの研究はある。
多様性の為に有性生殖あり。

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2024年08月01日

Posted by ブクログ

 語りかけるように説明されています。まずはビッグバンから、えぇ!?そこからですか?、もしかして、小林先生、お子様や学生さんに説教するとき、ビッグバンから入るタイプですか?

 といういうわけで、ビッグバンから生命(生物)誕生、生物の進化について説明されます。そこでのキーワドの一つが「ターンオーバー」作っては分解して造り変えるリサイクル、もうひとつが「選択と変化」と「多様性」です。特に強調されていたのが、進化を加速するものとしての「絶滅」です。恐竜の時代から哺乳類の時代へ移れたのも絶滅のおかげ、という訳です。
 そしていよいよい「生物はどのように死ぬのか」「ヒトはどのように死ぬのか」とすすみ、最終章で「生物はなぜ死ぬのか」と、まとめていらっしゃいました。

 私が面白かったのは、「どのように」のところですね。いろいろと知らないことを教えていただき、勉強になりました。
 私が特に面白かったのが、テロメア短縮で老化スイッチON!なんだけど高齢者テロメアは極端に短い訳じゃなくて個体レベルではまだよく分らん、そうなんですね勘違いしてました。
 そして「アポトーシス」に関わるお話も興味深かったです。細胞死しない老化残留細胞は、炎症性サイトカインまき散らして、大暴れするそうです。細胞死を邪魔しているのが、FOXO4というタンパク質。そんでもって、そいつを邪魔すると、マウスの毛がフサフサとか。

  テロメア合成酵素も大切、酸化・DNA損傷を避けることも大切、そしてアポトーシスも大切なんでね「老化」には。
 私の場合、自分が死ぬという意識が希薄なのか、「死」よりは「老化」視点で読んじゃったみたいです。

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2024年02月16日

Posted by ブクログ

DNAの説明など専門的な下りは難しいなと思いましたが、「生物はなぜ死ぬのか」については(理解不足はあるかと思いますが)「そうか、そういうことのか」と思えました。
今、生きていることに対して客観的に見ることがてきるようになったように思います。

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2023年12月24日

Posted by ブクログ

生と死、何と奥深いことか。
生まれてきた以上、次の世代のために死ななければならないという言葉がとても印象的。
死ななければならないヒトと死なないAIの話も興味深かった。

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2023年12月18日

Posted by ブクログ

新書にしては語り口調が優しく読みやすい

人はなぜ死ぬのか、という問いに対し
生物学的に、ときには私見を交えてくれている
生物学をあまり理解していないが
ある程度優しく、図解もあるので読みやすい

宗教や哲学視点で死について
読み、考えていたので
生物学視点は興味深かった

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2023年11月16日

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