【感想・ネタバレ】生物はなぜ死ぬのかのレビュー

あらすじ

【死生観が一変する〈現代人のための生物学入門〉!】
生命の死には、重要な意味がある。
遺伝子に組み込まれた「死のプログラム」とは?



なぜ、私たちは“死ななければならない”のでしょうか?

年を重ねるにつれて体力は少しずつ衰え、肉体や心が徐々に変化していきます。
やむを得ないことだとわかっていても、老化は死へ一歩ずつ近づいているサインであり、私たちにとって「死」は、絶対的な恐るべきものとして存在しています。
しかし、生物学の視点から見ると、すべての生き物、つまり私たち人間が死ぬことにも「重要な意味」があるのです。
その意味とはいったい何なのか――「死」に意味があるならば、老化に抗うことは自然の摂理に反する冒涜となるのでしょうか。
そして、人類が生み出した“死なないAI”と“死ぬべき人類”は、これからどのように付き合っていくべきなのでしょうか。


■主な内容
・恐竜が絶滅してくれたおかげで、哺乳類の時代が訪れた
・宇宙人から見た「地球の素晴らしさ」とは
・地球上で最も進化した生物は昆虫である
・遺伝物質DNAとRNAの絶妙な関係
・「死」も、進化が作った仕組みである
・ヒトだけが死を恐れる理由
・“若返る”ベニクラゲの不思議
・超長寿のハダカデバネズミは、なぜがんにならないか
・ヒトの老化スピードが遅くなっている理由とは?
・「若返り薬」の実現性
・少なめの食事で長生きできる理由
・老化細胞は“毒”をばらまく
・テロメアの長さと老化は関係ない?
・生物学的に見ると、子供が親よりも「優秀」なワケ
・ヒトが生きる目的は、子孫を残すことだけではない
・“死なないAI”を生み出してしまったヒトの未来
・有限の命を持つからこそ、「生きる価値」を共有できる
・私たちは、次の世代のために死ななければならない
――すべての生き物は「死ぬため」に生まれてくる。

第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか
第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか
第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか
第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか
第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか

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Posted by ブクログ

ネタバレ

子どもが生まれたことをきっかけに、人間の生と死をもうちょっと俯瞰で見れるようになりたいなと思って読みました。生物学的なところは自分には理解が難しかったけれど、死の意味を考える良い機会となりました。
死があるからこそ生物は誕生し、進化し、生き残ることができるのか...
「命のたすきを次に繋げて、利他的に死ぬ」この言葉はすごく救われました。自分が生きていることにも何かしらの意味があるなと思えるし、身近な大切な人の死への恐れや寂しさを少し和らげてくれる気がしました。

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2025年07月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

漠然と死ぬって怖いなとか、まだ死ぬには早いな、もったいないなって考えたことがあり、題名にも惹かれたので読んでみた。

この本によると、生き物が死ななければいけない理由は2つあり、①食料や生活空間の不足、②多様性のため。前者は結果論であり、死ななければならない根本的な理由ではない。
生き物の激しく変化する環境の中で生き残る仕組みは「変化と選択」であり、多様性を確保するためにプログラムされている。
実際に、生物的な歴史の中で他の生き物が環境に適応し、進化してきたように、死に対してショックを受けるという人の感情も変化と選択の進化の過程で獲得してきたものである。人の進化の過程で、自分だけが生き残ればいいという「利己的な能力」より、「集団や全体を考える能力」の方が重要であり、選択されてきた。

自分1人だけではもちろん生きていけない。学校でもスーパーでも、どこに行っても誰かがいることで世の中が成り立っている。そう考えると、もちろん自分の人生は重要にするけど、同時に他の人の人生も豊かにできるのであれば自分の人生はもっと素晴らしくなるんじゃないかなと思った。それが集団や全体を構成する1人の役目なのかと。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

結論は、生物は奇跡が重なって地球に誕生し、多様化し、絶滅を繰り返して選択され、進化を遂げてきた。その流れの中で偶然にして生まれてきた私たちは、その奇跡的な命を次の世代へと繋ぐために「利他的に」死ぬことが遺伝子に組み込まれているためだ。

この結論へ辿り着くために、序盤から終盤まで細胞や遺伝子の説明がなされる。
私自身が生物の授業を選択していなかった...のは言い訳だが、この説明部分は難しく感じた。

締めくくりのAIについての以下の警鐘は同感だ。
多くの知識を溜め込み、いつも合理的な答えを出してくれるAIに対して、人間が従属的な関係するになってしまう可能性がある。昆虫などの生き物に抱くような、ある種の「優越感」と逆の感情を持つのかもしれない。「AIは偉大だな」というような。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【要約】
地球上に存在する生物は「変化」と「選択」の結果としての「進化」から作られている。その観点から考えると「死(老化)」も何らかの「選択」の結果だと言える。

まず細胞レベルで言えば、遺伝子の不安定性(変異)がスイッチとなって、がん化等を防ぐために老化が起こる。これはいくつかの早期老化症でDNA修復に関わる遺伝子の変異が報告されていることからも示唆される。(その他がん化を防ぐための機構として、免疫細胞による細胞の破壊やテロメアの短縮による老化がある。)

また個体レベルで言う老化の意味として、一つ目に限られた空間や食糧の制約により死が必要であると言える。2つ目として、多様性を支えるために必要な死である。一般的に子供の方が大人よりも多様性が高いと言う意味で優れている。その多様性の高い子供たちを生かすために、大人は死んで新たな世代を作る材料となる。

【感想】
著者が主張していることには同感。ただ、個体としての死の意味については、特に新しい知見はなかったように思う。しかし、ところどころに散らばっている豆知識には、関心するところがいくつかあった。例えば、実験的にサルに少なくカロリーを与えると、寿命が長くなること等。これは、代謝が減って活性酸素等の副産物が減るからとのこと。またハダカデバネズミの不思議な分業生活はとても興味深い。私もハダカデバネズミのように、自分のできる仕事をそれなりにやりつつ、のんびり生きていきたい。

文体が話言葉風なので、分かりやすい人には分かりやすいのかもしれないが、やや稚拙な印象を与える。あと、話の脱線が多く、「何の話だっけ?」となることがしばしば。脱線話については、コラムなどで、別立てにすればより読みやすいかもしれない。

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2024年10月26日

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